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27.結界を教わろう
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あれから一週間たった。
毎日神に祈るのは定型通り、その後は聖女教育だが、いつもの幻影モードで乗り切った。
見学者が居るから、ご飯は1日1回は貰えて嬉しい。相変わらず質素だけど。
そんなふうに平和を満喫していたが、一週間もすると、聖女教育への見学者は居なくなり、シスターコリンナと、ニックさんしか部屋に居ないことも増えた。
するとシスターの本性が顔を出すのよね。ただ、聖女教育は完璧だから、アラがなくてイライラしてるっぽい。
コレ、ほっといたら他の立場弱い人に暴力いきそうだから、わざと失敗するかぁ。失敗したら、シスターは嬉しそうに、鞭を取り出した。
「さ、ご教育しましょうね」
ハイハイ。まーあんたが叩くの幻影だけどね。鞭を振おうとして、シスターは周りを気にしてる。あ、一応分別はあるんだ? なら、鞭を打たれたらわざと大きな声出すのもいいわね。声を広く届ける魔法も出来るし、声聞かせて現場を大量の人に目撃させるとかいいな!
「ニック、わたしは聖女様とふたりで話があります」
わたしの企みがバレたのか、シスターコリンナは、結界を発動した。ああ! これじゃあ声出してもわかんないじゃん! もー!
シスターは嬉しそうに幻影のわたしに鞭打ちしてる。わたしは透明化してるから見えてないと思う。たぶん。幻影はひたすら謝罪と、シスターコリンナの言うこと聞きますとしか言ってないんだけど違和感感じないものかなぁ? まぁいいや。アレは見るのも嫌だから放置しておくとして、結界ってすごい便利よね。なんとか取得できないかなー。何度かやってみたけど、イメージがうまくわかないのよね。
「そろそろ反省されたようなので授業を続けましょうね。さ、癒してくださいな」
ああ、忘れてた。幻影に癒しをかける映像を投影する。眩しいように光強めにしてやる。ってか、シスターめっちゃぜぇぜぇしててフラフラじゃね? まだ30分も経ってないわよね?
「わたくしにも癒しをかけなさい! 気が利かないわね!!!」
ん? これってもしかして、結界ってめっちゃ疲れる? アリサちゃんと戻ってきたときは、結界内で私が癒してたのかも。あの時の記憶あんましないけど、シスターが癒しかけろって言ったら全体に癒しかけてたような気がする。
「申し訳ありませんシスターコリンナの言うとおりにいたします」
あ、自動モードにしてた幻影がしゃべってる。やべ、癒しかけないと。幻影の位置に戻り、見えるように癒しをかけると同時に、耐えられないとばかりにシスターが結界を解除した。ニックさんが心配そうに見ている。シスターを睨んだりはしてないけど、手からまた血が出てますよ?! とりあえず癒しと浄化を飛ばしてから、
『大丈夫だよ、シスターはわたしをいたぶって楽しんでたけど、幻影だから。わたしは無傷だよ! それに結界で体力使ったのかぜぇぜぇいってるシスター見てたらちょっといい気分だし』
ってテレパシーっぽいものを使ってみる。通じてるかはわからんが、昨日の夜寝る前に思いついたのよね。さっそく出来るなんて、魔法万能すぎません? ただ、相手と双方向のテレパシーはイメージできなくて一方的に話しかける感じになった。多分会話出来る人なら、話しながら実験すれば双方向のテレパシーはできそう。でも、シスターコリンナと実験するなんて地獄過ぎて嫌だし、そもそもこのテレパシーは切り札にするつもりなのだ。声を変えれば、神のお告げっぽくならないかなって思って。神を名乗ればアウトだろうけど、勝手に勘違いする分には問題ないよねって詐欺師っぽく考えたのだ。具体的に不幸を願うわけじゃないからいいわよね。わたしの身の安全のためだし、問題あったら言ってね神様。って昨日の夜祈ったんだけど、なんも返事来なかったの。だから良いってことにする。わたしは、たくましく生きてくのだ! あいかわらず人が居ないとご飯くれないし、こんな奴らの言うことばっか聞いてるわけにはいかない。
さっきのテレパシーはニックさんに聞こえたらしく、ちょっとだけ口元が笑った気がする。あぁ、かっこいいなぁ。
さてと、幻影使えばだいぶ恐怖も薄らいだから、少しだけ頑張るか。あのシスターがぜぇぜぇいう結界、ぜひとも欲しい。
「シスターコリンナのご指導は本当に素晴らしいですわ。先ほどの結界も素晴らしかったです。どうか、わたくしにも教えていただけませんか?」
シスターコリンナは、わたしが初めて自分から教えを乞う姿を見て、感動で泣き始めた。この人情緒不安定過ぎない?
