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エリアハイヒールと言う魔法がある。これは術者が決めた範囲内に展開される魔法だ。通常は10人程度を一遍に回復させるだけの範囲で使用するのが一般的である。
まあ、元々使える人間が少ないので知らない者も居るだろうが、この範囲は結構広範囲まで広げる事が可能だ。僕の場合は最大で30メートル四方位まで広げられるので一回の魔法で100人程度の回復が可能だ。
前に冒険者ギルドで見せた事があるのだが、これをリカバリーに応用出来ないだろうか?
理論的には可能なはずだ。ならば後はイメージに掛かって来る。
早速練習してみる。エリアリカバリー。まずは3メートル四方でリカバリーを発動する。これは発動した。だが、元々リカバリーは人間一人分をカバーする魔法なので、あまり効果範囲が広がった感じがしない。
次は徐々に効果範囲を広げていく。まずは10メートル四方で発動する。問題無く発動した。効果は今の所判らないが、発動する事に意味がある。
徐々に効果範囲を広げて行くと、なんと100メートル四方まで広げられた。これ、本当に効くのかな?
試しにエリアハイヒールを100メートル四方で発動してみたが、こちらも成功した。元々エリアハイヒールをここまで広範囲で使用する機会がなかったので使わなかったが、一度発動すれば範囲を広げるのは意外に難しい事では無いのかもしれない。
試しに1キロメートル四方でエリアハイヒールを発動しようとしたが、発動しなかった。どうやら見える範囲と言う規制がある様だ。だが、見える範囲全部が有効範囲ならそれなりに使い様はある。
色々と試してみたが、回復系の魔法なら、どれも同じ範囲で使える事が解った。これで上手く使えば数百人程度に一遍でリカバリーを掛ける事が可能になった。
これを使って、ネロフ男爵を慌てさせることに成功すれば、おびき出し作戦も成功するかもしれない。
翌日、僕はクラ―ネルに各治療院への伝言を頼んでから、フライで王都の上空に飛んだ、ここから王都中にエリアリカバリーを掛けまくるつもりだ。
洗脳された者が居れば意識を失うはずだ。放っておいても数時間で目を覚ますが、治療院に運ばれる者も多いだろう。失神は病気では無いのでヒールで十分対応できる。それを各治療院に伝える様にクラ―ネルに頼んだのだ。
ちなみにその後、クラ―ネルには僕の北治療院を任せた。そこにも患者が運ばれて来る可能性があるからだ。
一日空を飛びながらエリアリカバリーを掛け続ける。流石にかなり疲れる作業だ。あまり上空からだと効果が低くなるので10メートル位の高さを維持しながら、見える範囲にエリアリカバリーを掛けて行く。
1回に数百人。10回で数千人。100回でようやく数万人だ。幾ら魔力切れが無いとは言え、この作業は結構キツイ。
だが、ネロフ男爵がどの位の時間を掛けて洗脳をしたのかは判らないが、僕が洗脳を解く方が早いのは確実だ。12万人の内、1日で数万人の洗脳を解かれたのは、確実にダメージになって居るはずだと信じたい。
これで、焦って行動を起こしてくれれば、こちらにも勝機が見えるのだが。
翌日も同じ事を繰り返す。2日で何とか12万人の半分位は洗脳を解いたはずだ。ネロフ男爵の計画に何人の洗脳者が必要なのかは判らないが、半分も減らせば、だいぶ焦りも見えるだろう。
実際、その翌日、救済の箱舟の物と思われるテロが発生した。小規模なテロだが、狙われたのはどうやら西治療院っぽい。実際にはテロは冒険者に防がれ治療院は無事だったのだが、治療院を狙って来たのは、リカバリーの危険性に気が付いたとしか思えない。
こうなると他の治療院も狙われる可能性がある。元公爵に頼んで護衛を付けて貰うか?
