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第十八話

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騎士になって、半年が過ぎました。

最初は、貴族の女が騎士。しかも、首席合格なんて忖度されたんだろうと悪口も言われましたが、訓練や模擬戦を重ねていくうちに認められるようになりました。

「シルヴィアはあんだけ強いんだから、悪口を言う新人騎士はすぐに居なくなる」

そう、カルロは励ましてくれました。わたくしも悪口を言われるのは慣れておりますし、皆さん悪い人ではなさそうですからそのうち認めて頂ける事を信じて頑張りましたわ。

仕事中は、カルロは団長様としてわたくしに接します。その切り替えがまた素敵で、わたくしも仕事中はカルロの事は忘れて必死で働いておりますわ。新人は、覚える事も多く大変です。

今年の新人騎士は、男性3名と女性2名の合計5名です。男性はニコラと、レオンと、テオ。女性はヘレナとわたくしです。貴族は、ニコラとわたくしで、残りの3人は平民出身です。

最初はわたくしは孤立していました。ですが、ヘレナがわたくしと仲良くしてくれて、次第に他の方とも打ち解けました。ヘレナはいつも優しくしてくれますが、恋愛話だけは刺激的過ぎてついていけません。いつもヘレナの話をわたくしが真っ赤になりながら聞く事になってしまいます。

男性陣も、何度か模擬戦をしたら認めて貰えました。

「これだけ強いなら首席で当然だね。変な誤解して、嫌な態度を取ってごめん」

そう言って、レオンは謝ってくれました。ニコラとテオもそのあとすぐ打ち解けました。

嬉しくて、カルロに報告したら優しく頭を撫でて貰えました。カルロとは、おしゃべりをしたり手を繋ぐ程度の触れ合いなのですが、最近は頭を撫でてくれる事が増えました。カルロが頭を撫でてくれると、なんだかふわふわした幸せな気持ちになりますの。

そうそう、忘れた頃にアルベルト様とサブリナ様のお家から正式な謝罪がきました。

王太子殿下の調査の結果、わたくしの主張は認められて、アルベルト様達の所業は、公になりました。教師も、何名か解雇されました。サブリナ様が学園でいちばん地位の高い貴族でしたので、サブリナ様至上主義な教師が何名かおりましたの。ですが……理由は、爵位だけではありませんでした。サブリナ様は、教師を数名、色仕掛けで籠絡していたそうですわ。サブリナ様がアルベルト様とキスをして結婚なさった事にショックを受けて、教師がベラベラ事情を話してくれたみたいです。

我が家への謝罪は、ボレッリ侯爵とシャンドリ伯爵が揃っていらっしゃいました。アルベルト様もサブリナ様も来ませんでした。

お父様はやらかした本人が居ないなら帰れと怒っていましたが、わたくしは会いたくなかったのでホッとしました。ボレッリ侯爵とシャンドリ伯爵は、丁寧に謝りながらも婚約破棄の違約金を値切ろうとしてきましたので、お父様がこのやり取りを公表するか、違約金を払うか選べと脅しましたら、ようやく婚約破棄の違約金が支払われました。結局、違約金はボレッリ侯爵とシャンドリ伯爵で折半したそうです。そうしないと、シャンドリ伯爵家は没落ですからね。

サブリナ様とアルベルト様のキスはあまりに刺激的で、ふしだらだと社交会では評価されています。夜会でボレッリ侯爵達は針の筵だそうです。教育を怠った無能な貴族とレッテルを貼られつつあります。

ですから、ボレッリ侯爵が婚約破棄の費用を負担して反省している事を示す必要があったそうですわ。貴族、めんどくさいですわね。

違約金は、領地に学校を建てる事にしました。お父様は、わたくしのドレスでも買うかと仰いましたが、全て領地に使いました。潔癖なのかもしれませんが、ドレスを着る度にアルベルト様を思い出すなんて嫌だったのです。

アルベルト様はご実家でお兄様指導の元、仕事をしたそうですが、威張るばかりでまったく仕事が出来なかったそうです。痺れを切らしたお兄様に見捨てられて廃嫡されましたわ。そういえば、アルベルト様のお兄様はまともでしたわね……。

廃嫡されてもサブリナ様と侯爵家を継ぐんだと威張っていたそうですが、サブリナ様も跡継ぎから外されて2人で平民として暮らしていますわ。街の巡回で会わない事を祈ります。本当に顔も見たくありませんもの。

そうそう、もうすぐ半年なのでカルロとの婚約を発表しますの。

今はカルロは、出張中です。
出張から帰ったら、わたくしとの婚約披露パーティーが予定されています。

ようやくカルロと堂々と会えますわ。楽しみです。
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