転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
上 下
7 / 308

007

しおりを挟む
 昇級試験は朝から始まる。10時には始まるらしいので9時半にギルドの裏手に行ってみた。既に数人の受験者らしき冒険者が居る。

 暫く待つとギルドの職員が5名ほど現れる。

「集まった様だな。それでは試験を始める。魔法職は左手に集合。戦闘職はこっちだ。」

 そう言って、職員の1人が手を上げる。今回は魔法が間に合わなかったので戦闘職で試験を受ける。
 
 と言うか、月に一度の昇級試験と聞いて大規模な物を予想していたのだが思ったより人数が少ない。

 C・D・Eランクがそれぞれ1人ずつ。FとGが4人ずつの11人だ。それが2手に分かれるので更に人数が減る。

 戦闘職は7人だ。

「これから模擬戦をしてもらう。木刀を使うので危険は少ないが当たり所が悪ければ死ぬ事もある。気を引き締めて挑む様に。基本勝敗は関係ない。負けても内容が良ければ合格だ。」

 模擬戦はギルド職員と1対1でやるらしい。ギルド職員は元冒険者が多いので、高ランクの冒険者が潜んでいる可能性もある。

 こっそりブラスマイヤーに聞いてみる。

「本気でやった方が良いか?」

「止めて置け、それほど強い奴は居ない。最悪殺してしまうぞ。」

 昇級試験は思ったより温い様だ。まあGからFに上がるのにそんなに強い相手と戦わせないか?

 Cランクの冒険者から模擬戦が始まる。動きを見ているがスロー過ぎてあくびが出る。あれでCランクなら僕はもう少し上に行けるな。しかし、毎月試験を受けるのもだるいな。

 だんだんランクが下がって来て余計に見てるのが辛くなるので、魔法職の方へ眼を向けてみる。

 魔法職の試験もなんかだらだらしている。あれなら魔法職でも受けられたな。

 等と考えていたら名前を呼ばれた。どうやら順番が来たようだ。

「名前とランクを言え。」

「エイジ、Gランク。」

「5分間立っていられれば合格だ。始めるぞ。」

「解った。」

 ギルドの職員が中段の構えから、すっと前に滑る様に動く。ほう?以外に良く動くなランクが高いのか?そう言えば鑑定の魔法は覚えていなかった。あとで教わらなければ。等と考えているとやっと攻撃が来る。遅い。くるりと体を捻り相手の後ろに回り込み首筋にピタリと木刀を当てる。

「あの?もう少し真剣にやって貰って良いですか?」

 周りからざわめきが起こる。今の見えたか?とか何をしたんだ?と言った声だ。

 試験管のギルド職員も何をされたか解っていない様だ。

「俺は元Bランクだぞ、本気でやっていいのか?」

「問題は無い。頼む。」

「後悔するなよ。」

 そう言うとギルド職員は剣に虚実を交えて来た。いわゆるフェイントと言う奴だ、しかし、あまりにスローなのでフェイントがフェイントになっていない。

 何がやりたいんだろうと言う顔で、相手の木刀を叩き落として今度は顔面に剣先を向けてみる。

 再度ざわめきが起こる。今度は見えた様だ。

 別のギルド職員が1時中止を宣言して。何やら話し合いを始めた。そこへ、壮年の大男が現れる。

「なんだ?トラブルか?」

 どうやらこの大男はギルドマスターらしい。職員がそう呼んでいた。

 話を聞いたギルドマスターはニヤリと笑い。

「では、続きは俺がやろう。」

 そう言った。

 何故かは判らんがたかがFランクの試験にギルドマスターが出て来た。どう言うシステム何だろう?

「ちなみに俺は元Sランクだ。SランクとAランクでは格が1桁も2桁も違う。」

「元って事は今は違うんだろ?」

「元気が良いのは良い事だが、君は礼儀ってものを知る必要がある様だ。」

 そう言うと木刀を構える。両手剣だ。対するエイジは片手剣。片手剣の有利はスピード。破壊力と防御力では相手が上だ。

 しかし、こんなに早くSランクと相手が出来るとはラッキーだな。自分の実力を知りたかったんだよね。

 Sランクなら対等に打ち合えるだろう。そう思っていたが、様子がおかしい。この男からはAランクの魔物から感じる威圧感が無い。

 開始の合図と共にエイジは横に飛んでみる。流石にこれには反応する。Sランクは伊達じゃないか?

 今度はまっすぐ突っ込んで直前で左に回り込む。一瞬隙が出来るので胴に剣を撃ち込む。当然避けられるはずの剣は何故か当たった。

「え?」

 我ながら間抜けな声が出てしまった。ギルドマスターは倒れ込んでいる。

 あら?本気出してませんけど?

 またしてもざわめきが起こる。

「これは試験にならないな。特別措置を取る。ギルドマスター構いませんね?」

「うむ。これ程の手練れだ。ギルドに貢献してくれるだろう。」

「と言う事で君は、Cランクに昇格だ。」

 ん?どう言う事だ?

「君の実力は最低でもAランクはある。だがギルドの規定で昇級試験では飛び級はCランクまでと定められている。なのでCランクだ。これ以上は1ランクずつ地道に上げて貰いたい。」

「はあ?ちなみに毎月試験は受けても良いのでしょうか?」

「構わない。特に君には早目にAランクまで上がって欲しい。指名依頼も出来るからな。」

「解りました。」

「と言う事でこれが合格の書類だ。受付に持って行けば処理してくれる。」

 そう言って何やら紙を渡された。試験はこれで終わりらしい。

 例の受付嬢の所へ行くと大いに驚かれた。彼女はミリムと言う名前だそうだ。旦那はギルド職員らしい。なんで結婚しても受付嬢を続けているのか聞いたら。空いてる窓口も必要と言う上の判断らしい。確かに僕の様な冒険者には空いてる窓口はありがたい。

 暫く待つとCランクのギルドカードが出来上がる。

 受付嬢からカードを受け取ると、次回の昇級試験もエントリーしたい事を伝える。

「そうですね。エイジさんの場合早目にBランクに上がる事をお勧めしますね。」

「何故だ?」

「Bランクならアイテムボックスを持っていても、変なちょっかいを掛けて来る者は居ませんから。」

「なるほど、そういう物か?」

「今日は依頼は受けますか?」

「いや、時間はあるが止めて置こう。掲示板を見て、CランクBランクの依頼がどんな物かだけ確認してから帰る。」

 Bランクの依頼は大したものが無かった。だが軒並み依頼の報酬が高い。ランクが上がればもっと報酬はあがるだろう。これは早めにSランクを目指そう。

 その日は時間が余ったので家で魔法の練習の続きをした。なかなか上手くいかない。

「魔法の適性が無いのかな?」

「いやいや、常人なら3年掛かる所を3日で習得して置いて何を言う。」

「そんなもんか?所で鑑定の魔法って難しいのか?」

「難しくは無いな。目に魔素を集めれば色々出来るぞ。」

「ほう?目に魔素を集めるのか?眼鏡の様なイメージかな?」

 そんな感じで魔素を操ると鑑定の魔法は難なく習得出来た。

「これは便利だな。で、色々出来るって言ってたが鑑定意外に何があるんだ?」

「簡単な所だと透視や遠見が出来るな。」

「透視は倫理的にどうなんだ?遠見は便利そうだな。索敵ってのは難しいのか?」

「索敵は魔力を薄く広く伸ばすだけだ。あとは波紋の様に魔力を操作すれば物にぶつかった時に反応する。」

 波紋をイメージか?これはイメージしやすいかな。思った通り一発で出来た。

「なるほどこれが索敵か?結構色々な物が引っかかるんだな。魔物に限定する事は出来ないのか?」

「索敵する時に魔素を感知するイメージを流せばよい。まあ魔物は魔素が濃いから比較的見つけやすいぞ。」

「なるほど、明日狩に行くから試してみよう。」

「お、明日は狩りに行くのか?」

「魔法も試したいし、金も欲しいからな。もう少し強めの魔物を狩ってみたい、可能か?」

「問題無い、任せて置け。」

 翌日はギルドに寄らずに狩りに出た。どうせ受けてもやらない依頼を受けるのは無駄だしな。その分遠くまで行けるし。

 南門を出て、例の熊の出る森を抜け更に奥へ行く。

「この辺りから魔物が強くなる。索敵の魔法を使ってみろ。」

 ブラスマイヤーに言われて索敵を使う。なるほど、魔物は魔素が多いから解り易いって言ってたがその通りだ。逆に魔物が居ると他の物を見つけるのが難しくなるほど反応がでかい。

「ところで何ていう魔物だ?」

「グレートボアだな。」

「ボア?蛇か?」

「いや、イノシシだ。凶暴で牙が武器弱点は眉間だな。毛皮と肉が素材なので綺麗に倒せ。」

「簡単に言ってくれるね。」

 まあ、実際簡単なんだけどね。まさに猪突猛進まっすぐに攻撃してくるので対応しやすい。なんでこれが高ランクなんだ?

 しかし、近くで見るとでかいな。軽自動車位はあるぞ。そんな魔物を10匹ばかり狩ってから。今度は魔法で倒す練習をする。森で炎は使えないので、主に空気と石の魔法を使う。だいぶ魔物に当たる様になったが、攻撃力が低いのか傷が殆ど付かない。

「もう少し威力の高い魔法って無いのか?」

「魔法はイメージだと言ったろう?今の魔法の威力を上げればよいでは無いか?」

「あ、そうか。」

 大砲をイメージして岩を飛ばしてみた。

 軽自動車が爆発した。

「お前は加減と言う物を覚えろ。」

 その日はそれで帰る事にした。ちなみにグレートボアは1頭金貨20枚だった。10頭で金貨200枚だ。
しおりを挟む
感想 299

あなたにおすすめの小説

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

処理中です...