転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
上 下
219 / 308

219

しおりを挟む
 クラ―ネルは魔法使いとしては優秀だが、冒険者としてはまだ3流だ。一番問題なのは体力が低い事だな。

 そこで、翌日から、オークを中心に狩りをすると言って、行動範囲を広げ、とにかく森の中を歩き回らせた。

 慣れて無い者には森の中を歩くのは結構大変だ。プラス狩りをする事で1週間もするとだいぶ体力が付いて来た様だ。

 最近では1日に30匹のオークを狩っている。10匹に1匹は止めもクラ―ネルに刺させる様にしている。

 時々出て来る狼の魔物はクラ―ネル一人で倒せるようになった。実質Dランク位にはなって居るだろう。

「だいぶ、冒険者らしくなって来たな。そろそろ魔物のレベルを上げようと思う。グレートボアに挑戦してみよう。ボア系の魔物はこちらに向かって突進してくると言う特徴がある。足止めをキッチリやらないと怪我をするぞ。注意しろ。」

「解りました。」

 だが、心配は杞憂だった。グレートボアもオークと同じようにキッチリと足止め出来ている。流石は理論派と言うべきか?

 グレートボアを5匹程狩った所で、レッドボアを見つけたので、試しにぶつけてみようと思った。

「グレートボアの上位種がいる。対処法は同じだが、グレートボアよりは強いぞ、出来るか?」

「やらせて下さい。」

「解った。だが、ヤバそうなら割って入るぞ。」

 そう言ってレッドボアの反応のした方へ歩き出す。

 すぐにレッドボアが現れた。探知魔法で位置を特定していたのか、クラ―ネルに慌てた様子は無い。
 
 こちらを見つけて突進の準備をしているレッドボアにウインドカッターが飛ぶ。

 が、一度ではレッドボアは止まらなかった。続けてクラ―ネルは先程より大きめのウインドカッターを撃つ。今度は足止めに成功した。

「悪く無いな。だが、探知魔法で捉えていたのなら、その強さも解ったはずだ。グレートボアの上位種と言う情報も事前に与えて置いた。何故、グレートボアと同じ魔法で足止めをしようとしたんだ?」

「距離があったので、グレートボアとどの位の違いがあるのか確かめてみました。不味かったですか?」

「1発目はわざとか?余裕を持つのは悪い事では無いが、油断に繋がらない様に気を付けろよ。」

 どうやら、クラ―ネルにはレッドボアでも余裕があるようだ。これは評価を改めないとイケないな。

 ちなみにレッドボアはBランクの魔物だ。確実に足止め出来るなら、Cランク相当の力があるとみるべきだろう。そろそろ昇級試験を受けても良いかもしれない。

 レッドボアを仕留めてストレージに仕舞いながら言う。

「明日は昇級試験でも受けてみるか?」

「昇級試験ですか?」

「ああ、Cランクまではギルドの裏庭で毎日何時でも受けられるぞ。クラ―ネルの場合魔法の威力を確認するだけだから、簡単にDランク位までは上がると思う。冒険者ランクが上がると稼げる金額も変わって来る。受けられる実力があるなら受けて置いた方が良い。」

 ギルドの昇級試験は剣と魔法のいずれかを見る。魔法使いのクラ―ネルには有利だ。上手くすれば現状でもBランクまでは行ける可能性もある。受けて置いて損は無いだろう。

「僕の魔法で本当に大丈夫でしょうか?」

「冒険者ギルドの昇級試験では、魔法の威力だけを見る。上級魔法まで使えるクラ―ネルなら落ちる事はまず無いと思うぞ。」

「解りました。やってみます。」

 と言う事で、その日の狩りは終わりにした。明日は10時に待ち合わせて、昇級試験だ。

 翌日、稽古の後、一服してから、冒険者ギルドに転移する。クラ―ネルは何時も同じ場所に居るので見つけやすい。

「さあ、試験を受けに行くぞ。準備は良いか?」

「はい、大丈夫です。」

 ギルドに入り受付で昇級試験を受けたいと言うと、書類を渡される。書類に必要事項を書き込むと、ギルドの裏手へ回る様に指示を受ける。

 2人でギルドの裏に向かうと、既に試験を受けている者が何人か居た。

 手の空いている職員を見つけ、書類を渡す。

「魔法使いですか。では、こちらへどうぞ。」

 そう言って職員に促されて、クラ―ネルが試験に向かう。僕は暇なので、剣士の方を見ていた。

 そう言えばギルマスが、最近若い冒険者が育たないと嘆いていたな。

 現に目の前で試験を受けている剣士たちの剣は、クラ―ネルよりお粗末だ。

 あれ?このレベルで試験を受けるって事は、クラ―ネルって意外に剣も出来ていたのかな?

