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3. 架純 ~女の純情なめんなよ

架純 ⑰ 【R18】

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 噎せ返るような薔薇の誘引する香りの中、黒珠は情欲に呑まれないように頭を振った。
 痛みと圧迫感が凄くて、架純は呼吸を忘れそうになる。

 痛くて何度も逃げたくなった。
 そうしなかったのは、黒珠も苦しそうな顔をしていたから。
 本当なら無理にでも隘路を拓きたいだろうに、ゆっくりと身を沈めて行く最中でも、架純を気遣ってくれる彼が愛おしい。

 黒珠はごめんと囁きながら、架純の勝気そうな双眸から勝手に溢れてくる涙を舌で掬い、口づけた。
 黒珠が時折呻き、苦し気に唇を噛んでは、息を殺して遣り過ごす。
 目元を赤く染め、己の欲が先走らないように堪えた黒珠の熱く潤んだ吐息が、架純の肌を撫でて行く。

 震えのくる艶っぽい眼差しが架純を捉え、ふっと細められた。束の間見せた黒珠の優しい微笑みに、暖かいものが胸いっぱいに広がって行くと、架純の表情も和らいで笑みを返していた。

(……すごい、大事にされてる)

 痛いし恥ずかしいけど。
 浅い所をゆっくりと、滾る雄芯が肉壁を擦る。ぢゅぷぢゅぷと卑猥な水音から耳を塞ぎかけた彼女の手を奪った黒珠の指が、架純の指と絡まってシーツに縫い留めた。目を瞠って黒珠を見上げた彼女に、ダメと唇の動きだけで伝えてくる。
 ぐりっと、先端に膣内を抉られた。信じられないような快感に襲われ、腰が大きく跳ね上がる。

「はぁん……いまの…ぁ……ぁっ、や~ぁ」
「架純の、イイトコ見つけた」

 そう言って黒珠は嬉しそうに目を輝かせ、腹側の肉壁を淫茎の先端で執拗に攻め始めた。

「やっ…そこぉ……お…おかしく、なるぅ……っぁん」
「おかしくなって。架純の可愛く乱れる顔見たい」

 架純の膝を抱いて、腰がグラインドする。
 ピンポイントで抉ってくる快感に押し上げられ、甘い嬌声を上げる架純は闇雲に頭を振った。
 鼓動が激しく鳴って頭の中に響いてくる。
 ガタガタ震える架純の腰を捕まえた黒珠の吐息に、微かな笑いが含まれているのを遠くに聞きながら、架純は大きく背中を逸らせて達した。
 蜜口がきゅっと窄まると、黒珠の「絞めるな」という切羽詰まった声がしたけど、自分の所為じゃないとばかりに頭を振る。すると黒珠は眉間に深い皺を寄せた。

「……! ぁっ、ダメッ。まだ…ぃ…てるぅ」

 余韻を残した腰を引き寄せた黒珠が、深く沈みこんで来ていた。いやいやと首を振る架純に哀願の目を向け、

「膣内で架純が厭らしく絡んで、俺のを呑み込もうとしてる…のに?」
「やっ。う、うそ「じゃないから。だからごめん」

 言葉を被せて来て、昂る雄を抽挿しながら捩じ込んできた。

「ま…てぇ……ひっ…た…ぃい」

 固くて太い黒珠のモノが、厭らしい音を立てて容赦なく架純の中を暴いていく。

「…はっ……ヤバい…架純ン中うねって……イキそう」

 抱いた架純の膝頭にキスを落とし、隠微な眼差しを向けてくる。
 その瞳の奥に交差する情欲と許しを乞う切望。
 架純は痛みを堪えるのに握り締めていた枕から指を離し、「ぎゅっとして」と両手を広げた。
 黒珠が泣きそうな笑みを浮かべて、架純に覆い被さって来た。項から滑り込むように手が差し込まれ、背中に回された腕が架純を抱きしめる。
 熱くなった肌に触れると黒珠の鼓動を感じた。しっとりと汗ばんだ彼の体臭を吸い込むと、少しずつ気持ちが解れて行く。

(……好きだなぁ、この匂い)

 通り過ぎ様に彼から香るのは、シトラス系の爽やかな香りだけど、いま架純を欲して漂わせる雄の匂いが堪らなく官能的で、イッたばかりの半身が疼いてくる。
 膣内なかに黒珠が欲しいと、子宮が訴えてくる。  
 彼の腕の中でもぞもぞと動き、左の頬に触れていた黒珠の耳元に囁いた。

「ねぇ…」
「ん?」

 顔を上げて架純の顔を見る黒珠に、「あの、ね」と躊躇いがちに言葉を繰り出した。黒珠が小首を傾げて続きを待っていて、架純は腹を括ると言を継いだ。

「……変に痛いのと怖いの長引かせるなら、もお一気にやっちゃって。ピアスホール開けるみたいにバンッ! て」
「ピアスと一緒かよ」
「アレだって結構勇気いったんだからね。あたしの人生で、トップの痛さだったし。大丈夫。喉元過ぎれば何とやらって言うし」

 少々呆れた顔になる黒珠の首に腕を絡め、軽く引き寄せる。驚いている黒珠に架純の唇が弧を描いた。

「あたしを、黒珠の女にして」
「…喜んで」

 そう言って満面の笑顔を向けてくる黒珠に、胸がキュンとする。

(もお、ホントこのまま死んでもいいっ……や。良くないか。迷惑かけられない。…ああっ。でも、幸せ過ぎて死にそう)

 啄むキスを落とされながらそんな事を考えていたら、「好きだよ」と囁かれたのと同じくして一気に貫かれた。
 目の前がハレーションを起こし、息が詰まった架純がもがく様に黒珠に縋りつく。彼の腕の中で痛みに打ち震えている架純の頭を撫でながら、黒珠は額、頬、と口づける。

 一気にやってくれとは言ったけど、その前に一言言ってくれてもいいのにと思う反面、宣言されたら忽ち緊張してたかも知れない。
 だからこれで良かったのだと自分を納得させようとするけど、下半身の痛みと圧迫感、それと少々の驚きに涙腺が壊れた。


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