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翌朝、稽古の後、自室で一人悩んでいた。帝国の魔法使いのレベルを上げるべきかどうかだ。
魔法使いのレベルを上げると、今までの産業が下火になる可能性もある。また、戦争が起こる可能性だってある。しかし、現在のまま魔法が衰退するのは帝国の滅亡へ繋がるのでは無いだろうか?
どうすれば良い?平和的な魔法書でも書くか?しかし、現在のレベルではそれを読んでも底上げできるかどうか心配だ。
魔法の道場でも開くか?剣術の道場があれだけあるんだから魔法の道場があってもおかしく無いよな?しかし、弟子を取る事になると色々と面倒が起きそうだ。
困った時はあれだな、侯爵に相談してみよう。
午後は帝国へ飛んだ。
侯爵家に入ると何故かリリが居た。
「あれ?学院は?」
「やだなぁ先生。今日は休日ですよ。皇帝陛下の誕生日です。」
知らんがな。
「あれ?って事は侯爵は居ないのかな?」
「居ますよ、午前中に謁見して来て午後は休みです。」
僕はリリに頼んでアポイントメントを取って貰う。
その間久しぶりにリリの稽古の様子を見る。かなり腕が上がっている様だ。やはり理論を理解すれば自力で解決できる部分も多いって事だよね。
やがて侯爵が現れる。応接室で話をする。現在の帝国の魔法の衰退状況。このまま行けば帝国は滅亡するかもしれない事等を話した上で。魔法の道場と言うのは現実的なのかどうか?需要はあるのかなどを聞いてみた。
「ふむ、面白いな。道場に通う者達が腕が上がれば名声もあがる。その道場、やる価値はあると思うぞ。それに、君の魔法の腕は埋もれさせて置くのは勿体ないと考えていたので丁度良い。」
「それで、ですね。出来れば僕の名前は出したくないんですが、可能ですかね?」
「なら、私の名前を貸してやろう。侯爵ゆかりの道場なら門弟も集めやすいだろう。」
「助かります。お金は自分で出しますので、色々と試してみようと思います。」
「あ、くれぐれも伝説の魔法は広めないでくれよ。」
「解って居ます。あれはリリが理論から自分で思いついたんですよ。」
リリを褒めると侯爵は目を細めて嬉しそうに紅茶を一口飲んだ。
実際リリ程才能が有る子は滅多に居ないだろう。そう言う事も踏まえて、事前の準備が必要だ。
「そう言えば、道場の月謝ってどの位が相場なんですかね?」
「剣術の道場なら月に大銅貨2~3枚だな。」
「ふむ、儲かる事業では無いんですね。」
「いや、からくりがあってねぇ。有能な弟子には秘伝を教える。これには月に銀貨2~3枚が必要となる。当然秘伝を教えて欲しい者は殺到する。そこで師範代システムだ。師範代には何時でも挑戦できる。ただし1回銀貨1枚取られる。そこで師範代を倒せれば、秘伝コースに勧めるって訳だ。更に、その先には奥義コースを設けている道場もある。」
「なるほど、剣術道場も結局は金儲けですか?それじゃあ剣術の腕が上がらないのも頷けます。」
「君は、この国の剣術はレベルが低いと?」
「そうですね。決して高くは無いでしょう。この間剣術道場へ行ってきたのですが、殺気を放っても気づいたのはたった1人でした。」
「私も一応騎士の称号を持つのだが、君から見てどうだ?」
「正直に言って良いのですか?」
「構わん。」
「僕が暗殺者なら瞬殺ですね。」
僕はストレージから焼き立てのドラゴン串を3本出した。リリも呼んで皆で食べる事にした。
「それを食べて感想をお願いします。」
侯爵とリリは良い香りのする串肉をクンクンと嗅いでいる。僕が一口齧ると真似して食べる。
「これは。なんと言う美味い肉だ?はて?何の肉なんだ?」
「美味しいです。適度な弾力があるのにすっと噛み切れて溶けて行きます。」
「それはドラゴンの肉です。僕が一人で一撃で倒しました。」
