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5.伝説の聖女の怖い話
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「おはようございます。聖女様。お祈りのお時間です。お支度を」
このセリフ何回目よ。ループしてんの?! 今日はシスターしかいない。助けてくれそうな人はほかにいないか周りを確認したいが、そろそろ身体が動かなくなってきた。
「あ……う……」
ああもう! 話せもしないじゃない! 空腹もあるし、身体はあちこち痛い。いっそ気絶したい……のになんで、こんなに意識はハッキリしてるの!? もうだいぶご飯も食べてないし水も飲んでないよ? ここまでいくと、意識朦朧としたりするもんじゃないの?! 今まで生きてきた中でいちばんツラいのに、意識はっきりしてるから、余計ツラいんだけど!!!
「意識はハッキリしておられるはずですわよね。聖女様のお役目を、改めてお伝えいたします」
ハッキリしてるはずって言いましたこの人?!
この今にも死にそうな状態でなんで意識ハッキリしてると思うわけ?! もうわけわかんない!
「わたくしの名は、コリンナ・パトリス。聖女様のお世話と、教育を担います。聖女様は神聖な存在ですので、神殿の祭壇で神のお告げを伝える時以外の会話は、わたくしとしかしてはなりません。この部屋は聖女様のお部屋で、祭壇もありますから、この部屋ではおひとりで過ごされてもかまいません。おひとりの時でも、隣の部屋には護衛が控えています。お部屋でお祈りを捧げる時は邪魔しませんので、ご安心ください。この部屋以外は、常にわたくしが同行いたします。わたくし以外は聖女様と会話をする権利はありません。聖女様とお話しできるのは、教育係のわたくしだけです。聖女様もわたくし以外にお言葉がけをなさいませんようお願いいたします」
え?! わたしこの鞭女としか話せないの?!
人生終了のお知らせ?!
ってことは、昨日の男の人に助けてって言ったのまずかったかな? つぶやいただけだし、鞭女は聴こえてなさそうだったけど。
っと、うっかり鞭女がとか思って口に出したら殺されそうだし、名前覚えよう。シスターコリンナね。
「シスター、コリンナ……」
あー、やっぱ声出ないわ。かすれてるし、こんだけしゃべっただけで、また気を失いそう。
「まあ! もうわたくしの名を呼んでくださるのですね! さすが聖女様ですわ!」
シスターコリンナは、満足そうに笑っている。
ほんっと、自己中の塊ね。で、わたしはコイツとしか話せないとか、もう人生終了じゃない。
あ、また身体痛くて、お腹も空きすぎて気を失いそう。おうちにも帰れないしもうなんかどうでもいいや。この状態だと近いうちに死ぬよね。奈々子とカフェ行きたかったなぁ。
「ああそれから、聖女様。いえ、まだ聖女様ではございませんわね。祈りを捧げることができてはじめてあなた様は聖女様と認められます。いまはただの小娘ですわ。ふふっ、祈りましょう聖女様! 聖女様の祈りは、教会すべてを包み込むほどの光を発しますの。さぁ! 早く! 聖女様はずいぶんと空腹のご様子ですわよねぇ。祈りを捧げ、神のご慈悲があればきっとお元気になられると思いますわよ。早く祈って、聖女のお役目を果たしてくださいませ」
「……」
「どうされましたの、早く祈りましょう! ここまでお願いしてもまだ祈らないのですか!」
だから話せもしないし、動けないだってば。さっきのシスターコリンナの名前呼んだのが最後の力だったらしく、話そうとしても声が出ない。
「仕方ありませんわね。懲罰です」
そう言ってまたシスターコリンナは、鞭を振るう。
「これは、神に祈らないあなた様がいけないのです。早く神に祈りを捧げる気になるように、わたくしが教育しているのですわ」
そう言っている、シスターコリンナの顔は、醜く歪んでいた。
「そうそう、いい事をお伝えしますわね。聖女は、どのような状態になっても死にませんわ。ですから、わたくしがどれだけ鞭を振るっても、食事がなくともあなた様は生きていけます。良かったですわね」
薄れゆく意識の中、意地悪そうな声が響く。
「伝説となっている聖女様は、祈りを1年間拒否なさったそうですわ。それでも最後には、神へ祈りを捧げ、たくさんの魔物を退けられました。1年間断食なされ、骨と皮になりながらも祈りを捧げた聖女様は、神殿の伝説ですわ。伝説の聖女様は、最後にもっと早く祈れば良かったのとお言葉を残されたそうですわ」
ああ、身体が痛いなぁ。何回叩くのよ。
「だからわたくしは、早くあなた様が祈りを捧げ、聖女となる為、涙を飲んでこのような事をしているのです」
そう言って、シスターコリンナは悪魔のように笑った。
このセリフ何回目よ。ループしてんの?! 今日はシスターしかいない。助けてくれそうな人はほかにいないか周りを確認したいが、そろそろ身体が動かなくなってきた。
「あ……う……」
ああもう! 話せもしないじゃない! 空腹もあるし、身体はあちこち痛い。いっそ気絶したい……のになんで、こんなに意識はハッキリしてるの!? もうだいぶご飯も食べてないし水も飲んでないよ? ここまでいくと、意識朦朧としたりするもんじゃないの?! 今まで生きてきた中でいちばんツラいのに、意識はっきりしてるから、余計ツラいんだけど!!!
「意識はハッキリしておられるはずですわよね。聖女様のお役目を、改めてお伝えいたします」
ハッキリしてるはずって言いましたこの人?!
この今にも死にそうな状態でなんで意識ハッキリしてると思うわけ?! もうわけわかんない!
「わたくしの名は、コリンナ・パトリス。聖女様のお世話と、教育を担います。聖女様は神聖な存在ですので、神殿の祭壇で神のお告げを伝える時以外の会話は、わたくしとしかしてはなりません。この部屋は聖女様のお部屋で、祭壇もありますから、この部屋ではおひとりで過ごされてもかまいません。おひとりの時でも、隣の部屋には護衛が控えています。お部屋でお祈りを捧げる時は邪魔しませんので、ご安心ください。この部屋以外は、常にわたくしが同行いたします。わたくし以外は聖女様と会話をする権利はありません。聖女様とお話しできるのは、教育係のわたくしだけです。聖女様もわたくし以外にお言葉がけをなさいませんようお願いいたします」
え?! わたしこの鞭女としか話せないの?!
人生終了のお知らせ?!
ってことは、昨日の男の人に助けてって言ったのまずかったかな? つぶやいただけだし、鞭女は聴こえてなさそうだったけど。
っと、うっかり鞭女がとか思って口に出したら殺されそうだし、名前覚えよう。シスターコリンナね。
「シスター、コリンナ……」
あー、やっぱ声出ないわ。かすれてるし、こんだけしゃべっただけで、また気を失いそう。
「まあ! もうわたくしの名を呼んでくださるのですね! さすが聖女様ですわ!」
シスターコリンナは、満足そうに笑っている。
ほんっと、自己中の塊ね。で、わたしはコイツとしか話せないとか、もう人生終了じゃない。
あ、また身体痛くて、お腹も空きすぎて気を失いそう。おうちにも帰れないしもうなんかどうでもいいや。この状態だと近いうちに死ぬよね。奈々子とカフェ行きたかったなぁ。
「ああそれから、聖女様。いえ、まだ聖女様ではございませんわね。祈りを捧げることができてはじめてあなた様は聖女様と認められます。いまはただの小娘ですわ。ふふっ、祈りましょう聖女様! 聖女様の祈りは、教会すべてを包み込むほどの光を発しますの。さぁ! 早く! 聖女様はずいぶんと空腹のご様子ですわよねぇ。祈りを捧げ、神のご慈悲があればきっとお元気になられると思いますわよ。早く祈って、聖女のお役目を果たしてくださいませ」
「……」
「どうされましたの、早く祈りましょう! ここまでお願いしてもまだ祈らないのですか!」
だから話せもしないし、動けないだってば。さっきのシスターコリンナの名前呼んだのが最後の力だったらしく、話そうとしても声が出ない。
「仕方ありませんわね。懲罰です」
そう言ってまたシスターコリンナは、鞭を振るう。
「これは、神に祈らないあなた様がいけないのです。早く神に祈りを捧げる気になるように、わたくしが教育しているのですわ」
そう言っている、シスターコリンナの顔は、醜く歪んでいた。
「そうそう、いい事をお伝えしますわね。聖女は、どのような状態になっても死にませんわ。ですから、わたくしがどれだけ鞭を振るっても、食事がなくともあなた様は生きていけます。良かったですわね」
薄れゆく意識の中、意地悪そうな声が響く。
「伝説となっている聖女様は、祈りを1年間拒否なさったそうですわ。それでも最後には、神へ祈りを捧げ、たくさんの魔物を退けられました。1年間断食なされ、骨と皮になりながらも祈りを捧げた聖女様は、神殿の伝説ですわ。伝説の聖女様は、最後にもっと早く祈れば良かったのとお言葉を残されたそうですわ」
ああ、身体が痛いなぁ。何回叩くのよ。
「だからわたくしは、早くあなた様が祈りを捧げ、聖女となる為、涙を飲んでこのような事をしているのです」
そう言って、シスターコリンナは悪魔のように笑った。
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