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第三十八話
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「ん?まずいかも?」
「どうしたの?ユーリ君。」
「多分だけど。魔力から言ってレッサードラゴン系じゃないかと。」
「ドラゴン?」
レッサードラゴン、厳密にはドラゴンの亜種でドラゴンとは桁違いに弱いが、初心者が相手に出来る相手ではない。ワイバーンやアースドラゴン、バシリスク等がこれに該当する。
「逃げないと!」
「無駄じゃないかな?向こうは完全にこちらを捉えてるよ。」
「おしまいですわ~」
イルミが大げさな事を言ってるが、いざとなればユーリ一人で相手をするつもりだ。
「あと数十秒で遭遇するぞ。作戦は今まで通りで行くよ!」
「って、逃げないの?」
「いや、逃げる程の相手じゃないでしょ?」
「逃げる程の相手でしょ?」
平民3人組は自分達が王宮魔導士並みの実力になってる事をまだ自覚していない様だ。
「とにかく、僕が相手を抑え込むから、皆は魔法を打ちまくって!」
と言ってるそばから未確認の敵が姿を現した。アースドラゴンである。
「アースドラゴン!Bランクの魔物ですよ。ユーリ君、抑えきれるんですか?」
「大丈夫、スロウ、バインド!!」
補助魔法のスロウは70%、バインドに至ってはほぼ100%の効果がある。ただし、バインドは範囲が狭いのでスロウで敵を遅くしてから確実に狙って掛ける必要がある。
「ほら、止まったよ。一斉に魔法をたたき込め!!」
「ウィンドカッター」
「ストーンバレット」
「ウインドカッター」
流石にBランクの魔物、オーバーキルにはならなかった。まだ、目が死んでない。
「もう一撃だね。イルミ!頭を狙ってウインドアローを!」
「解ったわ。ウインドアロー!!」
これで勝負は決まった。頭が爆砕して生きてる生物は居まい。
「アースドラゴンが簡単に・・・」
ルーカスは茫然としてる。
「これ、持って帰った方が良いよね?素材高く売れるんでしょ?」
ユーリは頭の無いアースドラゴンをアイテムボックスに収納する。
「魔法も思いっきり打てたし。目的は達成したね。さあ、帰ろうか?」
「そうだね、なんか急に疲れが出たみたい。」
ユーカが呟くと他の2人も同意する。
元来た道を戻るより迂回して他の道に出る方が近いようなのでそちらへ向かう。途中で休憩して甘い物を食べたりして、ピクニック気分で帰路につく。
もうすぐ街道だと言う所でユーリの魔力探知に何かが引っかかった。あまり強くは無いが数が多い。
「何かいるみたい。どうする避けて通る?」
「また、ドラゴンとか?」
「いや、数は多いけどあまり強くないみたいだよ。」
「街道の近くだからゴブリンかも。」
「ゴブリンはちょっと・・・」
女性陣はゴブリンには苦手意識があるらしい。まあ、汚いしイヤらしいからね。
「じゃあ、今度は僕がやるから、ちょっと見ててよ。こう言う魔法の使い方もあるって言う参考になると思うよ。」
「解ったわ。じゃあ、ユーリ君にお任せで。」
反応のあった方へ歩いて行くと、やはりゴブリンの集落があった。規模は小さく、30匹程度の集落だ。
ユーリはまず、集落全体をプロテクトの魔法で覆いつくす。3人組に説明しながら、これで、こちらには来れない事を教えると、安堵する3人組。
「これで、周囲に気を遣わずに火魔法が使える様になる。」
そう言って、ユーリは無詠唱で魔法を発動する。効果の範囲はプロテクトの中だけだ。すると、半球状に物凄い勢いで炎が燃え盛る。30秒もすると中には灰しか残っていなかった。
「かなりえげつない魔法だね。」
「いや、使ったのは初級のファイアーボールだよ。」
「え?でも威力が?」
「まあ、ちょっと種と仕掛けをね!でも、こうすれば森でも火魔法が使えるってのは解ったでしょ?」
ユーリたちは冒険者ギルドに帰り着く。
受付でゴブリンを倒した事を報告して、ギルドカードで確認して貰い、報酬を受け取る。ゴブリン30匹で銀貨3枚になった。かなり美味しい仕事だ。実質30秒だったし。その後、買い取りカウンターでアースドラゴンを買い取って貰う。こちらは金貨20枚になった。流石Bランクの魔物である。
3人組は一人頭金貨5枚を貰ってほくほくした顔で帰って行く。ユーリも店に顔を出す予定だ。
その後、登録したてのGランク冒険者がアースドラゴンを倒した事が解り、ギルドが大騒ぎになるのだが、ユーリたちは知る由も無かった。何故なら彼らは明日から、ユーリの作った練習場で魔力を抑える練習を再開するからである。
実際、自由に魔法を打ってみて、どの位の魔力量でどの位の威力になるかをしった3人組は、手加減の仕方もすんなりと得とくするのであった。
ほんの2日の冒険者体験であったが、有意義な体験になった様だ。楽しかったし。また、機会があればやってみたいと皆思っている。特に平民3人組には金貨5枚が大きかったらしい。
また、平穏な通常授業に戻った4人は、急に魔法が上手くなったと教師陣の間で噂になるのであった。特にユーリは才能的に頭一つ飛び抜けていて、他の生徒たちより一歩先のカリキュラムを教えても良いのではと言う声も上がっている。
事実、ユーリが魔法を使用時に手を抜いている事は優秀な教師程、理解している。本来の実力を出せないのは辛いだろうと言う配慮もある。
ユーリを含めた4人を特別クラスにすると言う案まで出ている程だ。
