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翌日サクッとCランクに上がったクラ―ネルを連れて、侯爵家に帰る。
クラ―ネルの家がある下級貴族の家が立ち並ぶ地区を抜け上級貴族の家が並ぶ地域に入るとクラ―ネルが緊張しだした。
「あれ?エイジさんって貴族ですよね?貴族の息子じゃないですよね?」
「一応当主だぞ、嫁も居る。」
そう言えばクラ―ネルに僕が侯爵だって言って無かったかな?
侯爵家が見えて来たので、あそこだと指さす。
「なんか、凄いお屋敷ですね。って言うか馬車は使わないんですか?」
「ああ、この姿の時は冒険者だからな。登城する時は使うぞ。」
「この辺に来るのは初めてなのですが、もう少し行くと王城が見えるんじゃないですか?」
上級貴族は人数が少ない伯爵が40人程、侯爵が4人、公爵が1人だ。まあ、その分家の広さが下級貴族とは違うし、庭もたっぷりと取ってあるので1軒1軒の間隔が広い。
僕の家は伯爵家と侯爵家の境目辺りにある。伯爵位を貰った時に侯爵になった時の事を考えて家を購入したからだ。
公爵家まで歩いて10分、王城まで歩いて20分の位置だ。王城は上にも高さがあるので、僕の家からでも確かに見える。
「気にしてなかったが、そう言えばうちから王城が見えるな。」
「エイジさんってまだ若いですよね?お父様が凄かったんですか?」
「いや、僕は平民出身だぞ。」
「え?平民から貴族になったんですか?」
「それを言うならクラ―ネルも一緒だろう。男爵の次男なんて平民と変わらないはずだ。だが、見合いをすれば貴族になれるぞ。」
「んー、なんか違う気がしますが、貴族ってそんなに簡単になれるもんでしたっけ?」
「親が貴族と言うだけで上級貴族になる者もいる。逆に才能があっても貴族になれない者も多い。貴族になれるチャンスがあるなら、それを逃す手は無いと思うぞ。」
特に下級貴族の次男以降は平民に落ちる可能性が高い。極稀に、裕福な家だと、次男でも跡継ぎの居ない貴族に婿入りできる事があるが、クラ―ネルの様に無派閥だと、それも難しい。
貴族の世界はコネが重要だ。ある意味何処の派閥に入るかは家の存亡に係わる重大な選択となる。
しかし、子は親を選べない。生まれた時点である程度の将来が決まってしまうのは良くある事だ。クラ―ネルも、自分は将来平民になると言う事が解って居たので魔法を覚える気になったと言って居た。
「今回の見合いは、そのチャンスと言う事ですか?」
「まあ、そう言う事だな。着いたぞ。」
侯爵家に着くと玄関でセリーと執事のルーメンが待っていた。あれ?そんな大事?
「妻のセレスティアだ。こちらはクラ―ネル・フォン・リドリル。」
と2人に紹介する。お互いに驚いた顔をしている。セリーは解るが、なんでクラ―ネルも驚いてるの?
「とりあえず応接室で話をしよう。ルーメン。お茶を3人分頼む。」
執事のルーメンが畏まりましたと下がった。僕は2人を連れて応接室へ行く。
僕とセリーが同じソファーに座り対面にクラ―ネルを座らせる。
「まあ、そう畏まらなくて良いぞ。さっきも言ったが僕は平民出身なのであまり礼儀とか細かい事には拘らない。冒険者をやってる時と同じ対応で構わないよ。」
「いや、そう言う分けには行きませんよ。こんな凄い家初めて来ました。」
「家は稼げば誰でも買える。クラ―ネルももう少し稼げる様になればこの位の家には住めるようになるはずだ。」
仮定の話だが、クラ―ネルが子爵家に婿入りして、僕の派閥に入るなら、伯爵までは引っ張り上げるつもりだ。その頃のクラ―ネルの稼ぎなら伯爵でも上等な家が買えるだろう。
「あなた、クラ―ネルさんが困ってますよ。」
セリーが横からたしなめる。
「まあ、見合いが成功しない事には、話が始まらないか。セリー、クラ―ネルをもう少し男らしく出来るか?」
「そうですね。昔から男装の麗人と言うのは女性の憧れでした。クラ―ネルさんは男性ですが、男装が似合うと思いますよ。」
それって、某歌劇団みたいな感じになるんじゃないか?
