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1章

第8話 俺と契約してくれないか? 赤い精霊さん

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 「タツキは冒険者ランクどれくらいなのです?」

 不意にそんなことを聞かれてしまう。
 
 どう答えようかと思い正直に言うことにする。

 「俺はF級冒険者の初心者だ」

 すると目をぱちくりさせながら俺の方を見ていた。
 
 まあこういう反応になるのは分かるんだけどな。
 
 さて、どうしたもんかと思っていたらキリアンは口を開く。

 「だからあんなに弱かったのですね!」

 「お、おま! 仕方ないだろ!」

 まあ確かに俺は剣を握ったこともない初心者だけどそこまで言われると正直心にくる。

 「スキルは何を持っているのです?」

 「確か......精霊使い、だった気がする」

 「え! 良いスキルを持ってるのですね! まだ使い方がよく分からない感じなのです?」

 俺が頷くとキリアンは優しく説明してくれる。
 
 精霊使いって珍しいスキルでかなりレアだそうだ。

 「精霊と契約をするスキルなのです!」

 キリアンが言うには精霊から力を借りることが出来るスキル……なんだとか。
 
 精霊使いは本当に少ないらしく冒険者でも持っている人の方が少ないらしい。

 何にせよ今の俺はウルフにすら苦戦するぐらいなので何か戦い方を覚えないといけないよな。

 それにしてもここは精霊や魔法が存在する世界なのかと思うと胸が高鳴るな!

 剣と魔法のファンタジーワールドだ!本当に憧れてたぜ!

 「でもよ、精霊ってどこにいるんだ?」

 「私は精霊使いのスキルを持ってないのです。だからどこに精霊がいるのか見えないのです!」

 「少し精霊を意識しながら周りを見るか」

 それから俺は周りの精霊達を探すように見回す。
 
 すると赤い精霊みたいなのがいるのが分かる。
 
 多分あれが精霊なんだろうな。
 
 赤い色のは炎系のやつだったっけかな?

 「キリアン、もしかして赤色の浮遊してる奴って精霊なのか?」

 「それは間違いなく精霊なのです! 赤色の精霊は中々いないって言われてるからかなりのレア精霊かもしれないのです!」

 やっぱり精霊なんだな。

 それにしてもそうか、赤色って結構レアなのか。

 良い機会だし契約してみるか?とりあえず赤い精霊の所に歩いて行ってみる。

 近くまで行くと俺の方をじろじろと見てくる気がするが敵意とかは見られないし恐らく大丈夫だと思われる。

 「俺と契約してくれないか? 赤い精霊さん」

 俺は精霊に語りかけるが何も反応がない……。
 
 口じゃあ会話が出来ないのかな?それなら心の中で呼んでみるしかないか。
 
 (おーい赤い精霊さーん)
 
 そう思いながら俺は心の中で呼びかけてみることにした。

 すると赤い精霊が俺の近くに寄って来る。

 おお、来てくれた!俺はさっそく契約をしてくれないか心の中で念じてみることにする。
 
 (俺と契約してくれないか?)
 
 そう念を送ると赤い精霊は頷くように体を揺らす。
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