5 / 20
序章
第5話 盗人と対峙
しおりを挟む
「この建物か……」
数時間前、俺は第三級魔法《アルカナクラス》を使い、レッドストーンがある場所を特定した。そして奴らがいる根城に辿り着いたわけだが。
この辺りは人通りも少なく、静寂が支配する不気味な場所だ。
こういう場所では何かの取引に使われていることが多い。
「さて、どうやって入ろうか」
目の前の扉は、頑丈に鍵がかけられている。
俺には鍵を開けるスキルは持ち合わせていないし、物理的に突破するしかないな。
「第四級魔法《ファイア》!」
俺は片手を高く挙げ、炎の魔法を発動させる。
燃え盛る炎は扉を一瞬で焼き尽くし、音を立てて道を開けた。
その瞬間、俺の魔法に気づいたのか、数人が慌てて飛び出してくる。
「な、なんだ!? 一体何が起きた!?」
フードを被った男が、驚愕の表情で叫ぶ。
それも無理はない。
突如として扉が燃え上がり、見知らぬ男が姿を現したのだから。
「突然お邪魔して悪いが、ここに赤い宝石の「レッドストーン」があるはずだ。そいつを俺にくれないだろうか?」
「それはちと無理な話だな。この宝石を取引することで、かなりの金額が貰えるんだよ。だから、お前はここで死んでもらう」
俺にそう言い放ちながら、奴らは腰に付けた鞘から剣を抜き、こちらに刃先を向けてくる。
全く愚かな行動だ。
静かに渡してくれれば、見逃してやったのに。
「そうか……なら死んでくれ。」
俺がそう言うと、奴らは身を前に傾け、剣を構えて突進してくる。
「おらぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「第三級魔法《エンシェント・ブリザード》!」
冷気が俺の指先から放たれ、奴らは一瞬にして凍りつく。
やれやれ、なんとも愚かだ。
「それじゃあ、部屋の中を見させてもらうぞ」
俺は赤い宝石を探し求め、部屋の中を漁っていると、黒い箱が目に留まる。
恐る恐るその箱を開けると、光り輝く宝石が姿を現した。
「よし、こいつを回収して早くここから離れなくては、「黒神」の奴らに見つかった面倒くさいしな」
あいつらに見つかれば、間違いなく組織内で要注意人物として挙げられてしまう。
そうなれば、これから始まる学園生活にも支障が出るかもしれない。
早めにとんずらしないと。
そんな不安を胸に抱きながら、俺は急いでこの場から離れるのだった。
★
「あらら? 「レッドストーン」の取引先で来たのに、なんでこんなことになってるのよ~」
私の目の前には、何者かによって凍らされた数人の人間がいる。
まるで抵抗する間もなく、冷たい運命に飲み込まれたかのようだわ。
「様子を見る限り、突進した状態で凍らされたみたいね~。でも、こんな高度な魔法を誰が使ったのかしら?」
冷気を操る魔法は、第三級魔法レベルからしか扱えない。
つまり、ここを襲撃したのは第3級魔術師がいたということ。
「全く、面白い人間がいるのね~。まあ、私には敵わないだろうけど」
私は「黒神」組織の一員、レード・ロイド。一応、戦闘員として名を馳せているが、元は暗殺者。
暗殺者をやめた理由は簡単。
「黒神」の方が報酬金が高いからよ。
「まあ、一応組織には報告しておいた方がいいわね。貴重なレッドストーンが奪われちゃったんだから。」
私にとってはレッドストーンなんてどうでもいいんだけど、組織はあの宝石を欲しがっている。
報告を怠れば、面倒なことになりかねないからね~。
「氷を使う魔術師、覚えておくわよ~。」
そうして私は周囲を見渡し、暗闇にと身を潜めていくのだった。
数時間前、俺は第三級魔法《アルカナクラス》を使い、レッドストーンがある場所を特定した。そして奴らがいる根城に辿り着いたわけだが。
この辺りは人通りも少なく、静寂が支配する不気味な場所だ。
こういう場所では何かの取引に使われていることが多い。
「さて、どうやって入ろうか」
目の前の扉は、頑丈に鍵がかけられている。
俺には鍵を開けるスキルは持ち合わせていないし、物理的に突破するしかないな。
「第四級魔法《ファイア》!」
俺は片手を高く挙げ、炎の魔法を発動させる。
燃え盛る炎は扉を一瞬で焼き尽くし、音を立てて道を開けた。
その瞬間、俺の魔法に気づいたのか、数人が慌てて飛び出してくる。
「な、なんだ!? 一体何が起きた!?」
フードを被った男が、驚愕の表情で叫ぶ。
それも無理はない。
突如として扉が燃え上がり、見知らぬ男が姿を現したのだから。
「突然お邪魔して悪いが、ここに赤い宝石の「レッドストーン」があるはずだ。そいつを俺にくれないだろうか?」
「それはちと無理な話だな。この宝石を取引することで、かなりの金額が貰えるんだよ。だから、お前はここで死んでもらう」
俺にそう言い放ちながら、奴らは腰に付けた鞘から剣を抜き、こちらに刃先を向けてくる。
全く愚かな行動だ。
静かに渡してくれれば、見逃してやったのに。
「そうか……なら死んでくれ。」
