28 / 111
第1章 復讐の魔女
第27話 王女
しおりを挟む
「その日、私は5歳の誕生日だった。
パーティーは盛大に行われた。
私は国中から貴族が領地から集まって祝福してくれる中ではしゃぎまくっていた。
公爵家に同い年の女の娘が2人いたんだけど、その娘たちを連れ回してね。
父や母は遊び疲れてすぐに寝ちゃうんじゃないか心配していた。
『大丈夫かい?ローゼマリー』
なんて言ってきたけど、パーティー終わってからの最大の楽しみに、私は絶対寝ないよと目を輝かせて言った。
だって、久しぶりに両親と一緒のベッドで眠れる。
それが本当に嬉しくて、幸せだったから。
あの本を読んでもらおうとか、この本も読んでもらおうとか……」
パーティーが終わり、お待ちかねのベッドでの両親との時間を楽しみにしていた私。
それは父も母も同じだったと思う。
その日、私の好きな御伽噺や絵本を寝物語として読んでくれたのだ。
とても幸せな時間だった。
「夜中に目が覚めてトイレに行った時は、異変はなかった。
寝室の外で護衛していた、親衛隊長のアデルと一緒にトイレに行って戻った時、既に黒髪の漆黒の剣を持つ魔女……ノエルと両親が戦ってた」
結果、私とアデルは母ローラの転移魔法で、遥か北の地スノッサの森に送られた。
最期に目に焼き付いたのは両親が殺されるシーン。
そして森で出会う魔女ディル。
私は魔女になって復讐する力を願った。
「ディルの出した条件は、期限は10年間で1人で修行すること。
アデルについては王都へ送り返されるが、王と王妃の暗殺と、王女失踪の罪で処刑されるだろうとの会話があった。
私はどうでもいいけど、アデルが処刑されると聞いて仰天した私は追加で願った。
なんとかして、と」
結果、王夫妻と王女は病死したが事実となり、殺害という行為がなかったことにされた。
「歴史的事実と実際に起きた出来事は違うし、両親の死が本当は暗殺だったのに、認知されてない現実に拭いきれない違和感はあった。
けど、私が魔女となって両親の暗殺をした者と、何故暗殺したのかの理由を突き止めればいい。
……そう考えて10年ディルに師事し、修行を重ね、旅に出てリョウと出会い、ベレニスに出会った」
私はここで言葉を止める。
正直反応が怖い。
リョウは貴族を快く思っていないし、ベレニスは一見能天気に見えるけど、嘘を不快に感じてるのは共に行動しててわかっている。
きっと嫌われただろうなぁ……
でも、2人には隠し事せず話したかったから後悔はない。
「ちょっと!出会ったの一言で終わらせないでよ。
すんごく可愛くて、超絶美少女なエルフに出会ったからラッキーとかあるでしょ?」
ベレニスのいつも通りな、アホな発言に私は笑う。
「ベレニスと出会った時は、一緒にパーティー組むとは思ってなかったよ。
でも今では仲間だし親友だよ」
その発言に、今度はベレニスが笑う。
私の頬に手を伸ばし、ツンツンとつついてくる。
少しくすぐったいけど、嬉しそうな彼女を見てると嬉しくなる。
「傭兵も何か言いなさいよ!
真っ先に言わないなんて、男としてどうかと思うわ。
まあ傭兵のことだから、仲間とか親友とか好きだとか、素直に言うのが恥ずかしくて言えないのもわかるけど」
ほえっ⁉すすす好きって!
ベレニスの言葉にリョウは何も言わない。
まるで石像のように動かない……って、えっ⁉何で赤くなってるの?
