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 さて、2日後の事だ。リリ達5人が道場に顔を出した。僕は早速リリ対特待生3人と言う模擬戦を組んだ。今まで僕対リリ達と言う非対称戦は経験があるだろうが、逆に自分が複数の相手をする事は無かったので、どんな試合になるか楽しみだ。

 リリは初めての複数対人戦に最初は戸惑っていたが、僕の戦い方を思い出したのか、途中からは特待生を圧倒しだした。これでまた一段成長するだろう。

 特待生には悪いが、その後ベル達4人とも連戦して貰った。だいたい1試合10分位だったが、特待生にとっても大きな成果の有る戦いだったはずだ。5人には各々特徴的な戦法がある。負けたとしても、実際に経験する事は非常に意味がある。

 特待生と言っても10歳に満たない子供達だ。リリ達5人は、危機感を覚えたはずだ。これで慢心する事無く精進するだろう。特にリリは何か感じる物があった様で、終始難しい顔をしていた。

 試合を見て居た者達も、何か収穫を得てくれれば良いなと思う。特に師範2人は焦りを覚えた様で、模擬戦が終わった後2人で議論を戦わせていた。

 模擬戦が終わった後は、気分を切り替える意味で、皆に付与魔法について1時間ばかり講義をした。

 付与魔法に興味がある門下生が50人ばかり集まって、僕の話を講堂で聞く、その間、他の門下生は外で訓練をしている。

 リリ達5人は、1対2で模擬戦をやっていた。そう言えば、何時の間にかあの5人が仲良くなってるのはどう言う事だ?

 2時まで皆の練習に付き合って、後は師範に任せ僕は道場を出る。

 エドワード魔道具店に飛び、商品を補充する。

「今日はどんな感じ?」

「そうですね、だいぶ落ち着いて来ましたが、売り上げは落ちてませんよ。」

「ほう?そろそろ新商品が欲しい所ですか?」

「そうですね。多少高くても良いので目を引く物が欲しいですね。」

「ふむ、目を引く物ですか?魔剣とか?」

「魔剣ですか?そんな物置いたら見物客ばかり集まりますよ。」

「実用的な物だとアクセサリーがありますが、売れますか?」

「どの様な付与のアクセサリーでしょうか?」

「魔法と物理の障壁を張る指輪と腕輪なんですが、冒険者には受けると思うのですがどうですか?」

「守りの魔道具ですね。値段次第では売れると思いますよ。」

「素材は銀なのでそれ程高くありません。指輪が金貨1枚。腕輪が金貨3枚と言った所でしょうか。」

「相変わらず安いですね。普通のアクセサリーの値段じゃないですか。その値段で魔道具が買えるなら、確実に売れますね。」

「じゃあ、明日見本として100個ずつ持って来ます。売れるなら増産しますので。」

「解りました。お願いします。」

「ところで、そろそろお金も貯まったでしょう?何を仕入れるか決めましたか?」

「それなんですが、仕入れに行く暇が無いのが一つ、これだけの魔道具を見た後ではどれもが、価格に見合わないのが一つで、なかなか決まらないのです。時々店に魔道具を売り込みに来る商会もあるのですが、明らかに値段が高すぎるって言うのもありますね。」

 あ、そう言えばこの国の魔法使いってレベルが低いんだったな。しかし、困ったな。僕は何時までもこの国に居るつもりは無いから出来れば、僕の代わりになる魔道具職人が欲しい所だ。

 道場から魔道具職人希望者を募って鍛えるか?

