転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 10人のメンバーが5人ずつ2台の馬車に乗って北へ向かう。御者は用意されて居なくて、メンバーの内の馬車の扱いが上手い物が御者をする。

 どうやら、ハンターと言うのは馬車の運転ぐらい出来ないとイケないらしい。現代で言う要普通運転免許の様な物だろうか。

 さて、皆適当に乗り込んだ様に見えたのだが、どうやら5人パーティー2つにちゃんと分けられているみたいだ。各馬車にはSランカーが2人とAランカーが3人とキッチリ分けて乗り込んでいるらしい。

 と言う事は僕の乗っているこの馬車には、もう一人Sランカーが乗っていると言う事だ。誰だろう?

 と言うか、知っている顔が一人も居ない事に気が付いた。10人中女性が3人、もう一つの馬車に女性が2人乗っているのでこちらには1人だ。どう言う基準で分けられているのかも理解していない。

 北の森に着くまでに情報収集が必要だな。

 そう思って居たらメンバーの一人が自己紹介をしないかと提案した。

「俺はAランクのハンクと言う。斥候では無いが、パーティーでは探査役を務める事が多い。調査隊への参加はこれで5回目って所だな。」

 斥候で無いのは背格好で判る。この中で一番体格が良い。多分、戦士職だろう。

「俺はAランクのビトーだ。Sランクパーティーで斥候をしている。調査隊への参加は10回以上のベテランだ。まあ単純に年を食っているだけとも言う。」

 この人は30代前半の見るからにベテランの斥候だ。

「あ、それから、前で御者をやっているのはAランクのドーソン。奴は細身だが、腕の良い盾役だぞ。」

 ビトーが御者の紹介もしてくれた。あれ?盾役?しかも残るは女性と僕だけ、って事は、この女性がSランカーか?

「私はSランクのハーネル。戦士職をやっているわ。今回はパーティーの護衛役として選ばれました。」

 見た所20代の後半と言った感じの美人さんだ。見た目ではSランクの迫力は無い。優しそうなお姉さんだ。

「最後は僕ですね。Sランクのエイジです。魔法剣士をやってます。探査役もやります。調査隊への参加は初めてなのでよろしくお願いします。」

「Sランカーが女とガキか、時代は変わったな。おっと馬鹿にしている訳じゃ無いぞ。」

 ビトーがベテランらしい言い方をする。

「Sランクのエイジってマルコスを倒した奴じゃなかったか?」

「って事はSランク最強って事か?」

 あれ?何やら盛り上がってますが、もうそろそろ着きますよ。

 僕らが昨日入った森が見えて来た。先行する馬車が止まる。が、僕らの乗っている馬車は止まった馬車を追い越して行く。ん?

「俺らはもう少し後方から前方に向かって調査する。」

 御者のドーソンからそんな声が聞こえて来た。なるほど、そう言う作戦でメンバーを2班に分けたのか。

 およそ15分程走ってから馬車が止まった。そう言えば馬車は放置するって言ってたけど、それって馬は犠牲にするって事だよね?

 と思ったら、御者のドーソンが2頭の馬を馬車から切り離し今来た道を帰らせた。なるほど、馬は自力でギルドに戻るのか。

 さて、第一陣は既に森に入っているはずだ、僕らもすぐに入らないと。しかし、ここから前に戻るって5キロ位ありそうだけど。この人数でそんなに広範囲を調査するの?

 僕はサーチを掛けながら森に分け入る。他のメンバーも躊躇なく入って来るが、そこでビトーが一言。

「今回の目的は調査だ、それを忘れるなよ。戦闘はなるべく回避だ。」

 実質リーダーはビトーで良いのかな?

 それにしても今回のパーティー、戦士職が2人に盾が1人、斥候が1人って事は、僕は魔法使い枠なのかな?

 ギルマスは僕の事を戦士と見ていると思っていたのだが、それともパーティーに魔法使いは必要無いと考えているのかな?

 昨日からこの森は出入りが禁止されているので魔物の反応が濃い。ざっとサーチを掛けただけでもかなりの数の魔物がヒットする。これを戦闘回避で進むのは難しいんじゃないかな?

