私と運命の番との物語

星屑

文字の大きさ
上 下
29 / 36
2章 トラウマ

第27話 5日間で変わったこと *ルド視点

しおりを挟む



しばらく抱き合っていると……。



「……あ、ルド、仕事は?」



突然フィアが聞いてきた。


……そういえば5日間の間で色々決まったんだっけなぁ。



「ああ、そのことなんだけどね。狂化した竜を倒した時に少佐になったでしょ?ドラゴンスレイヤーをこのまま第5部隊に配属させたままにはできないからっていうので、フィアが眠ってた5日間の間に特殊部隊っていうのができたんだ」

「特殊部隊?」

「うん。簡潔にいうと、第1部隊から第5部隊の間で対処できない事案を解決する部隊かなー。まだ細かいところは決まりきってないんだけど、大体はそんな感じ。この事件も特殊部隊が担当してる」

「そうなんだ。他国とか絡んでくると、特殊部隊の担当になるってことなの?」

「うーん、まぁ、今回の場合は直接俺に関係してきたって部分も多いけど、何よりもバエルと俺が一番連絡が取りやすくて早いし、早期解決ができるからっていうのが一番の理由かな」

「そっか。特殊部隊はどんな人がいるの?」

「それは今度紹介するよ。だから今は俺のことに集中して?この話はもう終わり」



ギュッとフィアを抱きしめる力を強くする。



「ふふ、急に嫉妬しちゃったの?」

「……うん。だってフィアに俺以外のこと考えて欲しくなくて」

「……大好きよ、ルド」

「俺も愛してるよ」



そしてまたしばらくの間抱き合った。



***



「ねー、ルド?」

「なーに?」

「私、これからどうなるのかしら」



思い詰めたような顔をしてフィアが言う。



「不安?」

「……ええ。だって私、対人恐怖症なのよ?学園には通えないだろうし、ルドの婚約者としてパーティーに参加できないかも知れないのよ?他の人がルドのパートナーになるなんて嫌だもの。どうしようかしら」

「少し考えていたんだ。……正直、学園に通うのは難しいと思う」

「……ええ、そうね。学園に通うのは私も無理だと思うわ」

「でも、パーティーとかは、俺が常に一緒にいるなら大丈夫だと思うんだ」

「本当⁉︎」

「うん。俺が側にいたら落ち着いてたでしょ?」

「ええ、そうね」

「それで、突然なんだけど、俺の魔力を入れた魔石の物を身につけて欲しいんだ」

「それは別にいいのだけど、理由を聞いてもいいかしら?」

「前々から考えてはいたんだけど、単純に独占欲っていうのと、俺を身近に感じられるものを身に付けておけば、安心できると思うんだ」

「確かに、ルドの魔力が感じられれば、少しは安心できるかもしれないわね」

「うん。他にもフィアの位置がすぐわかるようにしたり、攻撃を防ぐ結界もつけておこうかな。あー、相手に殺意があれば俺にわかるようにもしよう。あとは、フィアに邪な想いをもってたらわかるようにして、「ちょっとストップ!」……なんで?」



フィアが止めてきた。



「いくらなんでも多すぎない?」

「いやいや、足りないくらいだって。フィアにもしものことがあれば、俺が死ぬから。あ、魔族対策もしておかなきゃ」

「もう、いいわよ。好きにして。1人で考えてればいいんだわ」



フィアがそっぽを向いてしまった。



「フィア、ごめんって。何がいけなかったの?教えて?」

「だって、ルドが1人で勝手に決めてしまうのだもの。心配してくれるのは嬉しいわ。でも、1人で勝手に決めて欲しくないし、私のことを放っておくし……寂しいわ」



最後の方は声が小さくなりながらフィアが言う。



「ごめんね?寂しかったんだね?もう、可愛すぎ。1人で勝手に決めないから、許して?」

「……約束よ?」

「うん!」






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢とおねぇ執事

As-me.com
恋愛
完結しました。 セリィナは幼いときに暴漢に襲われたショックで、前世の記憶を思い出す。 なんとセリィナは乙女ゲームの悪役令嬢に転生していたのだ! ヒロインが現れる未来では、回りの人間は家族すらも全部がセリィナの敵!このままでは信じていた家族に見捨てられ殺されてしまう……。セリィナは人間不信になってしまった。 唯一平気なのはセリィナの専属執事ライルだけ……。ゲームには存在しないはずのライルは、おねぇだけどセリィナにとっては大切な人になっていく。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

