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15【アルフレッド視点】

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「リチャード、アマンダをよろしくな。絶対男に会わせないでくれよ」

「分かってる。アルフレッドはさっさと王妃様をなんとかしろ。アマンダが安心して結婚出来ないなら、更に結婚を延期させるからな」

「それは困る。俺はそんなに我慢強くないんだ」

アマンダと婚約してから、俺の生活は変わった。もちろん、良い方向に。

アマンダは恐ろしいくらい賢い子で、あっという間に妃教育を終えた。勉強が好きだと言っていたが、あの歳で3カ国語を理解してるのは凄過ぎる。

他の分野の覚えも早かった。中身が大人だとしても異常なスピードで、担当した教師はアマンダなら王妃になれると褒めちぎっていた。

俺は急いで父を説得して、教師を解雇してもらった。余計な事を広められたら困るので、他国へ留学させて黙らせた。元々、留学したがっていたので費用を父と公爵家が払うからアマンダの事を黙っていろと命令したのだ。

テイラー公爵も、リチャードもアマンダが王妃になる事を望んでいない。アマンダ自身も元々庶民だったのだろう。貴族は窮屈だと言っていた。

アマンダは王妃になれる器だと分かっているが、俺は絶対王にはなれねぇ。アマンダを取られるなんて冗談じゃねぇ。

アマンダは俺の唯一の観客。あの子が目を輝かせてくれるから、俺はアイドルに戻れる。

アマンダは、ユナの初アルバムが出る前に死んじまったみたいだ。その前の曲は全部覚えていて、ダンスも記憶していた。なんなんだこの子。すげー俺のファンじゃん。そう思って嬉しくなった。

アマンダは賢いのにどこか抜けていて、俺が必死で努力してアイドルの真似事をしていると思っている。教えられてない曲の細部まで完璧に再現してるんだから、俺の正体に気が付いても良いのに。

悔しいので、アマンダが自分から前世の話をするまで俺の正体を教える気はない。

だってアマンダは、ユナも、アルフレッドも好いてくれているんだから。

最初は恋愛感情なんてなかった。可愛くてもガキだからな。けど、アマンダの言動はいつも俺を気遣ってくれていて暖かい。中身が大人な事もあり、気を遣って会話する必要もねぇ。リチャードとアマンダと一緒に茶を飲むのは、俺の最大の楽しみになった。アルフレッドとして産まれてからは敵が多く気が抜けなかったが、テイラー公爵家では心から寛ぐ事が出来た。

俺は、なんとしてもアマンダと結婚したいと思うようになった。けどその頃はまだ、アマンダではなくテイラー公爵家と家族になりたい。そんな欲の方が強かった。

けど、今は違う。
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