やがて彼は私に向き直り告げる。
その声は若干震えているような気もした。
でも言った内容はいつも通りだ。
「俺はローゼの過去を詮索するつもりはない。
もし話したくなったら、話してくれればいい。
あーその、なんだ。
ローゼが王女だろうが魔女だろうが、俺にとってはローゼはローゼだ。
遠慮はいらないし、するつもりもない」
「リョウ……ありがとう」
嬉しかった。
私を私として見てくれるのが、こんなにも嬉しいことだなんて知らなかったなあ。
「は?相変わらず傭兵はダメダメね。
ここはキスする流れでしょ」
ベレニスがやれやれといった態度をとる。
こらこら、そんなことするわけないでしょ。
だが……まあ少しぐらいなら?と思わなくもなかったり……
い、いや!今はそんなことよりも!
リョウは扉に手をかけ出ていこうとしてるし!
「先に告げた通り、俺が城に斬り込む。
その間に2人は逃げろ」
「あらら、話が振り出しに戻ったわね」
ベレニスが呆れ顔で言う。
「リョウ。そんなの私もベレニスも望んでない」
ここだけは譲れないから!
扉に手をかけるリョウの手に手を添える。
「死ぬつもりはないさ。
アランの傭兵の俺だ。
捕虜にし、傭兵団に確認してから処刑するだろう。
その間にローゼとベレニスが対抗策を考え、実行すればいい。
だから2人は逃げ……」
私はリョウの言葉を遮るように、彼の頰を両手で挟み込む。
「リョウの考えはわかった。
たしかに今すぐ出来る策かもしれないけど、それでも私は反対する」
「成功率と生存率というのがある。
傭兵は成功率を重視する」
成功率とは、この状況では真相を暴けるかって意味だろう。
たしかにこのまま街を脱出しようにも、誰かを犠牲にしなければ無理かもしれない。
「俺が脱出の時間を稼ぎ、ローゼとベレニスが真相を暴くのに賭けよう。
反対するなら、それなりの策を提示するのが筋だ」
合理的な考えだし、それがリョウの強みであるのはわかってる。
でも!私は傭兵じゃない!
だから……たまには我儘な女の子になってもいいよね?
王女ローゼマリーとしてではなく、魔女ローゼでもなく、1人の人間として私の思いを伝えるよ。
「私は、リョウの側にいたい。
これからもずっと……」
私の発言に、リョウは目を丸くして固まってしまう。
ベレニスは、そんな私とリョウをニヤニヤしながら見てるけど……まあいっか!
てか固まってないで何か言ってくれええええ!
恥ずかしいいいい‼
何秒経ったか……ようやくリョウが口を開こうとした瞬間だ。
扉がコンコンとノックされる。
誰?まさか衛兵!
ここにいるとバレた⁉
リョウもベレニスも警戒する中でガチャリ、と扉が開く。
扉の向こうに立っていた人物は、私たちのよく知る人物だった。
「ここにいたのか」
私たちを見て短く呟く人物。
ビオレール冒険者ギルドのマスターのバルドさんが、無表情で立っていた。
私たちが警戒する中、バルドさんは部屋の中へと足を踏み入れる。
リョウは私を庇うように前に立ち、ベレニスも私に寄り添うように立ってくれてた。
ドカンと座るバルドさんは、腕組みしてまた短く一言。
「説明しろ」
納得のいく説明をしないと、ここから出て行かないぞと言わんばかりに、私を見つめてきたのだった。
パーティーは盛大に行われた。
私は国中から貴族が領地から集まって祝福してくれる中ではしゃぎまくっていた。
公爵家に同い年の女の娘が2人いたんだけど、その娘たちを連れ回してね。
父や母は遊び疲れてすぐに寝ちゃうんじゃないか心配していた。
『大丈夫かい?ローゼマリー』
なんて言ってきたけど、パーティー終わってからの最大の楽しみに、私は絶対寝ないよと目を輝かせて言った。
だって、久しぶりに両親と一緒のベッドで眠れる。
それが本当に嬉しくて、幸せだったから。
