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002 市場
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婆ちゃんが店主に声を掛けて2本串肉を貰い、銅貨を4枚支払う。1本200円にしては結構大きい。日本の屋台の焼き鳥の3倍位はありそうだ。
婆ちゃんから差し出された串肉を受け取る。ちなみに婆ちゃんは何の肉かは聞かなかった。恐らく知っているのだろう。
まあ、婆ちゃんが知って居る物を渡したんだから危険は無いだろう。そう思い、恐る恐る串肉に噛り付く。
美味い!歯ごたえはあるが、硬い訳では無い。肉は鶏肉の様な風味だ。塩と何らかのハーブが使用されているが、日本のハーブソルトとはまた違った風味がする。炭火で焼かれて居るので香ばしさがたまらない。
「どうだい?日本人にも受け入れられる味だろう?」
「そうだね。焼き鳥に似てるし、この串肉の味からすれば、他の料理も期待できそうだよ。」
そう言うと、婆ちゃんは何か微妙な顔をした。ん?俺、変な事言ったかな?
「他に何か食べるかい?それとも市場を回ってみるかい?」
婆ちゃんが話題を変える様に言う。串肉は結構なボリュームがあった。腹いっぱいと言う訳では無いが、他に何かを見つけた時にでも買い食いしたいし、ここは市場を見て回る事にする。
市場は実に様々な物が売っている。婆ちゃんをガイドに市場を回ると、小学生の頃に行った夏祭りを思い出す。しかし、なんだろう?何か違和感を感じる部分も多々ある。恐らくそれが、商売のヒントなのだろうが、今は答えが出せずに居る。
一通り市場を回ると3時間位経っていた。と言うか、何気にスマホで時計を見たが、この世界の時間って、どうなっているんだろう?一旦家に戻る事にした。
「婆ちゃん。この世界の日時って日本と一緒なの?」
「そうだね。この世界の1日は日本の1日とは微妙に長さが違うが、まあ誤差みたいなもんだね。ただ、時間の概念が違う。1分や1時間と言う単位は存在しないし60進法では無い。この世界では1日は10に分割されている。更にその10分の1が一つの単位になっては居るが、時計が無いので時間に関しては結構アバウトだと思うよ。」
ああ、時計が無いのか。しかし、それだと不便だから、1日を無理やり10で割ったのかな?まあ、その辺は慣れて行くしかないだろう。24時間を10で割ると144分が一単位になる、更にその10分の1は14.4分か、この世界の人は15分刻みで動いているって事になる。
って言うか、電気も通信も時間も無いんじゃ、スマホを持ってる意味は無いのかな?でも、情報は武器になるからなぁ。まあ、その辺は徐々に考えて行けば良いかな?
とりあえず、この世界で何を売るかを決めないとイケない。日本で安く手に入る物でこの世界で高く売れる物って何だろう?ラノベとかで調べたら出て来るかな?そう言えば、砂糖や胡椒が定番だったよね。後はリバーシとか?
「おやおや、なんだかんだ言って、この世界で商売をする気満々だねぇ。」
あ、しまった。まんまと婆ちゃんの戦略に嵌ってしまった。でも、悔しいけど、こんな面白そうなマーケットは他には無いしね。色々と考えるとワクワクするんだよね。
「降参するよ。確かに面白い市場だね。でも、最初は婆ちゃんも協力してよね。」
「私は日本で悠人のサポートに徹する事にするよ。この家は悠人、お前にあげるよ。自由に使って構わないよ。」
そう言うと婆ちゃんは鍵の束を放って寄こした。
「え?これって、この家と向こう側の玄関の鍵ともう1本は車のキーじゃない?」
「仕入れをするとなると車が必要になるだろう?荷物はアイテムボックスに入れて運ぶとしても足が無いと、日本の田舎では車は必須だからね。」
ん?俺は今日からこの家に住むのか?いやいや、多くは無いけど、俺の部屋には色々と必要な物があるんだけど?
