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7. 怜、果たして彼女は本当に自分を好きなのか?

怜、果たして彼女は本当に自分を好きなのか? ⑭ 【R18】

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 怜の言葉通り、いっぱい可愛がって貰った翌日の目覚めは、いつにもまして気怠いものだった。
 腰が重怠い。
 この調子で毎日頂かれたら、色んな意味で壊れる。
 緩慢な動きで起き上がり、短く嘆息した。すると突然後ろに倒され、枕に沈んだ梓は呆然とした面持ちで目を瞬く。犯人は言うまでもない。グイッと伸ばされ肩を掴んだ怜の腕が、彼女の胸の上でずっしりと重い。

「あの、怜くん」
「……ん?」
「腕、重いんですけど」
「腕より重いのがいつもアズちゃんの上に乗っかってるでしょ」

 半分寝惚けている声で、何と言う切り返しをしてくるのだか。
 取り敢えず分かったのは、腕を退けるつもりはないようだ。
 返す言葉がなくて、ジト目で怜を見る。彼は俯せた枕から顔半分を覗かせ、ふふっと笑った。その無防備で蕩けそうな微笑みに、心臓鷲掴みされて思わず身悶えてしまう。
 怜の笑顔に毎回懐柔され、なし崩しにされると解っていながら、やっぱり眼福だと思ってしまう自分は、結構爛れているのだろう。香子のことをあまり酷くは言えないなと苦笑してしまう。

「何笑ってるの?」

 眉を寄せた怜が、顔を覗き込んでくる。
 怜の笑顔が曲者だと言えず、躊躇した挙句に目を逸らしてしまった。ヤバいと思っても後の祭りだ。
 隣からひんやりとした空気を感じるのは、気のせいなんかではないだろう。

「僕以外のことだったら怒るよ?」
「あの……っあ」

 肩を掴んでいた手がするりと左の乳房を掌に包み込んで、指の形に食い込んだ。怜が足を絡め、じわじわと這い上がって来る。
 腰にいきり勃ったモノを感じ、梓は慌てて怜の胸を押し返した。

「だ、ダメダメダメ。これからお義母さんたちと衣装合わせッ!」
「そんなの待たせればいいよ」
「ダメだから!」

 怜はいい。実の息子だし。
 けど梓はそう言う訳にはいかない。
 凛子たちが多忙の中、時間を作ってこちらの休みに合わせてくれたのだ。待たせるなんてとんでもない事だ。
 なのに怜の絡めた足が抗えない力で梓の脚を開き、身を滑り込ませてくる。既に硬く勃ち上がった肉杭が梓の秘裂に宛がわれ、存在を誇示するようにぐりぐりと押し付けられた。その切先が敏感な花芯を擦り、腰が勝手に跳ねる。

 お腹の奥に生まれた熱に、梓の頬にも朱が走った。
 昨夜も気が変になりそうな程愛されたのに、まだ足りないと言うのだろうか?
 熱く滾った淫茎に嬲られた花弁が、ぬるりとした蜜を零して誘い込もうとしていては、どんな言い訳も通用しない。身体は怜が欲しいと雄弁に語っている。
 けれど、理性はまだ残っていた。

「お願い。待って。言うから……ぁん」

 白状すると言っているのに、怜の腰の動きに変わりはなく、ぬるぬると滑らせては梓の気持ち良い所を刺激する。
 怜の冷めた眼差しが怖い。
 見下ろす怜の顔を束の間じっと見つめ、彼の胸に手を添える。梓は伏し目がちになって口を開いた。

「怜くんに何されても、笑い掛けられただけで身悶えちゃうあたしって、香子のこと言えないくらい爛れてるって……えっ!? やん」

 言い終わらないうちに、蜜口をこじ開けてくる圧迫感に、目を見開いて怜を見た。

「ごめん。そんな可愛いこと言われたら、我慢なんて無理」

 数時間前まで嫌と言うほど怜の愛を注がれた淫壁は、するりと呑み込んで纏わり付き、淫茎が脈を打ちながら更なる圧迫感を生む。

「あっ、や…だぁ……ダメ…だってば」
「それ無理。極力、早く終わらせるから、梓も、感じて」

 そう言って怜は梓の脚を肩に担ぐと、ぷっくりと赤く色付いた花芯を爪でカリカリと引っ掻き、上から刺し貫いた楔を深くまで突き立てた。




 凛子たちの待ち合わせには、結局三十分近く遅刻した。
 ドレス専門のブティックのロビーで、先に来ていた凛子たち三人に厳しい視線を向けられて、梓はひっと息を呑んだ。

 梓は貸衣装でいいと言ったのに、南条の嫁がそれでは困ると凛子に押し切られ、互いに譲歩してセミオーダーになったのだが、不承不承の来店だったとは言え、やはり三十分の遅刻は不味い。
 時間がないから早くしてと、少々苛立ち気味に言われて梓が恐縮すると、怜がムスッとして「なら帰れば」と膠もなく言い切った。凛子たちが気色ばみ、内心冷や汗を掻いていると、怜が不機嫌に言を継ぐ。

「着るのは梓なんだから、梓の好きな様にする。母さんたちは口出さなくていいから」
「な……」
「大体遅刻したのは、僕のせいなんだから。梓は時間がないって言ったのに、僕がベッドに引き摺り込んで放さなかったからだよ」

 怜のトンデモ発言に、梓は大槌で頭を殴られたような衝撃を受け、倒れ込みそうになった。そうならなかったのは、原因に抱き留められたからで、何と言う皮肉か。
 流石にそんな返しが来るとは思ってなかったのだろう。怜の下半身事情に言葉を失くし、頬を赤らめて暫らく固まっていた。
 最初に口火を切ったのは、やはり母だった。

「あらあらまあ。その様子だと、怜くんの赤ちゃん抱っこできるのも、意外と早いかしら?」
「授かりものなんだから、あんまり梓にプレッシャー掛けないでよ?」
「分かってます。怜くんをその気にさせただけでも、充分評価しているのよ? …もお出来てたりしないのかしら?」

 凛子がマジマジと梓のお腹に視線を注ぎ、手を伸ばそうとしてくる。怜がその手を掴んで止めた。

「母さん」

 ちょっと怖い顔をして凛子を見ると、彼女は咳払いをして踵を返し、店員に向かって歩いて行く。その店員に向けられた生暖かい微笑みに、梓はこの場からダッシュで逃げ出したくなった。無理だけど。

 それからドレスのラインを決めるのに、慌ただしい着せ替えが始まった。
 プリンセスラインだ、やれマーメイドだ、袖はない方が良いだろうとか、脚は見せるか見せないか、ドレスラインが決まると今度はレースはどれにするか、ティアラは、と梓を完全に置き去りにした三魔女の白熱ぶりに、怜と二人怯えた目で見てしまったのは仕方ないだろう。

 ようやく終わった頃には、屍のような顔色になった二人を残し、三魔女が意気揚々として職場、もしくは自宅へと戻って行った。

「怜くん」
「……ん?」
「結婚式、止めていい?」
「魔女が怪獣にランクアップしても良いなら」
「……ダメ」

 二人の会話を聞いていた店員が、何とも言えない笑顔を浮かべ、店を出て行く二人を見送った事には気付かなかった。

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