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1章

第11話 S級レベルの冒険者を動かすには黒貨が必要

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 「あ! キリアンさん! ご無事でしたか!」
 
 「無事だよー! 少し迷子になっちゃったのです!」
 
 受付嬢が心配していたようでキリアンが姿を見せると安心した様子を見せている。
 
 無理もないだろう、2日間行方不明だったんだから……。
 
 それはそうと俺は依頼の達成を報告するために受付に向かう。
 
 「ウルフの討伐をしてきました、これ魔石です」
 
 俺はウルフを討伐した際に出た魔石を袋から取り出す。
 
 受付嬢はそれを見ると報酬金を裏から持ってきて俺に手渡す。
 
 「討伐お疲れ様です! こちらが報酬金です」
 
 おお、初めての報酬金だ!結構嬉しくなるよな、この感覚は。
 
 前の世界だと俺はネットでお金を稼いでいたから実際に手渡しだと嬉しいな。
 
 とりあえず俺は袋に入った報酬金を受け取ると近くにあった椅子に座る。
 
 それから袋を開けて中身を確認すると中は銅貨がいくつか入っていた。
 
 おお、これがこの世界のお金か……なんか感動するぜ!

  俺は少し興奮しながら報酬金を見ているとキリアンが話しかけてくる。
 
 「一応タツキに聞きたいことがあるんだけど、この世界の通貨について知っているのです?」
 
 「すまん、全然わかんねえ」
 
 するとキリアンが呆れた顔をしながら俺に説明してくれる。
 
 通貨には銅貨、大銅貨、銀貨、白銀貨、金貨、白金貨、黒貨の7種類があり通貨の価値が下から順に上がっていくみたいだ。
 
 基本的な考えは銅貨が一番下の価値で黒貨が一番上、通貨のランクが上がっていくにつれて価値も上がっていく。
 
 ちなみに最上級の冒険者を指定して依頼を頼む場合は黒貨が2枚必要らしい。
 
 「そのS級レベルの冒険者を動かすには黒貨が必要なのかよ......冒険者ギルドも大変なんだな」
 
 「まあ仕方ないのです。S級冒険者は癖が強すぎて扱いが難しいのもあるのです」
 
 「そういえばふと疑問に思ったんだけどS級冒険者は普段どこにいるんだ? ギルドの近くに住んでるとか?」
 
 「いやここは冒険者ギルドの支部だからいるとは限らないのです。冒険者ギルドは大陸全土にあるからS級冒険者は各々違う国にいるかもです」
 
 俺はてっきりこの冒険者ギルドが本部だと思ってしまったけど違うんだな。

 にしてもS級冒険者ってどんな人なのか会ってみたいな。

 冒険者ランクを上げていくといつか会えるのかな?
 
  まあ今はF級だからまだまだ先の話だな。
 
 その後俺は冒険者ギルドから借りていた剣を返してギルドを出る。
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