転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
上 下
183 / 308

183

しおりを挟む
 翌朝、稽古の後、王城へ飛ぶ、事件の進展を聞く為だが、騎士隊が再編されて居ない状態なので、場内は騒然としている。宰相に会いたかったのだが、都合が付かずに会えなかった。

 仕方が無いので今度は冒険者ギルドへ行って見る。ここの所毎日行っているのだが、ほんの僅かでも良いから情報が欲しいと言うのが現状だ。

 ギルマスにアポイントを取って暫く待つ。

 30分程で2階に呼ばれた。

「どうです、事件の進展は?」

「無いに等しいな。」

「やはりそうですか。情報が無さすぎてこっちも動きが取れません。あまりにも不自然ですよね。」

「確かに、目撃者はおろか噂も出て来ないとは徹底している。」

「犯人は本当に人間なんですかね?自然現象って事は無いでしょうが。」

「流石に自然現象ってのはありえないが、人間が犯人と言うのもどうなんだろうな。これ程の事件を起こす程の人材がこの国に居るとは思えんのだがな。」

 なんで、そこで僕をチラッと見たんだ?

「人では無理ですか?では魔人とか?」

「魔人は人間より知能が劣ると言うのが通説だ。今回の事件はもっと頭の良い奴がバックに居ると考えた方が良さそうだな。」

「それは僕も感じました。ただ、頭の良い人間は得てして行動力が伴わないんですけどね。」

「ん?ちょっとまってくれ。今のお前さんの言葉で思い出したんだが、俺がまだ駆け出しの頃だから15年位前の話になるが、テイマーって解るか?」

「テイマーですか?魔物使いの事ですよね?今はあまり居ないとか。」

「ああ、テイマーってのはある程度強い魔物を複数テイムしないと戦闘で勝てない。だから上級職と言われている。」

「そのテイマーがどうしたんですか?」

「テイマーってのは通常知能がある程度高い魔物を使役する。だがな、あまり知能が高い魔物は使役出来ない。例えばドラゴンとかな。」

 正確には知能が低い魔物をテイムできない訳では無い。知能が低い魔物はテイムしても言う事を聞いてくれないと言う訳だ。

「で、今回の件とテイマーが何か関係があると?」

「昔の話だがな。居たんだよ。アンデットを使役するテイマーってのが、通常アンデットは知能が低い。ゾンビやスケルトンをテイムする者は居ない。だが、上級のレイスやリッチなら使役できると豪語していた。」

「ほう?リッチですか?それが出来るならゾンビパウダーの大量入手も可能になりますね。」

「だろう?だが、そいつがそれからどうなったかが判らんし、今回の件は別人の仕業かもしれん。」

「いや、でも、捜査のとっかかりにはなりますよ。もし本当にアンデットを使役できるテイマーが居るのであれば、重要参考人になります。」

 僕はギルマスに礼を言って勢いよくギルドを飛び出した。

 リッチをテイムするテイマー。ゾンビパウダーの増産は可能だろうが、今回の事件の黒幕とは思えない。だが、黒幕に辿り着く手掛かりにはなりそうだ。

 アンデットをテイムするテイマーなら冒険者達の間で噂になっているはずだ、だが、王都のギルドでは聞いた事が無い。これは、アンデットが住むダンジョンのある町のギルドで聞き込みをするしかない。

 この王国でアンデットが出るダンジョンは南東にあるダンジョン一つだけだ。僕が知っている南東の町と言えばブレイルだけだ。まずはブレイルに飛ぶ。

 ブレイルのギルドでアンデットの出るダンジョンの情報を聞く。村人が消えた村はブレイルから南西に1日の距離にある。その更に西にダンジョンのある町、バーナムがある。王都から見れば南東だが、ほぼ王国の中央の南寄りにある町だ。

 ブレイルからバーナムまでは馬車で5日と言った所だろう。バーナムに着くと冒険者ギルドを探した。

 ギルドはすぐに見つかり、近くに居た冒険者に情報を聞いてみる。すると意外と簡単に情報が手に入った。なんでもアンデットを使役出来るテイマーは実在するそうだ、ただ、ここ1か月程姿が見えないらしい。

 あれ?やはり何かが起こっている?黒幕に連れ去られたか?

