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まあ、使徒の事はこの際置いておいて、宇宙から見た、この惑星だ。
僕は確かにあの光景を見た事がある。前世でテレビで見た地球の様子はもっと綺麗だった。あのゴミが沢山ある宇宙から、水の惑星を見た記憶。これは何時の物なのだろうか?
僕の前世が地球人なら、絶対に見る事が出来ない光景だ。この世界に来て宇宙に出たのは初めてだし、やはり前々世?それとも地球の記憶が偽物なのだろうか?
そんな事を考えていたらアイスが食べたくなった。ストレージを探るがストックが無い。今から作るのは面倒だ。こんな時コンビニがあれば買いに行くんだがな。
って、待てよ。僕はあの時なんでコンビニに向かって居たんだろう?何を買うつもりだったんだ?確か夜だったよな?あの後魂だけこの世界に飛んで来た。肉体はどうなったのだろう?
と言うか、そこの記憶が無いのは何故だ?
記憶にあるはずの物が無くて、無い筈の物があるって、やはり記憶を操作されているのだろうか?
そう言えばこの体は僕の物では無く、元々はブラスマイヤーの物だ。もしかしたらブラスマイヤーの脳の記憶が断片的に僕に見えているのだろうか?
人間と言うのは脳と魂、どちらの記憶が強いのだろうか?
もし魂の記憶より脳の記憶が強いのなら僕の思考はブラスマイヤーの体に侵食されて行く事になる。だが、今現在はまだ、僕の魂の方が強い様だ。
だが、よく考えると魂に記憶領域があると言うのはおかしい気がする。魂がその人間の人格を形成するのだろうか?
科学的に考えれば脳の記憶の方が強い気がするのだが、どうなんだろう?
そもそも魂に人格及び記憶があると言うのは理論的では無い気がする。そうなると、記憶を持ったまま転生すると言うのはありえるのだろうか?
僕は実際にそれを経験している訳だが、冷静に考えると全てが誰かの支配下にあるのでは無いかと言う恐怖を感じる事がある。
もし、僕のこの記憶が偽りの記憶だとしたら、本当の記憶は何処にあるのだろうか?
何が何処まで真実なのかだんだん解らなくなって来る。
自分の記憶に自信が持てないと言うのは非常に不安だ。
まだ、自分が自分で無くなると言う感じはしないが、時折、精神が体に引っ張られて居るんじゃないかと思う事はある。
とりあえず、封印の腕輪を外した今は、神様パワーなのか解らないが、頭の回転はだいぶ戻って来た気がする。
その夜は流星が沢山降ったと後から聞かされた。
翌日は、公爵の仕事で一日潰れてしまった。ビアンカにも手伝って貰い何とか片づけた。侯爵の時はこんなに忙しい事は無かったのだが、やはり公爵になると色々と派閥関係の仕事が増える様だ。
一応、公爵派のトップに居るので冠婚葬祭に呼ばれる事が多い。あまりでしゃばるのは良く無いとセリーに言われ、重要な時だけ僕が赴く、それ以外はセリーが代役として出席している。
今日はセリーが何処かの伯爵家の婚約披露パーティーに出かけて居るので、特に忙しいらしい。
何とか書類との格闘を終え、ぐったりしていると、セリーが帰って来た。セリーもだいぶ疲れている様で帰るなりソファに倒れ込んだ。
「だいぶ疲れたようだな。大丈夫か?」
「ええ、私は公爵の名代で行っているのですが、国王の娘として扱われてしまい大変でした。」
ああ、なるほど、そう言えばそうなるんだよな。もしかしたら僕が行くよりセリーが行った方が喜ばれるんじゃないか?
「皆、頑張った様だから、今日はドラゴンでも食べるか?」
「良いですね。アレは元気が出ます。」
まあ、あんまり元気が出過ぎても困るのでこう言う時にしか出さないんだけどね。そう言えばビアンカには食べさせた事が無かったかな?