「確か君はGランクハンターじゃなかったか?」
「はい。なのでドラゴンの素材は売れませんので沢山余ってます。」
「それは私に買い取って欲しいと言って居るのかな?」
「いや、一応売り先は幾つかありますので、無理にとは言いません。相場よりかなり安く譲れますよ。」
「君は商売も上手い様だな。牙と鱗そして血が欲しいな。」
「どの位必要ですか?」
「牙は1本で良い。鱗は10枚あれば良いな。血は30人分ほど貰いたい。」
僕はその場に言われた物を出す。血は小瓶に入っている。
「全部で白金貨10枚で良いですよ。」
「本当に安いな。それでやって行けるのか?」
「ドラゴンは何時でも狩れますからね。」
「ちなみにドラゴンを狩るのは剣か?」
「そうですね。素材に傷を付けたくないので剣でスパッと首を落とします。」
「君はとことん規格外だな。」
「先生。魔法の道場を開くんですか?私もそっちに行きたいです。」
リリが話の切りの良い所で口を挟んで来た。
「リリには学院の内部から、間違った魔法理論を変えて欲しいと考えているのだが?」
「そうなんですか?だったら私頑張ります!」
「頼むよ。流石に僕は学院へは出入り出来ないからね。リリが頼りだ。」
「休みの日に道場に遊びに行くのは問題無いですか?」
「ああ、侯爵様の許可を取ればね。」
リリが嬉しそうに侯爵におねだりしている。
さて、僕は王国へ帰らないと。
今日はアリアナを風呂に誘った。親子3人で風呂に入ろうと言うとアリアナは吃驚した顔をしていたが、嬉しそうだった。
リアーナはだいぶ喋る様になり、少しだが意思の疎通も出来る。やはり家族で入る風呂は楽しい。
夕食は最近帝国のレシピを取り入れているので、皆に評判が良い。って言うか、竜王の爺さんは何も食わなくても生きて行けるんじゃ無いのか?
ルシルは子供の為にと一生懸命食べている。そう言えば鋼の様な肉体が徐々にふっくらとして来ている気がする。
最近では食卓にエルとリアーナも参加しているので賑やかだ。この世界に来るまでは一人暮らしでコンビニ弁当ばかり食っていたので感慨深い。
食後部屋でのんびりしていると、ルシルが来た。今日はルシルの日か、って事は明日は休みか。
大人しいルシルと言うのもこれはこれで面白い。会話を楽しむ。
「ところで、竜人だっけ?生まれるまでの日数は人間と同じなの?」
「うむ、その辺は私も良く知らんのだ。」
「でも体は人間の女性を完全に模しているんだよね?」
「それは、間違いない。だが、この体でもドラゴンのパワーは使える。そう考えると、なんとも言えないのが現状だ。」
「ドラゴンって基本卵生だったよね?竜人は人間の形で生まれるんでしょ?」
「ああ、そうなるな。」
「しかし、困ったな。何時生まれるか解らないってのは問題だ。」
「そうか?そう言うのは自然に任せて置けば良いのでは無いか?」
「ちなみにドラゴンの卵ってどの位で孵るの?」
「通常のドラゴンの卵は半年程で孵るな。」
「ルシルって妊娠して3か月を過ぎた所だよね?半年で生まれたりしないよな?」
「正直解らん。」
なんだろう?頭の痛い問題が一つ増えたぞ。
ルシルと抱き合って寝る。ルシルは体は成人だが、顔が幼い。例えるなら成長の良い中学生の様だ。なんとなく背徳感を感じる。
翌朝地獄の稽古の後、部屋で作業をする。帝国の魔法道場で使う教科書作りだ。王国の魔法書をベースに効率的な魔法の使い方の一部分を取り入れる。出来上がった教科書はちゃんと使えば、それなりの効果を得られる様になっている。単純に読んだだけでは魔法は上手くならない。
これをどう扱うかでその魔法使いの技量が測れるだろう。
出来上がった教科書を帝国語に翻訳し、ストレージでコピーする。とりあえず200冊作った。
もっと必要になったら印刷所に頼もう。