あの本を読んでもらおうとか、この本も読んでもらおうとか……」
パーティーが終わり、お待ちかねのベッドでの両親との時間を楽しみにしていた私。
それは父も母も同じだったと思う。
その日、私の好きな御伽噺や絵本を寝物語として読んでくれたのだ。
とても幸せな時間だった。
「夜中に目が覚めてトイレに行った時は、異変はなかった。
寝室の外で護衛していた、親衛隊長のアデルと一緒にトイレに行って戻った時、既に黒髪の漆黒の剣を持つ魔女……ノエルと両親が戦ってた」
結果、私とアデルは母ローラの転移魔法で、遥か北の地スノッサの森に送られた。
最期に目に焼き付いたのは両親が殺されるシーン。
そして森で出会う魔女ディル。
私は魔女になって復讐する力を願った。
「ディルの出した条件は、期限は10年間で1人で修行すること。
アデルについては王都へ送り返されるが、王と王妃の暗殺と、王女失踪の罪で処刑されるだろうとの会話があった。
私はどうでもいいけど、アデルが処刑されると聞いて仰天した私は追加で願った。
なんとかして、と」
結果、王夫妻と王女は病死したが事実となり、殺害という行為がなかったことにされた。
「歴史的事実と実際に起きた出来事は違うし、両親の死が本当は暗殺だったのに、認知されてない現実に拭いきれない違和感はあった。
けど、私が魔女となって両親の暗殺をした者と、何故暗殺したのかの理由を突き止めればいい。
……そう考えて10年ディルに師事し、修行を重ね、旅に出てリョウと出会い、ベレニスに出会った」
私はここで言葉を止める。
正直反応が怖い。
リョウは貴族を快く思っていないし、ベレニスは一見能天気に見えるけど、嘘を不快に感じてるのは共に行動しててわかっている。
きっと嫌われただろうなぁ……
でも、2人には隠し事せず話したかったから後悔はない。
「ちょっと!出会ったの一言で終わらせないでよ。
すんごく可愛くて、超絶美少女なエルフに出会ったからラッキーとかあるでしょ?」
ベレニスのいつも通りな、アホな発言に私は笑う。
「ベレニスと出会った時は、一緒にパーティー組むとは思ってなかったよ。
でも今では仲間だし親友だよ」
その発言に、今度はベレニスが笑う。
私の頬に手を伸ばし、ツンツンとつついてくる。
少しくすぐったいけど、嬉しそうな彼女を見てると嬉しくなる。
「傭兵も何か言いなさいよ!
真っ先に言わないなんて、男としてどうかと思うわ。
まあ傭兵のことだから、仲間とか親友とか好きだとか、素直に言うのが恥ずかしくて言えないのもわかるけど」
ほえっ⁉すすす好きって!
ベレニスの言葉にリョウは何も言わない。
まるで石像のように動かない……って、えっ⁉何で赤くなってるの?
やがて彼は私に向き直り告げる。
その声は若干震えているような気もした。
でも言った内容はいつも通りだ。
「俺はローゼの過去を詮索するつもりはない。
もし話したくなったら、話してくれればいい。
あーその、なんだ。
ローゼが王女だろうが魔女だろうが、俺にとってはローゼはローゼだ。
遠慮はいらないし、するつもりもない」
「リョウ……ありがとう」
嬉しかった。
私を私として見てくれるのが、こんなにも嬉しいことだなんて知らなかったなあ。
「は?相変わらず傭兵はダメダメね。
ここはキスする流れでしょ」
ベレニスがやれやれといった態度をとる。
こらこら、そんなことするわけないでしょ。
だが……まあ少しぐらいなら?と思わなくもなかったり……
い、いや!今はそんなことよりも!
リョウは扉に手をかけ出ていこうとしてるし!
「先に告げた通り、俺が城に斬り込む。
その間に2人は逃げろ」
「あらら、話が振り出しに戻ったわね」
ベレニスが呆れ顔で言う。
「リョウ。そんなの私もベレニスも望んでない」
ここだけは譲れないから!