ちなみにテロの実行犯は洗脳された一般市民だった。だが、これで方向性が間違って居ない事は解った。もう少し揺さぶれば男爵が釣れそうだ。
ここで一つ気になる点がある。ネロフ男爵は自分が操っている者の洗脳が解けたらすぐに感知出来るのだろうか?もし、リアルタイムで感知出来るのなら厄介だが、そうでないのであれば、そこに突破口がある気がする。
元公爵の部下たちは懸命に1000人の行方を追っているが未だに情報は掴めていない。殺されたと言う線は薄いだろう、ならば何らかの用途で動かされていると見るべきだ。彼らは何をさせられているのだろう?
一方僕は皆とは違う方向で動いている。洗脳と言う能力があるのであれば、金はあまり必要では無いのかと言う仮定の上で、人が生きるには食べ物が必要だと言う事で、食料の流れを探っている。
流石に1000人もの人間に何も食べさせないで長期間動かすのは無理があるだろう。ならば、最低でも食事は救済の箱舟が用意するはずだ。
現に、男爵は料理人や使用人も拉致している。ならば、ここ数日で食料品が大量に動いている場所に彼らは居るのでは無いかと推測したのだ。
大きな貴族家でも100人前の食料を一遍に購入する事は少ない。これが1000人になると、食材の調達だけでもかなりの手間になる。
貴族や大商会は、買い物には行かずに、食料品を運ばせて買い取る。この流れを見つければ、目的地に着く可能性が高い。
そして、これがまさにビンゴだった。
肉、野菜、小麦粉と分散はしているが、ある一軒の家に食料品が集まっている。僕はこれを急ぎ元公爵に伝えた。こう言った事を秘密裏に探るのは元公爵の部下の方が上手い。
「で、この家は誰の持ち物なのでしょう?」
「フォーン子爵の家だな。国王派の子爵だぞ。」
「国王派ですか?そのフォーン子爵が長老の一人と言う可能性は?」
「ふむ、恐らく違うだろうな。フォーン子爵はまだ30代と若い。それに先代のフォーン子爵を私は知っている。恐らく洗脳されて利用されているだけだと思うぞ。」
「ちなみに先代のフォーン子爵は?」
「ああ、2年程前に他界しているな。」
なるほど、そうなるとフォーン子爵が長老の一人と言う可能性は極めて低くなるか。
「僕とクラ―ネルで夜襲を掛けます。制圧したら花火を上げますので、それを合図に元公爵は屋敷に来て下さい。」
「今回も陽動と言う可能性は?」
「もし、今回も陽動だとしたら、内部に内通者が居ると言う事になりますね。前回の戦いで、根こそぎ部下を持って行かれた訳ですから、陽動の可能性は低いと思いますよ。」
こうして、作戦は決まった。
北治療院でクラ―ネルと合流し、作戦を練る。
「今回は、戦闘はクラ―ネルに全面的に任せる。僕は敵の洗脳を解く事に専念する。行けるな?」
「任せて下さい。1000人程度なら、一人で行けます。」
「ネロフ男爵を見つけたら、最優先で確保しろ。気絶させるのを忘れるなよ。奴の能力は厄介だからな。」
こうして、僕とクラ―ネルは夜襲に備えて食事を取り、戦闘の準備をする。まあ、準備と言っても僕もクラ―ネルも武器は持たないんだけどね。
20時を回った所でフォーン子爵邸の近くに転移する。あれ?そう言えば、クラ―ネルの家ってこの近くじゃ無かったか?
フォーン子爵邸をサーチで探るが、思ったより人数が少ない様な気がする。だが、一般的な子爵家よりは圧倒的に人は多い。ここに拉致された1000人の内の半分位は居そうだ。
って言うか、残りの半分は何処へ行った?
まあ、良い。それは彼らの脳に聞いてみよう。僕はクラ―ネルに突撃の合図を送った。
クラ―ネルが、前に僕がやったのを真似してドアを蹴破る。だが、玄関には人は居ないぞ。
玄関を蹴破る音を聞いてから、人が押し寄せて来る。その間にクラ―ネルは玄関フロアの戦いやすい場所を陣取っている。
僕は、押し寄せる人たちにエリアリカバリーを掛ける。突然バタバタと倒れる人に躓き、後ろから来た者達が廊下で立ち往生の状態になる。
クラ―ネルは反対から押し寄せる者達の相手をしている。
さて、ネロフ男爵は何処に居るのかな?僕はサーチを発動した。
まあ、元々使える人間が少ないので知らない者も居るだろうが、この範囲は結構広範囲まで広げる事が可能だ。僕の場合は最大で30メートル四方位まで広げられるので一回の魔法で100人程度の回復が可能だ。
前に冒険者ギルドで見せた事があるのだが、これをリカバリーに応用出来ないだろうか?