午後は帝国へ飛ぶ。帝都の商業ギルドで道場に使える物件探しだ。
話を聞くと道場に使える物件は殆ど出回らないそうだ。全く無い訳では無いが、かなり古く、以前道場だった跡地と言うのが、空いていると言う。
場所を教えて貰って見に行った。道場と言うより空き地だな。一応建物もあるが、半壊している。値段次第かな。安ければ借りても良いって感じだ。建物は魔法で何とでもなるしね。
商業ギルドに戻り、値段の交渉だ。金貨2枚と強気の値段を提示してくる。
「空き地と半壊した建物に金貨2枚は高すぎでしょう。それに特別良い場所でも無かったですよ?」
「しかし、広さは十分でしたでしょう?ちゃんとした建物を建てれば立派な道場になります。それをあまり安価で提供する訳には行きません。」
「なら、土地を整備して、立派な建物を建てて下さい。そしたら金貨2枚払います。」
「それではギルドが損をするだけじゃ無いですか?」
「でも、放って置いたらどんどん状況は酷くなりますよ?」
「では、幾らなら納得しますか?」
「初年度は月銀貨5枚。2年目からは金貨1枚でしょうでしょう?荒れ地が立派な道場になれば、僕が出て行った後、それなりの値段で貸せますよ。」
「それ程長期間借りるつもりは無いと?」
「一応3年を目安に考えています。人が増えたら別の道場を購入するつもりです。」
「ふむ、でしたら、こっちの空き地を購入しませんか?」
ギルド職員が地図を持って来た。
「この土地は先程の土地の2倍はあります。ただし、家や道場はありません。空き地ですので値段も安いですよ。金貨50枚でどうでしょう?」
なるほど、最初から道場を作るなら空き地の方が面倒が無いかもしれんな。家賃を毎月払うなら一括金貨50枚で自分の物にしてしまうのも手だ。僕は2~3年で帝都を離れるつもりだが、後継者は育てるつもりだ。僕が王国へ帰った後も家賃を払い続けるのは面倒だろう。
「解った。買おう。特に制限等無いな?」
「はい、制限などはありません。周りの住人も少ないので道場建設に反対する者も居ないでしょう。」
僕は金貨50枚を麻袋に入れて渡す。書類と地図を渡された。
さて、道場作りは明日かな?
魔法使いのレベルを上げると、今までの産業が下火になる可能性もある。また、戦争が起こる可能性だってある。しかし、現在のまま魔法が衰退するのは帝国の滅亡へ繋がるのでは無いだろうか?
どうすれば良い?平和的な魔法書でも書くか?しかし、現在のレベルではそれを読んでも底上げできるかどうか心配だ。
魔法の道場でも開くか?剣術の道場があれだけあるんだから魔法の道場があってもおかしく無いよな?しかし、弟子を取る事になると色々と面倒が起きそうだ。
困った時はあれだな、侯爵に相談してみよう。
午後は帝国へ飛んだ。
侯爵家に入ると何故かリリが居た。
「あれ?学院は?」
「やだなぁ先生。今日は休日ですよ。皇帝陛下の誕生日です。」
知らんがな。
「あれ?って事は侯爵は居ないのかな?」
「居ますよ、午前中に謁見して来て午後は休みです。」
僕はリリに頼んでアポイントメントを取って貰う。
その間久しぶりにリリの稽古の様子を見る。かなり腕が上がっている様だ。やはり理論を理解すれば自力で解決できる部分も多いって事だよね。
やがて侯爵が現れる。応接室で話をする。現在の帝国の魔法の衰退状況。このまま行けば帝国は滅亡するかもしれない事等を話した上で。魔法の道場と言うのは現実的なのかどうか?需要はあるのかなどを聞いてみた。
「ふむ、面白いな。道場に通う者達が腕が上がれば名声もあがる。その道場、やる価値はあると思うぞ。それに、君の魔法の腕は埋もれさせて置くのは勿体ないと考えていたので丁度良い。」
「それで、ですね。出来れば僕の名前は出したくないんですが、可能ですかね?」