「華奢と聞いていましたが、思ったほどではありません。顔つきが女の子っぽいのは仕方ないとして、髪型で印象はかなり変わると思いますよ。」
ここの所鍛えたから、華奢な印象は薄れた様だな。だが、小柄で背が低いのは誤魔化せないだろう。
「髪型ですか?」
「はい、失礼ですが、クラ―ネルさんの髪型は貴族の物ですね。冒険者でそんな綺麗な髪型をしている人は少ないと思います。」
確かにそうだ。自分がクラ―ネルと似た髪型をしているから気が付かなかったが、冒険者は短髪の者が多い。
「その髪の毛、バッサリと切る事には抵抗がありますか?」
そうセリーが尋ねる。
「いえ、別に髪型を気にした事はありませんので、構いませんよ。」
クラ―ネルが意外と簡単に答えた。
「では、気が変わらない内にバッサリと行きましょう。」
え?セリーが切るの?
僕とクラ―ネルが呆気に取られている内に、セリーはメイドを呼び、散髪の用意が始まる。
そう言えば、この世界って美容院とかどうなってるんだ?
確か、貴族は髪の毛や化粧はメイドに任せているんだよな?冒険者はどうしてるんだろう?自分で切っているのかな?
見る見るうちにクラ―ネルが、メイドたちによって、髪を切る体制に持って行かれている。どうやら切るのはセリーでは無くメイドらしい。
セリーが、細かく指示を出し、どんどんとクラ―ネルの髪の毛が短くなって行く。
およそ15分。そこには美少女から美少年に変わったクラ―ネルが居た。
「確かに男には見えるが、どう見ても少年だろう?若すぎないか?」
15歳位の美少女が、13歳位の美少年になっている。背が低いので余計に若く見えるのかもしれない。
「若いのは悪い事ではありませんよ。少なくとも女の子に見えるよりはマシだと思いますが?」
「クラ―ネル的にはどうなんだ?」
「僕はあまり見た目には拘りません。昔から女の子に見られるのは慣れてますしね。僕よりも、見合い相手がどう思うかが重要だと思いますが?」
いや、クラ―ネルは鏡を見て無いから、そんな悠長な事を言ってられるんだ。ってそうだ。
「誰か鏡を持って来てやれ。」
そう言うとメイドが急いで鏡を持って来た。
「良いか、気を確かに持って、自分の現状を見てみろよ。」
そう言ってクラ―ネルに鏡を渡す。
「えっと、僕、冒険者に見えますか?」
え?気にするとこ、そこなの?
「その格好をしている限りは冒険者に見えますよ。」
セリーが無表情で答える。
確かに皮鎧を着てるからね。冒険者に見えない事も無いが、明らかに子供だろう?
「なぁ、セリー。見合いの相手って幾つだ?」
「現在14歳で、来月に成人します。」
「クラ―ネルは成人して何か月経つ?」
「僕ですか?えっと半年ですね。」
ふむ、年齢的には確かに釣り合いは取れているのか。となると、問題は見た目だけか。
これは、一度その見合い相手の顔を見て見ないとイケないな。
「セリー。その見合い相手の顔を見たいんだが、難しいか?」
「お相手の方は貴族学院に通っているので、見るだけなら出て来るところを待ち伏せれば可能かと。話をしたいのであれば、今度の公爵家のパーティーに招待すれば良いと思います。」
あー、とりあえず顔を見るだけで良いかな。話をすると言っても、幼い少年は好きですか?とか聞けないし。
「あのー、なんで公爵様の名前が出て来るんでしょうか?」
クラ―ネルが恐る恐る聞いて来た。
「あ、そうか。実はこのセリーは公爵の娘なんだよ。」
「え?えー?」
クラ―ネルが僕とセリーの顔を見比べながら驚いている。
「そんなに驚く所か?」
「エイジさんは一体何者なんですか?平民出身なのになんで奥方が公爵様の娘なんでしょう?」
「まあ、一応こう見えても侯爵だからな。」
「こ、侯爵?」
あら?固まってる。もっと早く言って置いた方が良かったかな?
