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第四十八話

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 ユーリが物思いにふけっていると、ユーカが手を挙げた。

「あの、パンツは駄目でしょうか?」

「パンツって下着の?」

「そうです、私、下着にはずっと不満があって、何時か改善できないか考えていたんです。」

「何が不満なの?」

「もう、何もかもです。素材も肌触りも見た目も可愛くないし。」

「確かに、可愛くないわよね。私もそれは思ってた。」

 イルミも賛同の様だ。

「ん~、それは女性の下着に限った事なのかな?ルーカスやアルトは?」

「僕は下着は穿ければ良いと言う程度で、特に不満はありませんね。」

「僕も似たような物ですね。」

「キルケの意見は?」

「私も確かに下着の肌触りは気になりますね。あと、デザインが殆ど一緒なので可愛くないのは確かですね。」

「ん~、困ったな。実際に物があれば見たり触ったり出来るんだけど、流石に実物を見ないと何とも言えないしね。」

 ここでユーカに見せてくれとも言えない。さて、どうしよう。

「あの、これから下着の専門店へ行ってみませんか?男性用も売ってますし、入りづらくはありませんよ。」

「そうだね、ここで話をしてても埒が明かないか。」

 6人は学院の外へと出て行く。放課後なので何も問題はない。この近くにも下着の専門店はあるらしい。10分も掛からずに小さめの店に着いた。

「ここです。」

「じゃあ、まず、僕とユーカの2人で入ってみるね。他の4人は時間を置いて2人ずつ入って来て。こう言う店は買わないと帰して貰えない可能性があるから。」

 ユーリとユーカの2人が店に入る。店は狭く、あちこちに商品が展示されている。所謂庶民用の店なのだろう。

「右側を見て下さい。あれが問題の下着です。」

 ユーカに言われた方を見ると色だけは多い下着が並んでいる。確かにデザインは均一、見た目も男性用のブリーフの様だ。

「なるほどね、可愛くないと言うのは解るね。材質は?」

「男性の物と一緒ですので、男性物を触ってみて下さい。」

 男性の下着は手前に並んでいる一枚手に取って触ってみるが、なんか布の目が粗い気がする。

「貴族用もこれと一緒なの?」

「デザインは一緒ですね。ただ、貴族は絹を下着に使う人も居るらしいです。」

「なるほど、絹ね。それじゃあ、高くつくね。」

 そんな事を話していると2組目のルーカスとイルミが入って来た。入れ替わるように2人は外へ出る。3組目のキルケとアルトにも入るように促す。
 さて、これからどうしよう。下着の話だからなぁ、喫茶店でする訳にも行かないだろう。何処へ行こうか?

「私の家へ来ませんか?ここから近いですし。相談出来る個室もありますよ。」

「そう?助かるけど、家の人は大丈夫?」

「問題無いです。」

 少し待ってると4人が店を出て来た。ユーカの家へ行く事を告げるが皆問題ないとの事だ。

「ところでユーカの家って何の商会?聞いた事無かったよね?」

「うちは魔道具を扱ってます。あまり大きくはありませんが、魔道具の業界ではそこそこ名が通ってます。」

「へぇ。魔道具かぁ。それは興味があるね。」

「良かったら一度見てみて下さい。」

 話をしているうちにユーカの商会へ着いたらしい。裏から回って中へ入れて貰う。

「ここは商談に使う部屋なので多少騒がしくしても大丈夫ですよ。」

「助かるよ。」

「で、男性諸君。女性の下着の感想は?」

「なんて言うか、男性物とそう大差が無いって感じでしたね。」

「僕は母親の下着を子供の頃に見た事がありますが、若い子も同じ物を穿いてるとは思いませんでした。」

「そうなのよねぇ。女性物って結局あのタイプしかないのよ。違いは色だけ。」

 イルミの発言に女性陣はうんうんと頷いている。

「で、どうですか?なんとかなりますか?」

 ユーカが期待を込めた目で見て来る。

「何とかするのは簡単なんだけど、学院で売れるかな?」

「売れると思いますよ。若い子程下着に不満を持ってる人が多いですから。」

「ん~、じゃあやってみますか。」

 そう言って中央のテーブルに下着を10種類位出すユーリ。今回は肌触りの良い木綿をチョイスした。デザインは大人し目で、色もパステル調の可愛い系を意識した。ワッと群がる女性陣3人。

「これってサイズ小さくありません?子供用?」

「いや、ちゃんとした成人用だよ。伸びる素材を使ってるので穿く前は小さく見えるんだ。」

「物凄く可愛いです。肌触りも良いし。」

「うん。これなら売れるね。」

「とりあえず気に入ったのがあったらあげるから使ってみて。販売方法はやっぱり口コミだよね。男性陣は参加出来ないけど。」

「この水色の縞々の奴あと2枚出して貰って良いですか?」

「ん?いいけど。」

「3人とも欲しいみたいで。」

「それが一番人気なら多めに入れて置くよ。」

 全10種100枚ずつと縞々多めで1200枚のパンツを何時ものマジックバッグへ入れてユーカへ渡す。女性3人は10枚ずつ自分用に確保したらしい。女性は逞しいなぁ。

「じゃあ、明日から口コミ販売よろしく。あと男性陣も何か商品考えてね。」

 その後、ユーカの両親に挨拶をして、魔道具を見せて貰った。大きな物から小さな物まで様々な魔道具があり、ユーリの知識欲を大いに刺激した。

(魔道具も学院で販売出来ないかな?でもその場合ユーカの家の利益を奪う事になるのかな?)

 ユーリは既にアトマス商会で冷蔵庫と言う魔道具を扱っている。今の所他に真似する商会は無く独占状態だ。他にも様々な魔道具のアイデアはあるが、実用化はしていない。実用化する場合はどこかの魔道具屋と組んでやった方が良いとアトマスには言われている。ならばユーカの商会と組んで作るのも一計だ。

(本格的に考えてみよう。)




 

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