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第二十四話

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「デュバル公爵、落ち着いた?」

「はい……大変失礼致しました。それでこの部屋は?」

イオスは、デュバルに部屋の秘密、セーラが暗殺に来た事とその理由、フォスから隠して、この部屋で保護した事などを全て話した。ただし、イオスかミッドナイト商会の代表である事は伝えなかった。

これは、セーラと打ち合わせしていた通りだ。ミッドナイト商会の事だけは、絶対に誰にも明かさないと決めていた。

「この部屋は、街の外に出られるんだ。だからオレは、ミッドナイト商会でセーラの経歴を買った」

「なんと……あの商会は後ろ暗い事は引き受けてくれないのでは……?」

「ああ、だから代表の女性にだけは全ての事情を話してある。彼女も最初は受けてくれなかったが、独自に調べてくれて、オレの言葉を信じてくれた。兄貴が皇帝になれば商売がやりにくくなるからとな。ただし、今回きりにしろ。オレが皇帝になってもミッドナイト商会を贔屓するなと言われた」

「贔屓しろではなく、するな……ですか?」

「ああ、贔屓されるほど落ちぶれてないと笑われたよ」

「なるほど、ミッドナイト商会の代表は誇り高い女性のようですな」

「ええ、素晴らしい女性ですわ」

「セーラ様の立ち振る舞いも、ミッドナイト商会で習われたのですか?」

「いいえ、幼い頃から平民の立ち振る舞いを叩き込まれるの」

「……なんと!」

「うちは小さな国からだったから、極秘の視察もあるし、平民の事を知らなければ王族ではないって教えがあるの」

「そうだったのですね、全く気が付きませんでした」

「オレですら分からなかったからな。さすがセーラだ」

「ふふっ、フォス様も、フランツも気がつかなかったわ。フォス様はセーラに似てるが気品が足りないと、フランツには、無礼だ平民! って言われたわ。そうそう、フランツは、フォス様を次期皇帝って断言してたわよ」

「……それは既に、城の中で噂になっております。おかげで、イオス様は一気に有利になりました。特に、平民出身の貴族は全員イオス様を支持しています。フォス様は禁句を仰いましたので」

「禁句? 兄貴は何を言ったんだ?」

「「平民が、貴族になるなど烏滸がましい」」

セーラとデュバルが、声を揃えて言った。イオスは、そのような発言があり得るのかと驚いた。

「デュバル公爵、兄貴は歴史を知らないのか?」

「王家として、仕事をしなければ知り得ません。王子教育で習う事ではありませんので」
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