 翌日、道場に魔道具職人希望者募集の張り紙をして置いたら、2人の応募があった。2人共女性だ。

 僕は2人に毎日1時間ずつ、特別講義をする事を約束した。特に追加料金とかは取らない。

 初日は魔力水の作り方を教え、それにヒールを付与して下級ポーションを作る方法を教えた。これは毎日練習すれば、徐々に中級、上級へと上がって行くので基礎の基礎だ。

 2人は難なく初級ポーションを作成出来たので、素質はあるはずだ。後は、その都度必要な魔道具を作らせながら、育てて行こう。

 さて、それから2日後、アリアナが産気づいた。前回は安産だったので、今回も大丈夫だろうとの産婆の言葉を信じ、応接室でお茶を何杯もお替りしながら待っている。

 破水したのが5時過ぎ、産まれたのは8時間後の3時過ぎだった。男の子だ。

 男の子が生まれたら僕が名前を付けなければならない。幾つかの候補の中から、『ウィルガスト』と名付けた。通称ウィルだ。

 アリアナは男の子が生まれたと言う事実とその名前に歓喜し、幸せそうな顔で眠りに就いた。

 お疲れ様とキスをしたら後ろにセリーが居て、ビクッとなった。

「エルとウィルって何か似てません?」

「僕の子だからね。似てても良いのでは?」

「私の子供の名前もちゃんと考えて置いて下さいね。」

 セリーさん。完全に男の子が生まれるって確信してますね。女の子が生まれたらどうすんの?

 と言うか、アリアナの子が生まれたと言う事はあと2か月でセリーの子供も生まれる予定だ。

 そして、セリーの子供が生まれたら次は邪竜の復活が待っている。

 もう4時近い。寝たら起きられないな。このまま起きて居よう。応接室でお茶を飲みながら色々と今後の事を考える。

 そう言えば邪竜を倒したら皆はどうするんだろう?ベルクロスは神界に戻るのかな?竜王の爺さんはどうするんだろう?ライザの事も考えなければ。

 そんな取り留めのない事を考えていると6時になる。使用人達が動き出し、日常に連れ戻される。

 朝食を食べ、稽古をする。寝てないので24時間ぶっ続けはキツイ。久しぶりに仮眠を取ってから空間を出る。すぐに帝国に転移し、道場へ行く。子供たちの模擬戦を見ながらアドバイスをしていると、門下生が少しづつやって来る。

 師範が来たタイミングで本格的な稽古が始まる。最近は模擬戦を希望する者が多く。師範達もだいぶ戦いなれて来た。

 基本魔法使いの模擬戦は時間が短い。10分程度が標準だ。これは剣士の試合と一緒で、1発当たれば勝敗が付く事が多いからだ。

 なので武舞台の上では入れ代わり立ち代わり、常時試合が行われている。

 最近では1対複数の模擬戦も多く見られる様になった。全体的にレベルが底上げされた感がある。この間のリリ達と特待生との試合が刺激になったのかもしれない。

 午後になると僕は魔道具職人希望者の2名に指導する。1対2なので個別指導に近い濃密な講義が出来る。おかげで短期間で2人のレベルがどんどん上がって行く。

 今日はマジックバッグ作成の為の時空魔法を教えた。流石にリリと違って戦闘の為の時空魔法は教えないので転移は覚えないだろう。

 まあ、門下生には転移は見せて無いから、そう言う魔法がある事も知らないだろうから、イメージも出来ないはずだ。イメージが出来なければ魔法は発動しない。

 2時になると僕は道場を後にする。魔道具店に飛び、在庫の補充だ。

「アクセサリーはどうですか?」

「売れてますが、消耗品では無いので爆発的とは言えませんね。それでも単価の割には結構な数出ています。」

「ふむ、エドワードさん的には消耗品が欲しいと?」

「いや、そう言う訳ではありませんが、リピーターが付く商品は強いと感じています。」

「なら、魔石を売っては如何でしょう?」

「魔石その物をですか?」

「いや、何らかの魔法を付与した魔石です。例えばお湯を出す魔石とか氷を作る魔石とか、売れませんかね?」

「なるほど、それは売れるかもしれません。それに魔石には寿命があるのでリピーターも期待できます。」

「では、どんな魔石が売れるかお客さんにアンケートを取って置いて下さい。僕の方でも売れそうな魔石を考えて試作してみます。」

「解りました。」

 その後すぐに王国の我が家に転移で戻る。まだ、3時前だ。

 アリアナとウィルに会いに行き、次にシルフィーヌの寝顔を見て。その後エルとリアーナと戯れる。

 30分程子供達の顔を見たら、明日の魔道具を仕込む。

 4時前には風呂に入り。その後、応接室でまったりとお茶を飲む。やはり家は落ち着く。

 6時になるとメイドが夕食の時間ですと呼びに来る。カオスな食卓に着き、賑やかな食事を取り、7時前には自室で寛ぐ。

 あれ?誰も来ない?そうか今日はアリアナの日だ。久しぶりに1人でゆっくりと寝た。たまには1人になりたい時もあるよね。
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