理論的には可能なはずだ。ならば後はイメージに掛かって来る。
早速練習してみる。エリアリカバリー。まずは3メートル四方でリカバリーを発動する。これは発動した。だが、元々リカバリーは人間一人分をカバーする魔法なので、あまり効果範囲が広がった感じがしない。
次は徐々に効果範囲を広げていく。まずは10メートル四方で発動する。問題無く発動した。効果は今の所判らないが、発動する事に意味がある。
徐々に効果範囲を広げて行くと、なんと100メートル四方まで広げられた。これ、本当に効くのかな?
試しにエリアハイヒールを100メートル四方で発動してみたが、こちらも成功した。元々エリアハイヒールをここまで広範囲で使用する機会がなかったので使わなかったが、一度発動すれば範囲を広げるのは意外に難しい事では無いのかもしれない。
試しに1キロメートル四方でエリアハイヒールを発動しようとしたが、発動しなかった。どうやら見える範囲と言う規制がある様だ。だが、見える範囲全部が有効範囲ならそれなりに使い様はある。
色々と試してみたが、回復系の魔法なら、どれも同じ範囲で使える事が解った。これで上手く使えば数百人程度に一遍でリカバリーを掛ける事が可能になった。
これを使って、ネロフ男爵を慌てさせることに成功すれば、おびき出し作戦も成功するかもしれない。
翌日、僕はクラ―ネルに各治療院への伝言を頼んでから、フライで王都の上空に飛んだ、ここから王都中にエリアリカバリーを掛けまくるつもりだ。
洗脳された者が居れば意識を失うはずだ。放っておいても数時間で目を覚ますが、治療院に運ばれる者も多いだろう。失神は病気では無いのでヒールで十分対応できる。それを各治療院に伝える様にクラ―ネルに頼んだのだ。
ちなみにその後、クラ―ネルには僕の北治療院を任せた。そこにも患者が運ばれて来る可能性があるからだ。
一日空を飛びながらエリアリカバリーを掛け続ける。流石にかなり疲れる作業だ。あまり上空からだと効果が低くなるので10メートル位の高さを維持しながら、見える範囲にエリアリカバリーを掛けて行く。
1回に数百人。10回で数千人。100回でようやく数万人だ。幾ら魔力切れが無いとは言え、この作業は結構キツイ。
だが、ネロフ男爵がどの位の時間を掛けて洗脳をしたのかは判らないが、僕が洗脳を解く方が早いのは確実だ。12万人の内、1日で数万人の洗脳を解かれたのは、確実にダメージになって居るはずだと信じたい。
これで、焦って行動を起こしてくれれば、こちらにも勝機が見えるのだが。
翌日も同じ事を繰り返す。2日で何とか12万人の半分位は洗脳を解いたはずだ。ネロフ男爵の計画に何人の洗脳者が必要なのかは判らないが、半分も減らせば、だいぶ焦りも見えるだろう。
実際、その翌日、救済の箱舟の物と思われるテロが発生した。小規模なテロだが、狙われたのはどうやら西治療院っぽい。実際にはテロは冒険者に防がれ治療院は無事だったのだが、治療院を狙って来たのは、リカバリーの危険性に気が付いたとしか思えない。
こうなると他の治療院も狙われる可能性がある。元公爵に頼んで護衛を付けて貰うか?
