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今日は3日分位働いたので明日はゆっくりしよう。食堂で食事を取り自室に戻った所だ。ストレージから装備を外し、ベッドに倒れ込む。知らない内に眠ってしまったらしい。
翌朝、騒がしさで目が覚めた。
「なんだ?ドラゴンでも攻めて来たのか?」
「良く解らんが執事が誰かと会話している。」
ブラスマイヤーが答えた。
ルーメンさんが?
確かに声は聞こえるが会話と言うより言い争いだ。
何事かとドアを開けて顔を出す。
「火急の要件だと言って居る。子爵を呼んで貰えないか?」
「主人はまだ睡眠中です。時間を考えて下さい。」
確かに人の家を訪れるのには時間が早すぎるな。しかし火急の要件か?また陛下かな?
「ルーメンさん構わないよ。通してやって。」
ルーメンさんに声を掛け。ストレージから平服を装備する。
「火急の要件だそうだが、誰の使いで来た?」
「宰相様の用件で参りました。至急王城へ来て欲しいとの事です。陛下と公爵様もお待ちです。」
「陛下と公爵様まで?」
「はい、用件は会って伝えるとの事で聞かされてはおりません。馬車は用意してありますので、そのままで構いませんのですぐにおいで下さいませんか?」
「解った。ルーメンさん、あとは任せます。」
宰相の使いと言う騎士の後について馬車に乗り込んだ。ここからなら王城まで20分位だろう。って言うか、馬車って揺れるんだな、尻が痛いし。20分が物凄い苦痛だった。
「こちらへどうぞ。」
騎士はそれなりの地位らしく顔パスでどんどん奥へと進んで行く。例の王様の応接室行きかな?
ノックをして子爵を連れて参りましたと騎士が言うと、入れと王様の声。やっぱりか。
僕が部屋に入ると騎士は下がった。部屋の中は緊迫した空気が流れている。
「何が起きているんです?」
王様と公爵それに宰相の3人が顔を突き合わせて深刻な顔をしている。
「娘のセレスティアが攫われた。」
公爵が最初に発言した。
「攫った相手は、人ですか魔物ですか?」
「おそらく、何処かの派閥の者だろう。」
「人間ですか?厄介ですね。」
「お主の力で何とかならんか?下手をすると内戦になりかねん。」
今度は王様が発言する。
(なんとかって、セレスティアさんの場所判るか?)
(判るぞ。)
(相手は何人だ?)
(3人だな。)
「攫われたのが何時か解りますか?」
「多分、深夜だな。窓を壊して侵入し、寝ているセレスティアを連れ去った様だ、争った形跡は無かった。」
「解りました。何とかしましょう。」
「出来るのか?」
「黒幕まで辿り着けるかは分かりませんが、セレスティアさんの無事は保証しましょう。」
「よし、任せよう。頼んだぞ。」
僕は勢いよくドアを開けて飛び出し。人気のない場所で城の外へ飛ぶ。
「ブラスマイヤー、セレスティアさんの居場所のイメージを頼む。」
「解った。」
どこかの部屋の中。暗いな地下か?徐々に鮮明になるイメージ。そこへ転移する。
「セレスティアさんは?」
「この中だ、ただ男が3人居る気を付けろ。」
ドアを蹴破り、中を見渡す。3人の男のうち一番セレスティアさんに近い男に向かい一気に詰め寄り、腹にパンチをくらわす。
男は訳の分からない叫び声を上げて気絶した。
「な、なんだ貴様。」
とか言ってる奴は放って置いて、もう一人の男の後ろに転移して首筋を手刀で思いっきり叩く。2人沈黙。
3人目はパニくって居る。
「誰の差し金で動いてる?言わなければ殺すぞ。」
そう言って剣を抜いただけで気絶した。
あら?どうしましょう?
って、セレスティアさんの無事を確認しないと。
「大丈夫ですか?」
そう言いながら手足を拘束している縄と猿轡を外してあげる。
「あの、あなたは、ドラゴンの時の?」
「覚えてました?冒険者のエイジです。」
「また、助けて頂きましたね。」
「乱暴とかされてませんよね?」
「はい、大丈夫です。」
「じゃあ、帰りましょう。」
そう言って3人の男をまとめて縛り上げ触れた状態でセレスティアさんの手を取り転移する。王城の前だ。門番に短剣を見せ事情を話し、衛兵を呼んで貰う。
衛兵に3人を預け、気が付いたら王様の応接室へ運ぶよう指示し。僕はセレスティアさんを連れて先に応接室へ向かった。
ノックをして応接室へ入ると、物凄い勢いで公爵が飛んできた。
「セレスティア無事か?」
「はい、お父様。」
僕は王様と宰相に色々と説明する。
「とりあえずセレスティアさんを拘束していた3人は捕らえてありますので、後は任せて良いですか?建物の所有者からも何か出るかもしれませんし。」
「いや、ちょっと待て、色々とおかしく無いか?お前が出て行ってから30分も経って無いぞ?」
あら?やっちゃった感じかな?
「それに、セレスティア様が捉えられていたと言う建物、馬車で1時間はかかる場所ですね。」
宰相が追い打ちを掛けて来る。
「ああ、僕は冒険者です。能力は隠しておきたいのですが、誰にも言いませんよね?」
「約束しよう。」
「私も約束しよう。」
「では、話しますが、僕は『転移魔法』が使えます。サーチの魔法も人より得意なので、セレスティアさんの気配はすぐに察知出来ました。後は転移で飛んで、帰って来るだけですね。」
「簡単に言うが、それは俄かに信じられん話だな。」
「セレスティアさんが証人になってくれますよ、一緒にここまで転移して来ましたから。」
むむと2人は唸っている。困ったな。話題を変えないと。そうだ!
「陛下、実は陛下に献上したい物があるのですが、ここに出しても宜しいでしょうか?」
国王が頷く、次いで宰相が頷くのを見てから、テーブルの上に1本のナイフを出した。
「これは、ナイフだな。特に変わった装飾も無い様だが?」
「見た目は普通のナイフですが、材質が変わってます。」
「ほう?判るか宰相?」
「金色に輝いていますが金では無さそうですね。見た事が無い金属です。」
「ふむ、献上と言うからには何か特殊な金属なのだろう?」
「それはオリハルコンのナイフです。ミスリルも簡単に切れますよ。」
「「何?」」
その大声に公爵親子が気が付いた様だ。こっちに来てしまった。
「どうしました兄上?」
「おう、これが何かわかるか?」
「ただのナイフに見えますが?」
「オリハルコンのナイフだそうだ。」
「なんと!」
「早速、研究者に調べさせましょう。」
「そうだな、それが良い。」
と、そこへ捉えた3人の男が目を覚ましたと衛兵が告げに来た。
うわっ、3人の目の色が変わった。
「今回の黒幕何が何でも突き止めるぞ。」
「はい、兄上。」
「御意に。」
怖っ!
「僕はこれで失礼しますね。」
そう言って転移で家に逃げた。
後で知った事だが、セレスティア誘拐事件の黒幕は4大侯爵の一人、リッツバーグ侯爵と解り、爵位を剥奪されて鉱山奴隷にされたそうだ。
4大侯爵の勢力バランスが大きく変わり、暫くは残りの3人の侯爵家が権力争いをする事となり、皮肉な事に王都の平穏が保たれる事となるのであった。
今回の最大の功労者であるエイジであるが、転移の事を黙ってると言う条件でタダ働きとなった。
「あー、良い様に使われてんな僕。」
「その様だな。先に報酬を決めてから動くのが貴族と言う物らしいぞ。」
「そう言うの先に言ってくんない?」
「俺も元は冒険者で貴族とは縁のない生活だったからな。」
まあ、セレスティアさんが無事だったからいっか。
「お主、あの女子に惚れたのか?」
「いや、公爵様のご令嬢だぞ。」
「でも、伯爵になれば嫁にくれるとかくれないとか言って無かったか?」
「いや、僕はスローライフを楽しむんだ。伯爵になるのはその後で良い。」
「スローライフねぇ。随分忙しいスローライフだな。」
神様の癖に嫌味を言うとは。
「そう言えば金も地位も名誉も手に入ったのに女が寄って来ないでは無いか?」
「あ、それ言っちゃう?気にしてんだからな。」
「それに貴族と言えばパーティーとか呼ばれるんじゃないのか?」
ん?どうなんだろう?あれって、貴族の子供時代に社交界デビューとかしないといけないんじゃ無いのか?
