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「その通りです……こんな……こんな素晴らしい歌……初めて聴きました……!」
感動のあまり涙を流しているのは、音楽神の神殿の神官長様。今回のキーパーソンだ。
実は、台風で壊れたのは個人の家だけではない。いくつかの神殿も被害にあった。この世界、いろんな神様がいて信仰心が高い人も多い。
わたくしは王族になってから、神殿に寄進したりボランティアに行ったりして関係を築いてきた。贔屓にならないように平等に行ってきたが……音楽神の神殿ではアル様の曲のオルゴールを寄付しておいた。音楽神を信仰してるだけあり、オルゴールはアッという間に国中の神殿に回った。
これで、第二段階がクリア。
このまま神官長にアル様の歌を聴かせようと思っていたら、災害が起きてそれどころではなくなった。作ろうとしていた離宮の予算を削り、離宮を作る予定だった職人を復興の為に派遣した。
そして閃いたのだ。
王族が派手な歌やダンスをするのは駄目。けど、民の為なら?
神官長は喜んで受け入れてくれた。国王陛下の許可も取れた。
あとは、王太子殿下。すっかり仲良くなった王太子妃様も巻き込んで、一度で良い、アル様の歌を聞いてくれと頼んだ。
歌い手でもないのに、人々を慰めるなんて出来る訳ない。そう言って頑なだった王太子殿下も、妻に説得されて一度だけアル様の歌を聴くと約束してくれた。
歌を聞いて貰えさえすればこちらの勝ちだ。アル様の歌はみんなを元気にする。
王太子殿下のように保守的な人への対策も完璧だ。聞いた事のない曲はなかなか受け入れられない。だから、オルゴールにして曲を流行らせた。
こうすれば、前世で言うところクラシックを少しアレンジしたもの。くらいの扱いになる。
「王太子殿下! アル様は民の為に歌おうとなさっておられます。どうか、お願いします」
「アルフレッド、お前の歌は民を元気にする。もし良ければ、演奏会をしてみないか? 収益を被害者の為に使うというアマンダの案も悪くない」
「アマンダ……いつの間に……そんな案を……」
「アル様の歌は、もっともっとたくさんの人々に届けるべきですわ。わたくしだけで独り占めするなんて勿体ないです」
「そうですぞ! こんな、こんな素晴らしい歌……初めて聴きました!! 踊りも芸術です! アルフレッド殿下、どうか! どうかもう一度お聞かせ下さい!!!」
あ、予想以上に神官長様の心にクリティカルヒットしちゃったみたい。むぅ、なんだか悔しい。
「神官長様。アル様のファン第一号はわたくしです。誰にも譲りませんわよ。でも、ファンが増えるのは大歓迎です。アル様の魅力を国中……いえ、世界中にお届けしますわ!」
見た事のない歌を歌い、見た事のなダンスを踊る王子がいる。彼は家の無くなった民の為、一度限りの演奏会を行った。そのあまりの素晴らしさに民は魅了され、再び聴きたいと王に嘆願した。
優しい王子は民の為に歌い、踊った。
得られた利益は全て貧しい者達の為に使われ、彼を目指して歌や踊りの研究をする若者が増えた。王子の国は音楽の都となり、新たな文化の発信基地となった。
王子は王弟になってからも定期的に歌や踊りを民に魅せてくれる。チケットは争奪戦で、貴族であっても簡単に手に入らない。
伝説と呼ばれる王弟の演奏会は、指定席が存在する。彼が溺愛している妻の為の席だ。彼女は誰よりも嬉しそうに、幸せそうに演奏会を鑑賞している。
感動のあまり涙を流しているのは、音楽神の神殿の神官長様。今回のキーパーソンだ。
実は、台風で壊れたのは個人の家だけではない。いくつかの神殿も被害にあった。この世界、いろんな神様がいて信仰心が高い人も多い。
わたくしは王族になってから、神殿に寄進したりボランティアに行ったりして関係を築いてきた。贔屓にならないように平等に行ってきたが……音楽神の神殿ではアル様の曲のオルゴールを寄付しておいた。音楽神を信仰してるだけあり、オルゴールはアッという間に国中の神殿に回った。
これで、第二段階がクリア。
このまま神官長にアル様の歌を聴かせようと思っていたら、災害が起きてそれどころではなくなった。作ろうとしていた離宮の予算を削り、離宮を作る予定だった職人を復興の為に派遣した。
そして閃いたのだ。
王族が派手な歌やダンスをするのは駄目。けど、民の為なら?
神官長は喜んで受け入れてくれた。国王陛下の許可も取れた。
あとは、王太子殿下。すっかり仲良くなった王太子妃様も巻き込んで、一度で良い、アル様の歌を聞いてくれと頼んだ。
歌い手でもないのに、人々を慰めるなんて出来る訳ない。そう言って頑なだった王太子殿下も、妻に説得されて一度だけアル様の歌を聴くと約束してくれた。
歌を聞いて貰えさえすればこちらの勝ちだ。アル様の歌はみんなを元気にする。
王太子殿下のように保守的な人への対策も完璧だ。聞いた事のない曲はなかなか受け入れられない。だから、オルゴールにして曲を流行らせた。
こうすれば、前世で言うところクラシックを少しアレンジしたもの。くらいの扱いになる。
「王太子殿下! アル様は民の為に歌おうとなさっておられます。どうか、お願いします」
「アルフレッド、お前の歌は民を元気にする。もし良ければ、演奏会をしてみないか? 収益を被害者の為に使うというアマンダの案も悪くない」
「アマンダ……いつの間に……そんな案を……」
「アル様の歌は、もっともっとたくさんの人々に届けるべきですわ。わたくしだけで独り占めするなんて勿体ないです」
「そうですぞ! こんな、こんな素晴らしい歌……初めて聴きました!! 踊りも芸術です! アルフレッド殿下、どうか! どうかもう一度お聞かせ下さい!!!」
あ、予想以上に神官長様の心にクリティカルヒットしちゃったみたい。むぅ、なんだか悔しい。
「神官長様。アル様のファン第一号はわたくしです。誰にも譲りませんわよ。でも、ファンが増えるのは大歓迎です。アル様の魅力を国中……いえ、世界中にお届けしますわ!」
見た事のない歌を歌い、見た事のなダンスを踊る王子がいる。彼は家の無くなった民の為、一度限りの演奏会を行った。そのあまりの素晴らしさに民は魅了され、再び聴きたいと王に嘆願した。
優しい王子は民の為に歌い、踊った。
得られた利益は全て貧しい者達の為に使われ、彼を目指して歌や踊りの研究をする若者が増えた。王子の国は音楽の都となり、新たな文化の発信基地となった。
王子は王弟になってからも定期的に歌や踊りを民に魅せてくれる。チケットは争奪戦で、貴族であっても簡単に手に入らない。
伝説と呼ばれる王弟の演奏会は、指定席が存在する。彼が溺愛している妻の為の席だ。彼女は誰よりも嬉しそうに、幸せそうに演奏会を鑑賞している。
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