 と、その時、爆音が轟いた。何事かと、その場の全員が音のした方を見る。

 巨大な炎の竜巻が暴れていた。

 あの馬鹿、上級魔法を使ったな。

 僕は転移で竜巻の近くに立っているクラ―ネルのそばに飛ぶ。すぐさま竜巻を霧散させた。

 幸い、試験官も無事な様だ。

「どう言う事だ?」

「試験官さんが一番威力のある魔法が見たいと言う物で。」

「それは、初級魔法の中でと言う意味だ。」

「そうなんですか?」

 クラ―ネルが試験官の方を見る。

 試験官は僕に気付いた様だ。

「もしかして、エイジさんのお弟子さんですか?」

「一応その様な物だ。迷惑をかけたな。」

「いえいえ、上級魔法が使えるとは逸材です。とりあえず、Dランクに昇級と言う事で納得して下さい。それ以上は私の判断では難しいです。」

 試験官が恐縮しているが、クラ―ネルはポカンとした顔をしている。僕は何とも言えない顔をしていただろう。

 試験官に書類を貰い、再度受付に向かう。受付でGランクのギルドカードをDランクの物と交換して貰ったクラ―ネルは物凄く嬉しそうだ。

 ギルドを出て、人気の少ない場所でクラ―ネルを叱る。

「言わなかった僕にも責任があるが、常識で考えろ。あの狭い試験会場で上級魔法を使ったら最悪冒険者ギルドが吹き飛ぶぞ。」

「済みません。次回からは気を付けます。」

「範囲指定の中級魔法を教えたろう?今度はあれを使え。」

「はい。」

「さて、まだ時間は早い。が、狩に行くには遅い時間だ。今日は剣の稽古をするとしよう。」

「え?剣ですか?」

「ああ、自分で足止めした魔物に止めを刺す位は出来ないとな。最低でもレッドボアの首を刈る位にはなって欲しい。」

「魔法じゃ駄目なんですか?」

「魔物の中には魔法が通じない奴も居る。そんな敵に遭遇したらどうするんだ?」

「逃げましょう。」

「お前なぁ。何のために冒険者になったんだ?」

「ですよね~」

 と言う事で何時もの草原で、みっちりと扱いてやった。最近低ランクの冒険者を見て無かったから気付かなかったが、今のクラ―ネルの剣技はDランク程度はあるかもしれない。

 冒険者でDランクと言うのはある意味1つの区切りだ。Dランクになると1人前の冒険者と言われる様になる。

 現在のクラ―ネルは剣技はDランク、魔法はAランク位の実力はありそうだ。本人は気が付いていないが既に立派な冒険者になっている。

 だが、ここで満足して貰っては困る。僕の弟子と名乗るならば、最低でもSランクの実力が欲しい。

 実際のランクはBランク位で止めても構わないが、実力的にはまだまだ伸びしろがあると考えている。

 お粗末だった剣技も、今日見た受験者に比べれば、まだ見れる方だ。と言う事は意外に剣のセンスもあるのかもしれない。

 剣でBランク、魔法でSランクになったら僕の弟子と名乗っても良いかな。

「そう言えば、見合いする気はあるか?」

「なんですか、突然?」

「貴族になりたいんだろう?」

「それはそうですが、まだ早く無いですか?やっとDランクですよ。」

「ランクは試験を受ければすぐに上がる。明日もう一度試験を受ければCランクが貰えるぞ。それに、レッドボアを狩れるなら収入的にはBランクだ。結婚しても問題無いと思うぞ。」

 冒険者としての実力には問題無い。問題はそれよりも見た目なんだよな。

「明日、うちへ来ないか?」

「え?明日見合いですか?」

「違う。お前を少しでも男らしくしようと言う計画だ。」

「そう言う事ですか。では試験を受けてからではどうでしょう?」

「よし。決まりだ。」

 家に帰り、セリーに明日の午後にクラ―ネルを連れて来る事を説明する。そして、クラ―ネルを男らしくする計画の実行に入ると伝えた。

 セリーの眼に気合が入る。 
しおりを挟む
感想 299

あなたにおすすめの小説

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

処理中です...