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52 五航戦対ホーネット
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菅野機が第十六任務部隊を発見した時点において、両艦隊の距離は一二〇浬ほどに接近していた。
スプルーアンス少将が日本艦隊攻撃のために西進し、一方の南雲中将も第一次、第二次攻撃隊収容のために東進した結果であった。
航空機であれば、巡航速度で一時間弱の距離である。
菅野機の献身的な誘導の結果、嶋崎重和少佐率いる第三次攻撃隊が米艦隊を発見したのは、〇九四五時(現地時間:一二四五時)のことであった。
行く手に、輪形陣を組んで航行する無数の艦影が見える。
その向こう、およそ十五浬から二十浬ほど離れた地点に、もう一群の輪形陣がかすかに見えた。
菅野機の最初の報告通りであった。
九七艦攻の風防から眼下の海上を観察していた嶋崎少佐は、一瞬だけ迷った。
このまま攻撃隊を二つに分け、二群の米空母部隊を攻撃するか。あるいは手前に見える米空母に攻撃を集中するか。
嶋崎の率いている艦攻隊は、十八機しか存在していない。これは、一個中隊規模である。これを二つに分けることは、敵空母一隻あたりに向けられる艦攻が減ってしまうことを意味する。当然、敵側も機数が少なければ回避運動などの対応は容易だろう。
それに、敵に向かう時間が長ければ長いほど、戦闘機の迎撃を受ける時間が長くなってしまう。
五航戦攻撃隊は、早朝のミッドウェー空襲や艦隊上空での防空戦闘で疲労が溜まっている搭乗員たちも多い。無理はさせられなかった。
「手前の米空母をやる」
嶋崎は決断した。
「奥の米空母については、後続の攻撃隊に任せる。その旨、一航艦に打電せよ」
彼は偵察員にそう命じた。
艦攻隊の上空では、敵迎撃戦闘機の姿を確認した零戦隊が、落下増槽を切り落として速度を上げていく。
「全機に打電! 突撃隊形作レ!」
一方、空襲を受けることになったのは旗艦エンタープライズと分離して行動していたホーネットを中心とする輪形陣であった。
空母がジャップ航空隊に一網打尽にされることを防ぐというスプルーアンス少将の意図によって二手に分かれていた第十六任務部隊であったが、この時、ホーネットの周囲にあったのは重巡ミネアポリス、ニューオーリンズ、ペンサコラ、駆逐艦三隻のみであった。
わずか六隻の護衛艦艇しかいない中で、ホーネットは五航戦攻撃隊の空襲を受けることとなったのである。
さらに悪いことに、ホーネット攻撃隊は戦闘機隊と艦爆隊が針路を誤って行方不明となり未帰還(実際にはミッドウェー基地に不時着)、雷撃隊は壊滅していたため、迎撃に使える戦闘機はわずか十七機のF4Fのみだったのである。
艦上には他に対潜警戒用のSBDドーントレス三機が残っていたが、これは母艦が被害を受けた際に発着不能となるのを避けるため、ジャップ攻撃隊を探知した時点で緊急発進、エンタープライズに向かわせた。
防空戦闘に不安を覚えたホーネットのマーク・ミッチャー艦長は、直ちにエンタープライズに対して戦闘機の派遣を要請した。エンタープライズは攻撃に出した戦闘機隊が全機無傷で帰還したため、直掩用に残していた機体も含めてまだ二十七機のF4Fが残っているはずであった。
ホーネットの援護に回す余裕は、あるはずだ。
ミッチャー少将は険しい表情で上空を見つめていた。
スプルーアンス少将が日本艦隊攻撃のために西進し、一方の南雲中将も第一次、第二次攻撃隊収容のために東進した結果であった。
航空機であれば、巡航速度で一時間弱の距離である。
菅野機の献身的な誘導の結果、嶋崎重和少佐率いる第三次攻撃隊が米艦隊を発見したのは、〇九四五時(現地時間:一二四五時)のことであった。
行く手に、輪形陣を組んで航行する無数の艦影が見える。
その向こう、およそ十五浬から二十浬ほど離れた地点に、もう一群の輪形陣がかすかに見えた。
菅野機の最初の報告通りであった。
九七艦攻の風防から眼下の海上を観察していた嶋崎少佐は、一瞬だけ迷った。
このまま攻撃隊を二つに分け、二群の米空母部隊を攻撃するか。あるいは手前に見える米空母に攻撃を集中するか。
嶋崎の率いている艦攻隊は、十八機しか存在していない。これは、一個中隊規模である。これを二つに分けることは、敵空母一隻あたりに向けられる艦攻が減ってしまうことを意味する。当然、敵側も機数が少なければ回避運動などの対応は容易だろう。
それに、敵に向かう時間が長ければ長いほど、戦闘機の迎撃を受ける時間が長くなってしまう。
五航戦攻撃隊は、早朝のミッドウェー空襲や艦隊上空での防空戦闘で疲労が溜まっている搭乗員たちも多い。無理はさせられなかった。
「手前の米空母をやる」
嶋崎は決断した。
「奥の米空母については、後続の攻撃隊に任せる。その旨、一航艦に打電せよ」
彼は偵察員にそう命じた。
艦攻隊の上空では、敵迎撃戦闘機の姿を確認した零戦隊が、落下増槽を切り落として速度を上げていく。
「全機に打電! 突撃隊形作レ!」
一方、空襲を受けることになったのは旗艦エンタープライズと分離して行動していたホーネットを中心とする輪形陣であった。
空母がジャップ航空隊に一網打尽にされることを防ぐというスプルーアンス少将の意図によって二手に分かれていた第十六任務部隊であったが、この時、ホーネットの周囲にあったのは重巡ミネアポリス、ニューオーリンズ、ペンサコラ、駆逐艦三隻のみであった。
わずか六隻の護衛艦艇しかいない中で、ホーネットは五航戦攻撃隊の空襲を受けることとなったのである。
さらに悪いことに、ホーネット攻撃隊は戦闘機隊と艦爆隊が針路を誤って行方不明となり未帰還(実際にはミッドウェー基地に不時着)、雷撃隊は壊滅していたため、迎撃に使える戦闘機はわずか十七機のF4Fのみだったのである。
艦上には他に対潜警戒用のSBDドーントレス三機が残っていたが、これは母艦が被害を受けた際に発着不能となるのを避けるため、ジャップ攻撃隊を探知した時点で緊急発進、エンタープライズに向かわせた。
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ホーネットの援護に回す余裕は、あるはずだ。
ミッチャー少将は険しい表情で上空を見つめていた。
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re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ
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