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第84話 魔物が大量発生

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 それから私たちは少しずつ魔物を狩っていき順位を徐々に上げていくことに成功する。
 
 そして最終日の今日に至ってはかなり順位を維持できているのでは……そんな気持ちに包まれていた。
 
 A級モンスターも十分に倒せておりしばらく巻き返されないだろう……。
 
 私たちは安全に勝利を収めることだけを最優先に考えその日は魔物を狩り続ける。
 
 するとレズリタが気になることを口にした。
 
 「じ、地面が揺れてない?」
 
 「地面?」
 
 私は地面に手を置き注視してみる。
 確かに微かに震えている。それもかなり規則的に……。
 
 もしかして魔物が近づいてきているのだろうか。この振動はかなり多い……。
 
 「なんだこれ......もしかして魔物が一斉に動き出したのか!?」
 
 エリックの発したその言葉に皆息を飲み込む。振動はどんどん大きくなっていき、それに従うように地響きも少しずつ大きくなっていく……。
 
 「皆、王国南部の都・リザースに戻るよ!」
 
 私がそう言うと3人とも頷いてくれ、全速力でリザースに向かう。
 
 先ほどの魔物の大群は何なのだろうか、私たちは全速力で王国南部の都・リザースに向かうのだがいつまで経っても振動はやまない。
 
 私は嫌な予感が拭えず走り続ける……。

 もし魔物の大群がリザースに押し寄せていたなら……考えただけでも恐ろしい……。
 
 今リザースには多くの民と国王が滞在している。

 魔物の大群が襲いかかれば死人が出てしまう……。
 
 きっと今回の祭りに参加しているパーティーもすぐに行動しているだろう。
 
 私達は息切れしながらもなんとかリザースに向けて走り続ける。

 
 
■■■


 
 「何事じゃ」
 
 ここは王国南部の都・リザース……祭りの喧騒が鳴り響いていた……。
 
 なぜなら突然地面が揺れていて騒ぎになっているからだ。
 
 まだ大きな被害は出ていないが皆パニックになっており、落ち着いている街はどこにもない。
 
 「へ、陛下! 魔物が大群で攻めてきています!」
 
 興奮した様子で兵士の1人が報告をしてくる。
 どうやらこの揺れは魔物によるものらしい。
 
 「なら返り討ちにしてやれ」
 
 「そ、それがあまりにも魔物が多く我々だけでは手に余りかねません!」
 
 「なんじゃと?」
 
 その言葉に少々苛立ちを覚えてしまう。
 このままでは騒ぎも大きくなりお祭りが中止になってしまう。

 皆不安の絶頂であろう……一刻も早くこの騒ぎを落ち着かせなければならないがその暇すらありそうも無い。

 ならば……。
 
 「近衛騎士団であるリスタを呼べ」
 
 「陛下、私はここに」
 
 目にも追えぬスピードでリスタが目の前に現れる……。

 相変わらず驚かされるような動きである。
 
 故にあれくらいの芸当は朝飯前だろうがな。
 
 「魔物どもがここリザースに攻めてきておる。滅ぼしてこい」
 
 「承知しました、では護衛を残していきます」
 
 それにしてもたかが魔物どもでリザースを襲うなど片腹痛い。

 魔物どもは知能がないからのう……。

 そう思っているとリスタが混乱している民の前で口を開く。
 
 「我は近衛騎士団団長リスタである! これより我が率いる近衛騎士団は魔物の群れを排除する!」
 
 リスタの一言で混乱していた民の表情が取り除かれていく。
 
 「必ずや我々は魔物どもを退ける! よって安心せよ!」
 
 リスタのたった一度の一言で混乱は一気に収まる。いつ見ても凄いカリスマの持ち主だ。
 
 それからしばらくしない間にリスタが自らが率いる近衛騎士団の面々を連れて民の前に姿を表す。

 その威圧感からだろうか辺り一帯の温度が低く感じ取られるように思えるほど皆静まり返っている。
 
 「陛下、近衛騎士団直属の第三騎士隊長と第四騎士隊長を護衛として置いていきます」
 
 「なぜじゃ?皆で行けばよかろう」
 
 ここはリザース……防衛機能も特に施した街である。

 護衛に関してはA級冒険者が数十人は滞在しているのだから必要はない……。
 
 なぜじゃろうか? わしがそう言うと第三、第四隊長達が頭を下げる……。
 
 そしてリスタが再びその美しい透き通った声で言葉を紡ぐ。
 
 「この魔物の大量発生が人為的だった場合……陛下や民に被害が及ばないとは言い切れません」
 
 「なるほどな......」
 
 「それでは我ら近衛騎士団は向かいますゆえ!」
 
 そう言ってリスタがマントを翻し民から離れていく。

 その部下である第一第二、第五の騎士たちも近衛騎士団のみが使える漆黒のマントを翻して颯爽と姿を消す……。
 
 祭りと思っていたものがこれほど大規模な魔物による襲撃によって気が滅入る展開になるとはな……。

 そう思いながら騎士達の背中を見つめるのだった。
 
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