「ビアンカはドラゴンは食べた事あるか?」
「えっと、クラ―ネル様との婚約パーティーで串焼きを少しだけ食べさせて貰いました。」
「今日はステーキにする予定だから、ガッツリ食って疲れを吹き飛ばすと良いぞ。」
「ドラゴンが食べられるのは王族だけだと思ってました。」
「まあ、クラ―ネルならドラゴン位簡単に狩るだろうから、これから幾らでも食べる機会があると思うぞ。」
ビアンカは使用人扱いなので本来なら家人と同じ食事は出ないのだが、我が家では家人も使用人も同じ食事メニューなので、待遇は良いと思う。まあ、領地からの収入だけで家が回っている事自体が奇跡みたいな物らしい。
更に僕が稼いでいるので、公爵家の使用人は羨望の的らしい。たまに結婚等でメイドが止めると凄い人数の応募があると聞く。
僕は厨房へ行き、ブルードラゴンの肉塊を出して、今夜はステーキにしてくれと料理長に頼む。厨房では軽く歓声が上がった。醤油を使ったステーキソースのレシピも教えてあるので、久しぶりのドラゴンステーキが楽しみだ。
食事の前に風呂を浴び、応接室で寛ぐのは何時もの習慣だ。
紅茶を飲んでいると、ふと思いついた。竜王の爺さんって何時から天界に出入りしてるんだ?もしかしたらブラスマイヤーが神になるより前の事を知ってるんじゃないかな?
食後にでも少し話を聞いてみよう。
ドラゴンステーキを堪能した後、竜王の爺さんと応接室で話をする。
「なあ、爺さんって何年位生きてるんだ?」
「儂も詳しくは覚えておらんが20万年は超えて居ると思うぞ。」
ん?確か人間が生まれてまだ数万年って言ってた気がする。それよりも随分早くにドラゴンって居たんだな。
「爺さんを創った神の事は解らないか?」
「儂も最初から竜王として生まれた訳じゃないからのぉ。最初は普通の黒竜だったよ。」
「じゃあ、最初に神にあったのは?」
「そうじゃのぉ。生まれて10万年以上経ってからだな。」
それでも、人間が生まれる前に神に会ってるって事になるよね?
「その、最初に会った神ってどんな神だった?」
「それがのぉ、その頃の記憶がぼんやりしていて覚えておらんのじゃ。」
記憶がぼんやりしている?僕と似た症状だな。
「じゃあ、ハッキリと覚えている神の記憶ってどの位前なの?」
「つい最近じゃな。ブラスマイヤーと戦っていた頃はよく覚えている。」
最近って、2000年以上前の話じゃん。まあ、20万年からすれば最近なのか?
「それ以前の記憶で何か覚えている事って無いの?」
「神が人間を創った時の事は覚えておるぞ。魔物が増えすぎたとか言っておったな。」
「魔物の数を減らす為に神は人間を創ったんですか?」
「儂の記憶ではそうじゃな。まあ、儂らドラゴンは魔物と言うカテゴリーには入らないから気にして居なかったがな。」
まあ、ドラゴンは魔物より精霊に近い存在だと言われているからなぁ。
「その、人間を創った神の顔は覚えていますか?」
「ふむ、それなんじゃがな。神が人間を創った事はよく覚えているのじゃが、その神の事を思い出そうとすると記憶が急に曖昧になるのじゃ。歳のせいかのぉ?」
なんだろう?認識疎外の魔法でも使って居たのか?
「その、記憶の曖昧さが出て来たのが何時頃か解りますか?」
「おそらくじゃが、お主と会ってからかのぉ。最初会った時はお主の事を神だと思ったぞ。まあ、完全な間違いでは無かった様じゃが。」
ん?そこで僕が出て来るのか?って物凄い最近の話じゃ無いか?
僕に会って、認識疎外の影響を受けたとしたら、ブラスマイヤーが原因か?
ルシルやベルクロスに竜王の爺さんを何とかする力は無いと思う。だが、ブラスマイヤーが何の為にそんな事を?