つーか、僕って爵位貰っても誰にもお披露目とかされてないんだけど、本当に貴族だよね?
翌朝、騒がしさで目が覚めた。
「なんだ?ドラゴンでも攻めて来たのか?」
「良く解らんが執事が誰かと会話している。」
ブラスマイヤーが答えた。
ルーメンさんが?
確かに声は聞こえるが会話と言うより言い争いだ。
何事かとドアを開けて顔を出す。
「火急の要件だと言って居る。子爵を呼んで貰えないか?」
「主人はまだ睡眠中です。時間を考えて下さい。」
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「ルーメンさん構わないよ。通してやって。」
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「火急の要件だそうだが、誰の使いで来た?」
「宰相様の用件で参りました。至急王城へ来て欲しいとの事です。陛下と公爵様もお待ちです。」
「陛下と公爵様まで?」
「はい、用件は会って伝えるとの事で聞かされてはおりません。馬車は用意してありますので、そのままで構いませんのですぐにおいで下さいませんか?」
「解った。ルーメンさん、あとは任せます。」
宰相の使いと言う騎士の後について馬車に乗り込んだ。ここからなら王城まで20分位だろう。って言うか、馬車って揺れるんだな、尻が痛いし。20分が物凄い苦痛だった。
「こちらへどうぞ。」
騎士はそれなりの地位らしく顔パスでどんどん奥へと進んで行く。例の王様の応接室行きかな?
ノックをして子爵を連れて参りましたと騎士が言うと、入れと王様の声。やっぱりか。
僕が部屋に入ると騎士は下がった。部屋の中は緊迫した空気が流れている。
「何が起きているんです?」
王様と公爵それに宰相の3人が顔を突き合わせて深刻な顔をしている。
「娘のセレスティアが攫われた。」
公爵が最初に発言した。
「攫った相手は、人ですか魔物ですか?」
「おそらく、何処かの派閥の者だろう。」
「人間ですか?厄介ですね。」
「お主の力で何とかならんか?下手をすると内戦になりかねん。」
今度は王様が発言する。
(なんとかって、セレスティアさんの場所判るか?)
(判るぞ。)
(相手は何人だ?)
(3人だな。)
「攫われたのが何時か解りますか?」
「多分、深夜だな。窓を壊して侵入し、寝ているセレスティアを連れ去った様だ、争った形跡は無かった。」
「解りました。何とかしましょう。」
「出来るのか?」
「黒幕まで辿り着けるかは分かりませんが、セレスティアさんの無事は保証しましょう。」
「よし、任せよう。頼んだぞ。」
僕は勢いよくドアを開けて飛び出し。人気のない場所で城の外へ飛ぶ。
「ブラスマイヤー、セレスティアさんの居場所のイメージを頼む。」
「解った。」
どこかの部屋の中。暗いな地下か?徐々に鮮明になるイメージ。そこへ転移する。
「セレスティアさんは?」
「この中だ、ただ男が3人居る気を付けろ。」
ドアを蹴破り、中を見渡す。3人の男のうち一番セレスティアさんに近い男に向かい一気に詰め寄り、腹にパンチをくらわす。
男は訳の分からない叫び声を上げて気絶した。
「な、なんだ貴様。」
とか言ってる奴は放って置いて、もう一人の男の後ろに転移して首筋を手刀で思いっきり叩く。2人沈黙。
3人目はパニくって居る。
「誰の差し金で動いてる?言わなければ殺すぞ。」
そう言って剣を抜いただけで気絶した。
あら?どうしましょう?
って、セレスティアさんの無事を確認しないと。
「大丈夫ですか?」
そう言いながら手足を拘束している縄と猿轡を外してあげる。
「あの、あなたは、ドラゴンの時の?」
「覚えてました?冒険者のエイジです。」
「また、助けて頂きましたね。」
「乱暴とかされてませんよね?」
「はい、大丈夫です。」
「じゃあ、帰りましょう。」
そう言って3人の男をまとめて縛り上げ触れた状態でセレスティアさんの手を取り転移する。王城の前だ。門番に短剣を見せ事情を話し、衛兵を呼んで貰う。
衛兵に3人を預け、気が付いたら王様の応接室へ運ぶよう指示し。僕はセレスティアさんを連れて先に応接室へ向かった。
ノックをして応接室へ入ると、物凄い勢いで公爵が飛んできた。
「セレスティア無事か?」
「はい、お父様。」
僕は王様と宰相に色々と説明する。
「とりあえずセレスティアさんを拘束していた3人は捕らえてありますので、後は任せて良いですか?建物の所有者からも何か出るかもしれませんし。」
「いや、ちょっと待て、色々とおかしく無いか?お前が出て行ってから30分も経って無いぞ?」
あら?やっちゃった感じかな?
「それに、セレスティア様が捉えられていたと言う建物、馬車で1時間はかかる場所ですね。」
宰相が追い打ちを掛けて来る。
「ああ、僕は冒険者です。能力は隠しておきたいのですが、誰にも言いませんよね?」
「約束しよう。」
「私も約束しよう。」
「では、話しますが、僕は『転移魔法』が使えます。サーチの魔法も人より得意なので、セレスティアさんの気配はすぐに察知出来ました。後は転移で飛んで、帰って来るだけですね。」
「簡単に言うが、それは俄かに信じられん話だな。」
「セレスティアさんが証人になってくれますよ、一緒にここまで転移して来ましたから。」
むむと2人は唸っている。困ったな。話題を変えないと。そうだ!
「陛下、実は陛下に献上したい物があるのですが、ここに出しても宜しいでしょうか?」
国王が頷く、次いで宰相が頷くのを見てから、テーブルの上に1本のナイフを出した。
「これは、ナイフだな。特に変わった装飾も無い様だが?」
「見た目は普通のナイフですが、材質が変わってます。」
「ほう?判るか宰相?」
「金色に輝いていますが金では無さそうですね。見た事が無い金属です。」
「ふむ、献上と言うからには何か特殊な金属なのだろう?」
「それはオリハルコンのナイフです。ミスリルも簡単に切れますよ。」
「「何?」」
その大声に公爵親子が気が付いた様だ。こっちに来てしまった。
「どうしました兄上?」
「おう、これが何かわかるか?」
「ただのナイフに見えますが?」
「オリハルコンのナイフだそうだ。」
「なんと!」
「早速、研究者に調べさせましょう。」
「そうだな、それが良い。」
と、そこへ捉えた3人の男が目を覚ましたと衛兵が告げに来た。
うわっ、3人の目の色が変わった。
「今回の黒幕何が何でも突き止めるぞ。」
「はい、兄上。」
「御意に。」
怖っ!
「僕はこれで失礼しますね。」
そう言って転移で家に逃げた。
後で知った事だが、セレスティア誘拐事件の黒幕は4大侯爵の一人、リッツバーグ侯爵と解り、爵位を剥奪されて鉱山奴隷にされたそうだ。
4大侯爵の勢力バランスが大きく変わり、暫くは残りの3人の侯爵家が権力争いをする事となり、皮肉な事に王都の平穏が保たれる事となるのであった。
今回の最大の功労者であるエイジであるが、転移の事を黙ってると言う条件でタダ働きとなった。
「あー、良い様に使われてんな僕。」
「その様だな。先に報酬を決めてから動くのが貴族と言う物らしいぞ。」
「そう言うの先に言ってくんない?」
「俺も元は冒険者で貴族とは縁のない生活だったからな。」
まあ、セレスティアさんが無事だったからいっか。
「お主、あの女子に惚れたのか?」
「いや、公爵様のご令嬢だぞ。」
「でも、伯爵になれば嫁にくれるとかくれないとか言って無かったか?」
「いや、僕はスローライフを楽しむんだ。伯爵になるのはその後で良い。」
「スローライフねぇ。随分忙しいスローライフだな。」
神様の癖に嫌味を言うとは。
「そう言えば金も地位も名誉も手に入ったのに女が寄って来ないでは無いか?」
「あ、それ言っちゃう?気にしてんだからな。」
「それに貴族と言えばパーティーとか呼ばれるんじゃないのか?」
ん?どうなんだろう?あれって、貴族の子供時代に社交界デビューとかしないといけないんじゃ無いのか?
つーか、僕って爵位貰っても誰にもお披露目とかされてないんだけど、本当に貴族だよね?
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