扉に手をかけるリョウの手に手を添える。
「死ぬつもりはないさ。
アランの傭兵の俺だ。
捕虜にし、傭兵団に確認してから処刑するだろう。
その間にローゼとベレニスが対抗策を考え、実行すればいい。
だから2人は逃げ……」
私はリョウの言葉を遮るように、彼の頰を両手で挟み込む。
「リョウの考えはわかった。
たしかに今すぐ出来る策かもしれないけど、それでも私は反対する」
「成功率と生存率というのがある。
傭兵は成功率を重視する」
成功率とは、この状況では真相を暴けるかって意味だろう。
たしかにこのまま街を脱出しようにも、誰かを犠牲にしなければ無理かもしれない。
「俺が脱出の時間を稼ぎ、ローゼとベレニスが真相を暴くのに賭けよう。
反対するなら、それなりの策を提示するのが筋だ」
合理的な考えだし、それがリョウの強みであるのはわかってる。
でも!私は傭兵じゃない!
だから……たまには我儘な女の子になってもいいよね?
王女ローゼマリーとしてではなく、魔女ローゼでもなく、1人の人間として私の思いを伝えるよ。
「私は、リョウの側にいたい。
これからもずっと……」
私の発言に、リョウは目を丸くして固まってしまう。
ベレニスは、そんな私とリョウをニヤニヤしながら見てるけど……まあいっか!
てか固まってないで何か言ってくれええええ!
恥ずかしいいいい‼
何秒経ったか……ようやくリョウが口を開こうとした瞬間だ。
扉がコンコンとノックされる。
誰?まさか衛兵!
ここにいるとバレた⁉
リョウもベレニスも警戒する中でガチャリ、と扉が開く。
扉の向こうに立っていた人物は、私たちのよく知る人物だった。
「ここにいたのか」
私たちを見て短く呟く人物。
ビオレール冒険者ギルドのマスターのバルドさんが、無表情で立っていた。
私たちが警戒する中、バルドさんは部屋の中へと足を踏み入れる。
リョウは私を庇うように前に立ち、ベレニスも私に寄り添うように立ってくれてた。
ドカンと座るバルドさんは、腕組みしてまた短く一言。
「説明しろ」
納得のいく説明をしないと、ここから出て行かないぞと言わんばかりに、私を見つめてきたのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
策が咲く〜死刑囚の王女と騎士の生存戦略〜
鋸鎚のこ
ファンタジー
亡国の王女シロンは、死刑囚鉱山へと送り込まれるが、そこで出会ったのは隣国の英雄騎士デュフェルだった。二人は運命的な出会いを果たし、力を合わせて大胆な脱獄劇を成功させる。
だが、自由を手に入れたその先に待っていたのは、策略渦巻く戦場と王宮の陰謀。「生き抜くためなら手段を選ばない」智略の天才・シロンと、「一騎当千の強さで戦局を変える」勇猛な武将・デュフェル。異なる資質を持つ二人が協力し、国家の未来を左右する大逆転を仕掛ける。
これは、互いに背中を預けながら、戦乱の世を生き抜く王女と騎士の生存戦略譚である。
※この作品はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※本編完結・番外編を不定期投稿のため、完結とさせていただきます。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
『奇跡の王女』と呼ばないで
ルーシャオ
恋愛
サンレイ伯爵嫡子セレネは、婚約の話が持ち上がっている相手のジャンが他の伯爵令嬢と一緒にいるところを目撃して鬱々していた。そこで、気持ちを晴らすべく古馴染みのいる大兵営へと向かう。実家のような安心感、知人たちとおしゃべりしてリフレッシュできる……はずだったのだが、どうにもジャンは婚約の話を断るつもりだと耳にしてしまう。すると、古馴染みたちは自分たちにとっては『奇跡の王女』であるセレネのためにと怒り狂いはじめた。
元王女セレネが伯爵家に養子に出されたのは訳があって——。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる