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しおりを挟む「転生か?転移か?」
掌、腕、足、腹、果てはパンツの中まで
見える範囲は全て確認した
全て見覚えのある自分の身体だ。
いやそんな事、今はどうでもいい
考えたって答えは出ない
馬車の様なものから出て、とりあえず先程《鑑定》で表示された《アエの葉》なる物を《インベントリ》に収納してみた。
「治療薬になるって書いてたけど…どうやって使うんだ?…いや、作るのか?」
《独創魔法を使用しますか?》
いや待て、何だ突然出てくるこのポップアップは!俺の思考読んでんの?聞こえてんの?何、どういう仕組み?
とても気になる仕様だが、答えは出ない。
試しに独創魔法とやらを使用してみよう。
そう思ったほんの1秒程後
インベントリの中に新しく《傷薬》が追加された。
出来上がったのか?なにがどうやって?
意味は分からないが、試してみるか?と思うと同時、手の中に広がるヌルリとした感触
恐る恐る掌を開いてみると、ゲル状で透明な物が、指の隙間から流れ落ちた
《鑑定》で確認してみたところ、このゲル状のものは《傷薬》と表示されている。
仕組みも効果も全く分からないが、何もしないよりはマシだろう。とジクジクと痛む右腕と頬に傷薬を塗り広げた。
◇◇◇
傷薬を塗って暫く、未だに追いつかない思考の中この独創魔法とやらを何度か使ってみた。
その結果分かったいくつかの仕様
まず、頭の中で"こうしたい"と思えば勝手に実行してくれる事
材料さえあれば、俺が知らない物も作れるし、なんならインベントリに収納した材料で、何が作れるかも提案してくれる
ただ残念ながら、無からは何も生み出せない
独創魔法を使って、飲み水を生み出そう!と頑張ったがうんともすんとも言わなかった。
しかし、もう絶対使えないだろうという見た目をした錆びていて、所々欠けてしまっていた剣はMPを30消費する事によって、《古びた鉄剣》から《鉄剣》へと変わった。
「これは、なかなかの便利機能…」
銀色に輝く剣を見つめ、ボソリと呟く
このスキルがあれば、材料さえ手に入れる事が出来れば何でも生み出せるのではないだろうか。
そうと分かれば、あとは行動するのみ
《鑑定》を使って役に立ちそうな物全てをインベントリに収納していこう!
空を見上げると、木々の隙間から太陽の光が差し込んでいた。
雨で濡れた服はまだ乾いてなく、素肌に引っ付いて少しばかり気持ち悪い
右手に剣を握り、飲み水を求めて先へ進もうと足を出したが、1つ不安が過ぎる
小さな獣やマムシくらいなら、この剣で倒す事も出来るかもしれない。でも、もしまた、弓矢を持った言葉の通じない人に出会したら…?
あの金色の髪をした人物が放った矢は、恐らく威嚇射撃の様な物の気がする
仮に全部いい感じに外してしまったのなら、ある意味すごい
あの時の俺は丸腰だった。
もし、剣を握った状態であの人物にまた巡り会ってしまったのなら、敵意有り。と取られること間違い無しだろう。そしてもれなく矢で射抜かれる事間違い無しだ。
剣はとりあえずインベントリに入れておこう。
頭の中で思えば何時でも取り出せるのだ、問題ない
「それにしても、この大自然にスーツ…すっげえ違和感」
俺の小さな呟きは、木々の騒めきの中へと吸い込まれていった。
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