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「俺はアマンダが見てくれたら満足だから、気にすんな」

アル様は、ユナ様だったんだから……もっともっと自分の歌を、踊りを、たくさんの人に見て欲しいと思っているに違いない。

でないと、アイドルなんて過酷な職業を選ばない。けど、今は……まだ駄目だ。

わたくしだって貴族の娘。
王族が派手なパフォーマンスをするリスクは、充分理解している。

けど……叶えたい。
届けたい。アル様とユナ様の、素敵な歌やダンスを。

「アマンダ? どうした?」

「わたくし、もっともっと頑張りますわ。アル様の伴侶に相応しい力や能力をもっと身に付けます」

「待て! アマンダは今のままで充分だ! 教えただろ! アマンダは王妃教育も終わってるくらいに賢いんだ。ぶっちゃけ、兄上の婚約者と同等かそれ以上だ。家の権力を考えれば、マリオンがアマンダを欲しがるのは当然だ! ぜってぇ渡さねえけどな!」

先日、アル様のお兄様が立太子した。結婚式ももうすぐだ。王太子妃になる方は、穏やかで優しく、とても美人。わたくしも何度かお話ししたが、良い人で大好きだ。アル様とお兄様がそれなりに話すようになったので最近はよくお茶をしている。レベッカ様もお誘いしたらとても喜んで頂けた。

王妃様の不正が発覚して離宮に幽閉され、レベッカ様のご実家は伯爵家となった。だからレベッカ様のお立場は少し不安定なんだけど、レベッカ様自身は何もしておられなかったので堂々と社交をなさっている。

騎士団長様も、レベッカ様を離す気は無いそうだ。相変わらず素敵なご夫婦だと思う。

アル様はわたくしの頬をそっと撫でて、ニヤリと笑うと強く抱き締めた。アンナの足音が聞こえる。

「相変わらずプルプル震えてんなぁ。そんな可愛い顔、俺の前以外ですんなよ」

あぅ、推しに可愛いって言われたぁ!
嬉しい! 嬉しいよぉ!

「アマンダ、愛してる」

そう言ってアル様は、わたくしの頬に口付けをした。

「これ以上は、結婚してからな」

その笑みは、わたくしが死ぬ前に見たユナ様の笑みと同じだった。
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