俺がそう言うと、奴らは身を前に傾け、剣を構えて突進してくる。
「おらぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「第三級魔法《エンシェント・ブリザード》!」
冷気が俺の指先から放たれ、奴らは一瞬にして凍りつく。
やれやれ、なんとも愚かだ。
「それじゃあ、部屋の中を見させてもらうぞ」
俺は赤い宝石を探し求め、部屋の中を漁っていると、黒い箱が目に留まる。
恐る恐るその箱を開けると、光り輝く宝石が姿を現した。
「よし、こいつを回収して早くここから離れなくては、「黒神」の奴らに見つかった面倒くさいしな」
あいつらに見つかれば、間違いなく組織内で要注意人物として挙げられてしまう。
そうなれば、これから始まる学園生活にも支障が出るかもしれない。
早めにとんずらしないと。
そんな不安を胸に抱きながら、俺は急いでこの場から離れるのだった。
★
「あらら? 「レッドストーン」の取引先で来たのに、なんでこんなことになってるのよ~」
私の目の前には、何者かによって凍らされた数人の人間がいる。
まるで抵抗する間もなく、冷たい運命に飲み込まれたかのようだわ。
「様子を見る限り、突進した状態で凍らされたみたいね~。でも、こんな高度な魔法を誰が使ったのかしら?」
冷気を操る魔法は、第三級魔法レベルからしか扱えない。
つまり、ここを襲撃したのは第3級魔術師がいたということ。
「全く、面白い人間がいるのね~。まあ、私には敵わないだろうけど」
私は「黒神」組織の一員、レード・ロイド。一応、戦闘員として名を馳せているが、元は暗殺者。
暗殺者をやめた理由は簡単。
「黒神」の方が報酬金が高いからよ。
「まあ、一応組織には報告しておいた方がいいわね。貴重なレッドストーンが奪われちゃったんだから。」
私にとってはレッドストーンなんてどうでもいいんだけど、組織はあの宝石を欲しがっている。
報告を怠れば、面倒なことになりかねないからね~。
「氷を使う魔術師、覚えておくわよ~。」
そうして私は周囲を見渡し、暗闇にと身を潜めていくのだった。
33
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
男女比1対999の異世界は、思った以上に過酷で天国
てりやき
ファンタジー
『魔法が存在して、男女比が1対999という世界に転生しませんか? 男性が少ないから、モテモテですよ。もし即決なら特典として、転生者に大人気の回復スキルと収納スキルも付けちゃいますけど』
女性経験が無いまま迎えた三十歳の誕生日に、不慮の事故で死んでしまった主人公が、突然目の前に現れた女神様の提案で転生した異世界で、頑張って生きてくお話。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!
こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。
ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。
最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。
だが、俺は知っていた。
魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。
外れスキル【超重量】の真の力を。
俺は思う。
【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか?
俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。
異世界転移したら~彼女の"王位争い"を手助けすることになった件~最強スキル《精霊使い》を駆使して無双します~
そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
とある大陸にあるローレスト王国
剣術や魔法、そして軍事力にも長けており隙の無い王国として知られていた。
だが王太子の座が決まっておらず、国王の子供たちが次々と勢力を広げていき王位を争っていた。
そんな中、主人公である『タツキ』は異世界に転移してしまう。
「俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?」
タツキは元々理系大学の工学部にいた普通の大学生だが、異世界では《精霊使い》という最強スキルに恵まれる。
異世界に転移してからタツキは冒険者になり、優雅に暮らしていくはずだったが......
ローレスト王国の第三王女である『ソフィア』に異世界転移してから色々助けてもらったので、彼女の"王位争い"を手助けする事にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる