1 / 7
第一話
しおりを挟む
「かしこまりました。王家からの御命令で婚約破棄ですね。では、既定の慰謝料をお支払い致します。今後、王子と王子の関係者は、私と私の関係者に二度とお会いしないよう魔法契約を致しましょう」
「ふん、殊勝な態度だな。これで契約は成立だ。二度と会わないのだから、慰謝料はすぐに払え」
「もちろんです。執事に命じて急いでご用意させて頂きました。今後は、契約通り私と、私の関係者はこの国を出て行きます」
「お前のような田舎貴族が僕の婚約者など父上は何を考えておられたんだ。二度と王都に来るなよ」
「はい、かしこまりました。国を出ますから二度とこの国に足を踏み入れません。では、こちらに受け取りのサインを、すぐに魔法で国中に告知されます。国を出るまで1週間の猶予を頂きますね」
「3日だ。3日で出ていけ」
「かしこまりました。たった今、王子の御命令を関係者各所に魔道具で通知しました。王子の命令で3日で出て行く事になった為、急いで準備しろと申しつけます。残念ですが、現在この国に残っている商会の財産は放棄するしかありませんね。ついてきてくれる従業員はどのくらいいるかしら……」
王子はそう聞いて、いやらしい笑みを浮かべている。私が苦労して作った商会をタダで乗っ取ろうとしてるみたいね。3日で出て行けなんて無茶だから、従業員は残るだろうと思ってるのかしら。
私は、子爵家の当主。両親はもう他界したから執事の助けを借りて必死で領地経営をしてきた。そこそこの魔法の技術と、類稀なる商売の才能があった為になんとか領地を保てているが、商売の才能が評価されて、なりたくもない王子の婚約者とされてしまった。
けど、私はどうしても王子が好きになれなかった。顔は良いけどものすごく傲慢で、私を見下す王子なんて好きになれる訳ない。
私の誕生日には花ひとつ寄越さない癖に、自分の誕生日には、高額な物を当たり前のように要求して、用意出来なければ暴力を振るう。
お金がなかった王家に援助してるのは私の商会なのに、すっかり忘れて援助したお金を無駄遣いする。国民のために使えっつーの! 王子につられて、国王も王妃も贅沢するようになった時この国は終わりだと思ったわ。
今日は、王子がお気に入りの歌姫を披露するとか言って勝手に貴族を呼んでパーティを開いている。費用はすべて私持ち。どーしても我慢できなくて、誰にも聞こえないような小声でチクリと嫌味を言ったら大声で婚約破棄を突き付けられた。だから子どもをなだめるように説明したわ。
破棄をすれば、王家への援助はなくなること。
破棄をすれば、我が領地は独立すること。
そして、
領地が独立するのだから、慰謝料は私が払う事。
そしたら、王子は私の爵位を取り上げて、国から出て行くように命令した。
わたくしも貴族の端くれ。王家の命令には逆らえない。
国から出て行くから、領地は取り上げられる。
でも、契約は無効にならないから慰謝料は払わないといけない。
無茶苦茶だけど、これが通るのが王族の怖いところよね。特に今回は、王子に大臣というブレーンが付いてしまったから。
この国を出るしかない私は、大事にしている商会の従業員は連れて行かせてくれと懇願した。そうしたら慰謝料を上乗せすれば認めてやると言われたわ。
「ふん、殊勝な態度だな。これで契約は成立だ。二度と会わないのだから、慰謝料はすぐに払え」
「もちろんです。執事に命じて急いでご用意させて頂きました。今後は、契約通り私と、私の関係者はこの国を出て行きます」
「お前のような田舎貴族が僕の婚約者など父上は何を考えておられたんだ。二度と王都に来るなよ」
「はい、かしこまりました。国を出ますから二度とこの国に足を踏み入れません。では、こちらに受け取りのサインを、すぐに魔法で国中に告知されます。国を出るまで1週間の猶予を頂きますね」
「3日だ。3日で出ていけ」
「かしこまりました。たった今、王子の御命令を関係者各所に魔道具で通知しました。王子の命令で3日で出て行く事になった為、急いで準備しろと申しつけます。残念ですが、現在この国に残っている商会の財産は放棄するしかありませんね。ついてきてくれる従業員はどのくらいいるかしら……」
王子はそう聞いて、いやらしい笑みを浮かべている。私が苦労して作った商会をタダで乗っ取ろうとしてるみたいね。3日で出て行けなんて無茶だから、従業員は残るだろうと思ってるのかしら。
私は、子爵家の当主。両親はもう他界したから執事の助けを借りて必死で領地経営をしてきた。そこそこの魔法の技術と、類稀なる商売の才能があった為になんとか領地を保てているが、商売の才能が評価されて、なりたくもない王子の婚約者とされてしまった。
けど、私はどうしても王子が好きになれなかった。顔は良いけどものすごく傲慢で、私を見下す王子なんて好きになれる訳ない。
私の誕生日には花ひとつ寄越さない癖に、自分の誕生日には、高額な物を当たり前のように要求して、用意出来なければ暴力を振るう。
お金がなかった王家に援助してるのは私の商会なのに、すっかり忘れて援助したお金を無駄遣いする。国民のために使えっつーの! 王子につられて、国王も王妃も贅沢するようになった時この国は終わりだと思ったわ。
今日は、王子がお気に入りの歌姫を披露するとか言って勝手に貴族を呼んでパーティを開いている。費用はすべて私持ち。どーしても我慢できなくて、誰にも聞こえないような小声でチクリと嫌味を言ったら大声で婚約破棄を突き付けられた。だから子どもをなだめるように説明したわ。
破棄をすれば、王家への援助はなくなること。
破棄をすれば、我が領地は独立すること。
そして、
領地が独立するのだから、慰謝料は私が払う事。
そしたら、王子は私の爵位を取り上げて、国から出て行くように命令した。
わたくしも貴族の端くれ。王家の命令には逆らえない。
国から出て行くから、領地は取り上げられる。
でも、契約は無効にならないから慰謝料は払わないといけない。
無茶苦茶だけど、これが通るのが王族の怖いところよね。特に今回は、王子に大臣というブレーンが付いてしまったから。
この国を出るしかない私は、大事にしている商会の従業員は連れて行かせてくれと懇願した。そうしたら慰謝料を上乗せすれば認めてやると言われたわ。
33
お気に入りに追加
384
あなたにおすすめの小説
【完結】地味と連呼された侯爵令嬢は、華麗に王太子をざまぁする。
佐倉穂波
恋愛
夜会の最中、フレアは婚約者の王太子ダニエルに婚約破棄を言い渡された。さらに「地味」と連呼された上に、殺人未遂を犯したと断罪されてしまう。
しかし彼女は動じない。
何故なら彼女は──
*どうしようもない愚かな男を書きたい欲求に駆られて書いたお話です。
見た目普通の侯爵令嬢のよくある婚約破棄のお話ですわ。
しゃち子
恋愛
侯爵令嬢コールディ・ノースティンはなんでも欲しがる妹にうんざりしていた。ドレスやリボンはわかるけど、今度は婚約者を欲しいって、何それ!
平凡な侯爵令嬢の努力はみのるのか?見た目普通な令嬢の婚約破棄から始まる物語。
ざまぁを回避したい王子は婚約者を溺愛しています
宇水涼麻
恋愛
春の学生食堂で、可愛らしい女の子とその取り巻きたちは、一つのテーブルに向かった。
そこには、ファリアリス公爵令嬢がいた。
「ファリアリス様、ディック様との婚約を破棄してください!」
いきなりの横暴な要求に、ファリアリスは訝しみながらも、淑女として、可憐に凛々しく対応していく。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
お姉様は嘘つきです! ~信じてくれない毒親に期待するのをやめて、私は新しい場所で生きていく! と思ったら、黒の王太子様がお呼びです?
朱音ゆうひ
恋愛
男爵家の令嬢アリシアは、姉ルーミアに「悪魔憑き」のレッテルをはられて家を追い出されようとしていた。
何を言っても信じてくれない毒親には、もう期待しない。私は家族のいない新しい場所で生きていく!
と思ったら、黒の王太子様からの招待状が届いたのだけど?
別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0606ip/)
体裁のために冤罪を着せられ婚約破棄されたので復讐した結果、泣いて「許してくれ!」と懇願されていますが、許すわけないでしょう?
水垣するめ
恋愛
パーティ会場、観衆が見守る中、婚約者のクリス・メリーズ第一王子はいきなり婚約破棄を宣言した。
「アリア・バートン! お前はニア・フリートを理由もなく平民だからと虐め、あまつさえこのように傷を負わせた! そんな女は俺の婚約者に相応しくない!」
クリスの隣に立つニアという名の少女はクリスにしがみついていた。
彼女の頬には誰かに叩かれたように赤く腫れており、ついさっき誰かに叩かれたように見えた。
もちろんアリアはやっていない。
馬車で着いてからすぐに会場に入り、それからずっとこの会場にいたのでそんなことを出来るわけが無いのだ。
「待って下さい! 私はそんなことをしていません! それに私はずっとこの会場にいて──」
「黙れ! お前の話は信用しない!」
「そんな無茶苦茶な……!」
アリアの言葉はクリスに全て遮られ、釈明をすることも出来ない。
「俺はこいつを犯罪者として学園から追放する! そして新しくこのニアと婚約することにした!」
アリアは全てを悟った。
クリスは体裁のためにアリアに冤罪を被せ、合法的に婚約を破棄しようとしているのだ。
「卑怯な……!」
アリアは悔しさに唇を噛み締める。
それを見てクリスの傍らに立つニアと呼ばれた少女がニヤリと笑った。
(あなたが入れ知恵をしたのね!)
アリアは全てニアの計画通りだったことを悟る。
「この犯罪者を会場から摘み出せ!」
王子の取り巻きがアリアを力づくで会場から追い出す。
この時、アリアは誓った。
クリスとニアに絶対に復讐をすると。
そしてアリアは公爵家としての力を使い、クリスとニアへ復讐を果たす。
二人が「許してくれ!」と泣いて懇願するが、もう遅い。
「仕掛けてきたのはあなた達でしょう?」
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
【完結】あなた、私の代わりに妊娠して、出産して下さい!
春野オカリナ
恋愛
私は、今、絶賛懐妊中だ。
私の嫁ぎ先は、伯爵家で私は子爵家の出なので、玉の輿だった。
ある日、私は聞いてしまった。義父母と夫が相談しているのを…
「今度、生まれてくる子供が女の子なら、妾を作って、跡取りを生んでもらえばどうだろう」
私は、頭に来た。私だって、好きで女の子ばかり生んでいる訳じゃあないのに、三人の娘達だって、全て夫の子供じゃあないか。
切れた私は、義父母と夫に
「そんなに男の子が欲しいのなら、貴方が妊娠して、子供を産めばいいんだわ」
家中に響き渡る声で、怒鳴った時、
《よし、その願い叶えてやろう》
何処からか、謎の声が聞こえて、翌日、夫が私の代わりに妊娠していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる