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第六話

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「そうは言うけど、わたくしと結婚してくれる貴族の方を見つけるのが大変よ。両親は持参金を出してくれないもの」

姉の結婚までに家を出ていきたいが、姉より先に結婚なんて絶対許されない。持参金なんてうちの親が出すわけない。それどころか、お金と引き換えに悪徳貴族に簡単に売り飛ばされそうだ。

「そうよね! だからわたくし考えたの!」

エリザベス?! 満面の笑顔ですけど、少しだけ怖いわ。何を企んでるの?!

「シャーリーが蔑ろにされるなんて許せないわ。シャーリーはしあわせになって欲しいの。だから、シャーリーの条件を満たしている最高の男性を紹介するわ!」

「最高の男性? 騎士団長様みたいな?」

エリザベスの婚約者は、王太子殿下。お二人とも相思相愛で仲がいい。いつもエリザベスは王太子殿下を最高の男性だって言うけど、他に最高の男性ってどなたかしら? わたくしは騎士団長様みたいな方が好きよ。でも、騎士団長様は美しい奥方がいらっしゃるし、他に素敵な男性ってどなたかしら。

「エリザベス、こちらがシャーリー様かい?」

「お兄様!」

エリザベスのお兄様。次期公爵のクリストファー様。エリザベスと並ぶと、美男美女よねぇ。

「はじめまして、シャーリー様。クリストファーと申します。いつもエリザベスと仲良くしてくれてありがとう」

「ごきげんよう。クリストファー様。わたくしこそエリザベス様と仲良くして頂いて嬉しく思っておりますわ」

「お兄様! フレッド様はどちら?」

「今日は来てないんじゃないかな、見てないよ」

「もう! 肝心な時に居ないんだから!」

「フレッドに用があったのかい?」

「ええ! フレッド様にも良いお話よ」

「まさか……フレッドにシャーリー様を紹介しようとしているのか?」

「そう! シャーリーは王都から出たいの。フレッド様は辺境に来てくれる令嬢が居ないって仰ってたでしょう? だから、おふたりの気が合えばどうかなって」

フレッド様? まさかエリザベスはフレッド様をご紹介しようとして下さってるの?

いやいやいや、無理でしょ!

フレッド様って辺境伯よね?! うちの国だと公爵家と同じくらい地位が高いお方よ?!

伴侶選び放題でしょう?!

持参金ケチる貧乏伯爵の娘のわたくしが嫁げるわけないじゃない!

「エリザベス様、わたくしではフレッド様に釣り合いませんわ」

「あら? シャーリーは辺境に行くのは嫌?」

「王都から離れられるから辺境は最高よ。フレッド様がどのような方かは知らないけど、エリザベス様が最高の男性と仰るなら素晴らしい方だろうし不満はないわ。でも、フレッド様とわたくしでは身分が釣り合わないわ」
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