58 / 69
出生の土地
微笑み
しおりを挟む
ゴホンッ「これは、失礼した。私はここの芸術をこよなく愛し、時に生徒へ教鞭も取る者だ」
丸渕メガネを中指でクイッと上げながら自己紹介をする女性
「あー、私はラクシスと言い、連れがここのルットク教師に用事があって来たんだけど、その間に学園をブラついてここに来たんだ」
ラクシスが来た理由を女性は知ると納得したようで、うんうんと頷いていると女性は何か思い出した表情をする
「あっ!しまった!私、まだ名前を名乗ってなかったわ!!モナラって言います。」
モナラは慌ててラクシスに会釈をするとラクシスも釣られる形で会釈する
つっかけを鳴らしながらラクシスにグイッと近づいたモナラは尋ねる
「それで!人族のラクシスさん!!」
突如、近づいてきたモナラにラクシスは気を留めず「なんでしょう?」と返答する
「あのですね!あのですね!ちょっと私のモデルになっていただけません?」
突拍子もない事を言い放つモナラにさすがのラクシスも少し距離を取り応える
「え?あっうん、いいよ」
「えっ!?やったー!助かります!実はですね。人族のラクシスさんがこの部屋に入って目が合った瞬間、あっこの方はぜひ、私のアート!つまり脱皮アートのモデルとして手伝ってくれたのなら!なんて思ってました。それで返事をしていただき、本当にうれしいです・・・これで私たち天空の国の民が言い伝えられている、この国を創造した人の絵を完成させれるかもしれない!あぁ・・・なんて私はついているのだろう・・・あっでもまだ完成への道が出来ただけで、完成したわけじゃない・・・落ち着くのよモナラ。そうよ。ただ人族の方に承諾していただいただけじゃないの!」ブツブツ
モナラはラクシスの潔い快諾に身を震わせ喜び、ブツブツ早口で何やら呟き自身の世界へと入って行った
その様子に微動だにしないラクシスもすごいが、この女性も相当であるのは間違いない
「えっと・・・どうしたら?」
ハッ!「そうよ、そうだわ!私としたことが、せっかくのチャンスなのに逃してしまうところでした。こちらへどうぞ」
モナラは奥の壁に掲げられている絵の下へラクシスを案内して近くにあった椅子の上に立たせた
「よし!これで大丈夫です!そのまま天を仰ぐようにして止まってください!」
モナラのリクエストにラクシスは瞼を閉じ返答する
「おぉぉおお!いいです!いいですね!私、盛り上がって来ましたよ~~~!!」
バタバタとモナラは描く道具と脱皮された素材を用意しキャンパスに張り付けては剥がすという作業を繰り返していく・・・
「これは、いい!いいですね!最高ですよ!!」
ひとり変な(?)スイッチの入ったモナラは興奮しながら、創作作業に没頭した
窓辺から差していた光もだんだんと傾き薄暗くなり始めた頃、モナラは叫ぶ
「はぁい!これで大丈夫です!ありがとうございました。」
モナラが没頭していた創作作業のベースが出来たようで、ラクシスのモデルも終了となった
「いえ、気になさらず」
ラクシスの表情は一見何も変わらなく見えるが、どこかゲッソリしたようにも見える・・・不思議なものだ
この部屋での出来事も無事(?)終えたので、ドアをガチャッと開けラクシスはルットクの元へ戻ることにする
ルットクの部屋に戻るとちょうどエメレッタと別れの挨拶を終えた所で帰り際、抱き着いて別れの挨拶をしていた
ルットクは父として何もできなかったことを悔やんでいたが、エメレッタは気にしていないようで「それじゃ・・・お父さん、また会おうね?」と名残惜しそうに話しかける
「あぁ、まぁ私たちが生きている限り・・・またいつか会うことが出来るだろう」とグッと寂しい感情を抑え毅然と笑顔で振舞うルットク
ふたりは寂しさを押し殺しこの部屋を出る
学園を出る為、歩むラクシスの後をエメレッタは目を潤ませ少し瞼を腫らながらも少し遅れてついて行く
突如、パンッと自身の頬を両手で叩き「よしっ!」と気合を入れてラクシスの横へ慌てて追いつく
ルットクの所から別れ学園を去った2人はもう一度、巨大な塔の中へと向かった
テレポートしてから双子の王へ謁見し、ルットクの話をした
「・・・なるほど、ルットクは元気だったか。」
リオル王は右手を顎に触れ瞬きし納得する
「やはりルットクの子だったか・・・つまり、我が同胞・・・」
オール王も同様に右手を顎に触れ瞬きして納得する
さすが、双子、見事にリンクしている
「・・・エメレッタよ。」
思考をしつつ、エメレッタを呼ぶリオル王
「あっはい」
エメレッタは突然の呼びかけにビクッとなったが、慌てて返事する