 またしても、情報が途絶えた?いや、まだ、ここのダンジョンがある。ここのダンジョンには唯一アンデットが出る。何か事件に関係あるかもしれない。

 僕はダンジョンに潜る事にした。事前に情報を入手するのは忘れて居ない。ここのダンジョンは現在34層まで突破されている。それより下は未知の世界だ。ちなみにアンデットが出るのは5階層からで、まとまって出る事は少ないらしい。リッチが出るのは20階層前後だそうだ。

 ダンジョンの魔物は地上の魔物とは色々と違いがあるらしい。僕は準備をキッチリとしてから潜る事にする。今日は準備で潜るのは明日になるかもしれない。

 さて翌日、僕的には翌々日なのだが、ダンジョンに潜る事にした。ダンジョンの入り口で一人か?と聞かれたので頷くと、ソロは危険だぞと言われたのでギルドカードを出して黙らせた。

 このダンジョンはいわゆる、普通のダンジョンだ。迷路タイプとも言われる、日本人がダンジョンと言われて真っ先に思い出すあのダンジョンだ。

 まず、1階層では魔物に出会う事は無い。これは絶対数が少ない事と先行したパーティーが倒してしまうからだ。このダンジョンでは魔物の復活に半日かかるらしい。

 ダンジョンに潜っている冒険者の絶対数が多いのか、上層では殆ど魔物に出会わなかった。まあ、目的はリッチなので他の魔物はどうでも良いのだが。ちなみに、上層には罠も無く道も解り易く迷う程分かれ道も無かった。

 5階層からアンデットが出ると聞いていたが、実際に遭遇したのは6階層だった。最初はスケルトンだ。基本死なないが、バラバラになると戻るのに時間が掛かるので簡単に逃げられる。

 そして、8階層でようやくゾンビに出会った。こいつも不死身だが、頭部を破壊すると動かなくなる。見た目は映画などで見るゾンビその物だが、匂いがとにかく臭い。風魔法を使って換気する。

 とりあえず強い魔物が出て来ないのでどんどんと奥へと進んで行く。気が付けば20階層までもう少しだ。

 とそんなタイミングでレイスが出た。アンデットって意外と数が少ないのかな?

 レイスと言うのは簡単に言えば幽霊だ。知能はあるが攻撃力は無い。ただ、倒す方法も少ない。レイスは人に乗り移ってパーティーメンバーを同士討ちさせる。僕みたいなソロはどうするんだろう?倒すには光属性の浄化魔法で成仏させるしかない。

 まあ、今日の目的はレイス退治ではないので、体に光属性の魔法を纏ってスルーする。レイスは近づいて来なかった。

 20階層を超えたが肝心のリッチが見つからない。しょうがないのでどんどん下層へ降りて行く。

 あれ?気が付くと34階層を超えて居るぞ?リッチは何処へ行った?

 ここまでサーチを掛けながら降りて来た。リッチの反応は無い、何処へ消えたんだ?これってゾンビパウダー事件と関係があるのかな?

 さて、どうする?ここまで来たんだから、もう少し降りてみるか?

 サーチを掛けながらもう少し降りてみる事にする。40階層まで降りて何も無ければ帰ろう。

 ここから先は冒険者が入っていない。大量の強い魔物が出る可能性もある。慎重に行こう。そう決心したのだが、大した敵は出て来なかった。

 しかも40階層を目指していたのに、サーチでは38階層が最下層らしい。とことん期待を裏切ってくれるダンジョンだ。

 だが、38階層に足を踏み入れた途端、雰囲気が変わった。空気が変わったとも言う。なんと言うか、アンデットの気配だ。どうやらこのダンジョンのマスターはアンデットらしい。

 あれ?アンデットの王ってリッチだよな?ノーライフキングだっけ、あれも確かリッチの別名だった気がする。

 最後の最後でリッチに会えるのか?

「ここまで来るとは何者だ?」

「んー、そっちが名乗ったらこっちも名乗るぞ。」 
しおりを挟む
感想 299

あなたにおすすめの小説

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

処理中です...