「まあ、そう言う訳だから、見合いは何としてでも成功させてやるよ。」
「失礼ですがエイジさんって、まだ若いですよね?僕とあまり変わらないと思って居たんですが?」
「そうだな。今17歳でもうすぐ18になる。」
「成人して、僅か2年で侯爵になったんですか?」
あれ?2年も掛からなかった様な気がするな。
クラ―ネルの家がある下級貴族の家が立ち並ぶ地区を抜け上級貴族の家が並ぶ地域に入るとクラ―ネルが緊張しだした。
「あれ?エイジさんって貴族ですよね?貴族の息子じゃないですよね?」
「一応当主だぞ、嫁も居る。」
そう言えばクラ―ネルに僕が侯爵だって言って無かったかな?
侯爵家が見えて来たので、あそこだと指さす。
「なんか、凄いお屋敷ですね。って言うか馬車は使わないんですか?」
「ああ、この姿の時は冒険者だからな。登城する時は使うぞ。」
「この辺に来るのは初めてなのですが、もう少し行くと王城が見えるんじゃないですか?」
上級貴族は人数が少ない伯爵が40人程、侯爵が4人、公爵が1人だ。まあ、その分家の広さが下級貴族とは違うし、庭もたっぷりと取ってあるので1軒1軒の間隔が広い。
僕の家は伯爵家と侯爵家の境目辺りにある。伯爵位を貰った時に侯爵になった時の事を考えて家を購入したからだ。
公爵家まで歩いて10分、王城まで歩いて20分の位置だ。王城は上にも高さがあるので、僕の家からでも確かに見える。
「気にしてなかったが、そう言えばうちから王城が見えるな。」
「エイジさんってまだ若いですよね?お父様が凄かったんですか?」
「いや、僕は平民出身だぞ。」
「え?平民から貴族になったんですか?」
「それを言うならクラ―ネルも一緒だろう。男爵の次男なんて平民と変わらないはずだ。だが、見合いをすれば貴族になれるぞ。」
「んー、なんか違う気がしますが、貴族ってそんなに簡単になれるもんでしたっけ?」
「親が貴族と言うだけで上級貴族になる者もいる。逆に才能があっても貴族になれない者も多い。貴族になれるチャンスがあるなら、それを逃す手は無いと思うぞ。」
特に下級貴族の次男以降は平民に落ちる可能性が高い。極稀に、裕福な家だと、次男でも跡継ぎの居ない貴族に婿入りできる事があるが、クラ―ネルの様に無派閥だと、それも難しい。
貴族の世界はコネが重要だ。ある意味何処の派閥に入るかは家の存亡に係わる重大な選択となる。
しかし、子は親を選べない。生まれた時点である程度の将来が決まってしまうのは良くある事だ。クラ―ネルも、自分は将来平民になると言う事が解って居たので魔法を覚える気になったと言って居た。
「今回の見合いは、そのチャンスと言う事ですか?」
「まあ、そう言う事だな。着いたぞ。」
侯爵家に着くと玄関でセリーと執事のルーメンが待っていた。あれ?そんな大事?
「妻のセレスティアだ。こちらはクラ―ネル・フォン・リドリル。」
と2人に紹介する。お互いに驚いた顔をしている。セリーは解るが、なんでクラ―ネルも驚いてるの?
「とりあえず応接室で話をしよう。ルーメン。お茶を3人分頼む。」
執事のルーメンが畏まりましたと下がった。僕は2人を連れて応接室へ行く。
僕とセリーが同じソファーに座り対面にクラ―ネルを座らせる。
「まあ、そう畏まらなくて良いぞ。さっきも言ったが僕は平民出身なのであまり礼儀とか細かい事には拘らない。冒険者をやってる時と同じ対応で構わないよ。」
「いや、そう言う分けには行きませんよ。こんな凄い家初めて来ました。」
「家は稼げば誰でも買える。クラ―ネルももう少し稼げる様になればこの位の家には住めるようになるはずだ。」
仮定の話だが、クラ―ネルが子爵家に婿入りして、僕の派閥に入るなら、伯爵までは引っ張り上げるつもりだ。その頃のクラ―ネルの稼ぎなら伯爵でも上等な家が買えるだろう。
「あなた、クラ―ネルさんが困ってますよ。」
セリーが横からたしなめる。
「まあ、見合いが成功しない事には、話が始まらないか。セリー、クラ―ネルをもう少し男らしく出来るか?」
「そうですね。昔から男装の麗人と言うのは女性の憧れでした。クラ―ネルさんは男性ですが、男装が似合うと思いますよ。」
それって、某歌劇団みたいな感じになるんじゃないか?
「華奢と聞いていましたが、思ったほどではありません。顔つきが女の子っぽいのは仕方ないとして、髪型で印象はかなり変わると思いますよ。」
ここの所鍛えたから、華奢な印象は薄れた様だな。だが、小柄で背が低いのは誤魔化せないだろう。
「髪型ですか?」
「はい、失礼ですが、クラ―ネルさんの髪型は貴族の物ですね。冒険者でそんな綺麗な髪型をしている人は少ないと思います。」
確かにそうだ。自分がクラ―ネルと似た髪型をしているから気が付かなかったが、冒険者は短髪の者が多い。
「その髪の毛、バッサリと切る事には抵抗がありますか?」
そうセリーが尋ねる。
「いえ、別に髪型を気にした事はありませんので、構いませんよ。」
クラ―ネルが意外と簡単に答えた。
「では、気が変わらない内にバッサリと行きましょう。」
え?セリーが切るの?
僕とクラ―ネルが呆気に取られている内に、セリーはメイドを呼び、散髪の用意が始まる。
そう言えば、この世界って美容院とかどうなってるんだ?
確か、貴族は髪の毛や化粧はメイドに任せているんだよな?冒険者はどうしてるんだろう?自分で切っているのかな?
見る見るうちにクラ―ネルが、メイドたちによって、髪を切る体制に持って行かれている。どうやら切るのはセリーでは無くメイドらしい。
セリーが、細かく指示を出し、どんどんとクラ―ネルの髪の毛が短くなって行く。
およそ15分。そこには美少女から美少年に変わったクラ―ネルが居た。
「確かに男には見えるが、どう見ても少年だろう?若すぎないか?」
15歳位の美少女が、13歳位の美少年になっている。背が低いので余計に若く見えるのかもしれない。
「若いのは悪い事ではありませんよ。少なくとも女の子に見えるよりはマシだと思いますが?」
「クラ―ネル的にはどうなんだ?」
「僕はあまり見た目には拘りません。昔から女の子に見られるのは慣れてますしね。僕よりも、見合い相手がどう思うかが重要だと思いますが?」
いや、クラ―ネルは鏡を見て無いから、そんな悠長な事を言ってられるんだ。ってそうだ。
「誰か鏡を持って来てやれ。」
そう言うとメイドが急いで鏡を持って来た。
「良いか、気を確かに持って、自分の現状を見てみろよ。」
そう言ってクラ―ネルに鏡を渡す。
「えっと、僕、冒険者に見えますか?」
え?気にするとこ、そこなの?
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セリーが無表情で答える。
確かに皮鎧を着てるからね。冒険者に見えない事も無いが、明らかに子供だろう?
「なぁ、セリー。見合いの相手って幾つだ?」
「現在14歳で、来月に成人します。」
「クラ―ネルは成人して何か月経つ?」
「僕ですか?えっと半年ですね。」
ふむ、年齢的には確かに釣り合いは取れているのか。となると、問題は見た目だけか。
これは、一度その見合い相手の顔を見て見ないとイケないな。
「セリー。その見合い相手の顔を見たいんだが、難しいか?」
「お相手の方は貴族学院に通っているので、見るだけなら出て来るところを待ち伏せれば可能かと。話をしたいのであれば、今度の公爵家のパーティーに招待すれば良いと思います。」
あー、とりあえず顔を見るだけで良いかな。話をすると言っても、幼い少年は好きですか?とか聞けないし。
「あのー、なんで公爵様の名前が出て来るんでしょうか?」
クラ―ネルが恐る恐る聞いて来た。
「あ、そうか。実はこのセリーは公爵の娘なんだよ。」
「え?えー?」
クラ―ネルが僕とセリーの顔を見比べながら驚いている。
「そんなに驚く所か?」
「エイジさんは一体何者なんですか?平民出身なのになんで奥方が公爵様の娘なんでしょう?」
「まあ、一応こう見えても侯爵だからな。」
「こ、侯爵?」
あら?固まってる。もっと早く言って置いた方が良かったかな?
「まあ、そう言う訳だから、見合いは何としてでも成功させてやるよ。」
「失礼ですがエイジさんって、まだ若いですよね?僕とあまり変わらないと思って居たんですが?」
「そうだな。今17歳でもうすぐ18になる。」
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