「この国は君にとっての故郷と同様・・・見た目は違えど、気にせず、戻っていらっしゃい」
リオル王は満面の笑みで迎える
「え?あっはい、ありがとうございます。」
驚きつつも感謝をするエメレッタ
「それで・・・極寒の神殿へ向かいたいと聞いたが・・・」
オール王がエメレッタに問いかける
「あっはい。母が健在かどうかわかりませんが、私の出生の土地を見てみたいと改めて感じました」
エメレッタは決意の籠った目でハキハキと答える
「・・・なるほど、よいじゃろう。身内の希望だ。今も交流が続いているし、定期交流もそろそろだ。一緒に同行すればいい。」
オール王はフフフと笑顔でエメレッタに語り提案をする
「はい、本当にありがとうございます。」
深々と頭を下げてエメレッタは感謝を述べた
「では、そのように手配しよう。」
オール王は近くに居た衛兵に視線を送り右手を上げ指示を出すと衛兵たちは準備に取り掛かった
「少し時間がかかる・・・エメレッタよ。よければ、これまでの経緯など色々教えてくれないか?」
リオル王は優しく微笑みかけるとエメレッタは「はい。」と返答し、今まで祖父の住む村でどのように育ったのか、ラクシスとどういう経緯で知り合い、どのように旅をすることになったかを双子の王へ話すことにした
そのエメレッタの話にウンウンと頷いたり、時には驚いたりして聞き入った・・・
丸渕メガネを中指でクイッと上げながら自己紹介をする女性
「あー、私はラクシスと言い、連れがここのルットク教師に用事があって来たんだけど、その間に学園をブラついてここに来たんだ」
ラクシスが来た理由を女性は知ると納得したようで、うんうんと頷いていると女性は何か思い出した表情をする
「あっ!しまった!私、まだ名前を名乗ってなかったわ!!モナラって言います。」
モナラは慌ててラクシスに会釈をするとラクシスも釣られる形で会釈する
つっかけを鳴らしながらラクシスにグイッと近づいたモナラは尋ねる
「それで!人族のラクシスさん!!」
突如、近づいてきたモナラにラクシスは気を留めず「なんでしょう?」と返答する
「あのですね!あのですね!ちょっと私のモデルになっていただけません?」
突拍子もない事を言い放つモナラにさすがのラクシスも少し距離を取り応える
「え?あっうん、いいよ」
「えっ!?やったー!助かります!実はですね。人族のラクシスさんがこの部屋に入って目が合った瞬間、あっこの方はぜひ、私のアート!つまり脱皮アートのモデルとして手伝ってくれたのなら!なんて思ってました。それで返事をしていただき、本当にうれしいです・・・これで私たち天空の国の民が言い伝えられている、この国を創造した人の絵を完成させれるかもしれない!あぁ・・・なんて私はついているのだろう・・・あっでもまだ完成への道が出来ただけで、完成したわけじゃない・・・落ち着くのよモナラ。そうよ。ただ人族の方に承諾していただいただけじゃないの!」ブツブツ
モナラはラクシスの潔い快諾に身を震わせ喜び、ブツブツ早口で何やら呟き自身の世界へと入って行った
その様子に微動だにしないラクシスもすごいが、この女性も相当であるのは間違いない
「えっと・・・どうしたら?」
ハッ!「そうよ、そうだわ!私としたことが、せっかくのチャンスなのに逃してしまうところでした。こちらへどうぞ」
モナラは奥の壁に掲げられている絵の下へラクシスを案内して近くにあった椅子の上に立たせた
「よし!これで大丈夫です!そのまま天を仰ぐようにして止まってください!」
モナラのリクエストにラクシスは瞼を閉じ返答する
「おぉぉおお!いいです!いいですね!私、盛り上がって来ましたよ~~~!!」
バタバタとモナラは描く道具と脱皮された素材を用意しキャンパスに張り付けては剥がすという作業を繰り返していく・・・
「これは、いい!いいですね!最高ですよ!!」
ひとり変な(?)スイッチの入ったモナラは興奮しながら、創作作業に没頭した
窓辺から差していた光もだんだんと傾き薄暗くなり始めた頃、モナラは叫ぶ
「はぁい!これで大丈夫です!ありがとうございました。」
モナラが没頭していた創作作業のベースが出来たようで、ラクシスのモデルも終了となった
「いえ、気になさらず」
ラクシスの表情は一見何も変わらなく見えるが、どこかゲッソリしたようにも見える・・・不思議なものだ
この部屋での出来事も無事(?)終えたので、ドアをガチャッと開けラクシスはルットクの元へ戻ることにする
ルットクの部屋に戻るとちょうどエメレッタと別れの挨拶を終えた所で帰り際、抱き着いて別れの挨拶をしていた
