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第五章 擾乱の半島編
89 倭館籠城戦
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一切の損害を出すことなく、二十三日の倭館防衛に成功した菊水隊の士気は軒昂であった。
夕方から雨が降り始め、日が暮れると本降りとなったが、それに負けないような軍歌の合唱が指揮所にまで届いていた。
危機はひとまず去ったと判断し、景紀は夜の警戒を再び外務省警察に任せ、隊の兵士たちには休息と睡眠をとらせることにしていた。
「兵どもが意気軒昂なのはいいことだな」
倭館の見取り図が広げられた机を囲みながら、景紀は歌声の聞こえる長屋の方を見遣った。
「まあ、連中が自滅したという面もなきにしもあらずですが、あれだけの人間に囲まれながら拠点を守り抜いたのです。無理もないでしょう」
若林先任曹長が同意した。
とはいえ、二人の雰囲気は、士気旺盛な兵士たちをどこか他人事のように眺めているようでもあった。
「問題は、弾薬です」
そして、それは貴通も同じであった。
「実質的な交戦時間は短時間であったにも関わらず、弾薬の消費量は我々がここに持ち込んだ分の一割に達しています。丸一日交戦することになれば、その日だけで全弾を射耗することになる計算です」
この時代、歩兵一人あたりの携行弾数は二〇〇発であり、一会戦での使用量は平均五十六発と想定されていた。だが貴通が計算したところ、この日、正門の守備についていた約二〇名の兵士たちの弾薬消費量は、一人平均九十二発であった。想定消費量の倍とまではいかないが、それに届きかねない数値である。
これまでの前装式銃が、雷管の発明によってすら一分間に二発程度の射撃速度だったのに対し、後装式銃である三十年式歩兵銃は、一分間に七発程度の射撃が可能であったことが、こうした弾薬の大量消耗を招いていた。
指揮所の空気が、兵たちと違って楽観的とは程遠いのは、そうした理由があった。
軍事視察団が倭館に持ち込んだ弾薬は、二万発。そのうち、すでに二〇〇〇発近くを消耗してしまったのだ。
「明日以降は、よほど弾薬を慎重に使う必要があるでしょう」
「ったく、俺たちはいつまで籠城していればいいんだ?」
景紀は、本国との通信掛も務めている冬花に目線を遣る。
「兵部省より、佐瀬保近海で“演習中”だった第七戦隊の巡洋艦四隻と、第四航空戦隊の航龍母艦二隻を陽鮮沖に派遣することを決定したとの通信がありました。江蘭島沖到着は、二十五日になるとのことです」
「龍母まで派遣してくれるのですか」
若林曹長が、少しだけ安堵の表情を見せた。巡洋艦四隻に龍母二隻とは、相応の戦力である。特に帯城倭館は海岸線から遠いため、龍兵による援護が受けられるのはありがたかった。
「つまり、二十五日には龍兵による上空支援が受けられるにしても、最短でも陸戦隊と合流出来るのは二十六日。そこまでは籠城が必要か」
とはいえ、単純に喜んでばかりもいられないのが、指揮官たる景紀の立場であった。
「公主殿下の書状を、江蘭府が素直に受入れてくれればいいのですが」
貴通が、あまり期待していない表情で言った。景紀もまた、彼女に同意であった。
現状、江蘭府が政権を奪取した王世子側についたのか、それとも様子を窺って中立を決め込んでいるのか、あるいは王世子を簒奪者と見ているのか、倭館の側では確かめるすべがない。であるならば、最悪の可能性を想定しておくべきだろう。
派遣された海軍部隊が陸戦隊を上陸させるに当たり、江蘭島砲台と交戦する可能性もあるのだ。江蘭島で海軍部隊が時間を浪費すれば、それだけ倭館に籠る自分たちが籠城する時間が長くなる。
「兵たちに、海軍部隊が出動したことは伝えて構わん。この籠城にも先が見えるとなれば、連中の心持ちも変わってくるだろう」
「はっ、そのようにいたします」
景紀の命に、若林先任曹長が応じた。
少なくとも、援軍が向かっているという知らせは兵の士気を維持するのに役立つはずである。今は昼間の勝利で士気が上がっているが、だからこそ落差が怖い。指揮官として、士気を維持する努力はすべきであった。
「さて、今夜はもう休むぞ。兵たちも疲れが溜まっているだろうから、早く寝かせろ。以上、解散」
「はっ!」
若林曹長が敬礼し、指揮所を駆け出していった。
「今日は景くんが先に寝て下さい。お疲れでしょうから」
部屋に三人だけとなると、貴通が諭すようにそう言った。
「……そうだな」
少しだけ考えてから、景紀は貴通の厚意に甘えることにする。
「じゃあ、ここは頼んだぞ」
「了解です、中佐殿」
たったそれだけのことでも任されると嬉しいのか、貴通は朗らかな笑みと共に敬礼したのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そして、七月二十四日黎明―――。
夜中に一度貴通と交代し、景紀が二度目の睡眠をとっていた時のことだった。
「景くん、起きて下さい。景くん」
貴通の声と共に体を揺り動かされ、景紀の意識が覚醒する。
「……ああ、交代の時間か」
「違います」
緊迫した声で、男装の少女は否定した。
「冬花さんからの情報です。帯城の中央軍が動きました」
「何?」
その一言で、景紀の意識は一気に明瞭となった。掛け布団を跳ね上げるようにして飛び起きる。
「規模は?」
「およそ一万五〇〇〇。さらに王都の南北より複数の武装集団が帯城に向けて街道を進行しており、これが反王世子派の軍でない場合、今後五営に合流することが見込まれ、数はさらに増えることが予測されます」
「くそっ、伝単の散布はあまり効果がなかったか」
一万五〇〇〇といえば、陽鮮の中央軍「五営」のほぼ全兵力である。もちろん、蜂起した民衆たちが義勇兵として含まれている可能性もあるが、それでも昨日の三倍近い人数である。
つまり、簒奪を批難する伝単の散布で王都内に混乱を引き起こそうとした景紀の目論見は、失敗したことになる。
「現在は装備を調え、王宮前に集合中の模様です」
「目標がここ以外と考えるのは、楽観的に過ぎるだろうな」
出来れば、王世子・李欽に従おうとしない地方勢力を討伐するための動員だと思いたい。南北の街道から武装集団が王都に向けて進行中という情報もあり、そう判断する材料はあるにはある。
しかし、その集団が王世子派に合流するために王都に向かっているという可能性も否定出来ないのもまた事実であった。
「すぐに隊の全員を叩き起こせ。軍を動員したとなれば、昨日のようなことは期待出来ないだろうな」
軍服の上着を羽織り、布団の側に置いていた軍刀を腰に差しながら、景紀は言う。そして、将校用の制帽を被った。
「何としても、海軍部隊の到着まで持たせるぞ」
「はい」
指揮所へ向かおうとする景紀の後に従いながら、貴通は決然とした声で頷いた。
◇◇◇
朝を迎えた倭館の中で、真っ先に喧噪に包まれたのは厨房であった。
四人の料理掛と四人の女中、それに宵と八重の計十人で、将兵や外務省警察の者たち約五〇名に配る朝食を作っているのだ。
「おい、火力が強すぎる! もう少し抑えろ!」
「はい!」
かまどに薪をくべて火を熾す時間すら惜しんで、料理長は八重に火焔術式で米を炊くように命じていた。
その間に、宵たちは梅干しの果肉を崩す作業をしている。特に夏場は腐敗防止のために、軍では握り飯に梅干しを加えることになっていた。それに倣ったのである。
兵士に配る握り飯は、一食につき一人二つ。一つの大きさは一合と定められていた。つまり、一人二合分の握り飯を作らなければならないのである。
陽鮮側役人をもてなす宴などを開くこともあるため、かまどや炊飯釜の数には多少の余裕はあったが、ここまで逼迫した状況に厨房が置かれることなど、かつてなかったことである。
炊き上がったご飯を釜から掻き出すようにして、筵の上に広げていく。湯気が立ち、眩しいほどの銀しゃりであった。水分が多くなり、また握りにくくなることから麦は混ぜていないのである。
「ほら急げ!」
料理長の怒号と共に、全員が握り飯作りに取りかかる。手に塩水を付け、具材の梅干しを中に入れながら大きな丸い握り飯を握り込んでいく。
倭館には、軍が戦闘糧食で使うような竹皮などという洒落たものはない。盆や大きめの平皿の上に、次々に出来上がった握り飯を乗せていく。
正直、宵の手際はあまりいいものではなかった。将家の姫としての教養は一通り身に付けているものの、料理をすることとはほとんど縁がなかったからだ。
それでも、髪を一つに縛り上げ、着物の袖をたすき掛けにした姿で、必死に大きめの握り飯を作っていく。水に手を浸けているとはいえ、熱いご飯を握り込んでいくので、手がヒリヒリとしてくる。だが、宵は普段通りの無表情でその痛みに耐えていた。
厨房の者たち総出でご飯を握っていき、丸い握り飯が次々に盆や大皿に積み上がっていく。
「おい、そいつを正門の兵士たちに届けてやれ!」
料理長の声に真っ先に応じたのは、宵だった。
「はい。八重さん、行きましょう」
「判ったわ」
宵は着物の裾を捲り上げて帯に挟み込むと、握り飯の載った大皿を持ち上げた。
そして、水干姿の八重は両手と腕の上に器用に大皿を乗せて、計四枚の大皿を軽々と持ち上げる。呪術で腕力を強化しているのだろう。
宵と八重は、積み上げられた握り飯が崩れないように慎重に運んでいく。
昨夜の雨の影響もあり、土が少しぬかるんでいた。白い足袋だけでなく、裾を端折って露わになった足にも、泥が跳ねていく。だが、宵はまったく気にしなかった。
「皆さん、朝食を持ってきました!」
普段であればあまり出さないような大声で、宵は正門の守備についている兵士たちに呼びかける。
彼らはすぐに、握り飯を受け取りにきた。
「おお、姫様、今日も銀しゃりとは豪勢ですな」
宵は昨日も戦闘配食を手伝っていたので、兵士たちに顔を覚えられていた。彼らは嬉しそうな顔で、白米で握られた握り飯と分厚く切られた沢庵を飯盒の蓋に乗せて受け取っていく。
この時代、白米食は贅沢とされていた。
さらに軍では、脚気防止のために通常の食事では麦飯や玄米を出すことが規定されており、なおさら白米を目にする機会は少なかった。
皇国では昔から脚気に悩まされ、錬丹術(仙薬を作る呪術)に精通した呪術師たちを中心に原因究明に奔走(当時は病の原因が怨霊や瘴気と思われていた)した結果、白米中心の栄養の偏った食生活に原因があることが突き止められていたのである(とはいえ、依然として脚気予防に効果のあるビタミンは未発見)。
つまり、白米だけで握られた握り飯は、それだけで兵士たちにとってはご馳走なのだ。
彼らの表情が緩むのも、故のないことではなかった(加えて、宵のような容姿の整った少女が配食をしているということも影響しているのだろう)。
「……」
宵は兵士たちに握り飯を配りながら、景紀の姿を探した。
「ああ、中佐殿でしたらあちらに」
早速握り飯を頬張り始めた兵士の一人が、宵の視線の動きに気付いたのだろう。塀のある一箇所に視線を向けた。
見れば、特徴的な白い髪の少女をいつも通り側に置いている少年の背中が見えた。
「景紀様、冬花様」
まだ握り飯の残っている大皿を持って、二人の背中に声をかける。
「……ん? ああ、宵か。すまんな」
塀のところに肘を置いて、景紀は双眼鏡を覗いていた。一旦、足場にしている土嚢の上から降りてきた。
「……」
一瞬、景紀の視線が宵の足下に向かい、眉が寄る。足袋や剥き出しの足だけでなく、端折った着物の裾にも泥汚れが付いていたのだ。
「私は気にしていませんので」
「……」
「無理にここまで付いてきたのは私です。この程度の汚れなど、厭うほどのものではありません」
「まったく、お前は強いな」
少しだけ口の端に笑みを浮かべながら、景紀は宵の差し出した皿から握り飯を受け取った。
「ありがとうございます、宵姫様」
そう言って、冬花もまた握り飯を受け取る。
少しして、宵と八重が持ってきた五枚の皿は、すべて空になってしまった。
◇◇◇
昨夜の雨の影響が残り未だどんよりとした曇り空の下、南大門と西大門、二つの門から出た一万を越える五営および蜂起軍民からなる義勇兵は、午前中いっぱいをかけて倭館のある高台の下に布陣した。
倭館西側は山、北側は池となっているので、陽鮮軍は正門のある東側から南側にかけて展開している。
景紀はあくまでも自衛行動の範囲内で動くことに決めていたので、この間、陽鮮中央軍は何の妨害も受けることなく布陣を完了することに成功した。
しかし、五営を中心とする陽鮮軍の装備は、倭館に拠る皇国軍からすればいささか以上に古めかしいものであった。
まず野砲であるが、これは皇国が戦国時代に使っていたような、地面に木箱の砲座を固定してから使用する青銅砲であった。カノン砲やカルバリン砲などと呼ばれる砲で、皇国では博物館などにしかお目にかかれない兵器であった。これらの砲は重いために一基あたり数十頭の牛や馬で運ばせる必要があり、これの設置に陽鮮軍はもっとも時間を取られていた。しかも、一度地面に固定してしまうと、照準の再調整は著しく困難となるのが、この砲の特徴であった。
さらには、こちらの銃撃を防ぐためだろう、竹を束ねた盾を歩兵の前に並べている。その歩兵の装備も、長槍、弓、弩、火縄銃と、秋津人にとっては軍記物の挿絵から飛び出してきたような装備の兵士たちばかりである。
「俺たちは前近代の軍隊を相手にしようとしているらしいな」
双眼鏡を覗きながら、景紀は呟いた。心なしか、唖然とした声であった。
ガラス板を通した彼の目には、歩兵たちが隊形を組んでいる様子が映っていた。
「斉発砲か多銃身砲があれば、いっぺんに薙ぎ倒せる連中だな。まあ、ここにそんなものはないが」
「爆裂術式ならいつでも撃ち込めるけど?」
昨日と同じく、黒い胸当てに矢筒を背負った戦装束の冬花が言う。
「ああ、そうだな。向こうが撃ってきたら、何発か撃ち込んでやれ。それと、敵司令部の位置を式で探っておいてくれ。真っ先に潰しておきたい」
「了解」
「それと、結界の強度は大丈夫か? 流石に大砲を撃ち込まれたら、塀は持たんぞ」
「今日いっぱいは、何とか防いでみせるわ」
「判った。頼む」
「任せておいて」
短く紡がれた信頼の言葉が嬉しかったのか、冬花は力強く頷いた。
陽鮮軍としては、倭館を城に見立てた攻城戦のつもりなのだろう。
高台の下で仰角を付けて設置された青銅砲が、一斉に砲撃を開始した。滑腔砲でかつ丸弾を使うこれらの砲の初速は秒速三〇〇メートルに届くか届かないかといった程度で、砲弾が空中を飛翔する音の方が先に倭館へと届く。
着弾した鉄弾が、昨夜の雨でぬかるんだ地面から泥を勢いよく跳ね上げた。炸裂弾ではないので、本当に泥を跳ね上げるだけである。
一部、倭館の塀を直撃した砲弾もあったが、結界に阻まれて塀を破壊することは叶わなかった。
「冬花、頼む」
「了解」
主君の声に応じ、冬花はひらりと塀の上に飛び乗った。矢筒から矢を取り出し、弓に番える。
放たれた矢は陽鮮軍の砲陣地に命中し、爆発を生み出した。砲兵が空中に放り出される様すら、倭館からは見える。
景紀と共に正門内陣地に詰める兵士たちから、歓声が上がった。
冬花はさらに二本、三本と爆裂術式を込めた矢を、高台の下の砲陣地に射掛けていく。
だが、陽鮮軍は砲陣地の惨状を無視するかのように、隊列を組んだまま前進を始めた。
「なるべく、黒い笠を被った奴を狙え! そいつが陽鮮軍の士官だ!」
弾薬節約のために、景紀はそう命ずる。少なくとも、皇国軍で士官に相当する武官を射殺していけば、相手の統制は乱せる。昨日ほど劇的な効果を生まなかったとしても、近代的な徴兵制を持たない半農半兵のような集団ならば、一定の効果を狙えるだろう。
攻城用の槌を持って迫り来る陽鮮軍の隊列に対して、皇国軍は射撃を開始した。
どこまで弾薬を持たせることが出来るか、指揮官として景紀は内心で冷たい思いを抱かずにはいられなかった。
「……敵の司令部はどうだ?」
だからこそ、とにかく敵の混乱を誘う方法をとらねばならない。
「今探っているわ」
塀の上に立ったまま、冬花は眼下の軍勢を見下ろしている。時折、彼女に向けて矢などが飛来するが、すべて結界が防いでいた。
「……本陣らしいものを見つけたわ」
上空に飛ばしている式から情報を得たのだろう、遠くを見るような目をしたまま陰陽師の少女は報告した。
「怪しいところは片っ端から吹き飛ばしていい。やれ」
「了解」
スッと冬花は空中に刀印を滑らせた。
高台の下に布陣する陽鮮軍の中で、爆発が連続する。冬花は、探索用の式をそのまま降下させて爆発させたのだ。
「……」
その様子を、景紀は険しい視線で見つめていた。
これで、多少なりとも陽鮮軍が混乱してくれればいいが……。
だが、景紀の思いは淡い期待に過ぎなかった。
この日倭館は、日が暮れるまで陽鮮兵による断続的な突撃を受け続けたのである。
夕方から雨が降り始め、日が暮れると本降りとなったが、それに負けないような軍歌の合唱が指揮所にまで届いていた。
危機はひとまず去ったと判断し、景紀は夜の警戒を再び外務省警察に任せ、隊の兵士たちには休息と睡眠をとらせることにしていた。
「兵どもが意気軒昂なのはいいことだな」
倭館の見取り図が広げられた机を囲みながら、景紀は歌声の聞こえる長屋の方を見遣った。
「まあ、連中が自滅したという面もなきにしもあらずですが、あれだけの人間に囲まれながら拠点を守り抜いたのです。無理もないでしょう」
若林先任曹長が同意した。
とはいえ、二人の雰囲気は、士気旺盛な兵士たちをどこか他人事のように眺めているようでもあった。
「問題は、弾薬です」
そして、それは貴通も同じであった。
「実質的な交戦時間は短時間であったにも関わらず、弾薬の消費量は我々がここに持ち込んだ分の一割に達しています。丸一日交戦することになれば、その日だけで全弾を射耗することになる計算です」
この時代、歩兵一人あたりの携行弾数は二〇〇発であり、一会戦での使用量は平均五十六発と想定されていた。だが貴通が計算したところ、この日、正門の守備についていた約二〇名の兵士たちの弾薬消費量は、一人平均九十二発であった。想定消費量の倍とまではいかないが、それに届きかねない数値である。
これまでの前装式銃が、雷管の発明によってすら一分間に二発程度の射撃速度だったのに対し、後装式銃である三十年式歩兵銃は、一分間に七発程度の射撃が可能であったことが、こうした弾薬の大量消耗を招いていた。
指揮所の空気が、兵たちと違って楽観的とは程遠いのは、そうした理由があった。
軍事視察団が倭館に持ち込んだ弾薬は、二万発。そのうち、すでに二〇〇〇発近くを消耗してしまったのだ。
「明日以降は、よほど弾薬を慎重に使う必要があるでしょう」
「ったく、俺たちはいつまで籠城していればいいんだ?」
景紀は、本国との通信掛も務めている冬花に目線を遣る。
「兵部省より、佐瀬保近海で“演習中”だった第七戦隊の巡洋艦四隻と、第四航空戦隊の航龍母艦二隻を陽鮮沖に派遣することを決定したとの通信がありました。江蘭島沖到着は、二十五日になるとのことです」
「龍母まで派遣してくれるのですか」
若林曹長が、少しだけ安堵の表情を見せた。巡洋艦四隻に龍母二隻とは、相応の戦力である。特に帯城倭館は海岸線から遠いため、龍兵による援護が受けられるのはありがたかった。
「つまり、二十五日には龍兵による上空支援が受けられるにしても、最短でも陸戦隊と合流出来るのは二十六日。そこまでは籠城が必要か」
とはいえ、単純に喜んでばかりもいられないのが、指揮官たる景紀の立場であった。
「公主殿下の書状を、江蘭府が素直に受入れてくれればいいのですが」
貴通が、あまり期待していない表情で言った。景紀もまた、彼女に同意であった。
現状、江蘭府が政権を奪取した王世子側についたのか、それとも様子を窺って中立を決め込んでいるのか、あるいは王世子を簒奪者と見ているのか、倭館の側では確かめるすべがない。であるならば、最悪の可能性を想定しておくべきだろう。
派遣された海軍部隊が陸戦隊を上陸させるに当たり、江蘭島砲台と交戦する可能性もあるのだ。江蘭島で海軍部隊が時間を浪費すれば、それだけ倭館に籠る自分たちが籠城する時間が長くなる。
「兵たちに、海軍部隊が出動したことは伝えて構わん。この籠城にも先が見えるとなれば、連中の心持ちも変わってくるだろう」
「はっ、そのようにいたします」
景紀の命に、若林先任曹長が応じた。
少なくとも、援軍が向かっているという知らせは兵の士気を維持するのに役立つはずである。今は昼間の勝利で士気が上がっているが、だからこそ落差が怖い。指揮官として、士気を維持する努力はすべきであった。
「さて、今夜はもう休むぞ。兵たちも疲れが溜まっているだろうから、早く寝かせろ。以上、解散」
「はっ!」
若林曹長が敬礼し、指揮所を駆け出していった。
「今日は景くんが先に寝て下さい。お疲れでしょうから」
部屋に三人だけとなると、貴通が諭すようにそう言った。
「……そうだな」
少しだけ考えてから、景紀は貴通の厚意に甘えることにする。
「じゃあ、ここは頼んだぞ」
「了解です、中佐殿」
たったそれだけのことでも任されると嬉しいのか、貴通は朗らかな笑みと共に敬礼したのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そして、七月二十四日黎明―――。
夜中に一度貴通と交代し、景紀が二度目の睡眠をとっていた時のことだった。
「景くん、起きて下さい。景くん」
貴通の声と共に体を揺り動かされ、景紀の意識が覚醒する。
「……ああ、交代の時間か」
「違います」
緊迫した声で、男装の少女は否定した。
「冬花さんからの情報です。帯城の中央軍が動きました」
「何?」
その一言で、景紀の意識は一気に明瞭となった。掛け布団を跳ね上げるようにして飛び起きる。
「規模は?」
「およそ一万五〇〇〇。さらに王都の南北より複数の武装集団が帯城に向けて街道を進行しており、これが反王世子派の軍でない場合、今後五営に合流することが見込まれ、数はさらに増えることが予測されます」
「くそっ、伝単の散布はあまり効果がなかったか」
一万五〇〇〇といえば、陽鮮の中央軍「五営」のほぼ全兵力である。もちろん、蜂起した民衆たちが義勇兵として含まれている可能性もあるが、それでも昨日の三倍近い人数である。
つまり、簒奪を批難する伝単の散布で王都内に混乱を引き起こそうとした景紀の目論見は、失敗したことになる。
「現在は装備を調え、王宮前に集合中の模様です」
「目標がここ以外と考えるのは、楽観的に過ぎるだろうな」
出来れば、王世子・李欽に従おうとしない地方勢力を討伐するための動員だと思いたい。南北の街道から武装集団が王都に向けて進行中という情報もあり、そう判断する材料はあるにはある。
しかし、その集団が王世子派に合流するために王都に向かっているという可能性も否定出来ないのもまた事実であった。
「すぐに隊の全員を叩き起こせ。軍を動員したとなれば、昨日のようなことは期待出来ないだろうな」
軍服の上着を羽織り、布団の側に置いていた軍刀を腰に差しながら、景紀は言う。そして、将校用の制帽を被った。
「何としても、海軍部隊の到着まで持たせるぞ」
「はい」
指揮所へ向かおうとする景紀の後に従いながら、貴通は決然とした声で頷いた。
◇◇◇
朝を迎えた倭館の中で、真っ先に喧噪に包まれたのは厨房であった。
四人の料理掛と四人の女中、それに宵と八重の計十人で、将兵や外務省警察の者たち約五〇名に配る朝食を作っているのだ。
「おい、火力が強すぎる! もう少し抑えろ!」
「はい!」
かまどに薪をくべて火を熾す時間すら惜しんで、料理長は八重に火焔術式で米を炊くように命じていた。
その間に、宵たちは梅干しの果肉を崩す作業をしている。特に夏場は腐敗防止のために、軍では握り飯に梅干しを加えることになっていた。それに倣ったのである。
兵士に配る握り飯は、一食につき一人二つ。一つの大きさは一合と定められていた。つまり、一人二合分の握り飯を作らなければならないのである。
陽鮮側役人をもてなす宴などを開くこともあるため、かまどや炊飯釜の数には多少の余裕はあったが、ここまで逼迫した状況に厨房が置かれることなど、かつてなかったことである。
炊き上がったご飯を釜から掻き出すようにして、筵の上に広げていく。湯気が立ち、眩しいほどの銀しゃりであった。水分が多くなり、また握りにくくなることから麦は混ぜていないのである。
「ほら急げ!」
料理長の怒号と共に、全員が握り飯作りに取りかかる。手に塩水を付け、具材の梅干しを中に入れながら大きな丸い握り飯を握り込んでいく。
倭館には、軍が戦闘糧食で使うような竹皮などという洒落たものはない。盆や大きめの平皿の上に、次々に出来上がった握り飯を乗せていく。
正直、宵の手際はあまりいいものではなかった。将家の姫としての教養は一通り身に付けているものの、料理をすることとはほとんど縁がなかったからだ。