もしかしたら、婆ちゃんはこの展開も既に計算の内?だとすると、既に引っ越し業者も予約済みだったりして……
「まさかだけど、引っ越しの手配とかも終わってたりしないよね?」
「あれ?悠人はずっとこの家に住むつもりかい?家に帰って来ても良いんだよ。車があれば、少しずつ荷物も移動出来るだろう?」
ああ、言われてみれば、今日明日すぐに家を出る必要は無い訳だ。まずは必要な物だけ、こっちに持って来れば良いのか。その為の車って訳だ。でも、俺、ペーパードライバーなんだけどな。
その日は婆ちゃんの運転で家に帰った。帰るとすぐに俺は向こうの家へ持って行く荷物をまとめる。
明日は荷物を運んで、少しだけ1人で向こうの世界に行って来ようと思っている。何が売れるか確信出来てから商売を開始する予定だ。
婆ちゃんとももう少し話をする必要もあるし、色々と仕入れや準備をするとなると、1週間位は必要だよね。
ラノベとかだと異世界に行っていきなり冒険者になったりするけど、普通なら死ぬよね?こうやって準備が出来る異世界行きってのはある意味最強のチートだな。
結局向こうでは串肉を1本しか食べなかったので、夕飯は婆ちゃんの手料理を腹いっぱい食べた。そう言えば、生水が飲めないって言ってたから、明日は向こうの世界に行く前に少し買い物をしてから行かないとな。調査とは言っても、最低限の準備はして置いた方が良いだろう。
風呂に入った後は、部屋のベッドの上でタブレットを使い、異世界ラノベを色々と読んだ。参考になれば良いのだが。
翌朝、夜更かしした割には早起きをした。まあ、10時過ぎてるけど。早速出かける準備をして、車でコンビニに向かう。
コンビニであれこれ購入して、車の中でアイテムボックスに入れて見る。これって、どの位の容量が入るのだろう?無制限って事は無いよね?
婆ちゃんから、向こうのお金を少し小遣いとして貰った。銀貨を2枚と大銅貨5枚、銅貨も5枚程貰っている。25,500円だ。本格的に商売を始める様になったら、資金は自分で出さないと駄目だろうな。
現在、俺の貯金は100万円程度しか無いが、どうにかなるだろうか?あれ?そう言えば、換金に関しては何か方法がある様な事を婆ちゃんが言ってた気がするぞ。それに、もし俺が向こうで大成功したりすると、異世界の金がこっちの世界に流れ込んで、経済が狂って来るんじゃないか?その辺の解決策も考えてあるのだろうか?
そんな事を考えながら慎重に運転をして、婆ちゃんが数分で辿り着いた道を15分程掛けて例の家に着いた。まあ、一番時間が掛かったのはバックでの駐車なんだけどね。よく考えたら俺しか使わないんだから、適当に前から突っ込めば良かったと終わった後に気が付いた。
玄関の鍵を開けて中に入り、施錠をしっかりしてから行動に移る。まずは例の襖の左右の部屋を覗く。左は和室で炬燵とテレビが置いてある。右は洋間で箪笥と本棚があるだけで、他には何も無かった。左側の壁を軽く叩くと薄い壁がコンコンと軽い音がする。恐らく、この音が響くのは間の襖の部屋では無くその向こうの和室なんじゃ無いだろうか?
多分だが、元々は2DKのこの家に魔法的な何かで空間拡張が施されている気がする。間違いなく婆ちゃんの仕業だろう。
さて、真ん中の襖の部屋に入り、婆ちゃんに言われた通りに箪笥の下から2番目を開けると、向こうの世界の服が入って居る。今の俺はジャージの上下だが、その上から向こうの世界の上着っぽい物を適当に見繕って羽織ってみる。これで、俺も向こうの世界に馴染めるだろうか?
って言うか、顔が既に違うんだよね。向こうの世界の人の顔って、なんと言うか外人っぽいんだよね。彫りが深いと言うか、中東辺りの人に似ている気がする。俺のイメージだとラノベの異世界は中世ヨーロッパなんだけどね。
準備が出来たら、奥の部屋に進み、深呼吸をしてから異世界のドアを開ける。一歩外に出たらすぐにドアを閉めて施錠をする。鍵の束をポケットに仕舞うと落とした時に困るので、アイテムボックスに収納する。これで紛失したり盗まれる事は無いだろう。
2度目の異世界だが、今回は婆ちゃんが居ない。俺一人で大丈夫だろうか?
今日の目的は、自分の販売する商品を決める事だ。昨日の市場調査とラノベ知識で幾つか候補は考えてある。要はそれが通用するかどうかを見極めると言った感じだ。
相変わらず家の前の道は人の往来が多い。あれ?そう言えば、婆ちゃんは最初は露店からと言って居たが、儲かったら店舗が必要になるよね?でも、この家は店舗には向かない様な気がする。となると、店舗を借りて、ここから通うのか?
