秋津皇国興亡記

三笠 陣

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第四章 半島の暗雲編

66 東北巡遊

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 東北地方の政治的・経済的・軍事的中心都市は、中央政府直轄県である岩背県首府・千代であった。
 皇都を基点にして全国に伸びる鉄道網も、嶺奥国の鉄道が未整備であったため、東北地方に関してはここ、千代までしか届いていない。
 これを嶺州の商港・岩森港まで伸ばそうというのが、結城・佐薙協約、つまりは嶺州鉄道建設請負契約である。佐薙成親の失脚やその領地である嶺州の縮小(南部を花岡県として分離)などの要因によって、佐薙家側の支払い能力に疑問を抱く者もいたが、契約自体は依然、有効とされ鉄道敷設に向けた準備が進められていた。
 結城家が負担する資金の回収についてであるが、これは契約の担保の対象となるものの拡大によって解決しようと試みている。このため、実質的に佐薙家は結城家の経済的支配下に入ったも同然の状態となった。
 佐薙家次期当主である大寿丸が“当主として相応しい年齢”となるまで、結城家が領国統治を代行することになったことも、結城家家臣団を納得させる要因となった。
 これは嶺州統治の代行のために結城家内に新たな地位が創設されることの他に、“当主として相応しい年齢”が明確に定められていないことが大きい。つまり、中央政府が大寿丸(その頃には元服しているだろうが)に統治能力なしと認定し続ければ、なし崩し的に結城家が嶺州の統治を半永久的に担うことも可能なわけである。
 もっとも、景紀としてはそうなる可能性は低いだろうと考えていた。六家を中心とする封建体制がいつまでも維持出来るとは、到底思えない。皇暦が九〇〇年を迎える前に、恐らく秋津皇国は国民意識ナショナリズムの高まりや西洋列強の東洋進出といった外圧によって、中央集権化へと向かうだろうと考えていたのである。





 結城家領・澄之浦を後にした景紀ら一行は、千代入りを果たしていた。
 鉄道はここまでなので、嶺州に向かうためには馬車に乗り換えなければならないからだ。
 景紀一行は事前に派遣しておいた結城家の御者と馬車に乗って嶺州首府・鷹前を目指すことになるのであるが、千代で一泊することになった。
 嶺州鉄道の敷設について、岩背県令や花岡県令、逓信省千代局長、さらには北陸方面の鉄道を実質的に経営する長尾家と会談する必要があったからである。

「列侯会議以来であるな、結城殿」

「ええ、長尾公もご壮健そうでなりよりです」

「結城公が政務に復帰されたとのこと、私としても喜ばしい限りだ」

「ありがとうございます」

 県政庁にて再会した景紀と長尾憲隆は、ほとんど儀礼的な挨拶を交わす。この公爵が景忠の政務復帰をどこまで本気で喜んでいるか、景紀には疑問であった。
 結城家内における混乱の予兆は、すでにこの北陸の公爵も掴んでいるだろう。結城家が混乱すれば、有馬公爵家も含めた三家連合に混乱が生じかねない。その意味では、依然として体調面に不安が残る景忠が当主として政務に復帰することに、長尾憲隆が懸念を抱いていたとしてもおかしくはない。
 一方で、この公爵としては景紀という、正面から対峙するにはいささかやりにくい人間の相手をしなくても済むので、内心は複雑であろう。

「嶺州鉄道建設の件だが、第一期目の千代-花岡間の敷設工事は本年中に取りかかるそうだな?」

「ええ、すでに路線経路の測量や地盤の調査などには取りかかっていますから」

「数年中には岩森港まで開通するか」

「はい」景紀は頷いた。「ただ、工事第三期目については隧道トンネルの掘削工事などがありますから、もう少しかかるでしょうが」

「広舘を経由する例の路線だな?」

「公は以前、その路線についてはなるべく後回しにするようおっしゃっていましたが、現状、長尾家家臣団の反応はどうです?」

「佐薙家はこの数ヶ月で、すっかり結城家に対して従順になったようではないか。うちの家臣団からの反発は、それほどない。むしろ、以前とは別の問題が持ち上がっているほどだ」

「と、申しますと?」

「北陸の鉄道も、岩森港まで繋げるべきという意見が出ているということだ。特に、領内北部の代官や衆民院議員からの請願などが私の下に届いている」

「佐薙家が力を失った途端これとは、随分と現金な連中ですね」

「まあ、我々も自身の領地への利益誘導はする。実際、岩森港が貿易港として利用可能となれば、我が領北部から岩森港は比較的近いからな。我が領の中心的港となっている敦見港や蒲原港は、領北部からは距離があり過ぎるのだ」

 敦見港は現在、秋津海側最大の貿易港として栄えている港であり、蒲原港は妙州国府にほど近い場所に位置する港であった。ただし蒲原港は河口に面した港であるために土砂が流入しやすいため、喫水の深い船が入港出来ないという問題があった。国府に近い港であるというのに、領内最大の港の地位を敦見港に奪われているのには、そうした事情がある。

「それで、岩森港まで長尾家領内からも鉄道を伸そうと主張する者たちがいるわけですね?」

「そういうことだ」

「俺としては、長尾公が嶺州を脅威と感じないのであれば、賛成ですよ」

 当主としての実権は父親に返上した景紀であったが、景忠も息子に次期当主としての実績を積ませたい関係上、鉄道問題を始めとする嶺州の経済振興策については景紀に采配を任せていた。そのため、この件に関しては景紀の判断で返答することが出来た。

「まずは、北陸鉄道を嶺州の広舘まで伸ばし、そこから岩森へと繋げる」

「そして、嶺州鉄道を花岡から広舘まで繋げることで、東北を縦横に走る鉄道網が完成するわけですか」

「そうなれば、南北だけでなく東西の経済交流も活発になる。宵姫殿も満足するのではないか?」

 長尾公の言葉の最後の部分は、どこかからかうような調子であった。

「そうですね。宵としても、妙州との長年の対立関係が解消出来て、ほっとすると思いますよ」

 微かな笑みを口の端に浮かべながら、景紀は応じた。

「私としても、これでようやく大陸経営に専念出来て一安心ではある。もっとも、それはそれで色々と問題が多そうではあるので、安心してばかりもいられんのが実情だが」

「ルーシー帝国の動きはどうです?」

「シビルア総督アントーノフが強硬派であることは相も変わらずだが、帝国西部の状況もいささかきな臭くなりつつある」

「ああ、マフムート朝の領土における民族運動に、南下政策を推し進めたいルーシー帝国が介入しようとしているという件ですか?」

 マフムート朝とは、中央大陸に存在する回教系の帝国である。このマフムート帝国は一時期は大陸中央部から南方大陸にかけて広大な領域を支配し、当時の西洋諸国を脅かしていたが、ここ十数年はその広大な支配領域の各地に存在する民族の独立・自治運動に悩まされていた。
 近代化という面でも秋津皇国や西洋列強に遅れを取っており、さらには財政赤字を抱えるなど、かつての強国の姿は徐々に陰りつつあった。

「ルーシー帝国が二正面作戦を取るとは考えにくいが、万が一という場合もある」

「そもそも、開戦理由からして違いますからね。マフムート朝に宣戦布告をする場合、自国民と同じ民族の保護、あるいはマフムート朝国内にいる十字教徒の保護といった口実になりますが、皇国大陸植民地たる氷州に対しては、それは当てはまりませんから。とはいえ、警戒は必要かと」

「ああ」

 長尾公は重々しく頷いた。

「だから私は、今年度の列侯会議が始まるまでの間に、沿海州や氷州の巡遊に出るつもりだ」

「お気を付けて」景紀は儀礼的に言った。「最近では、斉や陽鮮でも政情不安が囁かれています。その政情不安を利用して、ルーシーが極東方面での南下政策を強化しないとも限りません」

