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2章 トラウマ
第27話 5日間で変わったこと *ルド視点
しおりを挟むしばらく抱き合っていると……。
「……あ、ルド、仕事は?」
突然フィアが聞いてきた。
……そういえば5日間の間で色々決まったんだっけなぁ。
「ああ、そのことなんだけどね。狂化した竜を倒した時に少佐になったでしょ?ドラゴンスレイヤーをこのまま第5部隊に配属させたままにはできないからっていうので、フィアが眠ってた5日間の間に特殊部隊っていうのができたんだ」
「特殊部隊?」
「うん。簡潔にいうと、第1部隊から第5部隊の間で対処できない事案を解決する部隊かなー。まだ細かいところは決まりきってないんだけど、大体はそんな感じ。この事件も特殊部隊が担当してる」
「そうなんだ。他国とか絡んでくると、特殊部隊の担当になるってことなの?」
「うーん、まぁ、今回の場合は直接俺に関係してきたって部分も多いけど、何よりもバエルと俺が一番連絡が取りやすくて早いし、早期解決ができるからっていうのが一番の理由かな」
「そっか。特殊部隊はどんな人がいるの?」
「それは今度紹介するよ。だから今は俺のことに集中して?この話はもう終わり」
ギュッとフィアを抱きしめる力を強くする。
「ふふ、急に嫉妬しちゃったの?」
「……うん。だってフィアに俺以外のこと考えて欲しくなくて」
「……大好きよ、ルド」
「俺も愛してるよ」
そしてまたしばらくの間抱き合った。
***
「ねー、ルド?」
「なーに?」
「私、これからどうなるのかしら」
思い詰めたような顔をしてフィアが言う。
「不安?」
「……ええ。だって私、対人恐怖症なのよ?学園には通えないだろうし、ルドの婚約者としてパーティーに参加できないかも知れないのよ?他の人がルドのパートナーになるなんて嫌だもの。どうしようかしら」
「少し考えていたんだ。……正直、学園に通うのは難しいと思う」
「……ええ、そうね。学園に通うのは私も無理だと思うわ」
「でも、パーティーとかは、俺が常に一緒にいるなら大丈夫だと思うんだ」
「本当⁉︎」
「うん。俺が側にいたら落ち着いてたでしょ?」
「ええ、そうね」
「それで、突然なんだけど、俺の魔力を入れた魔石の物を身につけて欲しいんだ」
「それは別にいいのだけど、理由を聞いてもいいかしら?」
「前々から考えてはいたんだけど、単純に独占欲っていうのと、俺を身近に感じられるものを身に付けておけば、安心できると思うんだ」
「確かに、ルドの魔力が感じられれば、少しは安心できるかもしれないわね」
「うん。他にもフィアの位置がすぐわかるようにしたり、攻撃を防ぐ結界もつけておこうかな。あー、相手に殺意があれば俺にわかるようにもしよう。あとは、フィアに邪な想いをもってたらわかるようにして、「ちょっとストップ!」……なんで?」
フィアが止めてきた。
「いくらなんでも多すぎない?」
「いやいや、足りないくらいだって。フィアにもしものことがあれば、俺が死ぬから。あ、魔族対策もしておかなきゃ」
「もう、いいわよ。好きにして。1人で考えてればいいんだわ」
フィアがそっぽを向いてしまった。
「フィア、ごめんって。何がいけなかったの?教えて?」
「だって、ルドが1人で勝手に決めてしまうのだもの。心配してくれるのは嬉しいわ。でも、1人で勝手に決めて欲しくないし、私のことを放っておくし……寂しいわ」
最後の方は声が小さくなりながらフィアが言う。
「ごめんね?寂しかったんだね?もう、可愛すぎ。1人で勝手に決めないから、許して?」
「……約束よ?」
「うん!」
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