ルットクは父として何もできなかったことを悔やんでいたが、エメレッタは気にしていないようで「それじゃ・・・お父さん、また会おうね?」と名残惜しそうに話しかける
「あぁ、まぁ私たちが生きている限り・・・またいつか会うことが出来るだろう」とグッと寂しい感情を抑え毅然と笑顔で振舞うルットク
ふたりは寂しさを押し殺しこの部屋を出る
学園を出る為、歩むラクシスの後をエメレッタは目を潤ませ少し瞼を腫らながらも少し遅れてついて行く
突如、パンッと自身の頬を両手で叩き「よしっ!」と気合を入れてラクシスの横へ慌てて追いつく
ルットクの所から別れ学園を去った2人はもう一度、巨大な塔の中へと向かった
テレポートしてから双子の王へ謁見し、ルットクの話をした
「・・・なるほど、ルットクは元気だったか。」
リオル王は右手を顎に触れ瞬きし納得する
「やはりルットクの子だったか・・・つまり、我が同胞・・・」
オール王も同様に右手を顎に触れ瞬きして納得する
さすが、双子、見事にリンクしている
「・・・エメレッタよ。」
思考をしつつ、エメレッタを呼ぶリオル王
「あっはい」
エメレッタは突然の呼びかけにビクッとなったが、慌てて返事する
「この国は君にとっての故郷と同様・・・見た目は違えど、気にせず、戻っていらっしゃい」
リオル王は満面の笑みで迎える
「え?あっはい、ありがとうございます。」
驚きつつも感謝をするエメレッタ
「それで・・・極寒の神殿へ向かいたいと聞いたが・・・」
オール王がエメレッタに問いかける
「あっはい。母が健在かどうかわかりませんが、私の出生の土地を見てみたいと改めて感じました」
エメレッタは決意の籠った目でハキハキと答える
「・・・なるほど、よいじゃろう。身内の希望だ。今も交流が続いているし、定期交流もそろそろだ。一緒に同行すればいい。」
オール王はフフフと笑顔でエメレッタに語り提案をする
「はい、本当にありがとうございます。」
深々と頭を下げてエメレッタは感謝を述べた
「では、そのように手配しよう。」
オール王は近くに居た衛兵に視線を送り右手を上げ指示を出すと衛兵たちは準備に取り掛かった
「少し時間がかかる・・・エメレッタよ。よければ、これまでの経緯など色々教えてくれないか?」
リオル王は優しく微笑みかけるとエメレッタは「はい。」と返答し、今まで祖父の住む村でどのように育ったのか、ラクシスとどういう経緯で知り合い、どのように旅をすることになったかを双子の王へ話すことにした
そのエメレッタの話にウンウンと頷いたり、時には驚いたりして聞き入った・・・
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
アリス・ロシュフォール ~砂漠に咲く花~
犬塚ゆき
ファンタジー
錬金術を研究しながら、ある人物を探していたアリス・ロシュフォール。
突如として舞い込んだ手掛かりをもとに、アリスは白狐の姿をした魔獣ルースと共に旅立つ。
しかし砂漠の国でアリス達が出会ったのは、人ならざる少年トゥーラと、錬金術を軍事利用しようと企む大企業の社長ハイダルだった。
母を訪ねて十万里
サクラ近衛将監
ファンタジー
エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。
この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。
概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
寒がりな氷結眼鏡魔導士は、七匹のウサギとほっこり令嬢の温もりに癒され、愛を知る
ウサギテイマーTK
恋愛
伯爵家のミーヤは、動物の飼育と編み物が好きな、ちょっとおっとりした女の子である。婚約者のブルーノは、地味なミーヤが気に入らず、ミーヤの義姉ロアナと恋に落ちたため、ミーヤに婚約破棄を言い渡す。その件も含め、実の父親から邸を追い出されたミーヤは、吹雪のため遭難したフィーザを助けることになる。眼鏡をかけた魔導士フィーザは氷結魔法の使い手で、魔導士団の副団長を務まる男だった。ミーヤはフィーザと徐々に心を通わすようになるが、ミーヤを追い出した実家では、不穏な出来事が起こるようになる。ミーヤの隠れた能力は、次第に花開いていく。
☆9月1日にHotランキングに載せていただき感謝です!!
☆「なろう」様にも投稿していますが、こちらは加筆してあります。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる