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リザードマン③だってよ

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   どうすればみんなを危険に晒さず、あいつを倒せばいいのか……
   少しの間足止めできないものか。
   足止め……地面に粘着物……足を動かさない……そうか!!…しかし地面が砂っぽいな……あっ…

   底辺勇者には底辺なりの戦いかたがあるんだよ。

「シャーレ! みんな! 力を貸してくれ、いでよーーーー!! 」
『ブゥワーン!!! 』
マナブは大量の団扇(特大サイズスーパー銭湯でローリュウに仕様)を召喚した。
 
「これを一人一人持ってくれ、俺の合図で一気に扇ぐんだ! 」

   みんな不思議そうに団扇を見ている、どうやら使い方が解らないみただ。

「すまん説明してないな、これはこんな風に使うんだよ、ほれっ!! 」
   マナブは団扇を族長に向け優しく団扇を扇いで見せた。
 
「うぉおお! なんと心地よい風!! わかりましたぞ!! これでリザードマンを心地よくさせ不意をつくのですな? 」

「いやいや……心地よくしてどうすんだよ……接待かよ。」
 
「……ではどうやって倒すので?」

「俺が地面にある液体を撒く、そこに全力で団扇を扇いでくれ!! 」

「わ…わかりました……」
皆不思議そうにしていたが説明が面倒だ、取敢えず今は倒す事が先だ。
 
「おっと忘れてた! 地面は砂だったな! いでよ!!!」

『ブゥワァ―ン!!』

マナブは巨大な鉄の板を召喚した。
 
「皆これを地面に敷き詰めてくれ!! 」
「は……はい!! 」

   やはり皆不思議そうにしていたがこれ以上マナブの邪魔はしない様にと指示に従い地面にその板を綺麗に敷き詰めていた。
 
「シャーレはリザードマンをこの場所に誘導してくれ……危険な役目だがすまない……」

「勇者様!謝るのはもうやめてください……シャーレを信じてくださいね? 」 

   シャーレの頼もしい姿に、少し見とれてしまっていた。
 
「おっ……おう! 任したぞシャーレ!! 後……俺の事はマナブって呼んでくれないか……?」

マナブは気恥ずかしそうにそう言うと、シャーレは満面の笑みで答えてくれた。
 
「はい!! マナブ様!! 」
 





 
 
 ----------------------------------------------------------
 
 
 
 
「ギョゥア――――オオォオオオォオオオ!!! 」
 洞窟の奥からリザードマンの声が鳴り響いていた。
 
「来たな……シャーレがうまくやってくれたぞ!! 後は俺たちの役目だ!! みんな踏ん張ってくれ!! 」

「おおおおお!! やってやるぞ!!! 勇者様と共に倒すぞ――――!! 」
 
『ドスンッ……ドスンッ……ドスンッ……ドスンッ……』

 リザードマンの足音が地面を揺らせながら次第に大きく成るのがわかる。

 マナブは額に嫌な汗をかいているのがわかった、その汗が頬に伝わり顎から一粒の雫が落ようとしていた。
 突然目の前の入り口からシャーレが勢いよく飛び込んできた、マナブはシャーレを少し見て安心した後、即座に視線を入口へと戻す。

 
 『ドォオオォオオォオンン!!! 』


   シャーレが通過して数秒の時が過ぎ、轟音と砂煙を巻き上げ黒いオーラが先行してその存在の進入を知らせていた。
 
「きやがったかこのヤロー!! 俺の宴会を邪魔しやがって!!! 許さね――!!
いでよ、アロンアルファーーーーーーー!!!!! 」
 
『ブゥワァ――ン!!』

マナブは大量のアロンアルファ(チューブタイプ マナブはそれしか知らない)を入口手前に召喚した。
 
   リザードマンは足元を気にせず奥にいる大量の獲物だけを焦点の合わない目でとらえているようだ。

 「おい! くそトカゲ! かかってこいよ! 仲間みたいに倒してやるよ! 」

 マナブは少し声が震えているようだが必死に視線を下げさせない様に挑発をした。
 
「ギョゥア――――オオォオオオォオオオ!!! 」

 その挑発に呼応するかのようにリザードマンは一層目が赤くなり、全身の血管が隆起しているのがわかった。
 
『ドスンッ! ……ブチュッ ドスンッ! ……ブチュッ ドスンッ! ……ブチュッ 』

リザードマンの足音と共に何かはじける音が後からついて来ている。
 
 「はっはっは!! 踏み潰しやがったぞこのくそトカゲ野郎!! 皆今だ!! 扇げ! 足元を扇ぐんだ!! 」

 「うぉおおおおお!!! 」

『ブワァサッ!! ブワァサッ!! ブワァサッ!!  』

全員で大きな団扇を全力で振りかざす、室内は大量の砂埃が巻き起こっていた。
 
「ギョゥア?? ギョッ!!?? オォオオオォオオオ!!! 」

 砂煙で視界はさえぎられていいるが、リザードマンの戸惑いの声が作戦の成功をマナブに確信さた。

 「皆扇ぐのをやめてくれ!! 」
 
 依然リザードマンの怒号は聞こえるが足音が完全に消え去っている、そうこうしている内に巻き起こった砂埃が落ちつき視界が戻ってきている。

 薄らと見える視界の先には黒い物体の上半身だけがうねってる。

 リザードマンは足が地面から離れずにどうにか動かそうと上半身をばたつかせているようだ。
 
 「よっしゃ!! 成功だ! 完全に固まった! 
……後は俺次第か…… 」

   薄くはなっているが依然と砂埃は立ち込めている。
この視界の悪さが収まる前に行動しないともうチャンスがない。

   マナブはゆっくりとリザードマンの視線を避けるように背後に回っていた。

「ちかっ! ……しまった……」

   1mという近さについ声を上げてしまった、口を押えるも時すでに遅くリザードマンは後方から微かに聞こえた声に気付いたようだ、ゆっくりと後ろを振り向こうとしていた。
 
「お―い!! リザードマン!! あんたの仲間は全部シャーレが倒したのよ かかってきなさいよ!!! バーカ! あほー! 」
 
「ギョゥア――――オオォオオオォオオオ!!! 」
シャーレの挑発に視線を戻し一層と怒り狂っている様子だ。
 
 シャーレナイスだ、ありがとう最高の援護だよ。
 後はおれに任せろ!
 
「うぉぉぉおお!! ホーリースリリーバー!!! 」

   背後に回っていたマナブは聖典の新たなスキルホーリースリリーバーを唱えた。

 その瞬間聖典から光に包まれた糸の様な物が1M以内360°全体に渦巻く様に広がっていき、その糸状の物がリザードマンに接触すると他の方向に分散していた糸が方向転換をしリザードマンに巻き付いていく。

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