転生したら猫でした。

わんコロ餅

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第1缶

2ー2

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・・・

ケフゥ

うむ、この干物というものはたまらなく美味い

いつまでも堪能したいほどだ

噛めば噛む程独特の旨味が口に広がるのが分かる

ゴソゴソッ
「おっと・・・」

む、・・・嫌な予感がする・・・

「すまんのぉ・・・どうやらもう、なくなってしもうたわい」

な、なんということだ・・・

あっという間に懐柔された智将バカはさて置き未だに空腹感のある私にとっては死活問題だ。

・・・少しまて
ひょっとしてこの老人チャンスを逃すのは得策ではない。

それについて行けば、何かしらの食料にありつけるのでは?

もしくは雨風を凌げたりできるのではないか?

そうと決まれば、アルフォンス!

ゴロゴロ・・・と老人に甘えては撫でられその面は幸せそうだ。

「どうかされましたか?魔王様?今私撫でられて幸せなんですが・・・」

・・・もしもし、アルフォンスさん?

知将で部下に慕われていた・・・アルフォンスさん?

ま、まぁいい。 

そのまま老人に気に入られるのだ!
して私もついて行く!


アルフォンスは目を刮目し何かを察したようで
「承知いたしました。私、智将の名に恥じぬようがんばります。」


そしてこの2匹に・・・かつての誇りほこりはなく無我夢中に甘えた・・・

「よぉしヨシヨシ・・・さて、そろそろ家に帰るかのぉ」

座っていた重い腰をあげ帰路に向かおうとしたところ
2匹の猫が老人の後を付いてくるではないか・・・

「こりゃ弱ったのぉ・・・仕方がない、付いてくるかい?ん?」

にゃっという鳴き声と共についてくる

「ん?このたちは理解しとるのかのぉ?まぁそんな訳ないかぁ」

老人は首を少し曲げたあと高らかにカカカッと笑いながら改めて帰路に向かう。

しばらくの緑地と魔王時代前世にはない様々な風変わりの建物に興味を持ちつつ、逸れてはならぬと跡をついて行った。

して何刻か歩いたか分からないが、ふと見上げるとそこには明るかった空が今は薄暗く赤と紺のコントラストで綺麗な夜空を示す星々が見える。

この世界はどうやら美しく
空は前世と違い金色を放つ大きく光る星(?)があるようだ。

「さて、着いたわい」

到着を告げる言葉に目を向けると巨大で立派な建物に所々、大小の様々な形をした石や綺麗に整えられた木々、湖のような水溜りに橋が掛かっており、壮大な広さを感じる屋敷でここの持ち主老人はおそらく貴族だと思う。

程なくすると奥の方からタタタッと駆ける音と共に

「おかえりなさい、おじいちゃん!!」
と幼い少女の声が聞こえた

「お、おぉどうしたんだい?今日は遊びに来る日じゃったかいのぉ・・・?」

ギュッと抱きつく少女

「うんとね、今日はミサキの誕生日なんだよぉ~♪」

とサプライズに喜びを隠せない老人と嬉しそうな少女の会話が続いていく

「それでね・・あっ猫ちゃんだ!しかも2匹もいる!」

ふと目が合い、嬉しそうにこちらの様子を伺っている。

「ねぇねぇおじいちゃん!」

私らと老人を交互に見つつ

2匹これ私の誕生日プレゼントなの!?」

と訳のわからないことを述べていたミサキに老人は困り果てた表情を作っていた

「う~ん。実はのぉ」
と続けようとした時、入り口の奥から野太い男性の声が聞こえてくる

「コラ、ミサキ!親父おじいちゃんが困ってるだろ!?せっかく会いに来たんだからまず中で食事にでもしよう。」

今度は男性と目が合い不思議そうにこちらを見ている

「それにしても・・・親父、あんな猫どこかで拾ってきたんだ?」

「いぁー実は家に帰る途中な、衰弱してたもんで干物をやったら懐かれてしもぉたんじゃ」

半笑いをしながら男性は応える
「そりゃご飯エサ貰えりゃなんだって着いてくるだろ。
まぁとにかく中に入ろうぜ?ここは親父の家なんだから。
あっ2匹共あいつらも連れてこいよ?」

こうして私たちは望み通り老人の家に招き入れてもらう事に成功したのだ。

 
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