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6. 惣の束縛 絹の呪縛 どっちにしても逃げらんない
惣の束縛 絹の呪縛 どっちにしても逃げらんない ③
しおりを挟む美佳は先刻から布団に潜り込んで号泣していた。
必死に声を殺そうとする美佳を嬲るように、他人の眼前でイカされたら、恥ずかしくてそりゃ泣けてもくる。つくづく優は鬼だ。
とんでもない場面に遭遇したさつきと菜摘は、逃げ帰ろうとしたところを取っ捕まり、田端の笑顔の圧力で帰るに帰られず、居たたまれない思いをしている。
その田端は二人のベッドの間に椅子を持って来て、向かい合うように座っていた。入り口側が美佳で、奥が優になっている。
「階段から落っこちて意識不明だったから心配したけど、余計なお世話だったな」
二人のケンカに野次馬根性丸出しでくっ付いて来ていた田端が、逸早く救急に連絡してくれたのは母親から聞いていた。
「世話掛けたな」
「いいってことよ」
美佳のベッド側の隅に座るさつきと菜摘を見てから、団子になってる美佳に目を移し、さらに優を見た。
「しかし安西、動じねえな」
「あン?」
「普通萎えねえ?」
田端がチラリと美佳に視線を促すと、優はにっこり笑う。美佳のベッドの端に座り直して丸まった腰に肘をつき、尻をポンポン叩く。美佳がぎゃーぎゃー喚くのを聞いて、優が肩を揺らして笑った。
「美佳ン膣内、全然萎えないし。抜かず三発イケる」
自信満々でサムアップする優の台詞を敏感に捉えた美佳は「優のバカ~ッ! 死んでしまえ~ぇ」と音量を上げて泣き、さつきと菜摘は恥ずかしいやら泣きたいやら哀れになるやら、美佳にかける言葉も思いつかず、身の置き所に困っていた。
田端はチラホラと優の微妙な惚気を聞いていたので、免疫は出来ていたし、彼も優寄りの人間なので平然としたものだ。
「おまえ毎度よく恥ずかし気もなく言えるな? 女子も居んのに。和良品に同情するわ」
「よく言うよ。その女子を引っ張り込んどいて。普通気を利かせるだろ」
「てか、意識失うほどの奴がヤッてるとか思わねえだろ。身体痛くねえの?」
「痛ぇけど、ずっとお預け食らってた所に、据え膳あったら食うだろ」
「食うな」
にこやかに鬼畜な事を言っている。
女子二人は憤り、のほほん娘は二人に仄かな殺意を覚えた。
布団に潜ったままの美佳は、悔しさのあまり枕カバーを食い千切らんばかりの勢いで噛み付いていた。
美佳はいま激しく後悔している。
“美佳” のキスであっさりスイッチが入った “優” の下半身も恨めしいが、それでついつい流されて拒否できなかった自分にも腹が立つ。
戻る為とか、大義名分を掲げたところで、優がくれる全てに感じていたのは紛れもない事実だ。
(しかも膣内出しされて喜んでる身体って、どんだけヤラシイのあたしッ!!)
美佳の意思に反して、貪欲に強請って搾り取ろうとしていた。
これも惣への恋慕故なのだろうか?
絹が、惣を恋い慕ってくれるのは一向に構わない。ただしこっちに支障を来さなければの話で、このままでは本当に、近い将来妊娠しそうで怖い。
二人の混ざり合った証がトロリと流れて、当てていたティッシュに沁みて行くと、先程までの行為が思い出されて、また身体が疼き、火照って来る。
他の男性を知らなくても、優が言う通り身体の相性はきっと良いと理解できてしまう。
終わりのない欲望を揺り起こした優が恨めしい。
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