「なら、私の名前を貸してやろう。侯爵ゆかりの道場なら門弟も集めやすいだろう。」
「助かります。お金は自分で出しますので、色々と試してみようと思います。」
「あ、くれぐれも伝説の魔法は広めないでくれよ。」
「解って居ます。あれはリリが理論から自分で思いついたんですよ。」
リリを褒めると侯爵は目を細めて嬉しそうに紅茶を一口飲んだ。
実際リリ程才能が有る子は滅多に居ないだろう。そう言う事も踏まえて、事前の準備が必要だ。
「そう言えば、道場の月謝ってどの位が相場なんですかね?」
「剣術の道場なら月に大銅貨2~3枚だな。」
「ふむ、儲かる事業では無いんですね。」
「いや、からくりがあってねぇ。有能な弟子には秘伝を教える。これには月に銀貨2~3枚が必要となる。当然秘伝を教えて欲しい者は殺到する。そこで師範代システムだ。師範代には何時でも挑戦できる。ただし1回銀貨1枚取られる。そこで師範代を倒せれば、秘伝コースに勧めるって訳だ。更に、その先には奥義コースを設けている道場もある。」
「なるほど、剣術道場も結局は金儲けですか?それじゃあ剣術の腕が上がらないのも頷けます。」
「君は、この国の剣術はレベルが低いと?」
「そうですね。決して高くは無いでしょう。この間剣術道場へ行ってきたのですが、殺気を放っても気づいたのはたった1人でした。」
「私も一応騎士の称号を持つのだが、君から見てどうだ?」
「正直に言って良いのですか?」
「構わん。」
「僕が暗殺者なら瞬殺ですね。」
僕はストレージから焼き立てのドラゴン串を3本出した。リリも呼んで皆で食べる事にした。
「それを食べて感想をお願いします。」
侯爵とリリは良い香りのする串肉をクンクンと嗅いでいる。僕が一口齧ると真似して食べる。
「これは。なんと言う美味い肉だ?はて?何の肉なんだ?」
「美味しいです。適度な弾力があるのにすっと噛み切れて溶けて行きます。」
「それはドラゴンの肉です。僕が一人で一撃で倒しました。」
「確か君はGランクハンターじゃなかったか?」
「はい。なのでドラゴンの素材は売れませんので沢山余ってます。」
「それは私に買い取って欲しいと言って居るのかな?」
「いや、一応売り先は幾つかありますので、無理にとは言いません。相場よりかなり安く譲れますよ。」
「君は商売も上手い様だな。牙と鱗そして血が欲しいな。」
「どの位必要ですか?」
「牙は1本で良い。鱗は10枚あれば良いな。血は30人分ほど貰いたい。」
僕はその場に言われた物を出す。血は小瓶に入っている。
「全部で白金貨10枚で良いですよ。」
「本当に安いな。それでやって行けるのか?」
「ドラゴンは何時でも狩れますからね。」
「ちなみにドラゴンを狩るのは剣か?」
「そうですね。素材に傷を付けたくないので剣でスパッと首を落とします。」
「君はとことん規格外だな。」
「先生。魔法の道場を開くんですか?私もそっちに行きたいです。」
リリが話の切りの良い所で口を挟んで来た。
「リリには学院の内部から、間違った魔法理論を変えて欲しいと考えているのだが?」
「そうなんですか?だったら私頑張ります!」
「頼むよ。流石に僕は学院へは出入り出来ないからね。リリが頼りだ。」
「休みの日に道場に遊びに行くのは問題無いですか?」
「ああ、侯爵様の許可を取ればね。」
リリが嬉しそうに侯爵におねだりしている。
さて、僕は王国へ帰らないと。
今日はアリアナを風呂に誘った。親子3人で風呂に入ろうと言うとアリアナは吃驚した顔をしていたが、嬉しそうだった。
リアーナはだいぶ喋る様になり、少しだが意思の疎通も出来る。やはり家族で入る風呂は楽しい。
夕食は最近帝国のレシピを取り入れているので、皆に評判が良い。って言うか、竜王の爺さんは何も食わなくても生きて行けるんじゃ無いのか?
