14 / 57
第十四話【フレッド視点】
しおりを挟む
「いいか、次のお見合い相手はエリザベスの親友のシャーリー伯爵令嬢だ。教養はエリザベスと共に学んでいたから問題ないし、性格も穏やかで偏見もない方だそうだ。私も1度お会いしたが辺境伯の役割もきちんと理解しておられるし、しっかりした方だぞ。姉とは大違いだ。容姿は間違いなくフレッド好みだから、お前も気に入るはずだ」
「クリストファー、いつも見合いをセッティングしてもらってすまない。素晴らしい方のようだが、そのような女性がオレを気に入るとは思えないのだが大丈夫だろうか?」
「エリザベスによると、騎士をうっとりと眺めていることが多いから、おそらくお前のような逞しい男性が好みのはずだ」
「逞しいと言ってもオレは鍛えすぎだろう。今まで何度お見合いで泣かれたと思っている……」
「問題ない。私と話していても一度も媚びた目をされなかったし、最高の男性で真っ先に思い浮かぶのが、騎士団長だぞ。あの女性から恐れられる騎士団長を最高の男性と思うのだから、おそらくお前のことを気に入るだろう。彼女は早く実家を出たいそうだ。辺境は王都から遠いから歓迎だと言っていたし、こんな女性はもう現れないぞ。絶対捕まえろ。両親は持参金なしを希望しているようだが、もともと辺境伯は嫁入りに持参金は求めないだろ?」
「そうだな。わざわざ辺境に嫁いで頂くし、結納金として援助をした事もある。私の私財でも、その程度の金は出せるぞ」
辺境伯は代々事業をしているし、オレが個人で立ち上げた事業もある。金だけはあるのだ。だが、オレの見た目が熊のようだからと、高貴な女性は寄ってこない。私も貴族だから、結婚するなら貴族でないといけないのでお見合いをするのだが、何度も失敗している。可能なら同じ伯爵家がいいのだが、伯爵令嬢は繊細な方が多く、オレの見た目は怖いようだ。髭を剃ればまだましなのだろうが、できればこの髭はこだわりだから剃りたくない。
「1か月後に姉の結婚式があるが、相手はあのケイリーだ。いつまでもうまくいくとは思えない。事業もしていないし金も足りなくなるだろうから、場合によってはいくらか結納金を渡してさっさと婚約を結んでおけ。あまりにひどそうな両親なら、多めに金を渡して籍を抜かせて縁を切らせろ」
ケイリーか。愛人が多く詐欺まがいの言動で金をせびると有名な伯爵家の次男だな。あいつ、結婚できるのか……。確かにそんな奴と縁続きになるのは嫌だな。しかし、
「それは、シャーリー様の意思を確認してからだ。どのような状況か分からんが、簡単に縁切りなどさせるわけにはいかない。金を惜しむつもりはないが、シャーリー様がオレを気に入らないなら金で無理強いをするわけにはいかない」
「そうか、そうだな。少し気が急いていた。申し訳ない。だが間違いなく素晴らしいご令嬢だぞ。少しでも気に入られるように髭を剃ってみてはどうだ?」
「すまん、この髭はこだわりだ」
「そうだったな。まぁ、どちらにしても今のお前を受け入れてもらえるかは賭けだな。お前は間違いなく気に入ると思うぞ」
そう聞いていたから、少しは期待していたが、まさかここまで可憐な方だとは思わなかった。最初は言葉少なだったので不安だったが、態度から察するに彼女もオレのことを気に入ってくれたようだ。彼女の両親は気に入らないが、シャーリーは逃したくない。オレは気が付いたら彼女にプロポーズをしていた。
「クリストファー、いつも見合いをセッティングしてもらってすまない。素晴らしい方のようだが、そのような女性がオレを気に入るとは思えないのだが大丈夫だろうか?」
「エリザベスによると、騎士をうっとりと眺めていることが多いから、おそらくお前のような逞しい男性が好みのはずだ」
「逞しいと言ってもオレは鍛えすぎだろう。今まで何度お見合いで泣かれたと思っている……」
「問題ない。私と話していても一度も媚びた目をされなかったし、最高の男性で真っ先に思い浮かぶのが、騎士団長だぞ。あの女性から恐れられる騎士団長を最高の男性と思うのだから、おそらくお前のことを気に入るだろう。彼女は早く実家を出たいそうだ。辺境は王都から遠いから歓迎だと言っていたし、こんな女性はもう現れないぞ。絶対捕まえろ。両親は持参金なしを希望しているようだが、もともと辺境伯は嫁入りに持参金は求めないだろ?」
「そうだな。わざわざ辺境に嫁いで頂くし、結納金として援助をした事もある。私の私財でも、その程度の金は出せるぞ」
辺境伯は代々事業をしているし、オレが個人で立ち上げた事業もある。金だけはあるのだ。だが、オレの見た目が熊のようだからと、高貴な女性は寄ってこない。私も貴族だから、結婚するなら貴族でないといけないのでお見合いをするのだが、何度も失敗している。可能なら同じ伯爵家がいいのだが、伯爵令嬢は繊細な方が多く、オレの見た目は怖いようだ。髭を剃ればまだましなのだろうが、できればこの髭はこだわりだから剃りたくない。
「1か月後に姉の結婚式があるが、相手はあのケイリーだ。いつまでもうまくいくとは思えない。事業もしていないし金も足りなくなるだろうから、場合によってはいくらか結納金を渡してさっさと婚約を結んでおけ。あまりにひどそうな両親なら、多めに金を渡して籍を抜かせて縁を切らせろ」
ケイリーか。愛人が多く詐欺まがいの言動で金をせびると有名な伯爵家の次男だな。あいつ、結婚できるのか……。確かにそんな奴と縁続きになるのは嫌だな。しかし、
「それは、シャーリー様の意思を確認してからだ。どのような状況か分からんが、簡単に縁切りなどさせるわけにはいかない。金を惜しむつもりはないが、シャーリー様がオレを気に入らないなら金で無理強いをするわけにはいかない」
「そうか、そうだな。少し気が急いていた。申し訳ない。だが間違いなく素晴らしいご令嬢だぞ。少しでも気に入られるように髭を剃ってみてはどうだ?」
「すまん、この髭はこだわりだ」
「そうだったな。まぁ、どちらにしても今のお前を受け入れてもらえるかは賭けだな。お前は間違いなく気に入ると思うぞ」
そう聞いていたから、少しは期待していたが、まさかここまで可憐な方だとは思わなかった。最初は言葉少なだったので不安だったが、態度から察するに彼女もオレのことを気に入ってくれたようだ。彼女の両親は気に入らないが、シャーリーは逃したくない。オレは気が付いたら彼女にプロポーズをしていた。
9
お気に入りに追加
1,896
あなたにおすすめの小説
いつの間にかの王太子妃候補
しろねこ。
恋愛
婚約者のいる王太子に恋をしてしまった。
遠くから見つめるだけ――それだけで良かったのに。
王太子の従者から渡されたのは、彼とのやり取りを行うための通信石。
「エリック様があなたとの意見交換をしたいそうです。誤解なさらずに、これは成績上位者だけと渡されるものです。ですがこの事は内密に……」
話す内容は他国の情勢や文化についてなど勉強についてだ。
話せるだけで十分幸せだった。
それなのに、いつの間にか王太子妃候補に上がってる。
あれ?
わたくしが王太子妃候補?
婚約者は?
こちらで書かれているキャラは他作品でも出ています(*´ω`*)
アナザーワールド的に見てもらえれば嬉しいです。
短編です、ハピエンです(強調)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿してます。
【完結】王太子妃候補の悪役令嬢は、どうしても野獣辺境伯を手に入れたい
たまこ
恋愛
公爵令嬢のアレクサンドラは優秀な王太子妃候補だと、誰も(一部関係者を除く)が認める完璧な淑女である。
王家が開く祝賀会にて、アレクサンドラは婚約者のクリストファー王太子によって婚約破棄を言い渡される。そして王太子の隣には義妹のマーガレットがにんまりと笑っていた。衆目の下、冤罪により婚約破棄されてしまったアレクサンドラを助けたのは野獣辺境伯の異名を持つアルバートだった。
しかし、この婚約破棄、どうも裏があったようで・・・。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
王太子殿下が私を諦めない
風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。
今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。
きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。
どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。
※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。
美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?
政略結婚だけど溺愛されてます
紗夏
恋愛
隣国との同盟の証として、その国の王太子の元に嫁ぐことになったソフィア。
結婚して1年経っても未だ形ばかりの妻だ。
ソフィアは彼を愛しているのに…。
夫のセオドアはソフィアを大事にはしても、愛してはくれない。
だがこの結婚にはソフィアも知らない事情があって…?!
不器用夫婦のすれ違いストーリーです。
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる