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ダンジョン都市

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「貸切ですね」

「こんな時間に入る物好き居ねえよ」
「今何時くらい?」

「そうですね…15時過ぎです」


やってきました大浴場
地下に降りた時は、ジメッとしてて薄暗くて、正直ちょっと不安でした。

でも、大浴場と書かれた札がぶら下がる扉を開ければ、そこはキラッキラと光る異世界

普通の石張りの床、でも壁面と天井は発光するクリスタルがひしめき合っている
薄ら眩い空間はとても幻想的で、俺が想像していた大浴場とはかけ離れていた

町に入るときにも見た、切り出された大きなクリスタルの上に黒いマントを乗せたアルドが、ズボンを脱ぎマントの横へと並べていく


「トウヤもこちらに服……あ、いや、トウヤはアイテムボックスに入れても良いかもしれませんね」


アルドの横で同じ様に服を脱ぎ出したロワンが、室内を見渡す俺へと笑いかけた

ロワンのその言葉に倣い、2人の横で服を脱ぎながらアイテムボックスへと入れていく
これは便利だ…盗難の心配無い!
ロワンとアルドのも…と思ったが、ノーパン主義のアルドはともかく、人にパンツ預けるのってどうなんだろう…?と思い、そのままにしておくことにした。

クリスタル台の上に置かれた籠の中からタオルを取り出す2人を見て、慌てて残りの衣服を脱ぎ、同じ様にタオルを手に取る

ガラリ、と前方の扉をアルドが開けるとムワッと白い湯気が立ち込めた
2人に続き浴場へと入る。石張りの床、クリスタルの壁と天井、その真ん中にはまるで噴水の様な円形の大きな浴槽が1つ


すごい…異世界すごい!ご飯は美味しくないけれど、こんな素敵な大浴場がついた宿に格安で泊まれるなんて…すごい!


銭湯を彷彿とさせる壁際に設けられた洗い場に3人並んで腰を下ろした。小さなシャワー付きだ
右に座ったロワンを一目見て、これは目の毒だ…と慌てて視線を左に座るアルドへと移し、こっちはこっちで…と正面を向く

ロワンの肌は驚く程白く、美しい顔には似合わない程逞しく鍛え上げられていた。細身だと思ってたけど、どうやら着痩せするタイプだ…全然逞しい……その上、傷が沢山。見なかった事にしよう。

アルドは言うまでも無く逞しい、そして股間を隠す気配はゼロ


早く洗ってゆっくり浸かろう…と俺は少しワクワクしながらアイテムボックスからある物を取り出した。

シャンプー、リンス、ボディーソープのトラベルセット!!
すっかり忘れてたけど、コンビニにはこんな物も売ってたよね!本当忘れてた!
鼻唄混じりで、シャンプーを開け濡らした頭を洗う。全然泡立たない…!結構汚れてたんだな…そうだよな。
2度、3度と頭を洗い、リンスも馴染ませ、洗い流し、ボディーソープを手に出した時だった。何か感じる熱い視線

怪訝な顔したアルドと、うっとりと頬を緩ませたロワンが両サイドから俺を凝視している


「……えーーっと?」


「すみません、あまりに良い香りで…」
「お前…その泡…石鹸か?」


「ロワンも使う?
これは石鹸……液体石鹸?かな?」
「いいんですか……?!!」
「あの硬い石鹸が…液?はァ??」


怪訝顔のアルドには悪いが、詳しい説明は無理だ…石鹸の作られ方とかよく知らない。
というかこの世界、石鹸あったんだね!今まで一度も見てないから無いと思ってたよ!

片手で自分の体を洗いながら、隣のロワンに使い方を簡単に説明し、小さなボトルを並べて見せた


「本当に私が使ってもよろしいのですか…?石鹸なんてとても高級な物では…」
「……?こっちでは高級なの?500Gくらいで買えるけど…?」
「ッこれが…!そんな値段で……」


価格破壊だ、すごい、さすが、どうなっているんだ…とブツブツと呟き出したロワンに苦笑いを溢しながらアルドにもボディーソープを進めてみたが、怪訝な顔で断られた。

いつか絶対使わせてみせるからな…!!!


ロワンへの説明を終え、自分の身体を流していると、アルドが早く湯に入ろうと腕を引っ張ってくる
そうだな、俺も早く浸かりたい


「ロワン、俺たち先行ってるから、ゆっくり……堪能して???」
「っはい!!!!」


手に出したシャンプーの香りを一心に吸い込んでいたロワンが、それはもう星が舞う様な綺麗な笑顔で返事をくれた。
……これは暫く時間がかかるかもしれない
その間俺はゆっくり湯船を満喫させて頂こう

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