ちなみにテロの実行犯は洗脳された一般市民だった。だが、これで方向性が間違って居ない事は解った。もう少し揺さぶれば男爵が釣れそうだ。
ここで一つ気になる点がある。ネロフ男爵は自分が操っている者の洗脳が解けたらすぐに感知出来るのだろうか?もし、リアルタイムで感知出来るのなら厄介だが、そうでないのであれば、そこに突破口がある気がする。
元公爵の部下たちは懸命に1000人の行方を追っているが未だに情報は掴めていない。殺されたと言う線は薄いだろう、ならば何らかの用途で動かされていると見るべきだ。彼らは何をさせられているのだろう?
一方僕は皆とは違う方向で動いている。洗脳と言う能力があるのであれば、金はあまり必要では無いのかと言う仮定の上で、人が生きるには食べ物が必要だと言う事で、食料の流れを探っている。
流石に1000人もの人間に何も食べさせないで長期間動かすのは無理があるだろう。ならば、最低でも食事は救済の箱舟が用意するはずだ。
現に、男爵は料理人や使用人も拉致している。ならば、ここ数日で食料品が大量に動いている場所に彼らは居るのでは無いかと推測したのだ。
大きな貴族家でも100人前の食料を一遍に購入する事は少ない。これが1000人になると、食材の調達だけでもかなりの手間になる。
貴族や大商会は、買い物には行かずに、食料品を運ばせて買い取る。この流れを見つければ、目的地に着く可能性が高い。
そして、これがまさにビンゴだった。
肉、野菜、小麦粉と分散はしているが、ある一軒の家に食料品が集まっている。僕はこれを急ぎ元公爵に伝えた。こう言った事を秘密裏に探るのは元公爵の部下の方が上手い。
「で、この家は誰の持ち物なのでしょう?」
「フォーン子爵の家だな。国王派の子爵だぞ。」
「国王派ですか?そのフォーン子爵が長老の一人と言う可能性は?」
「ふむ、恐らく違うだろうな。フォーン子爵はまだ30代と若い。それに先代のフォーン子爵を私は知っている。恐らく洗脳されて利用されているだけだと思うぞ。」
「ちなみに先代のフォーン子爵は?」
「ああ、2年程前に他界しているな。」
なるほど、そうなるとフォーン子爵が長老の一人と言う可能性は極めて低くなるか。
「僕とクラ―ネルで夜襲を掛けます。制圧したら花火を上げますので、それを合図に元公爵は屋敷に来て下さい。」
「今回も陽動と言う可能性は?」
「もし、今回も陽動だとしたら、内部に内通者が居ると言う事になりますね。前回の戦いで、根こそぎ部下を持って行かれた訳ですから、陽動の可能性は低いと思いますよ。」
こうして、作戦は決まった。
北治療院でクラ―ネルと合流し、作戦を練る。
「今回は、戦闘はクラ―ネルに全面的に任せる。僕は敵の洗脳を解く事に専念する。行けるな?」
「任せて下さい。1000人程度なら、一人で行けます。」
「ネロフ男爵を見つけたら、最優先で確保しろ。気絶させるのを忘れるなよ。奴の能力は厄介だからな。」
こうして、僕とクラ―ネルは夜襲に備えて食事を取り、戦闘の準備をする。まあ、準備と言っても僕もクラ―ネルも武器は持たないんだけどね。
20時を回った所でフォーン子爵邸の近くに転移する。あれ?そう言えば、クラ―ネルの家ってこの近くじゃ無かったか?
フォーン子爵邸をサーチで探るが、思ったより人数が少ない様な気がする。だが、一般的な子爵家よりは圧倒的に人は多い。ここに拉致された1000人の内の半分位は居そうだ。
って言うか、残りの半分は何処へ行った?
まあ、良い。それは彼らの脳に聞いてみよう。僕はクラ―ネルに突撃の合図を送った。
クラ―ネルが、前に僕がやったのを真似してドアを蹴破る。だが、玄関には人は居ないぞ。
玄関を蹴破る音を聞いてから、人が押し寄せて来る。その間にクラ―ネルは玄関フロアの戦いやすい場所を陣取っている。
僕は、押し寄せる人たちにエリアリカバリーを掛ける。突然バタバタと倒れる人に躓き、後ろから来た者達が廊下で立ち往生の状態になる。
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