何にせよ、俺はここに住んでいる事をあまり知られない方が良いのかもしれない。婆ちゃんは何も言わなかったが、何となく、この家は人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している気がする。魔法かもしれない。
市場に向かい歩いて行く、この世界では俺の様な顔立ちは目立つかと思ったが、意外にも気にする様な人は居なかった。もしかしたら、亜人とか獣人とかが居る世界なのかもしれないな。
市場に着くまでおよそ40分位歩いた。まあ、通勤時間40分なら近いと言っても良い距離だろう。それに、この世界には公共交通機関とか無いしね。
さて、時間的には昼時だ。俺はまず、食堂か酒場で昼飯を食べる事に決めていた。異世界ラノベ知識では、異世界の食事は現代日本より遅れていると言うのが常識だ。
俺の予想が正しければ、砂糖と出汁で無双出来るはずなんだが。
指輪のお陰で文字は読めるのだが、どうやらこの世界の識字率は低い様で、看板に文字を使っている店は少ない。特に庶民を相手に商売をする店では、看板を出していない店も多い。
かと言って昨日見て回った限りでは、紙が普及して居ない訳でも無い。店の店員等は質の悪い紙を束ねたメモ帳みたいな物を持っていた。もしかしたら紙の本もあるのかもしれない。
恐らく貴族や学生は識字率が高いのであろう。そう言えば、昨日感じた違和感。1つはそれだ。この町には学生が居ない。多分、この町には学校が無いのだろう。日本ならば、どんな田舎でも学校が無い町でも学生を見かけるが、この町では学生らしい人物は見ていない。
まあ、日本の学生の様に制服が無いだけかもしれないが、働いている子供も結構見かけるので、学校は貴族様専用と言う可能性もある。
異世界ラノベ知識を活用して、適当な店で謎果物を購入して、店主に美味い食堂を紹介して貰う。
謎果物はとりあえずアイテムボックスに仕舞って置く。後で婆ちゃんに聞いてから食ってみよう。
婆ちゃんから差し出された串肉を受け取る。ちなみに婆ちゃんは何の肉かは聞かなかった。恐らく知っているのだろう。
まあ、婆ちゃんが知って居る物を渡したんだから危険は無いだろう。そう思い、恐る恐る串肉に噛り付く。
美味い!歯ごたえはあるが、硬い訳では無い。肉は鶏肉の様な風味だ。塩と何らかのハーブが使用されているが、日本のハーブソルトとはまた違った風味がする。炭火で焼かれて居るので香ばしさがたまらない。
「どうだい?日本人にも受け入れられる味だろう?」
「そうだね。焼き鳥に似てるし、この串肉の味からすれば、他の料理も期待できそうだよ。」
そう言うと、婆ちゃんは何か微妙な顔をした。ん?俺、変な事言ったかな?
「他に何か食べるかい?それとも市場を回ってみるかい?」
婆ちゃんが話題を変える様に言う。串肉は結構なボリュームがあった。腹いっぱいと言う訳では無いが、他に何かを見つけた時にでも買い食いしたいし、ここは市場を見て回る事にする。
市場は実に様々な物が売っている。婆ちゃんをガイドに市場を回ると、小学生の頃に行った夏祭りを思い出す。しかし、なんだろう?何か違和感を感じる部分も多々ある。恐らくそれが、商売のヒントなのだろうが、今は答えが出せずに居る。
一通り市場を回ると3時間位経っていた。と言うか、何気にスマホで時計を見たが、この世界の時間って、どうなっているんだろう?一旦家に戻る事にした。
「婆ちゃん。この世界の日時って日本と一緒なの?」
「そうだね。この世界の1日は日本の1日とは微妙に長さが違うが、まあ誤差みたいなもんだね。ただ、時間の概念が違う。1分や1時間と言う単位は存在しないし60進法では無い。この世界では1日は10に分割されている。更にその10分の1が一つの単位になっては居るが、時計が無いので時間に関しては結構アバウトだと思うよ。」
ああ、時計が無いのか。しかし、それだと不便だから、1日を無理やり10で割ったのかな?まあ、その辺は慣れて行くしかないだろう。24時間を10で割ると144分が一単位になる、更にその10分の1は14.4分か、この世界の人は15分刻みで動いているって事になる。
って言うか、電気も通信も時間も無いんじゃ、スマホを持ってる意味は無いのかな?でも、情報は武器になるからなぁ。まあ、その辺は徐々に考えて行けば良いかな?