目立たないつもりが思いっきり目立っているユーリであった。
「どうしたの?ユーリ君。」
「多分だけど。魔力から言ってレッサードラゴン系じゃないかと。」
「ドラゴン?」
レッサードラゴン、厳密にはドラゴンの亜種でドラゴンとは桁違いに弱いが、初心者が相手に出来る相手ではない。ワイバーンやアースドラゴン、バシリスク等がこれに該当する。
「逃げないと!」
「無駄じゃないかな?向こうは完全にこちらを捉えてるよ。」
「おしまいですわ~」
イルミが大げさな事を言ってるが、いざとなればユーリ一人で相手をするつもりだ。
「あと数十秒で遭遇するぞ。作戦は今まで通りで行くよ!」
「って、逃げないの?」
「いや、逃げる程の相手じゃないでしょ?」
「逃げる程の相手でしょ?」
平民3人組は自分達が王宮魔導士並みの実力になってる事をまだ自覚していない様だ。
「とにかく、僕が相手を抑え込むから、皆は魔法を打ちまくって!」
と言ってるそばから未確認の敵が姿を現した。アースドラゴンである。
「アースドラゴン!Bランクの魔物ですよ。ユーリ君、抑えきれるんですか?」
「大丈夫、スロウ、バインド!!」
補助魔法のスロウは70%、バインドに至ってはほぼ100%の効果がある。ただし、バインドは範囲が狭いのでスロウで敵を遅くしてから確実に狙って掛ける必要がある。
「ほら、止まったよ。一斉に魔法をたたき込め!!」
「ウィンドカッター」
「ストーンバレット」
「ウインドカッター」
流石にBランクの魔物、オーバーキルにはならなかった。まだ、目が死んでない。
「もう一撃だね。イルミ!頭を狙ってウインドアローを!」
「解ったわ。ウインドアロー!!」
これで勝負は決まった。頭が爆砕して生きてる生物は居まい。
「アースドラゴンが簡単に・・・」
ルーカスは茫然としてる。
「これ、持って帰った方が良いよね?素材高く売れるんでしょ?」
ユーリは頭の無いアースドラゴンをアイテムボックスに収納する。
「魔法も思いっきり打てたし。目的は達成したね。さあ、帰ろうか?」
「そうだね、なんか急に疲れが出たみたい。」
ユーカが呟くと他の2人も同意する。
元来た道を戻るより迂回して他の道に出る方が近いようなのでそちらへ向かう。途中で休憩して甘い物を食べたりして、ピクニック気分で帰路につく。
もうすぐ街道だと言う所でユーリの魔力探知に何かが引っかかった。あまり強くは無いが数が多い。
「何かいるみたい。どうする避けて通る?」
「また、ドラゴンとか?」
「いや、数は多いけどあまり強くないみたいだよ。」
「街道の近くだからゴブリンかも。」
「ゴブリンはちょっと・・・」
女性陣はゴブリンには苦手意識があるらしい。まあ、汚いしイヤらしいからね。
「じゃあ、今度は僕がやるから、ちょっと見ててよ。こう言う魔法の使い方もあるって言う参考になると思うよ。」
「解ったわ。じゃあ、ユーリ君にお任せで。」
反応のあった方へ歩いて行くと、やはりゴブリンの集落があった。規模は小さく、30匹程度の集落だ。
ユーリはまず、集落全体をプロテクトの魔法で覆いつくす。3人組に説明しながら、これで、こちらには来れない事を教えると、安堵する3人組。
「これで、周囲に気を遣わずに火魔法が使える様になる。」
そう言って、ユーリは無詠唱で魔法を発動する。効果の範囲はプロテクトの中だけだ。すると、半球状に物凄い勢いで炎が燃え盛る。30秒もすると中には灰しか残っていなかった。
「かなりえげつない魔法だね。」
「いや、使ったのは初級のファイアーボールだよ。」
「え?でも威力が?」
「まあ、ちょっと種と仕掛けをね!でも、こうすれば森でも火魔法が使えるってのは解ったでしょ?」
ユーリたちは冒険者ギルドに帰り着く。
受付でゴブリンを倒した事を報告して、ギルドカードで確認して貰い、報酬を受け取る。ゴブリン30匹で銀貨3枚になった。かなり美味しい仕事だ。実質30秒だったし。その後、買い取りカウンターでアースドラゴンを買い取って貰う。こちらは金貨20枚になった。流石Bランクの魔物である。
3人組は一人頭金貨5枚を貰ってほくほくした顔で帰って行く。ユーリも店に顔を出す予定だ。
その後、登録したてのGランク冒険者がアースドラゴンを倒した事が解り、ギルドが大騒ぎになるのだが、ユーリたちは知る由も無かった。何故なら彼らは明日から、ユーリの作った練習場で魔力を抑える練習を再開するからである。
実際、自由に魔法を打ってみて、どの位の魔力量でどの位の威力になるかをしった3人組は、手加減の仕方もすんなりと得とくするのであった。
ほんの2日の冒険者体験であったが、有意義な体験になった様だ。楽しかったし。また、機会があればやってみたいと皆思っている。特に平民3人組には金貨5枚が大きかったらしい。
また、平穏な通常授業に戻った4人は、急に魔法が上手くなったと教師陣の間で噂になるのであった。特にユーリは才能的に頭一つ飛び抜けていて、他の生徒たちより一歩先のカリキュラムを教えても良いのではと言う声も上がっている。
事実、ユーリが魔法を使用時に手を抜いている事は優秀な教師程、理解している。本来の実力を出せないのは辛いだろうと言う配慮もある。
ユーリを含めた4人を特別クラスにすると言う案まで出ている程だ。
目立たないつもりが思いっきり目立っているユーリであった。
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