「まったく、国内には面倒な連中が多く、国外には面倒な国が多い。そうは思わんか?」

「それは、大陸と泰平洋に植民地を拡大した我が皇国の人間がいうべき台詞ではないでしょう」

 諧謔の籠った笑みを浮かべて、景紀はそう言うのだった。
 皇国も植民地を持つ以上、所詮は同じ穴の狢に過ぎない。景紀は内心で冷ややかにそう思った。

  ◇◇◇

 県令や逓信省千代地方局長との会談は問題なく終わり、景紀一行は千代郊外の温泉宿に一泊することになった。
 千代郊外の温泉は東北地方でも有名な温泉の一つであり、伝承では古代の皇主の皮膚病を治したともいわれている。
 すでに日は暮れて、千代や温泉宿の周囲はガス灯の明かりに淡く照らされていた。
 都市の郊外ということもあり、温泉宿の周囲は静かであった。宿自体も警備の関係上、結城家が貸し切っており、冬花が宿やその周辺に式を放って警備体制を敷いていた。
 地主や大店の主人、地元に帰った衆民院議員など、岩背県の有力者たちが六家との伝手を作ろうと面会を求めに来ていたが、会い出すと切りがないので景紀はそのすべてを拒否していた。面会者を選別するにしても、結城家による贔屓と受け取られかねないため、希望者は全員一律で断っている。
 多分に面倒臭いという感情が入った判断であることは、景紀自身、否定するつもりはない。

「はぁ~」

 ゆったりと湯に浸かりながら、景紀は脱力したように長く息を吐き出す。
 皇都も河越も、政争に次ぐ政争の場だ。早い内に東北視察を決断しておいて正解だったなと、どこかぼんやりとした頭で思う。
 両肘を温泉の淵の石にもたれかけさせて、夜空を仰ぐ。
 あおぐろく染まった空に、星々の輝きが散りばめられている。幸運にも雲が少ないため、露天風呂からは星空がよく見えた。
 ゆっくりと温泉に浸かりながら夜空を見上げるのは、思えばなかなかの贅沢だ。皇都でも河越でもそのようなことは出来ないし、出来たとしても心の余裕がないだろう。

「……失礼いたします」

 と、景紀が湯に浸かって夜空を見上げていると、ひたひたという水に濡れた足音とともに宵の声が聞こえた。

「うん?」

 首の角度を元に戻すと、湯煙と角灯の明かりの向こうに薄ぼんやりと宵と冬花の姿があった。
 二人とも一糸まとわぬ姿らしく、薄明かりの中に柔らかい曲線を描く体の輪郭を浮かび上がらせている。黒と白の対照的な色合いの両人の長い髪は、後頭部で団子状にまとめられていた。

「せっかくの機会ですから、三人で温泉に入ろうと思いまして」

 声も態度も普段の淡々とした平然たる調子の宵とは対照的に、冬花は少し恥ずかしそうに身を捩らせている。唇をきゅっと噛みしめ、顔もわずかに景紀から反らすようにしていた。
 むしろそういう仕草をしている方が、よほど艶めかしいのだが……。

「……まあ、いいんじゃないか」

 何も見なかったことにして、景紀は答える。
 この時代、庶民の間では地域にもよるが、全国的に混浴が当然のように行われていた(そもそもこの時代、自宅に風呂がある家は上流階級の屋敷程度で、庶民たちは銭湯を用いていた。自宅で風呂を沸かすための薪代を、庶民は賄うことが出来なかったからである)。
 とはいえ、羞恥心の基準は人それぞれだろう。
 ちゃぷん、という水の跳ねる音とともに、二人の少女が温泉へと入ってきた。宵と冬花で、景紀を挟むように腰を下ろす。
 ただ、やはり冬花は景紀の前で裸身を晒すのは恥ずかしいようで、温泉に入る前から顔を赤くしていた。足を折り、両腕で自らを抱きしめるようにして体を隠そうとしている。
 正直なところ、生まれたままの姿の冬花を見ることは幼少期の頃に何度かあった。それどころか、景紀が冬花の身を清めたこともある。もっとも、それは自分にとっても冬花にとっても、あまり良い思い出ではないのだが。
 最も酷かったのは、家臣団の子供が数人がかりで幼い冬花を押さえつけて、「髪を黒くしてやる」と言って彼女の顔や髪に泥を塗りつけていたことだ。それを見つけた景紀は子供たちを即座に叩きのめして、すぐに冬花を井戸のところに連れていった。
 その頃は幼い所為もあって、互いに羞恥心など覚えるようなことはなかった。景紀は今でも同じような思いであるが、冬花の方には複雑な女心があるのだろう。

