聖女は世界を愛する

編端みどり

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20.神のお告げ

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「おはようございます、聖女様。お祈りのお時間ですわ」

今日も朝からいい笑顔ですね。怖いよう。安心魔法を一億倍くらいでかけて、なんとか返答する。

「おはようございます。シスターの言う通りに致しますわね」

昨晩の懲罰のせいで、とにかくシスターの言う通りにしますと言えば良いとインプットされた。ずーっと笑いながらそう言ってたし。満足そうな顔を見て、正解だったなと安心する。

シスターのそばには、あの女の子がいる。ご飯も貰えたのか、元気そうだがわたしに話しかける事はない。やばい、シスターに何かされたんじゃないの?!

「この子は、神殿で育てますわ」

「ありがとうございます聖女さま。おかげでご飯貰えました」

ダメ、ダメ! 神殿には、いちゃダメ!

「さ、参りますよ」

「はい、シスターの言う通りにします」

やばい、ロボットみたいな返事しかできないし、言う通りにしか身体が動かない。
しかも今日は護衛のお兄さんいない。顔見ればちょっとはマシな気持ちになるのに。とにかく頭を冷静にしろ。魔法で、冷静になるように頭を冷やして考える。なんとか、あの子をシスターから引き離したい。だけど、考えてるうちにお祈りの時間がきてしまう。

「神様、魔物がいなくなりますように」

定型文をしゃべり、祈るポーズをとる。だけど頭の中はどうやってあの子を助けるかしかない。ああもう! 神様、あの子を安全に神殿から引き離せないですかっ! とにかくシスターとは会わないようにさせたい! 今までにないくらい、心から願う。

「な、なんだこの今まで見たことない光は?!」

「か、神様が降臨されたぞ!!!」

は?! 何がありました?
お祈り中は、目をつぶって祈るポーズから動くなと言われてるから、目も開けられないんだけど、なんか頭の中に声がする。

『あの子どもを、助けたいのか?』

『助けたい! 神殿にいたらあのシスターにいつか殺されちゃうよ!』

『では、お前はあの子をどうしたいのだ』

『ホントはわたしがなんとかしたいけど、わたしの側がいちばん危険なのよ! 信用できる人が居れば頼めるけど、わたしが信用できる人なんて……』

その時、ひとりの人物の顔が浮かぶ。でも、一人暮らしとかだったらどうしよう? それに、結婚してるかも。そーだよね、あんなにカッコいいんだもん、もう素敵な奥様とか居るのかも。子どももいたりとか? あれ、なんか悲しくなってきた。

『思い当たる者がいるらしいな』

『だけど、子どもを託せるか分からないです!』

『ならば、そなたの信頼できる者に、いちばん信頼でき、かつ養育できる者を決めさせれば良かろう』

そうか! それならお兄さんが無理でも多分神殿の人は指定しない! あんな顔でシスター睨んでたんだから、シスターが誘導しようとしても絶対神殿とは言わないはず! どんな人選ぶか分からないけど、ここに居るより絶対良いはず!

『でも、あのシスターがわたしの頼みを聞くわけないです!!!』

『そのために我を呼んだのではないのか?』

どういうこと? さっぱりわかんないよ!

『我は神だ。我を呼べるほどの力を持った聖女は、久しぶりだぞ。祝いにお前の望みを叶えてやる。其方の望みは、あの子を助けることか? それとも、あのシスターを排除するか? 他の望みでも構わんぞ』

神様なら、あのシスターを排除できるんだ。そしたら、もうあの恐怖はなくなる。
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