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19. I than you ……【R18】
I than you …… ② 【R18】晴日
しおりを挟む萌の自宅マンションの下に着いて電話をすると、間もなく彼女が下りて来た。
先刻勝手にキレて電話を切ったことを謝ると、萌も晴日の気持ちを蔑ろにしていたことを謝罪してきた。
晴日は萌を乗せ、車を走らせた。
高速に乗って二人が辿り着いたのは、隣県の海辺だった。
駐車場に車を止め、自動販売機で買ったホットミルクティーを萌に渡すと、両手で包んで「温かい」とカイロ代わりにしている。晴日は上着の前を開け、萌を包むように後ろから抱きしめると、堤防の階段に腰かけた。
「子供体温あったけ~ぇ」
「ひどっ! 代謝が良いだけなのにぃ」
「今はそれが有難い」
「寒いのに海に来るからだよ」
「大晦日のこんな日に来る奴もそう居ないだろ? 人の目気にしないで萌とデートしたかったんだよ。萌はそうじゃないかも知れないけどな」
晴日のちょっとした厭味に眉を顰めて後ろを斜めに見上げると、「そんな事ないも」と踵で晴日の右の爪先を思い切り踏んづける。晴日は「痛てっ」と声を上げ、涙目で萌を見下ろした。
「そうかぁ? 部活だ門限だって言っちゃあ、俺いつも萌に振られてる気がすんだけど。会いたがってるの俺ばっかみたいだ」
「萌だって晴さんにもっと会いたいよ。けどさあ、門限破ったらそれこそ晴さんに会わせて貰えなくなる。パパの過保護、晴さんだって知ってるじゃん」
夏の三日間の電話とメールの攻撃に辟易したことを思い出し、胃液が上がって来た。晴日は顔を思い切り顰める。
だとしても、温度差を感じてしまう。
「俺が好きだって思ってるほど、萌はそうじゃない気がする」
「そんな事ないよ。晴さん大好き!」
「なら俺と十玖、どっちが一番だ?」
「とーくちゃん」
間髪入れない返答に、晴日は抱きしめていた萌から腕を放して立ち上がり、踵を返して車に向かって歩き出した。
「わ――――ッ! 嘘嘘嘘ッ! 言い間違い! 条件反射ッ!」
慌てて追いかけて、晴日に首に飛びついた。
「…っぐぇ」
後ろに反り返って、絞まる首に指を掛ける。
「晴さんが一番だよ! ホントだよ!」
ガシッと両足でウエストを挟み込まれ、晴日は後ろに倒れまいと勢いよく前に身体を傾いだ。萌はぐりぐりと背中を這い上がって行き、顎を晴日の肩に乗せると吐息を漏らす。晴日はぜぇぜぇと息を吐き、涙目で萌を振り返った。
「……殺す気か?」
十玖は今までよく平気だったものだ。癪に障るが、感心する。
晴日の言葉など耳に入ってない萌は、
「怒らないでよぉ。晴さん今までどっちが一番かなんて、訊いてきたことないじゃん。だからウッカリしただけだも。本当は晴さんが一番だよ」
「口では何とでも言える」
「ホントだもぉ」
萌を降ろそうとする晴日に抗って、一層強く抱き着く。晴日の耳に唇を寄せた。
「エッチして欲しいの、晴さんだけだも」
恥ずかしそうに囁いた萌の言葉と、耳朶に掛かる吐息に腰を直撃され、晴日はその場に頽れた。萌の奇襲攻撃に晴日は首まで真っ赤になっている。
「…反則だろぉ」
「なんで? ホントのことだよ? あのね。晴さんずっと誤解してるみたいだから言うけどね、とーくちゃんは好きだけど、もおとっくに晴さんが勝ってるよ?」
ここでやっと晴日の背中から降りて、萌は膝を折りアスファルトに手を着く晴日の手を取った。身体を起こした晴日の腕に手を絡め、首を傾いで顔を覗き込んだ。
「晴さん大好き」
零れそうな花の笑顔で見入ってくる萌。晴日は顔をすっと近付けて軽く唇を重ね、にっこり笑う。萌は一瞬彼を見遣って真っ赤になり、慌てて周囲を見回した。
「誰も見てねえよ」
見ているどころか人一人見当たらない。
晴日は萌の頭を抱き寄せて、今度は髪にキスを落とした。
「本当に俺が一番?」
「もちろん。喧嘩した時は偶にとーくちゃんが一位に浮上するけど」
調子に乗ってまた余計なことを言い、晴日が目を眇めて萌を見据えた。萌は上目遣いで晴日を見遣り、「喧嘩した時だけだから」と言い訳している。晴日は仏頂面で彼女を見てから、ついっと顔を背けると、ご機嫌を窺う萌が絡み付いてきた。
そっぽを向いてニヤニヤ笑っていると、萌にぐいっと顔の向きを変えられ、口を尖らせた彼女と目が合った。
頬に朱を走らせた涙目で「もお。意地悪しないでぇ」と萌から唇を重ねてきた。普段自分からキスしてくることのない萌にしては、大分頑張った行動に嬉しくなってくる。と同時に連鎖反応してくる下半身。
(だから! それだけが目的じゃないんだって!)