闇の悪役令嬢は愛されすぎる

葵川真衣
恋愛
公爵令嬢クリスティンは、ある日恐ろしい事実に気づく。 自分が、前世プレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢に、転生を果たしてしまっていることに。 この先、婚約者の王太子からは婚約破棄され、更に惨殺の可能性もある。 クリスティンは気絶し、寝込む。──が、このままではいけない。 恐怖の未来にクリスティンは立ち向かう! 刺客を放たれても助かるよう、まず虚弱体質を治そう!  と決意した途端、倒れる。憎きこの身体……。 護身術の稽古をはじめるが……。果たして惨劇は回避できるのだろうか……!? 悪役令嬢奮闘ラブコメディ。 ☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期で更新していきます。

悪役令嬢は断罪回避のためにお兄様と契約結婚をすることにしました

狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
☆おしらせ☆ 8/25の週から更新頻度を変更し、週に2回程度の更新ペースになります。どうぞよろしくお願いいたします。 ☆あらすじ☆  わたし、マリア・アラトルソワは、乙女ゲーム「ブルーメ」の中の悪役令嬢である。  十七歳の春。  前世の記憶を思い出し、その事実に気が付いたわたしは焦った。  乙女ゲームの悪役令嬢マリアは、すべての攻略対象のルートにおいて、ヒロインの恋路を邪魔する役割として登場する。  わたしの活躍(?)によって、ヒロインと攻略対象は愛を深め合うのだ。  そんな陰の立役者(?)であるわたしは、どの攻略対象ルートでも悲しいほどあっけなく断罪されて、国外追放されたり修道院送りにされたりする。一番ひどいのはこの国の第一王子ルートで、刺客を使ってヒロインを殺そうとしたわたしを、第一王子が正当防衛とばかりに斬り殺すというものだ。  ピンチだわ。人生どころか前世の人生も含めた中での最大のピンチ‼  このままではまずいと、わたしはあまり賢くない頭をフル回転させて考えた。  まだゲームははじまっていない。ゲームのはじまりは来年の春だ。つまり一年あるが…はっきり言おう、去年の一年間で、もうすでにいろいろやらかしていた。このままでは悪役令嬢まっしぐらだ。  うぐぐぐぐ……。  この状況を打破するためには、どうすればいいのか。  一生懸命考えたわたしは、そこでピコンと名案ならぬ迷案を思いついた。  悪役令嬢は、当て馬である。  ヒロインの恋のライバルだ。  では、物理的にヒロインのライバルになり得ない立場になっておけば、わたしは晴れて当て馬的な役割からは解放され、悪役令嬢にはならないのではあるまいか!  そしておバカなわたしは、ここで一つ、大きな間違いを犯す。  「おほほほほほほ~」と高笑いをしながらわたしが向かった先は、お兄様の部屋。  お兄様は、実はわたしの従兄で、本当の兄ではない。  そこに目を付けたわたしは、何も考えずにこう宣った。  「お兄様、わたしと(契約)結婚してくださいませ‼」  このときわたしは、失念していたのだ。  そう、お兄様が、この上なく厄介で意地悪で、それでいて粘着質な男だったと言うことを‼  そして、わたしを嫌っていたはずの攻略対象たちの様子も、なにやら変わってきてーー

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

乙女ゲームの悪役令嬢だったので、悪役になる覚悟ですが、王子様の溺愛が世界を破滅させてしまいそうです

葵川真衣
恋愛
公爵令嬢シャロンは王宮で婚約者の王子と過ごしていて、突如前世の記憶を思い出してしまう。 前世プレイしていた乙女ゲームの令嬢に転生している。しかも悪役だ。 初恋相手の婚約者には今後、無惨に婚約破棄される。 ショックで突っ伏したシャロンだが、ハッピーエンドを目指して国外追放され、平穏に暮らそうと決心。 他ルートなら暗殺される。世界滅亡の危機もある。国外追放は生きている……! 武闘派悪役令嬢シャロンは日々励む! しかしゲームに登場しない人物が現れたり、いろいろ様子がおかしい……!? シャロンは世界を救い、ゲームのハッピーエンドを無事迎えることができるのか……!? 将来に備えがんばる悪役令嬢と、そんな令嬢を溺愛する腹黒王子の甘々ラブコメディ。 ☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、追加予定です。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

処理中です...