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番外編
番外編8【最終話】
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「シャーリー、おかえり」
「ただいま、フレッド」
抱きついてキスをすると、嬉しそうにフレッドが笑う。やっぱりわたくし、フレッドが大好きだわ。
「楽しかったみたいだな。ずいぶんスッキリした顔をしている」
「ええ! わたくしもっと堂々とする事にしたの! 最近は、自信をなくしていてごめんなさい。夜会で綺麗な方がいつもフレッドに話しかけるし、フレッドがいない隙に先にお見合いしたのは自分だとか、あんな問題ある家の出身でフレッドが可哀想とか、男爵に攫われたから傷物なんじゃないかとか言われるし、フレッドにはもっと相応しい方が居るんじゃないかって思ってしまっていたわ。でも、やっぱりわたくしフレッドが大好きなの。どうしても離れたくないわ。だから、嫌な気持ちにもちゃんと向き合おうと思って。今まで黙っていてごめんなさい。わたくしもう何を言われても、負けないわ。だから、その、これからちょっとだけ弱音を吐いても良いかしら?」
あら? フレッドが無言だわ。なんだかとても怒ってるみたいね。やっぱりこんな気持ち聞いてて気分が良くないわよね……。
「シャーリー、それを言ったのは誰だ」
「え……? それは言えないわ」
さすがに名指しはまずいわ。
「そうか、シャーリーは優しいな。分かった、こちらで調べる」
「え?! フレッド? 調べてどうするのよ」
「少しお話し合いをするだけだよ」
「フレッドは、わたくしが不甲斐ないから怒ってるんじゃないの?」
「シャーリーは何も悪くないだろ。それに、今まで見向きもしなかった癖に今頃すり寄って来る方が悪い。オレはシャーリーに、最高級のドレスや宝石をプレゼントしているからな。どうせ金目当てだろ」
「なんでよ! フレッドはかっこいいわよ!」
「だとしても、シャーリー以外興味はない。今まで我慢していたが、もう夜会では一瞬たりとも離れない。シャーリーを狙う男も居るらしいしな」
「ふ、フレッド……?」
なんだか、フレッドの目が据わってるわ。わたくし、なにか間違えたかしら……?
今までだって、夜会でほとんど離れてないわよね?! さらに離れないってどういう事よ。
「シャーリー、オレもシャーリーが好きだよ。だから、お互いにもっと仲のいいところを見せれば、余計な虫は寄って来ないと思わないか……?」
「フレッド、お顔が近いわ。どうすればいいの?」
「もっと夜会で仲の良いところを見せつければ良いんだよ。具体的には、ずっと腕を組むか、手を繋いでいよう。どうかな?」
「え……ずっと?」
「そう、ずっと。嫌かな?」
目の前にフレッドのお顔があって、ドキドキして何も考えられなくなってきたわ。だけど、夜会でずっとフレッドと手を繋げるのは嬉しいわ。
「い、嫌じゃないわ!」
「そう、良かった」
そのままフレッドにキスをされて、何も考えられなくなって、気がついたら夜が明けていたわ。
それから、フレッドが夜会に行くのを嫌がる事はなくなって、いつの間にか、わたくしに嫌味を言う令嬢は居なくなっていた。
「シャーリー、今日も綺麗だよ」
「フレッドもかっこいいわ!」
わたくしは今日も、素敵な旦那様と仲良く過ごしているわ。
「ただいま、フレッド」
抱きついてキスをすると、嬉しそうにフレッドが笑う。やっぱりわたくし、フレッドが大好きだわ。
「楽しかったみたいだな。ずいぶんスッキリした顔をしている」
「ええ! わたくしもっと堂々とする事にしたの! 最近は、自信をなくしていてごめんなさい。夜会で綺麗な方がいつもフレッドに話しかけるし、フレッドがいない隙に先にお見合いしたのは自分だとか、あんな問題ある家の出身でフレッドが可哀想とか、男爵に攫われたから傷物なんじゃないかとか言われるし、フレッドにはもっと相応しい方が居るんじゃないかって思ってしまっていたわ。でも、やっぱりわたくしフレッドが大好きなの。どうしても離れたくないわ。だから、嫌な気持ちにもちゃんと向き合おうと思って。今まで黙っていてごめんなさい。わたくしもう何を言われても、負けないわ。だから、その、これからちょっとだけ弱音を吐いても良いかしら?」
あら? フレッドが無言だわ。なんだかとても怒ってるみたいね。やっぱりこんな気持ち聞いてて気分が良くないわよね……。
「シャーリー、それを言ったのは誰だ」
「え……? それは言えないわ」
さすがに名指しはまずいわ。
「そうか、シャーリーは優しいな。分かった、こちらで調べる」
「え?! フレッド? 調べてどうするのよ」
「少しお話し合いをするだけだよ」
「フレッドは、わたくしが不甲斐ないから怒ってるんじゃないの?」
「シャーリーは何も悪くないだろ。それに、今まで見向きもしなかった癖に今頃すり寄って来る方が悪い。オレはシャーリーに、最高級のドレスや宝石をプレゼントしているからな。どうせ金目当てだろ」
「なんでよ! フレッドはかっこいいわよ!」
「だとしても、シャーリー以外興味はない。今まで我慢していたが、もう夜会では一瞬たりとも離れない。シャーリーを狙う男も居るらしいしな」
「ふ、フレッド……?」
なんだか、フレッドの目が据わってるわ。わたくし、なにか間違えたかしら……?
今までだって、夜会でほとんど離れてないわよね?! さらに離れないってどういう事よ。
「シャーリー、オレもシャーリーが好きだよ。だから、お互いにもっと仲のいいところを見せれば、余計な虫は寄って来ないと思わないか……?」
「フレッド、お顔が近いわ。どうすればいいの?」
「もっと夜会で仲の良いところを見せつければ良いんだよ。具体的には、ずっと腕を組むか、手を繋いでいよう。どうかな?」
「え……ずっと?」
「そう、ずっと。嫌かな?」
目の前にフレッドのお顔があって、ドキドキして何も考えられなくなってきたわ。だけど、夜会でずっとフレッドと手を繋げるのは嬉しいわ。
「い、嫌じゃないわ!」
「そう、良かった」
そのままフレッドにキスをされて、何も考えられなくなって、気がついたら夜が明けていたわ。
それから、フレッドが夜会に行くのを嫌がる事はなくなって、いつの間にか、わたくしに嫌味を言う令嬢は居なくなっていた。
「シャーリー、今日も綺麗だよ」
「フレッドもかっこいいわ!」
わたくしは今日も、素敵な旦那様と仲良く過ごしているわ。
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