「かなり魔物の反応が濃いですけど、どうします?戦闘回避は難しそうですよ。」

「このまま、南に進む。襲い掛かって来る魔物だけ退治してくれ。逃げる奴は追わなくて良い。」

 そう言って、前進する。魔物の反応は多分レッドボアだ。このチームなら楽勝だろう。

 3分も歩かない内にレッドボアが姿を現す。レッドボアは基本目に入った動く物に突進する性質がある。

 この為レッドボア同士の同士討ちも珍しくない。

 さて、今日は素材を気にしなくて良いんだよな。なら手加減無しで行きましょう。僕はレッドボアを見かけるなり、サンダーを落として瞬殺する。

 基本脳天にサンダーを直撃させているので、肉は問題無い。毛皮も頭の部分以外は使える。勿体ないからストレージに仕舞って行く。

 2体、3体と同じ方法で倒して行くと。

「なんか、俺らの出番無くね?」

 誰かがボソッと呟いた。あら?不味かったか?

「この先7メートル。レッドボアが2匹居ます。任せても良いですか?」

「おう、いざって言う時に体が動かないのは不味いからな。準備運動させてくれ。」

 と言う事で、獲物を譲った。

 1匹をSランクのハーネルさんが受け持ち、もう1匹を、ハンクとドーソンが受け持つ。

「戦ってみて解ったが、確かにこの森の魔物はおかしいぞ。」

「ふむ、なんと言うか、子供を産んだばかりの母熊の様だな。妙に警戒心が強い上に、攻撃的だ。」

「僕は何者かを恐れている様に感じましたが。」

「この森に何かが居ると言うのか?」

「解りません。それを調査しに来たんでしょ?」

「まあ、そうだがな。何かが居る前提とそうでないのでは、調査の方法が変わって来る。」

 ビトーがそんな事を言った。確かにそうだな。何かが居るならそいつを見つけなければイケない。

 しかし、僕たちは何かを確認した訳では無い。

「どうします?魔物の異変は確認出来た訳ですから、その原因を調べると言う方針に切り替えますか?」

「んー、そうだな。そして、その原因には何かが居ると言う選択肢も入れて置こう。」

「何かが居るとして、何が考えられますか?」

「魔物に大きな影響を与えると言えば、真っ先に浮かぶのがドラゴンなんだが、基本、ドラゴンが現れたら魔物は逃げる。しかし、ここの魔物たちは逃げる素振りが無い。」

「つまり、ドラゴンでは無いと?」

「そうだな、もっとこうなんと言うか精神的に影響を与える何かだな。」

 魔物に精神的な影響?あれ?最近なんか、そのフレーズを聞いた記憶が。なんだっけ?

 と、サーチに何か大きな反応が引っかかる。恐らくイービルボアだろう。横を見るとビトーも感じ取ったらしく、目が合った。

「イービルボアですね。」

「イービルボアか、厄介だな。」

「え?」

「ん?」

「なんでイービルボアが厄介なんですか?」

「そりゃあ、イービルボアと言えばSランクの魔物だぞ。」

「Sランクならここに居ますけど?」

 僕は自分の顔を指さして言った。

「いや、Sランクの魔物ってのは、Sランクパーティーでかろうじて倒せる魔物って言う意味だぞ。」

「え?そうなんですか?うちのパーティーではイービルボアは儲かるので率先して倒してますが?」

「お前のパーティー異常だぞ。で、一人で倒せるのか?」

「問題ありませんよ。」

 そんな会話をしているうちにイービルボアが近づいて来た。

「本来なら逃げる所なんだが、任せて大丈夫なのか?」

「だから、問題ありませんって。」

 姿を現したイービルボアに瞬動で近づき首をスパッと落として見せた。そのままストレージに入れて、皆の元へ帰る。

 4人が唖然とした顔で見ていた。あれ?うちのパーティーでは普通なんだけど?

「お前、規格外って言われないか?」

「たまに言われる事がありますね。でも今位ならうちのパーティーメンバーでも出来ますよ?」

「お前のパーティーの名前は?」

「『鈍色の刃』です。」

「最近Sランクになったばかりのパーティーじゃねえか?」

「そうですけど、Aランクの頃からイービルボアは狩ってましたよ。」

「Sランク最強ってのはどうやら本当らしいな。」

 あら?疑われてたの?
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