ルシルは子供の為にと一生懸命食べている。そう言えば鋼の様な肉体が徐々にふっくらとして来ている気がする。
最近では食卓にエルとリアーナも参加しているので賑やかだ。この世界に来るまでは一人暮らしでコンビニ弁当ばかり食っていたので感慨深い。
食後部屋でのんびりしていると、ルシルが来た。今日はルシルの日か、って事は明日は休みか。
大人しいルシルと言うのもこれはこれで面白い。会話を楽しむ。
「ところで、竜人だっけ?生まれるまでの日数は人間と同じなの?」
「うむ、その辺は私も良く知らんのだ。」
「でも体は人間の女性を完全に模しているんだよね?」
「それは、間違いない。だが、この体でもドラゴンのパワーは使える。そう考えると、なんとも言えないのが現状だ。」
「ドラゴンって基本卵生だったよね?竜人は人間の形で生まれるんでしょ?」
「ああ、そうなるな。」
「しかし、困ったな。何時生まれるか解らないってのは問題だ。」
「そうか?そう言うのは自然に任せて置けば良いのでは無いか?」
「ちなみにドラゴンの卵ってどの位で孵るの?」
「通常のドラゴンの卵は半年程で孵るな。」
「ルシルって妊娠して3か月を過ぎた所だよね?半年で生まれたりしないよな?」
「正直解らん。」
なんだろう?頭の痛い問題が一つ増えたぞ。
ルシルと抱き合って寝る。ルシルは体は成人だが、顔が幼い。例えるなら成長の良い中学生の様だ。なんとなく背徳感を感じる。
翌朝地獄の稽古の後、部屋で作業をする。帝国の魔法道場で使う教科書作りだ。王国の魔法書をベースに効率的な魔法の使い方の一部分を取り入れる。出来上がった教科書はちゃんと使えば、それなりの効果を得られる様になっている。単純に読んだだけでは魔法は上手くならない。
これをどう扱うかでその魔法使いの技量が測れるだろう。
出来上がった教科書を帝国語に翻訳し、ストレージでコピーする。とりあえず200冊作った。
もっと必要になったら印刷所に頼もう。
午後は帝国へ飛ぶ。帝都の商業ギルドで道場に使える物件探しだ。
話を聞くと道場に使える物件は殆ど出回らないそうだ。全く無い訳では無いが、かなり古く、以前道場だった跡地と言うのが、空いていると言う。
場所を教えて貰って見に行った。道場と言うより空き地だな。一応建物もあるが、半壊している。値段次第かな。安ければ借りても良いって感じだ。建物は魔法で何とでもなるしね。
商業ギルドに戻り、値段の交渉だ。金貨2枚と強気の値段を提示してくる。
「空き地と半壊した建物に金貨2枚は高すぎでしょう。それに特別良い場所でも無かったですよ?」
「しかし、広さは十分でしたでしょう?ちゃんとした建物を建てれば立派な道場になります。それをあまり安価で提供する訳には行きません。」
「なら、土地を整備して、立派な建物を建てて下さい。そしたら金貨2枚払います。」
「それではギルドが損をするだけじゃ無いですか?」
「でも、放って置いたらどんどん状況は酷くなりますよ?」
「では、幾らなら納得しますか?」
「初年度は月銀貨5枚。2年目からは金貨1枚でしょうでしょう?荒れ地が立派な道場になれば、僕が出て行った後、それなりの値段で貸せますよ。」
「それ程長期間借りるつもりは無いと?」
「一応3年を目安に考えています。人が増えたら別の道場を購入するつもりです。」
「ふむ、でしたら、こっちの空き地を購入しませんか?」
ギルド職員が地図を持って来た。
「この土地は先程の土地の2倍はあります。ただし、家や道場はありません。空き地ですので値段も安いですよ。金貨50枚でどうでしょう?」
なるほど、最初から道場を作るなら空き地の方が面倒が無いかもしれんな。家賃を毎月払うなら一括金貨50枚で自分の物にしてしまうのも手だ。僕は2~3年で帝都を離れるつもりだが、後継者は育てるつもりだ。僕が王国へ帰った後も家賃を払い続けるのは面倒だろう。
「解った。買おう。特に制限等無いな?」
「はい、制限などはありません。周りの住人も少ないので道場建設に反対する者も居ないでしょう。」
僕は金貨50枚を麻袋に入れて渡す。書類と地図を渡された。
さて、道場作りは明日かな?
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