上 下
20 / 115
4. 怜、不測の事態に困惑し、結果突っ走ることにした

怜、不測の事態に困惑し、結果突っ走ることにした ⑤ 【R18】

しおりを挟む
 

 震えの走る淫猥な舌先が梓の耳殻を舐り続ける。
 最初は戸惑っていた怜の手も今は、柔らかな乳房を捉えて揉み拉き、指先が尖端を捻っては軽く弾く。梓は逃げようもないざわめきに支配され、身体から力を奪い取られていった。

 こんな事はいけないと頭では拒否しているのに、身体が言うことを利いてくれない。
 ずっと頭を占めていた兄の顔が、次第に追いやられそうになるのを止められなくなってきていた。
 気を抜いたら出そうになる声を、梓は唇を噛んで更に手で口を塞いでいる。怜はそんな彼女の反応を愉しげに見、「我慢しないで」と耳元で囁く。その甘やかなテノールに梓が弱いことを知っていての確信犯だ。

 怜は涙目でプルプル震える彼女の首筋に舌を這わせ、梓はチクッとした痛みを伴った痺れに遂に声を漏らしてしまった。勝利した怜からクスクス笑いが漏れ、梓は首筋に手を当てて問う眼差しで彼を見た。

「……っ!?」
「女の子って、結構簡単に痕が着くもんなんだね」
「……あ、と?」

 訝しげに怜を見上げると、彼はにっこりと微笑んで「キスマーク」と頷いた。
 その言葉を知らないわけじゃないけど、自分との関連性がこれまでになさ過ぎて、頭の中が疑問符だらけになっている隙に、面白がった怜が所々に赤い花弁を散らしていた。

「花吹雪」

 満足そうに笑っている怜を見上げながら、頭の中で『花吹雪?』と反芻してハッとした。気怠い首を擡げて、怜の視線の先に目を向ける。
 肩からお腹に掛けて、無数の赤い痕が散らばっていた。

「綺麗に付いたよ」
「…!!」

 瞬時に拳を繰り出していた。女の子独特のナヨッとしたパンチではなく、正拳突きと言われる方の。力が出ないと思っていたのに、怒りで瞬発的な力が湧いて出た。
 でもそれが怜に当たることはなく、あっさり去なされてベッドに縫い止められ、重なるように降りてきた怜の意地悪な微笑みに梓の顔が強ばった。

「ずっと唇噛んでたでしょ。真っ赤になって、これはこれで凄くいいね。色っぽい」

 怜の舌先が赤く充血した梓の唇をチロリと舐め、妖艶な微笑みを浮かべる。

(いーえッ! 寧ろあなたの方が色っぽいですから~ッ!)

 どんな女が頑張ったところで、怜の危ない色気には勝てないと思う。少なくとも梓は、怜の色気に勝っていると思った女性に出会ったことがない。

 怜はチュッチュッと音を立てながら梓の唇を啄み、縫い止めていた腕を彼の掌が滑る。やがてその手は脇を擽るように通り抜け、柔らかな双丘を掬い上げるようにして掌中に収めた。繊細な指先が頂を抓み、弾いては捻って刺激を与え続けられる。

 梓の吐息を奪い取るように、唇の隙間から怜の舌が滑り込んだ。
 いきなり口腔の奥まで進入されて逃げる場所を失った舌先を、怜の舌がねっとりと絡め取り、吸われ、梓の舌先を甘噛みしたまま彼の舌先が悪戯を仕掛けるように擽る。
 噛まれている所からじわじわと広がっていく感じが、気持ちいいと思い始めている自分が怖くなる。なのにそれを止めることも出来ないもどかしさ。

 怜に毒されてきている――――その自覚はあるけど、頭の芯までぼんやりして抗えない。もっと欲しいと強請る身体を制止できない。
 どうしようという思いが、自然と涙となって溢れた。
 彼はまた「ごめんね」と呟き、愛おしそうにキスを落としてくる。
 そんな言葉を吐いたって、怜が止まってくれない事はもう解っている。だからそれには答えない。
 不意に唇が遠く離れた。



 指の形に変形した乳房の硬く勃ち上がった頂を舐られ、身体の中心に熱が溜まっている。お腹の奥がきゅーっと何かを訴え、腰がひどく疼いて勝手に動いてしまう。梓は漏れてしまいそうな喘ぎを堪えることに必死で、無意識に膝を擦り合わせていた。
 怜が気付かないわけがない。「つらいの?」と滑らかな肌を撫で回していた彼の手が、ショーツの上から秘所に触れると、梓は咄嗟に脚をギュッと閉じ、首を左右に振った。

「や…そこ……だめ」
「濡れてるのに?」

 梓の抵抗など事も無げにスルーし、指先をクロッチ脇から忍び込ませる。ぬるりと滑った指先がぷっくりと膨らんだ花芯を見つけ出し、指の腹でくるくると愛で始めた。梓の腰はピクンピクンと震え、いやいやと首を振って怜の手を掴んだ。それでも指は甘やかな刺激を与え続ける。

「や…いや……ッん…ぅ……怖、い」
「怖くないよ。少しでも痛くない様に、気持ち良くしてあげるから。手、放して」

 涙目で首を振る梓に苦笑し、怜はするりと手を抜き取った。それで安堵した梓の手が離れると、彼は一気にショーツを剥ぎ取り、脚の間に割って入る。愕然とする梓を見下ろしてニヤリと笑った。

「僕の勝ち。アズちゃん往生際が悪過ぎ。諦めてって言ったでしょ」
「やっ! 怜くんの、バカッ!」
「…ふーん。アズちゃんのココ、こんななんだね」

 ニヤニヤ笑って脚を押し上げた怜が、腕で脚を押さえつつ、指で開いた秘所を観察しながら梓の腰の下で胡坐を掻く。戻れなくなった腰に梓は短い悲鳴を上げ、怜は反対の指を蜜口から花芯にツーっと滑らせた。  
 全身がぞわっと震え、襲ってきた疼きに子宮がキュッとなる。
 花芯をくるくる撫で回され、熱い吐息と甘い声がどんなに我慢しても漏れてしまう。梓の痴態をじっと観察している怜の視線にさえ、視姦されているようで小刻みに震えるのが止まらない。

「やぁ……っぁ…み…見ちゃ……んッ、あ……」
「ここって、亀頭と一緒だって知ってた? こうしてると気持ちイイでしょ?」

 わざとだ。わざと梓が恥ずかしくなる言葉を吐き、そしてくちゅくちゅと厭らしい水音を立てて追い立て、彼女の反抗する意思を奪っていく。
 蜜口の周囲で遊ばせていた指が不意に止まり、次にはつぷりと挿し込まれた。

「…ひっ」

 梓の身体に緊張が走った。
 花芯と同時に浅瀬を捏ね回され、カタカタと震え出して。

「…あぁ…んっ!!」

 自分の声に驚いて、梓は両手で口を塞ぎ固く目を瞑った。すると怜の指が更に奥へと押し進み、淫壁に指を立てながらゆっくりと中を掻き回し始める。目を瞑ることで却って敏感に指の動きを捉えてしまう。
 怜の長い指が深くまで抉り、押し上げ、擦る。
 梓の喉から殺しきれなくなった甘く熱い声と吐息が漏れ、怜の瞳に喜悦の色が浮かんだ。

「アズちゃんの膣内なか、凄く熱い。…あ、今キュッて、キッツイなぁ…はぁ……早く挿入はいりたい」

 潤んだ声に羞恥を煽られ、怜の指を締め付けた。それが恥ずかしくて梓の全身がカッと熱くなり、蜜口からとろりと愛液が零れる。怜はそれを指で掬い上げ、「…うん。悪くない」と声に愉悦を織り交ぜて言った。
 何が悪くないのか、梓は恐る恐る目を空けて怜を見遣ると、彼が自分の手指を舐めていて、手に付いたものが何なのかに思い至ると、梓は息を呑んで怜に手を伸ばした。

「やややっ! そんなの舐めちゃ!」
「? どうして?」
「汚いから!」
「そんな訳ないでしょ。アズちゃんなら全然問題なくイケる。今確信した」

 怜の赤い舌が自分の手を舐め上げるのを梓に見せつけ、淫靡に微笑む。
 腰がゾクリと震えた。

しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した

Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...