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パーティー会場に入ると、注目が集まってしまった。婚約が無くなったってヒソヒソ言うの、聞こえてるから。成人して初めてのパーティーだから、緊張してるのに。
「マリベル! 久しぶりね」
見兼ねて声をかけてくれたのは、公爵令嬢であるエリザベスだ。ちょっとキツイ性格だけど、はっきりものを言うエリザベスとは気が合い、家族ぐるみで子どもの頃から親しくしている。戦が増えてからは手紙のやりとりをしていただけだけど、変わらない様子で話しかけてくれて嬉しい。
「婚約者を妹に取られたって聞いてたけど、どうなってるのよ。ってか、いつ婚約して婚約解消したのよ! 全然知らなかったんだけど!」
エリザベスは、わざと大きな声で聞いてくれる。周りの人達が、聞き耳を立てているのが分かる。
「正式には婚約してないんだけどね。お祖父様がお認めにならなかったから」
「やっぱりね! じゃあ、マリベルは誰とも婚約してなかったって事よね?」
「うーん……そうなるのかしら?」
「そうなるのよ! ガンツ様がお認めになってらっしゃらないんだから、マリベルは婚約なんてしてなかったのよ!」
そう言って、エリザベスはわたくしにウィンクをする。急激に周りの空気が優しくなっていくのを感じる。
「ありがとう。エリザベス」
「なんのこと? それより、そちらの素敵な男性をご紹介してちょうだい」
「こちら、フィリップ・デュ・レヴィル様よ。お祖父様の養子になられたの。フィリップ様、友人のエリザベスですわ」
エリザベスは、楽しそうにフィリップ様とお話しを始めた。そういえば、エリザベスは騎士様が好きだったわね。
エリザベスが一方的に喋ってる気がするけど、2人が話してるのは絵になるわ。……なんだろう。ちょっとだけ、モヤモヤする。
「ガンツ様がお認めになったという事でしょう」
会話の間に聞こえたエリザベスの言葉に、胸がチクリとする。そうだ。お祖父様はエリザベスのお家でも一目置かれている。
そんなお祖父様が、養子にしたフィリップ様。
彼はたびたびご自分を卑下なさるけど、フィリップ様は注目されてる。さっきの視線だって、わたくしを馬鹿にしたものや伺うものだけじゃなくて、フィリップ様を見定めようとする目もあったんだ。
楽しそうに笑ってるエリザベスは、フィリップ様にモーションをかけているように見える。元々エリザベスは肉食系だ。男尊女卑な考えの人が多いこの世界でも、公爵令嬢という高い身分のあるエリザベスなら男性をお誘いする事は出来る。
フィリップ様はお祖父様の養子になったと言っても身分は男爵家。我が家に入った訳ではない。
エリザベスとは、圧倒的な身分差がある。けど、エリザベスは以前から貴族なら誰でも良いし、強い人と結婚したいって言ってた。エリザベスのご両親も、エリザベスの意志を尊重するって言ってたわ。
なら、フィリップ様はエリザベスにとっても理想の男性なのではないかしら。
「マリベル! 久しぶりね」
見兼ねて声をかけてくれたのは、公爵令嬢であるエリザベスだ。ちょっとキツイ性格だけど、はっきりものを言うエリザベスとは気が合い、家族ぐるみで子どもの頃から親しくしている。戦が増えてからは手紙のやりとりをしていただけだけど、変わらない様子で話しかけてくれて嬉しい。
「婚約者を妹に取られたって聞いてたけど、どうなってるのよ。ってか、いつ婚約して婚約解消したのよ! 全然知らなかったんだけど!」
エリザベスは、わざと大きな声で聞いてくれる。周りの人達が、聞き耳を立てているのが分かる。
「正式には婚約してないんだけどね。お祖父様がお認めにならなかったから」
「やっぱりね! じゃあ、マリベルは誰とも婚約してなかったって事よね?」
「うーん……そうなるのかしら?」
「そうなるのよ! ガンツ様がお認めになってらっしゃらないんだから、マリベルは婚約なんてしてなかったのよ!」
そう言って、エリザベスはわたくしにウィンクをする。急激に周りの空気が優しくなっていくのを感じる。
「ありがとう。エリザベス」
「なんのこと? それより、そちらの素敵な男性をご紹介してちょうだい」
「こちら、フィリップ・デュ・レヴィル様よ。お祖父様の養子になられたの。フィリップ様、友人のエリザベスですわ」
エリザベスは、楽しそうにフィリップ様とお話しを始めた。そういえば、エリザベスは騎士様が好きだったわね。
エリザベスが一方的に喋ってる気がするけど、2人が話してるのは絵になるわ。……なんだろう。ちょっとだけ、モヤモヤする。
「ガンツ様がお認めになったという事でしょう」
会話の間に聞こえたエリザベスの言葉に、胸がチクリとする。そうだ。お祖父様はエリザベスのお家でも一目置かれている。
そんなお祖父様が、養子にしたフィリップ様。
彼はたびたびご自分を卑下なさるけど、フィリップ様は注目されてる。さっきの視線だって、わたくしを馬鹿にしたものや伺うものだけじゃなくて、フィリップ様を見定めようとする目もあったんだ。
楽しそうに笑ってるエリザベスは、フィリップ様にモーションをかけているように見える。元々エリザベスは肉食系だ。男尊女卑な考えの人が多いこの世界でも、公爵令嬢という高い身分のあるエリザベスなら男性をお誘いする事は出来る。
フィリップ様はお祖父様の養子になったと言っても身分は男爵家。我が家に入った訳ではない。
エリザベスとは、圧倒的な身分差がある。けど、エリザベスは以前から貴族なら誰でも良いし、強い人と結婚したいって言ってた。エリザベスのご両親も、エリザベスの意志を尊重するって言ってたわ。
なら、フィリップ様はエリザベスにとっても理想の男性なのではないかしら。
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