頭の中では必死に言い訳しているのに、腕は萌を抱き締めて、彼女の唇を貪っている。それに萌が逐一応えてくれるから、官能が止まらない。
もう今は、セックスばかりと詰られようが、煽ってきた萌が悪いと責任転嫁し、晴日は己の軟弱な自制心に目を瞑ってしまうことにした。
唇を離すことなく萌を抱き上げる。彼女は首に腕を回し、足を身体に巻き付けた。二人はそのまま後部座席に雪崩込み、互いの唇を貪り合う。
晴日の唇がようやく離れると、萌は下で喘ぐように冷気を吸い込み、熱く甘く変換された吐息を漏らしながら晴日の首を引き寄せた。
「萌。エンジン掛けるから」
抱きついてくる萌を離そうとすると、いやいやし「こうしたら暖かいよ」と背中に腕を回す。晴日は眉を寄せてしばし考え、ひきつった笑いで萌を見た。
「こうしたらって、こうしてろってことか?」
萌の真似をしてギュッと抱き締めると、「そおそお」と腕の中で頷いている。晴日はガックリ項垂れた。
まさかこのノリに乗った状況で、こう言うオチが来るとは。
「あの萌さん。抱っこしてるだけなんて、イジメか?」
「なんで?」
きょとんと瞬きをして、本当に分かっていないようなので、晴日は萌の手を取るとジーンズ越しに昂ぶった半身を触らせた。萌は一気に顔を赤らめ晴日を軽く睨んだ。
「なに考えてるの晴さん。車だよ?」
「車だって何だって、煽ったのは萌だろ。責任取れよ」
くるくる目まぐるしく動く双眸。この事態を回避するべく頭をフル回転していることだろうが、萌の髪を両サイドから掻き上げ、逃げられなくなった彼女に唇を重ねる。
啄むキスを繰り返し、萌の目がトロンとしてくると舌で唇をなぞった。しどけなく開いた唇から忍び込み、彼女の熱まで食らわんと口中を舐り回す。絡まる舌に吸い付き、逃げようとした舌先に痺れる痛みを与えると、堪えきれなくなった萌の下半身が身じろいだ。
ミニスカートの中に手を忍ばせ、厚手の黒いタイツに手を掛ける。滑り込ませた手で鍛えられた形のいい双丘を弄り、もう片方の手はスカートからトップスを引っ張り出していた。
ブラを押し上げ、晴日の指先が先端を軽く弾くと、萌はやっと我に返って晴日の背中を叩き抵抗を始めた。けれどそれもつかの間、右手が頂を転がし、左手がクレバスをなぞると花が綻ぶように開かれ、花芯はぷっくりと膨らんでいた。
萌の左足からタイツとショーツを抜き取り、両足を押して腰を高くすると、潤んだ秘所の芳しい雌の匂いが晴日をゾクゾクさせた。
猛る半身は抑え込まれて苦しさを訴え、ジッパーを下げて寛がせると、更に情欲を滾らせる。晴日は財布から出した避妊具を手早く装着し、身を屈めると芳醇な蜜を湛える花弁に唇を這わせた。
「ぁ…やん……晴さ…んんっ」
「何が嫌だって? 見え透いた嘘つくな」
「やぁ…だ、れかに……見ら…ちゃう」
「誰もいなかったろ」
花弁に口付けたまま言葉にすると、吐息に反応した蜜口がひくつき、蜜がじわりと溢れて来る。晴日は口端に笑みを浮かべ、花芯に向かって舐め上げた。萌の腰が大きく戦慄き、逃げそうになるのを押さえる。卑猥な水音を立てて啜ると、萌の嗚咽に似た吐息が漏れた。
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