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5. 逃げる逃げる逃げるッ!!!! 逃げれば追いたくなるのが常ってもんでしょ
逃げる逃げる逃げるッ!!!! 逃げれば追いたくなるのが常ってもんでしょ ⑤
しおりを挟む視聴覚室に連れ込んだ美佳の膣内に、幾度も欲を吐き出した。
他の女なら“おかわり” なんてしないのに、美佳が相手だと際限なく欲してしまって彼女をボロボロにしてしまうのは、正直自分でも驚きだ。
泣いて口では嫌がっていても、ピタリと嵌ったピースのような一体感。こんな相手はそういない。体の相性が良いのはきっと美佳だって気付いてる。際限なく求めて来るのは、彼女だって同じだ。
ケダモノの行為の匂いが充満し、吐き出された精と混ざり合った愛液が溢れて流れ出して来るのを見ながら、深い満足感を味わった。
本当に孕んでしまえば良いと中出ししてやった。そうなったら既成事実として、美佳を独り占めできる。彼女だってもう拒絶できない。
流れて伝い落ちる欲情の名残に、彼女がいまは絶望の涙を流していても。
美佳は優を見なかった。
何を思っているのか、訊いても彼女がそれに応えてくれることはなく、身支度を整えると手を貸そうとした優を振り解いて、ふらふらと出て行ってしまった。
この行為に後悔なんてしないと思っていた。なのに胸に押し寄せてくるのは虚しさと自責の念。
それから一週間が経ち、優を避けていた美佳からついさっきLINEが届いた。
内容に少なくとも優はガッカリして、肩を落とした。狙い通りにはいかなかったらしい。
肌を合わせることを知らなかった頃のような白々しさが、日々二人の間に蓄積されて行く。
チリチリと焦がれる思い。
暴走させないように、必死の自制。
机に突っ伏してスマホ画面をぼうっと見る優に、「まだ帰んないのか?」と田端が声を掛けてきた。優は視線だけチラッと向け、すぐに目を戻して溜息を吐く。
「残念なお知らせを受けて、脱力中」
田端は優のスマホに目を落とすと、「ああ。成程」と呟き、優のあまり見ることのないだろう消沈ぶりに苦笑を浮かべた。
「しばらく静かだと思ったら、仲直りしたんだな。内容は業務報告みたいだけど」
「…いや。冷戦中」
「え…けど、そー言った内容じゃないよな?」
冷戦中だったら、わざわざこんな報告はしてこないと思うのだが、と田端は首を捻る。優の前の席の椅子を逆向きに座り、背凭れに頬杖をつく。
「あ~それ。…外したよ。ザマミロってこと」
「…………あ?」
言われたことが脳みそに届くまでタイムラグが発生し、情報処理にまた時間が掛かっている。
また溜息を吐くところを見ると、本気で気落ちしているように見えるのだが…。
「その、つまり、どー言った?」
優は面倒臭そうに田端を目だけで見上げ、溜息混じりに「まんまだよ」とLINEからホーム画面に戻す。
「孕ませようと思ったのに」
ぼそりと、でもかなり本気で言っている優に、田端は思いっきり退いた。目の前の級友に、信じられないものを見るかのような目を向ける。
「ただ怒らせただけだ」
「お前って、結構和良品のこと好きなわけ?」
「結構どころじゃない。どおも昔っから美佳には暴走するんで、自主規制中」
「似合わねえ」
「知ってる。けど美佳だけはナマで攻めたくなるんだよなあ」
田端は真剣に言ってる優に一抹の不安と、美佳に同情の念を拭えない。
なんかそうやって考えてみると、優が他で処理しても文句を言わない美佳に納得してしまう。
美佳と肉体的関係を持つ前から、だとは思ってないが。
「そりゃ和良品じゃなくても怒ると思うぞ?」
「…口利いて貰えない」
「だろうな」
何だろう。ちょっと拗ねている優が可愛く見える。この男にこんな面もあったとは、田端は驚きとともに親近感を持つ。
普段の優は人当たりはいいがドライな人間だと思っていた。
実際、優が食い捲っている女子はあと腐れないタイプばかりだし、優も深入りしない。仮に相手が本気になったとしても、きれいに別れている……はず。
よく刃傷沙汰にならないもんだなと、ある意味感心していた。
けどそれは、優が誰にも本気じゃなかったから、微かな期待をしつつ、女子同士が不可侵条約を暗黙のうちに締結しているに過ぎないんだろう、とは薄々思っている。
そんな優を唯一本気にさせる “和良品美佳” と言う女子に興味が湧いてしまうのは、誰にも止める権利はないだろう。
下手に近付いたら優の逆鱗に触れそうだが……。
何時ぞやの牽制を思い出し、触らぬ神に祟りなしだ、と頭を振った。
「優!」
ふいに声がして二人はそちらを振り返った。
「良かった。まだいたのね」
スレンダーな美女がにこにこと近付いて来る。優は頬杖をつき面倒臭そうに返事した。
「なに?」
「あたし今日暇なんだけど、優は?」
彼女は優の肩に手を置いて、意味深な笑みを浮かべている。
田端もそれが分からないほど純情でも鈍くもなかった。ただ優の反応は気になるところだ。
ボリボリと頭を掻いて思案顔の優の動向を窺う。
間もなく彼は立ち上がり、「いいよ」と鞄を手にして彼女の腰に手を回した。
「さっきまで落ち込んでいたとは思えないな」
「それはそれ。適当に抜いとかないと、また暴走しそうだしな」
シレっと言った優を見送り、ここにはいない美佳をつくづく憐れむ田端だった。
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