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「マリベル! 無事か?!」

監禁されていた部屋の扉を破壊したお祖父様は、お父様を引きずっておられました。あれ、生きてますかね?

「無事ですわお祖父様。きちんと手紙が届いたようで良かったです」

「あんな手紙をもらえば、すぐ帰るに決まっておろう! おい、そこの裏切り者。リリアはどこだ?」

「……それは」

お父様は顔面蒼白です。そりゃそうですよね。あと数年は戻らないと思っていたお祖父様の帰還。お父様の計画は全ておじゃんです。お父様は沈黙を貫いています。正確には、怖すぎて動けないのでしょう。そんなお父様とお祖父様の前に、ミリィが現れました。何か大きな袋を抱えています。

「ミリィ! 無事だったのね!」

「お嬢様……! 良かった……生きてらっしゃる……! 突然解され屋敷を追い出された時は、身を切られる思いでございました。先ほどリチャードが家に来て……旦那様が戻られたので屋敷に帰れると……本当に……よくぞご無事で……」

お母様のように死んでしまったのではないか。怖くて仕方なかったとミリィは声を詰まらせます。

そんなミリィを優しく労った後、血を這うような声でお祖父様は問いかけました。

「なぜ、使用人をクビにした。見慣れない使用人は全員追い出しておいたからな。クビにした使用人はすぐに呼び戻す。貴様は使用人を雇用する権利も、解雇する権利もない。リリアがクビにしたならともかく貴様がミリィをクビにすることは出来ん。ミリィ、どうか今後もうちで働いてくれ」

「身に余る光栄にございます」

「その袋の中身が例のものか」

「はい。今は眠らせております。あと2人は、リチャードが確保に動いております」

「生きておるな?」

「もちろんでごさいます。少し眠って頂いただけです」

「よし、すぐに出せ」

「御意」

袋から出て来たのは、穏やかに眠っている愛人様でした。

「この女は、誰だ?」

お父様は、ガクガク震えて答えません。

「リリアは何処だ? 答えろ」

「あ……あああ……ああああああ!!!!! 俺はっ! アンタの血を引いた孫の父親だ! もっと、もっと俺を優遇しろぉぉぉ……!」

瞬間、屋敷の壁が無くなりました。窓が割れ、ガラス片が飛び散ります。

「あ……あ……」

「答えろ。リリアは何処だ?」

「……あ……ああ……」

「リリアは生きているのかと聞いてるんだ! 答えろぉ!」

お父様の目の前に、巨大な剣が突きつけられます。お父様は、恐怖のあまり気を失いました。

「旦那様。リリア様はご存命でございます」

お父様が気を失うと、ミリィが静かに口を開きました。
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