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8. 新入生=春嵐もしくは大迷惑

新入生=春嵐もしくは大迷惑 ⑥

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 “To Be Free” が通信講座のCMソングに起用された。
 オンエアはもう少し先の話だが、予定していた曲の歌手がスキャンダルを起こし、自粛する羽目になったせいで、降って湧いたラッキーだ。おかげで周囲が色めき立っている。

 急にリハするとか晴日が言い出したのは、こう言う事情もあった。
 タイアップすれば飛躍的に知名度が上がる。CMならば知らずに聴いている機会も増えて来る。こんな有り難い事はない。

 この事実は前任のスキャンダルと共にワイドショーで流れたそうだ。忘れた頃にポツポツ浮上するインディーズバンドと言われていたらしい。確かにその通りだが。
 今回は謙人のバックグラウンドも影響されているのは否めない。

 ライヴやホームページで公式発表され、知らない人からも祝いの言葉を貰うのだが、何とも気恥ずかしい。
 特に十玖は人見知りなので、対応に困ってる。鉄仮面全開で、愛想もあったもんじゃない。常に一緒にいる美空に注意され、無理に笑ったら怖いと言われた。晴日たちには大ウケだったが。

 面白くないのは亜々宮あーくである。これまでにも充分十玖の弟というレッテルのせいで、鬱陶しい思いをしてきたわけだが、さらに加速している。友達になった覚えのない者まで、急に友達面されるのは、非常にムカつく。

 最もムカつくのは、智子が騒いでうるさい事だ。
 あまりにも腹が立ったので、「誰の彼女なわけ?」と聞いたら、智子はニヤリと笑って「亜々宮でしょ」と見透かしたように言ったから、それでまた腹が立ったのだが、何も言い返せなかった。

 この高校に来たのは、心底間違いだったんじゃないかと思う今日この頃の亜々宮である。



 十玖たちは、科学実験室から教室に戻るところだった。
 階段の踊り場から声を掛けてくる者がいて、十玖たちは見上げた。
 合唱部の一年、高橋だ。

「これから体育?」

 苑子が声を掛けた。

「はい。先輩たちは戻るところですか?」

 ニコニコしながら高橋が下りて来る。
 と、高橋がつんのめり、咄嗟に十玖が動いて間一髪で難を逃れた。
 十玖の胸の中で、高橋が硬直している。一年の女子たちはこの光景に嬌声を上げた。

「……おおーっ。びっくりしたぁ」

 目を剥いて、十玖に抱き着いたまま高橋が言った。体が小刻みに震えている。

「大丈夫?」
「あ…すみません。大丈夫です」

 高橋は十玖から離れると、へなへなとへたりこんだ。腰が抜けたらしい。

「大丈夫じゃないみたいだね」

 十玖がくすくす笑う。高橋は真っ赤な顔で俯いた。

「十玖。高橋さん保健室に連れて行ってあげたら? 腰が立たないのに放置したら可哀そうよ」

 苑子に言われ、美空を見る。彼女が仕方なさそうに笑って頷いたのを確認して、十玖はひょいと高橋を抱え上げた。

「出た。赤ちゃん抱っこ」

 太一の突っ込み。
 片腕で抱き上げられるのは、筋力があるからだ。太一には到底真似できないやっかみもある。

「当たり前でしょ。お姫様抱っこは美空ちゃん専用なんだから。ねえ?」
「当~然でしょ」
「ちょっと待って。あたし一番多いのは俵担ぎだと思うんだけど?」

 美空が眉を寄せて物言いを付けてきた。十玖は「あれ?」と首を傾げ、見上げてくる美空を見返す。

「そうだっけ?」
「そうよ。あれで何度ダッシュされたか分かんないわ」

 その度に絶叫し、魂が抜けそうになっている彼女にしてみれば、文句の一つも言いたくなる。
 恨みがましい目で見上げる美空。

「うわっ。十玖サイテー。彼女を俵扱いとかって」
「そんな事ないって。肝心な時はちゃんとお姫様抱っこだよ。ねえ美空」
「……バカ。あたしに振らないでよ」

 ギャラリーの多いところで何を言ってくるんだ、の言葉を飲み込み、美空は抱き抱えられたままの高橋にちらりと目をやり、十玖を睨みつけた。

「早く保健室に連れて行ってあげたら?」
「あ…そうだね。じゃ連れて行くから、苑子、太一。美空をヨロシク」

 この場合、美空がつまずかない様にという意味だ。
 十玖が踵を返すと、高橋は後ろによろめき慌てて首にしがみついた。またギャラリーの嬌声が一段と良く響く。

「斉木先輩。すみません」

 振り返ってぺこりと頭を下げられ、複雑そうな笑みを浮かべた美空に、ちょっと困った顔で微笑んで「ごめん。行ってくるね」と頭を撫で、周囲の視線などお構いなしに十玖はすたすたと歩きだした。
 高橋にとってはかなり恥ずかしいのだが、それを凌駕するほどの優越感を感じていた。

「授業、遅れちゃいますね」
「気にしなくていいよ」

 やんわり笑う十玖。思わず何かを期待してしまいそうな微笑みだった。
 高橋は首に回した腕に力を籠め、体を摺り寄せる。

「先輩…好きです」

 小さく耳に届いた告白。
 十玖は目を見開いて、高橋をしばし見つめると、「ごめん」とだけ返した。
 保健室に着くとざっくり有理に説明し、十玖は高橋の頭を撫でてすぐさま教室に戻って行った。
 高橋は涙目でそれを見送った。



 持ち寄りの山のお菓子を前に、萌は腕を組んで現状の把握に困窮していた。

 つい先日まで、自分には友達はいないと認識していたのだが、この状況は一体どうした事だろう?
 急にみんな親切だ。正直気味悪い。

(まあどうせ下心なんだろうけどね)

 でなきゃ説明できない。
 下心を持って近付くとしたら、A・D絡みなのは明らかだ。
 晴日からCMの件を聞いた時、単純に凄いと思ったのだけど、周囲に及ぶ影響も凄かったようだ。

「あのさあ。萌に媚び売ったって、メリットってないと思うよ?」

 思った事を言わずにいられない性格だ。

「明らかにA・D目当てで近付いて来る人を、友達だってみんなに紹介なんて出来ないし」

(下手にちょっかい掛けられても困るしね)

 晴日との事は、今のところ秘密のままだから、近付けさせないのが最善策なのだ。
 歯に衣着せない物言いの萌に気色ばむ。

「何よ。友達になってやろうと思ったのにその言い方。マジむかつく」
「なってやろうなんて、上から目線マジむかつく」

 萌はしれっと言い返した。 
 その態度に切れたようだ。いきなり萌の髪に掴みかかり、目いっぱい引っ張られて、萌が椅子から転げ落ちた。
 くすくす笑うクラスメイトを上目遣いで睨み、髪を引っ張た女子の足にタックルを仕掛ける。まさかそんな攻撃を受けるとは思っていなかった彼女は、思い切り尻もちを着いた。

「ざまあないわね」

 萌も余計な事を言わなきゃいいのに、わざわざ火に油を注ぐような事を言う。

「でもお尻にお肉いっぱいだから平気でしょ?」
「ちッ…あんたホントにムカつく」
「お互い様でしょ。あたしとーくちゃんみたいに優しくないから。ちっちゃいからって甘く見ないでよ」

 取っ組み合いは、亜々宮で鍛えられている。やられて泣くタマじゃない。

 他の女子も巻き込んで、教室は乱闘騒ぎに突入した。
 あられもない姿を晒しながら取っ組み合う萌たちを、男子はニヤニヤしながら眺めている。もちろん中には冷や冷やした顔をしている者も、迷惑そうな顔をしている者もいる。

 誰かが担任を呼ぶまでの十数分の間、多勢に無勢でありながら萌は健闘した。



 十玖、晴日、竜助は憮然と保健室を見渡した。

 有理に呼ばれて駆け付けたのだが、萌のクラスの女子が萌を含めて七名。一人は無傷のようだが、後の六人はひっかき傷、打撲の治療を受けていた。

 制服のボタンは吹っ飛んでヨレヨレになり、髪を振り乱して暴れた様子がまざまざと見て取れる。仮にも女の子たちなのに。
 三人は一様にため息をついた。

「とーくちゃん! 晴さん、竜さんもどおしたの?」
「どおしたのじゃないでしょ、萌。こっちが聞きたいんだけど?」
「見て分かんない? ケンカだけど」
「萌?」

 からかってるのかと聞こうとした時、無傷の女子が治療の手を止めて口を開いた。

「すみません。クラス委員の長澤です。お話いいですか?」
「どうぞ」
「単刀直入に言いますと、原因はA・Dです」
「まあ想像はつくわな」

 晴日が口を挟む。十玖は晴日をちらりと見、先を促した。

「どちらの肩も持ちませんが」

 そう切り出し、事の顛末を話した。
 治療をしながら有理は苦笑いを浮かべてる。

「子ザルは元気だなぁ」

 五人を相手に負けてなかった萌に、妙な感心を寄せる竜助。子ザルと呼ばれるだけあると言いたいようだ。

「竜さん! 子ザル言うなあ」

 持っていたハンカチを竜助に投げつけた。竜助はキャッチしてニヤニヤ笑っている。
 十玖は大判の絆創膏を萌の頬に貼りながら、

「あのね萌。取っ組み合いはダメだよ。女の子なのに傷残ったらどうすんの?」

 晴さん悲しむよ、と耳打ちする。晴日を盗み見て、素直に謝った萌の頭を撫でて嘆息し、ケンカ相手を一巡する。

「君たちもね」

 感情の見えない十玖の眼差しに、彼女たちは息を飲んだ。いっそ睨まれた方が良いとさえ思えてしまう。明らかな拒絶だ。

「僕たちを慕ってくれるのは純粋に嬉しいけど、示し方を間違ってるのは頂けない。萌とケンカしたところで得るもんは、僕たちの不快の念と不信感だけだよ」

 十玖にしては珍しくきつい事を言った。
 晴日と竜助も頷く。

「単なる女同士の諍いなら、俺たちも介入しない。女のケンカに男が首を突っ込んで、いい事なんてないからな。でも、俺たちが関係してるなら、全力で萌を守るから。それである事ない事SNSにアップするならしても構わない。俺たちそんなの別に怖くないし」

 炎上が怖いのは筒井だ。
 腕を組んで斜に構える晴日。彼の肩に肘を置く竜助がニヤッと笑った。

「そこがインディーズの強みだからな」

 メジャーに比べたら干渉が少ない。
 メジャーはお金をかけて宣伝してくれる分、売る為だけに、音楽もイメージも作り上げていく世界だ。それだけに規制も多い。昨今ではそんなメジャーに嫌気が差して、インディーズに変わるアーティストもいる。
 A・Dは自由にやり過ぎて、筒井をよく怒らせているが。

「今までこんな争い事なんてなかったのに、今年の一年生は血気盛んねぇ。今回に限らず、あんたたちも振り回されない様に気を引き締めて掛かりなさいよ。せっかくCM決まったんだから」

 粗方治療が終わり、有理はぬるくなったお茶を突っ立ったままこくこくと飲み干す。ぷは~っと息を吐きだして、机に湯呑を置いた。実におやじくさい。

「ファンたちが暴走しないようにするのも、あんたたちの力量よ」
「肝に銘じます」

 有理は「頼むわよ」と敬礼する晴日の腹に裏拳を入れる。晴日は二ヒヒと笑った。
 竜助はケンカ相手らの顔をつぶさに見て、

「おまえ等の顔、覚えたからな。またこんな騒ぎ起こしてくれるなよ?」
「わかってます」

 一番最初に萌に手を挙げた女子が答えた。

「あたしたちだって嫌われたい訳じゃないし。相原さんがこんなにしつこく食い下がって来るなんて思ってなかったから、もう二度と御免だわ」

 心底からの言葉らしい。うんざりした顔だ。すぐに泣いて謝罪を乞うてくると、単純に思っていたのだろう。
 萌のしつこさを身に染みて知っている十玖は引きつった笑みを浮かべた。晴日は十玖の背中をポンポン叩き、萌を引き取ってくれた奇特な晴日に頭を下げる。

「とーくちゃんと晴さん、目で会話してない?」

 二人を上目遣いで見ながら言う。

「羨ましいか子ザル」
「うん」
「どうせ子ザルの悪口だぞ?」
「違うもっ。ねえ、とーくちゃん晴さん?」

 二人はすっと視線を外し、十玖が口ごもりながら言った。

「当たらずとも遠からず…かな?」
「酷い。最近のとーくちゃんて、萌に厳しすぎる」
「いつまでもお子様扱いされたくないんでしょ?」
「もっと優しくしてくれてもいいよ?」
「それは彼氏にお願いしなさいね」
「ちぇっ。とーくちゃんのケーチ。美空さんにチクってやる」
「どおぞ。萌が笑われるだけだよ」
「とーくちゃん性格悪くなってない?」
「今までは諦めていただけ。もう僕の手から離れたわけだし?」
「晴さ~ん、とーくちゃんが意地悪だよぉ」

 言ってどさくさに抱き着かれ、晴日はにやけそうなのを堪えながら萌の頭をよしよしする。竜助は女子たちを盗み見て、萌の髪をつまんで引っ張った。

「何で晴? 俺に抱き着いてもいいよ?」
「ヤだ。竜さん意地悪だも。何か企んでるでしょ?」
「失礼な」

 言葉とは裏腹な含みのある笑顔。絶対に企んでる顔だと誰にも見て取れた。

「はいはい。あんたたちいつまでもここで油売ってない。一年は職員室。残りは教室に戻りなさい」

 有理が先生らしい事を言う。いや。先生なのだが。
 十玖は微妙な顔をして有理を見ると、彼女は眉をそびやかし、ほらほらと追い立てた。



 1Cで女子の乱闘騒ぎがあったと聞いて、亜々宮はピンときた。
 子供の頃から騒ぎの中心には、いつだってトラブルメイカーの従妹がいた。

(萌がバカで良かった)

 同じクラスだったら、間違いなく巻き込まれていたところだ。

(後先考えないのは相変わらずか)

 この高校に入学出来たのだから、少しは進歩したものだと思っていたが、どうやら誤解だったようだ。
 思ったまま行動するせいで、巻き込まれ何度痛い目を見た事か。その辺りは苑子と意見が一致し、姉さんと慕っている。
 数人相手にケンカするなんて、亜々宮からしてみれば正気の沙汰じゃない。

(入学早々職員室に呼ばれるなんて、いい恥さらしだ)

 放課後になって、渦中の六人は居残りで反省文を書かされているらしい。
 亜々宮は通りすがりにC組を覗いてみる。足は決して止めず、黙々と書いている様子を確認して、階段に向かった。

「萌ちゃん。何か可哀想」

 智子が言った。
 彼女と萌はそんなに付き合いはない。智子が転校して来て、半年後に萌が転校して行った。だから暢気なことが言えるのだと思う。

「自業自得だよ」
「冷たいなあ亜々宮は」
「ケンカを避けようと思えばできる事だよ。それをしない萌がバカなんだ」

 どうせまた空気を読まず、怒らせたに違いないと確信している。
 正しく亜々宮の読み通りなのだが。

 下駄箱の前でたむろしている女子を目の端に止め、靴を履き替える。亜々宮が取っ捕まる前に退散しようとしているのに、智子は話しかけられてそれに応えてる。
 彼はため息をつき、智子を置き去りにして立ち去った。

「亜々宮。待ってよぉ」

 慌てて靴を履き替え表に出ると、十玖と美空に鉢合わせ、智子は慌ててお辞儀をした。

「十玖先輩。お久しぶりです。斉木先輩こんにちは」
「智ちゃん一人?」

 辺りを見回すが、弟の姿は見えない。

「知ってる子?」
「亜々宮の彼女」
「へえ~」
「先輩。すみません。亜々宮に置いてかれちゃったんで、良いですか?」

 校門の方を指して、今にも走り出しそうだ。

「引き留めてごめんね。追っ駆けてやって」
「ありがとうございます。お先です」

 言うが早いか走り出すのが早いか。途中で智子は振り返り、「次の金曜ライヴ行きますねぇ」と大きく手を振って、亜々宮の元に急いだ。



 亜々宮は本当に気難しいと思う。
 置いて行ったくせに、途中で待っていてくれるあたり優しいのだが、年々偏屈になっている気がする。

 大体末っ子と言うのは要領が良くて、人懐っこく憎めないタイプが多いはずなのだが、心を許したものにしか優しさを見せない。小学生の時はもう少しマシだった。

 頭は良いし、イケメンなんだからもっと自信を持ってもいいと思うのに、天駆のことは普通に兄として慕っていても、十玖に対してコンプレックスの塊だ。
 十玖を切り離して考えればいいのに、それが出来ないほど囚われている。裏を返せばそれだけ十玖に憧れているのだろうけど、素直に認める事も出来ない不器用な性格だ。

 年の近い男兄弟ってこんなものなのだろうか?

 智子にしたら、十玖よりも亜々宮の方がイイ男なのだが、全くわかってない。でもそんな亜々宮が可愛いと思ってる。
 繋いだ手に僅かばかり力を入れる。彼は微笑んで握り返してきた。

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