「聖女様! なんと素晴らしいお考えでしょう! もちろん、全力でお教えいたしますわ!!! ですが、結界魔法は協会の秘伝です」
「では、私は退出しましょう」
「そうね、今日はもういいわ」
「かしこまりました」
あー! ニックさんいないとシスターと対峙するのつらいのに! 仕方ない、授業はいつも通り幻影にさせて、透明化ですみっこに潜んで記録撮ってあとで復習しよう、質問事項も幻影に言わせてやる。だってまだちょっと怖いんだもん。
毎日神に祈るのは定型通り、その後は聖女教育だが、いつもの幻影モードで乗り切った。
見学者が居るから、ご飯は1日1回は貰えて嬉しい。相変わらず質素だけど。
そんなふうに平和を満喫していたが、一週間もすると、聖女教育への見学者は居なくなり、シスターコリンナと、ニックさんしか部屋に居ないことも増えた。
するとシスターの本性が顔を出すのよね。ただ、聖女教育は完璧だから、アラがなくてイライラしてるっぽい。
コレ、ほっといたら他の立場弱い人に暴力いきそうだから、わざと失敗するかぁ。失敗したら、シスターは嬉しそうに、鞭を取り出した。
「さ、ご教育しましょうね」
ハイハイ。まーあんたが叩くの幻影だけどね。鞭を振おうとして、シスターは周りを気にしてる。あ、一応分別はあるんだ? なら、鞭を打たれたらわざと大きな声出すのもいいわね。声を広く届ける魔法も出来るし、声聞かせて現場を大量の人に目撃させるとかいいな!
「ニック、わたしは聖女様とふたりで話があります」
わたしの企みがバレたのか、シスターコリンナは、結界を発動した。ああ! これじゃあ声出してもわかんないじゃん! もー!
シスターは嬉しそうに幻影のわたしに鞭打ちしてる。わたしは透明化してるから見えてないと思う。たぶん。幻影はひたすら謝罪と、シスターコリンナの言うこと聞きますとしか言ってないんだけど違和感感じないものかなぁ? まぁいいや。アレは見るのも嫌だから放置しておくとして、結界ってすごい便利よね。なんとか取得できないかなー。何度かやってみたけど、イメージがうまくわかないのよね。
「そろそろ反省されたようなので授業を続けましょうね。さ、癒してくださいな」
ああ、忘れてた。幻影に癒しをかける映像を投影する。眩しいように光強めにしてやる。ってか、シスターめっちゃぜぇぜぇしててフラフラじゃね? まだ30分も経ってないわよね?
「わたくしにも癒しをかけなさい! 気が利かないわね!!!」
ん? これってもしかして、結界ってめっちゃ疲れる? アリサちゃんと戻ってきたときは、結界内で私が癒してたのかも。あの時の記憶あんましないけど、シスターが癒しかけろって言ったら全体に癒しかけてたような気がする。
「申し訳ありませんシスターコリンナの言うとおりにいたします」
あ、自動モードにしてた幻影がしゃべってる。やべ、癒しかけないと。幻影の位置に戻り、見えるように癒しをかけると同時に、耐えられないとばかりにシスターが結界を解除した。ニックさんが心配そうに見ている。シスターを睨んだりはしてないけど、手からまた血が出てますよ?! とりあえず癒しと浄化を飛ばしてから、
『大丈夫だよ、シスターはわたしをいたぶって楽しんでたけど、幻影だから。わたしは無傷だよ! それに結界で体力使ったのかぜぇぜぇいってるシスター見てたらちょっといい気分だし』
ってテレパシーっぽいものを使ってみる。通じてるかはわからんが、昨日の夜寝る前に思いついたのよね。さっそく出来るなんて、魔法万能すぎません? ただ、相手と双方向のテレパシーはイメージできなくて一方的に話しかける感じになった。多分会話出来る人なら、話しながら実験すれば双方向のテレパシーはできそう。でも、シスターコリンナと実験するなんて地獄過ぎて嫌だし、そもそもこのテレパシーは切り札にするつもりなのだ。声を変えれば、神のお告げっぽくならないかなって思って。神を名乗ればアウトだろうけど、勝手に勘違いする分には問題ないよねって詐欺師っぽく考えたのだ。具体的に不幸を願うわけじゃないからいいわよね。わたしの身の安全のためだし、問題あったら言ってね神様。って昨日の夜祈ったんだけど、なんも返事来なかったの。だから良いってことにする。わたしは、たくましく生きてくのだ! あいかわらず人が居ないとご飯くれないし、こんな奴らの言うことばっか聞いてるわけにはいかない。
さっきのテレパシーはニックさんに聞こえたらしく、ちょっとだけ口元が笑った気がする。あぁ、かっこいいなぁ。
さてと、幻影使えばだいぶ恐怖も薄らいだから、少しだけ頑張るか。あのシスターがぜぇぜぇいう結界、ぜひとも欲しい。
「シスターコリンナのご指導は本当に素晴らしいですわ。先ほどの結界も素晴らしかったです。どうか、わたくしにも教えていただけませんか?」
シスターコリンナは、わたしが初めて自分から教えを乞う姿を見て、感動で泣き始めた。この人情緒不安定過ぎない?
「聖女様! なんと素晴らしいお考えでしょう! もちろん、全力でお教えいたしますわ!!! ですが、結界魔法は協会の秘伝です」
「では、私は退出しましょう」
「そうね、今日はもういいわ」
「かしこまりました」
あー! ニックさんいないとシスターと対峙するのつらいのに! 仕方ない、授業はいつも通り幻影にさせて、透明化ですみっこに潜んで記録撮ってあとで復習しよう、質問事項も幻影に言わせてやる。だってまだちょっと怖いんだもん。
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