上 下
34 / 56

33 【アルフレッド視点】

しおりを挟む
アマンダが倒れた。もうお前だけに任せていられない。悪いが、こちらも動く。アマンダは部屋から出ず、笑顔もない。早急に帰って来い。でないと、結婚は認めん。

リチャードから殴り書きされた手紙が来た。なんでアマンダが倒れるんだ。理由は全く書かれてない。

くそっ!

俺は急いで帰国準備を始めた。この国でやるべき事はほとんど終わっている。あとは、キャサリン王女の婚約式を見届けるだけだったのだが……そんなの待ってられるか。

俺はすぐに帰ると国王に伝え、認められた。帰国準備をしている最中に、キャサリン王女が婚約者と共に訪ねて来た。

「アルフレッド聞いたわよ。本当に帰るの?」

「ああ。もう充分だろ。あとはそっちでやれ。アマンダが倒れたんだ。なんと言われても帰るからな。おかげで最後のピースも揃ったし、キレたリチャードが先走っても、後でフォロー出来る」

「あの偉そーな王妃様も終わりだね。それにしてもアルフレッドはアマンダが大好きだよね。アマンダの友人だからって理由で、あの子を見逃したんでしょ?」

「レベッカ嬢は元々あの家と折り合いが悪かったし、悪事に一切関わってない。騎士団長が構わないと言うのなら、俺が手を出す理由はない」

「ふーん。本当に? わざわざわたくしを軟禁してまでアマンダに会いに行ったのも、アルフレッドが結婚式に参列して関係を主張する為でしょう? あの家が関わってるなら絶対アルフレッドを招待しない。けど、アマンダの付き添いなら参加出来るって言ってたじゃない。まぁ、本音は可愛い婚約者に会いたかっただけだろうけど」

「うるせぇよ。暇しねぇようにクリスを連れて来てやったんだから文句言うな」

キャサリンは、自国に恋人を残して来ていた。しかも、秘密の恋人ときたもんだ。

身分差があったせいで、なかなか認められなかったらしい。その話を聞いた俺は、以前のように裏で動く事にした。

見返りは、王妃を追い詰める為の人材の貸与。

王妃の実家は、派手好きが災いして家計が火の車だった。その為、王妃が国費を横流ししてやがった。

王妃の私財なら問題ねぇが、国費は駄目だ。

けど、さすが王妃なだけあって上手く隠してやがった。

俺はもうすぐ立太子する兄を味方に引き入れた。兄は王妃のヒステリックな言動を嫌っており、一定の距離を置いていた。完全に信用は出来ねぇが、利害関係の一致ってヤツだ。兄は王になりたい。俺は絶対なりたくねぇ。それなら手を組むのも自然だろう。

父や兄から人を回して貰う事も考えたが、どこで王妃と繋がってるか分からねえ。だからキャサリン王女の影を貸して貰った。王女の影は優秀で、あっという間に情報を集めてくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

【完結】今夜さよならをします

たろ
恋愛
愛していた。でも愛されることはなかった。 あなたが好きなのは、守るのはリーリエ様。 だったら婚約解消いたしましょう。 シエルに頬を叩かれた時、わたしの恋心は消えた。 よくある婚約解消の話です。 そして新しい恋を見つける話。 なんだけど……あなたには最後しっかりとざまあくらわせてやります!! ★すみません。 長編へと変更させていただきます。 書いているとつい面白くて……長くなってしまいました。 いつも読んでいただきありがとうございます!

えっと、先日まで留学していたのに、どうやってその方を虐めるんですか?

水垣するめ
恋愛
公爵令嬢のローズ・ブライトはレイ・ブラウン王子と婚約していた。 婚約していた当初は仲が良かった。 しかし年月を重ねるに連れ、会う時間が少なくなり、パーティー会場でしか顔を合わさないようになった。 そして学園に上がると、レイはとある男爵令嬢に恋心を抱くようになった。 これまでレイのために厳しい王妃教育に耐えていたのに裏切られたローズはレイへの恋心も冷めた。 そして留学を決意する。 しかし帰ってきた瞬間、レイはローズに婚約破棄を叩きつけた。 「ローズ・ブライト! ナタリーを虐めた罪でお前との婚約を破棄する!」 えっと、先日まで留学していたのに、どうやってその方を虐めるんですか?

【完結】王子様に婚約破棄された令嬢は引きこもりましたが・・・お城の使用人達に可愛がられて楽しく暮らしています!

五月ふう
恋愛
「どういうことですか・・・?私は、ウルブス様の婚約者としてここに来たはずで・・・。その女性は・・・?」 城に来た初日、婚約者ウルブス王子の部屋には彼の愛人がいた。 デンバー国有数の名家の一人娘シエリ・ウォルターンは呆然と王子ウルブスを見つめる。幸せな未来を夢見ていた彼女は、動揺を隠せなかった。 なぜ婚約者を愛人と一緒に部屋で待っているの? 「よく来てくれたね。シエリ。  "婚約者"として君を歓迎するよ。」 爽やかな笑顔を浮かべて、ウルブスが言う。 「えっと、その方は・・・?」 「彼女はマリィ。僕の愛する人だよ。」 ちょっと待ってくださいな。 私、今から貴方と結婚するはずでは? 「あ、あの・・・?それではこの婚約は・・・?」 「ああ、安心してくれ。婚約破棄してくれ、なんて言うつもりはないよ。」 大人しいシエリならば、自分の浮気に文句はつけないだろう。 ウルブスがシエリを婚約者に選んだのはそれだけの理由だった。 これからどうしたらいいのかと途方にくれるシエリだったがーー。

義理の妹が妊娠し私の婚約は破棄されました。

五月ふう
恋愛
「お兄ちゃんの子供を妊娠しちゃったんだ。」義理の妹ウルノは、そう言ってにっこり笑った。それが私とザックが結婚してから、ほんとの一ヶ月後のことだった。「だから、お義姉さんには、いなくなって欲しいんだ。」

処理中です...