それでも、髪を一つに縛り上げ、着物の袖をたすき掛けにした姿で、必死に大きめの握り飯を作っていく。水に手を浸けているとはいえ、熱いご飯を握り込んでいくので、手がヒリヒリとしてくる。だが、宵は普段通りの無表情でその痛みに耐えていた。
厨房の者たち総出でご飯を握っていき、丸い握り飯が次々に盆や大皿に積み上がっていく。
「おい、そいつを正門の兵士たちに届けてやれ!」
料理長の声に真っ先に応じたのは、宵だった。
「はい。八重さん、行きましょう」
「判ったわ」
宵は着物の裾を捲り上げて帯に挟み込むと、握り飯の載った大皿を持ち上げた。
そして、水干姿の八重は両手と腕の上に器用に大皿を乗せて、計四枚の大皿を軽々と持ち上げる。呪術で腕力を強化しているのだろう。
宵と八重は、積み上げられた握り飯が崩れないように慎重に運んでいく。
昨夜の雨の影響もあり、土が少しぬかるんでいた。白い足袋だけでなく、裾を端折って露わになった足にも、泥が跳ねていく。だが、宵はまったく気にしなかった。
「皆さん、朝食を持ってきました!」
普段であればあまり出さないような大声で、宵は正門の守備についている兵士たちに呼びかける。
彼らはすぐに、握り飯を受け取りにきた。
「おお、姫様、今日も銀しゃりとは豪勢ですな」
宵は昨日も戦闘配食を手伝っていたので、兵士たちに顔を覚えられていた。彼らは嬉しそうな顔で、白米で握られた握り飯と分厚く切られた沢庵を飯盒の蓋に乗せて受け取っていく。
この時代、白米食は贅沢とされていた。
さらに軍では、脚気防止のために通常の食事では麦飯や玄米を出すことが規定されており、なおさら白米を目にする機会は少なかった。
皇国では昔から脚気に悩まされ、錬丹術(仙薬を作る呪術)に精通した呪術師たちを中心に原因究明に奔走(当時は病の原因が怨霊や瘴気と思われていた)した結果、白米中心の栄養の偏った食生活に原因があることが突き止められていたのである(とはいえ、依然として脚気予防に効果のあるビタミンは未発見)。
つまり、白米だけで握られた握り飯は、それだけで兵士たちにとってはご馳走なのだ。
彼らの表情が緩むのも、故のないことではなかった(加えて、宵のような容姿の整った少女が配食をしているということも影響しているのだろう)。
「……」
宵は兵士たちに握り飯を配りながら、景紀の姿を探した。
「ああ、中佐殿でしたらあちらに」
早速握り飯を頬張り始めた兵士の一人が、宵の視線の動きに気付いたのだろう。塀のある一箇所に視線を向けた。
見れば、特徴的な白い髪の少女をいつも通り側に置いている少年の背中が見えた。
「景紀様、冬花様」
まだ握り飯の残っている大皿を持って、二人の背中に声をかける。
「……ん? ああ、宵か。すまんな」
塀のところに肘を置いて、景紀は双眼鏡を覗いていた。一旦、足場にしている土嚢の上から降りてきた。
「……」
一瞬、景紀の視線が宵の足下に向かい、眉が寄る。足袋や剥き出しの足だけでなく、端折った着物の裾にも泥汚れが付いていたのだ。
「私は気にしていませんので」
「……」
「無理にここまで付いてきたのは私です。この程度の汚れなど、厭うほどのものではありません」
「まったく、お前は強いな」
少しだけ口の端に笑みを浮かべながら、景紀は宵の差し出した皿から握り飯を受け取った。
「ありがとうございます、宵姫様」
そう言って、冬花もまた握り飯を受け取る。
少しして、宵と八重が持ってきた五枚の皿は、すべて空になってしまった。
◇◇◇
昨夜の雨の影響が残り未だどんよりとした曇り空の下、南大門と西大門、二つの門から出た一万を越える五営および蜂起軍民からなる義勇兵は、午前中いっぱいをかけて倭館のある高台の下に布陣した。
倭館西側は山、北側は池となっているので、陽鮮軍は正門のある東側から南側にかけて展開している。
景紀はあくまでも自衛行動の範囲内で動くことに決めていたので、この間、陽鮮中央軍は何の妨害も受けることなく布陣を完了することに成功した。
しかし、五営を中心とする陽鮮軍の装備は、倭館に拠る皇国軍からすればいささか以上に古めかしいものであった。
まず野砲であるが、これは皇国が戦国時代に使っていたような、地面に木箱の砲座を固定してから使用する青銅砲であった。カノン砲やカルバリン砲などと呼ばれる砲で、皇国では博物館などにしかお目にかかれない兵器であった。これらの砲は重いために一基あたり数十頭の牛や馬で運ばせる必要があり、これの設置に陽鮮軍はもっとも時間を取られていた。しかも、一度地面に固定してしまうと、照準の再調整は著しく困難となるのが、この砲の特徴であった。
さらには、こちらの銃撃を防ぐためだろう、竹を束ねた盾を歩兵の前に並べている。その歩兵の装備も、長槍、弓、弩、火縄銃と、秋津人にとっては軍記物の挿絵から飛び出してきたような装備の兵士たちばかりである。
「俺たちは前近代の軍隊を相手にしようとしているらしいな」
双眼鏡を覗きながら、景紀は呟いた。心なしか、唖然とした声であった。
ガラス板を通した彼の目には、歩兵たちが隊形を組んでいる様子が映っていた。
「斉発砲か多銃身砲があれば、いっぺんに薙ぎ倒せる連中だな。まあ、ここにそんなものはないが」
「爆裂術式ならいつでも撃ち込めるけど?」
昨日と同じく、黒い胸当てに矢筒を背負った戦装束の冬花が言う。
「ああ、そうだな。向こうが撃ってきたら、何発か撃ち込んでやれ。それと、敵司令部の位置を式で探っておいてくれ。真っ先に潰しておきたい」
「了解」
「それと、結界の強度は大丈夫か? 流石に大砲を撃ち込まれたら、塀は持たんぞ」
「今日いっぱいは、何とか防いでみせるわ」
「判った。頼む」
「任せておいて」
短く紡がれた信頼の言葉が嬉しかったのか、冬花は力強く頷いた。
陽鮮軍としては、倭館を城に見立てた攻城戦のつもりなのだろう。
高台の下で仰角を付けて設置された青銅砲が、一斉に砲撃を開始した。滑腔砲でかつ丸弾を使うこれらの砲の初速は秒速三〇〇メートルに届くか届かないかといった程度で、砲弾が空中を飛翔する音の方が先に倭館へと届く。
着弾した鉄弾が、昨夜の雨でぬかるんだ地面から泥を勢いよく跳ね上げた。炸裂弾ではないので、本当に泥を跳ね上げるだけである。
一部、倭館の塀を直撃した砲弾もあったが、結界に阻まれて塀を破壊することは叶わなかった。
「冬花、頼む」
「了解」
主君の声に応じ、冬花はひらりと塀の上に飛び乗った。矢筒から矢を取り出し、弓に番える。
放たれた矢は陽鮮軍の砲陣地に命中し、爆発を生み出した。砲兵が空中に放り出される様すら、倭館からは見える。
景紀と共に正門内陣地に詰める兵士たちから、歓声が上がった。
冬花はさらに二本、三本と爆裂術式を込めた矢を、高台の下の砲陣地に射掛けていく。
だが、陽鮮軍は砲陣地の惨状を無視するかのように、隊列を組んだまま前進を始めた。
「なるべく、黒い笠を被った奴を狙え! そいつが陽鮮軍の士官だ!」
弾薬節約のために、景紀はそう命ずる。少なくとも、皇国軍で士官に相当する武官を射殺していけば、相手の統制は乱せる。昨日ほど劇的な効果を生まなかったとしても、近代的な徴兵制を持たない半農半兵のような集団ならば、一定の効果を狙えるだろう。
攻城用の槌を持って迫り来る陽鮮軍の隊列に対して、皇国軍は射撃を開始した。
どこまで弾薬を持たせることが出来るか、指揮官として景紀は内心で冷たい思いを抱かずにはいられなかった。
「……敵の司令部はどうだ?」
だからこそ、とにかく敵の混乱を誘う方法をとらねばならない。
「今探っているわ」
塀の上に立ったまま、冬花は眼下の軍勢を見下ろしている。時折、彼女に向けて矢などが飛来するが、すべて結界が防いでいた。
「……本陣らしいものを見つけたわ」
上空に飛ばしている式から情報を得たのだろう、遠くを見るような目をしたまま陰陽師の少女は報告した。
「怪しいところは片っ端から吹き飛ばしていい。やれ」
「了解」
スッと冬花は空中に刀印を滑らせた。
高台の下に布陣する陽鮮軍の中で、爆発が連続する。冬花は、探索用の式をそのまま降下させて爆発させたのだ。
「……」
その様子を、景紀は険しい視線で見つめていた。
これで、多少なりとも陽鮮軍が混乱してくれればいいが……。
だが、景紀の思いは淡い期待に過ぎなかった。
この日倭館は、日が暮れるまで陽鮮兵による断続的な突撃を受け続けたのである。
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