「爺さん。もしも僕と会った時にブラスマイヤーが魔法を掛けたら、爺さんは察知出来る?」
「前にも言ったが、ドラゴンと言うのは魔法生物じゃが、魔法は使えない。だから魔法を察知するのも苦手じゃ。まあ、魔法でどうこう出来るほど軟じゃないってのもあるがの。」
「爺さん、ブラスマイヤーが敵だったら勝つ事は可能ですか?」
「難しいな。仮に勝つ事が出来たとしても神格を持つあ奴を殺す事は出来んな。」
「じゃあ、今の僕ならどうでしょう?」
「ふむ、腕輪を外したお主なら、もしかしたら勝てるかもしれんな。じゃが、何故ブラスマイヤーと戦う話になっておるんじゃ?」
「実はですね。」
僕は今までの経緯と神達に対する疑念を詳細に話した。
僕は確かにあの光景を見た事がある。前世でテレビで見た地球の様子はもっと綺麗だった。あのゴミが沢山ある宇宙から、水の惑星を見た記憶。これは何時の物なのだろうか?
僕の前世が地球人なら、絶対に見る事が出来ない光景だ。この世界に来て宇宙に出たのは初めてだし、やはり前々世?それとも地球の記憶が偽物なのだろうか?
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と言うか、そこの記憶が無いのは何故だ?
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そう言えばこの体は僕の物では無く、元々はブラスマイヤーの物だ。もしかしたらブラスマイヤーの脳の記憶が断片的に僕に見えているのだろうか?
人間と言うのは脳と魂、どちらの記憶が強いのだろうか?
もし魂の記憶より脳の記憶が強いのなら僕の思考はブラスマイヤーの体に侵食されて行く事になる。だが、今現在はまだ、僕の魂の方が強い様だ。
だが、よく考えると魂に記憶領域があると言うのはおかしい気がする。魂がその人間の人格を形成するのだろうか?
科学的に考えれば脳の記憶の方が強い気がするのだが、どうなんだろう?
そもそも魂に人格及び記憶があると言うのは理論的では無い気がする。そうなると、記憶を持ったまま転生すると言うのはありえるのだろうか?
僕は実際にそれを経験している訳だが、冷静に考えると全てが誰かの支配下にあるのでは無いかと言う恐怖を感じる事がある。
もし、僕のこの記憶が偽りの記憶だとしたら、本当の記憶は何処にあるのだろうか?
何が何処まで真実なのかだんだん解らなくなって来る。
自分の記憶に自信が持てないと言うのは非常に不安だ。
まだ、自分が自分で無くなると言う感じはしないが、時折、精神が体に引っ張られて居るんじゃないかと思う事はある。
とりあえず、封印の腕輪を外した今は、神様パワーなのか解らないが、頭の回転はだいぶ戻って来た気がする。
その夜は流星が沢山降ったと後から聞かされた。
翌日は、公爵の仕事で一日潰れてしまった。ビアンカにも手伝って貰い何とか片づけた。侯爵の時はこんなに忙しい事は無かったのだが、やはり公爵になると色々と派閥関係の仕事が増える様だ。
一応、公爵派のトップに居るので冠婚葬祭に呼ばれる事が多い。あまりでしゃばるのは良く無いとセリーに言われ、重要な時だけ僕が赴く、それ以外はセリーが代役として出席している。
今日はセリーが何処かの伯爵家の婚約披露パーティーに出かけて居るので、特に忙しいらしい。
何とか書類との格闘を終え、ぐったりしていると、セリーが帰って来た。セリーもだいぶ疲れている様で帰るなりソファに倒れ込んだ。
「だいぶ疲れたようだな。大丈夫か?」
「ええ、私は公爵の名代で行っているのですが、国王の娘として扱われてしまい大変でした。」
ああ、なるほど、そう言えばそうなるんだよな。もしかしたら僕が行くよりセリーが行った方が喜ばれるんじゃないか?
「皆、頑張った様だから、今日はドラゴンでも食べるか?」
「良いですね。アレは元気が出ます。」
まあ、あんまり元気が出過ぎても困るのでこう言う時にしか出さないんだけどね。そう言えばビアンカには食べさせた事が無かったかな?
「ビアンカはドラゴンは食べた事あるか?」
「えっと、クラ―ネル様との婚約パーティーで串焼きを少しだけ食べさせて貰いました。」
「今日はステーキにする予定だから、ガッツリ食って疲れを吹き飛ばすと良いぞ。」
「ドラゴンが食べられるのは王族だけだと思ってました。」
「まあ、クラ―ネルならドラゴン位簡単に狩るだろうから、これから幾らでも食べる機会があると思うぞ。」
ビアンカは使用人扱いなので本来なら家人と同じ食事は出ないのだが、我が家では家人も使用人も同じ食事メニューなので、待遇は良いと思う。まあ、領地からの収入だけで家が回っている事自体が奇跡みたいな物らしい。
更に僕が稼いでいるので、公爵家の使用人は羨望の的らしい。たまに結婚等でメイドが止めると凄い人数の応募があると聞く。
僕は厨房へ行き、ブルードラゴンの肉塊を出して、今夜はステーキにしてくれと料理長に頼む。厨房では軽く歓声が上がった。醤油を使ったステーキソースのレシピも教えてあるので、久しぶりのドラゴンステーキが楽しみだ。
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紅茶を飲んでいると、ふと思いついた。竜王の爺さんって何時から天界に出入りしてるんだ?もしかしたらブラスマイヤーが神になるより前の事を知ってるんじゃないかな?
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「なあ、爺さんって何年位生きてるんだ?」
「儂も詳しくは覚えておらんが20万年は超えて居ると思うぞ。」
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「爺さんを創った神の事は解らないか?」
「儂も最初から竜王として生まれた訳じゃないからのぉ。最初は普通の黒竜だったよ。」
「じゃあ、最初に神にあったのは?」
「そうじゃのぉ。生まれて10万年以上経ってからだな。」
それでも、人間が生まれる前に神に会ってるって事になるよね?
「その、最初に会った神ってどんな神だった?」
「それがのぉ、その頃の記憶がぼんやりしていて覚えておらんのじゃ。」
記憶がぼんやりしている?僕と似た症状だな。
「じゃあ、ハッキリと覚えている神の記憶ってどの位前なの?」
「つい最近じゃな。ブラスマイヤーと戦っていた頃はよく覚えている。」
最近って、2000年以上前の話じゃん。まあ、20万年からすれば最近なのか?
「それ以前の記憶で何か覚えている事って無いの?」
「神が人間を創った時の事は覚えておるぞ。魔物が増えすぎたとか言っておったな。」
「魔物の数を減らす為に神は人間を創ったんですか?」
「儂の記憶ではそうじゃな。まあ、儂らドラゴンは魔物と言うカテゴリーには入らないから気にして居なかったがな。」
まあ、ドラゴンは魔物より精霊に近い存在だと言われているからなぁ。
「その、人間を創った神の顔は覚えていますか?」
「ふむ、それなんじゃがな。神が人間を創った事はよく覚えているのじゃが、その神の事を思い出そうとすると記憶が急に曖昧になるのじゃ。歳のせいかのぉ?」
なんだろう?認識疎外の魔法でも使って居たのか?
「その、記憶の曖昧さが出て来たのが何時頃か解りますか?」
「おそらくじゃが、お主と会ってからかのぉ。最初会った時はお主の事を神だと思ったぞ。まあ、完全な間違いでは無かった様じゃが。」
ん?そこで僕が出て来るのか?って物凄い最近の話じゃ無いか?
僕に会って、認識疎外の影響を受けたとしたら、ブラスマイヤーが原因か?
ルシルやベルクロスに竜王の爺さんを何とかする力は無いと思う。だが、ブラスマイヤーが何の為にそんな事を?
「爺さん。もしも僕と会った時にブラスマイヤーが魔法を掛けたら、爺さんは察知出来る?」
「前にも言ったが、ドラゴンと言うのは魔法生物じゃが、魔法は使えない。だから魔法を察知するのも苦手じゃ。まあ、魔法でどうこう出来るほど軟じゃないってのもあるがの。」
「爺さん、ブラスマイヤーが敵だったら勝つ事は可能ですか?」
「難しいな。仮に勝つ事が出来たとしても神格を持つあ奴を殺す事は出来んな。」
「じゃあ、今の僕ならどうでしょう?」
「ふむ、腕輪を外したお主なら、もしかしたら勝てるかもしれんな。じゃが、何故ブラスマイヤーと戦う話になっておるんじゃ?」
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