「……いくらゆっくりする機会とはいえ、冬花はあまり無理する必要はないんじゃないか?」

 いささか呆れ気味な視線を、景紀はシキガミの少女に向けた。

「それじゃあ、私だけ仲間外れみたいじゃない……」

 ちょっとむくれたように、冬花は視線をわずかに逸らしながら言う。

「まあ、結構暗いから安心しろ」

 だいぶいい加減な慰めが、景紀の口から出る。体を縮こまらせていては、温泉が楽しめないだろうに……。

「こういう旅行は初めてですので、皆で温泉に浸かってみたかったのです」一方の宵は、少し弾んだ調子であった。「一人で浸かるよりも、その方が楽しそうですし」

「まあ、一理あるわな」

 かつて冬花を連れて行った南洋視察も旅行といえば旅行なのだろうが、新南嶺島に開拓民として渡った牢人が徒党を組んで自分たちの領地を作ろうと南洋総督府に対して起こした反乱に巻き込まれたことなどもあり、平穏なものではなかった。

「ふぅ~」

 宵が弛緩したように吐息を漏らす。すでに床入りの儀などで己の裸身を見られているためか、身を隠すでもなくゆったりとしている。今年の一月で十六となった宵であるが、その体つきはまだどこか幼さを残した小柄なものであった。

「いいものですね、温泉」

「ああ、何にも考えずに湯に浸かれるっていいよな」

 宵の言葉に触発されたわけでもないのだが、緊張感の欠片もない声で景紀は同意した。

「そうですね。皇都はまだしも、河越の城にいたままでは息が詰まってしまいそうです」

 宵もまた、河越での政争の予感を敏感に感じ取っていたようだ。

「はぁ、何とかして帰らずに済む方法はねぇかなぁ……。いっそ、このまま北溟道の視察にでも行って、そのまま日高州に行くとか……。あそこ、北の方は極地に近いから夏あたりには白夜が見られるだろうなぁ……」

「景紀、温泉に入って脳味噌が溶けかかってるんじゃないの?」

 どこかむきになったような冬花の声が、横から響く。自分だけが羞恥で体を縮こまらせていることを、何となく馬鹿らしく感じているのだろう。とはいえ、それで羞恥心を押さえ込むには至っていないようだが。

「いいじゃないか、久々にあれこれと悩まずに済む時間がとれたんだから」

「そりゃそうだけどさ……」

 どこか納得いかなそうに、冬花は赤い顔で上目遣いに景紀を睨んでくる。

「冬花だって、あまり根詰め過ぎると体に良くないぞ」

「まあ、警戒用の式を放っているから私自身が過度に警戒する必要はないんだけど……」

 それでもやはり、景紀のシキガミとしての責任感を覚えてしまうらしい。

「なら、少しくらい羽を伸したって誰も文句は言わんさ。というか、俺が許す」

「……まあ、景紀がそう言うなら」

 景紀の言葉で、むくれたような顔になっていた冬花が、恐る恐るといった動きで体を伸した。

「はぁ~」

 ようやく窮屈な姿勢から解放されたからか、冬花もまた長く息をつく。陰陽師でありながら武術の鍛錬も積んでいる少女のすらりと引き締まった肢体が、揺れる水面を通して露わとなった。

「本当に、こんな時間が訪れるとは思ってもいませんでした」

 星と月に彩られた夜空を見上げながら、宵が言った。

「数日後には母上にも会うことが出来るなど、皇都に向かっていた頃には考えてもいませんでしたから」

「正直、俺も冬花もお前が来ることで、何か互いの関係性が悪い方向に転がってしまうんじゃないかって心配していた時期があった」

「ふふっ、お互い、要らぬ心配をしていたわけですね」

「ああ、そうだな」

 今ある幸福な時間を噛みしめるように、三人は肩を寄せ合ってしばらく夜空を見上げていたのだった。
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