とりあえず、この世界で何を売るかを決めないとイケない。日本で安く手に入る物でこの世界で高く売れる物って何だろう?ラノベとかで調べたら出て来るかな?そう言えば、砂糖や胡椒が定番だったよね。後はリバーシとか?
「おやおや、なんだかんだ言って、この世界で商売をする気満々だねぇ。」
あ、しまった。まんまと婆ちゃんの戦略に嵌ってしまった。でも、悔しいけど、こんな面白そうなマーケットは他には無いしね。色々と考えるとワクワクするんだよね。
「降参するよ。確かに面白い市場だね。でも、最初は婆ちゃんも協力してよね。」
「私は日本で悠人のサポートに徹する事にするよ。この家は悠人、お前にあげるよ。自由に使って構わないよ。」
そう言うと婆ちゃんは鍵の束を放って寄こした。
「え?これって、この家と向こう側の玄関の鍵ともう1本は車のキーじゃない?」
「仕入れをするとなると車が必要になるだろう?荷物はアイテムボックスに入れて運ぶとしても足が無いと、日本の田舎では車は必須だからね。」
ん?俺は今日からこの家に住むのか?いやいや、多くは無いけど、俺の部屋には色々と必要な物があるんだけど?
もしかしたら、婆ちゃんはこの展開も既に計算の内?だとすると、既に引っ越し業者も予約済みだったりして……
「まさかだけど、引っ越しの手配とかも終わってたりしないよね?」
「あれ?悠人はずっとこの家に住むつもりかい?家に帰って来ても良いんだよ。車があれば、少しずつ荷物も移動出来るだろう?」
ああ、言われてみれば、今日明日すぐに家を出る必要は無い訳だ。まずは必要な物だけ、こっちに持って来れば良いのか。その為の車って訳だ。でも、俺、ペーパードライバーなんだけどな。
その日は婆ちゃんの運転で家に帰った。帰るとすぐに俺は向こうの家へ持って行く荷物をまとめる。
明日は荷物を運んで、少しだけ1人で向こうの世界に行って来ようと思っている。何が売れるか確信出来てから商売を開始する予定だ。
婆ちゃんとももう少し話をする必要もあるし、色々と仕入れや準備をするとなると、1週間位は必要だよね。
ラノベとかだと異世界に行っていきなり冒険者になったりするけど、普通なら死ぬよね?こうやって準備が出来る異世界行きってのはある意味最強のチートだな。
結局向こうでは串肉を1本しか食べなかったので、夕飯は婆ちゃんの手料理を腹いっぱい食べた。そう言えば、生水が飲めないって言ってたから、明日は向こうの世界に行く前に少し買い物をしてから行かないとな。調査とは言っても、最低限の準備はして置いた方が良いだろう。
風呂に入った後は、部屋のベッドの上でタブレットを使い、異世界ラノベを色々と読んだ。参考になれば良いのだが。
翌朝、夜更かしした割には早起きをした。まあ、10時過ぎてるけど。早速出かける準備をして、車でコンビニに向かう。
コンビニであれこれ購入して、車の中でアイテムボックスに入れて見る。これって、どの位の容量が入るのだろう?無制限って事は無いよね?
婆ちゃんから、向こうのお金を少し小遣いとして貰った。銀貨を2枚と大銅貨5枚、銅貨も5枚程貰っている。25,500円だ。本格的に商売を始める様になったら、資金は自分で出さないと駄目だろうな。
現在、俺の貯金は100万円程度しか無いが、どうにかなるだろうか?あれ?そう言えば、換金に関しては何か方法がある様な事を婆ちゃんが言ってた気がするぞ。それに、もし俺が向こうで大成功したりすると、異世界の金がこっちの世界に流れ込んで、経済が狂って来るんじゃないか?その辺の解決策も考えてあるのだろうか?
そんな事を考えながら慎重に運転をして、婆ちゃんが数分で辿り着いた道を15分程掛けて例の家に着いた。まあ、一番時間が掛かったのはバックでの駐車なんだけどね。よく考えたら俺しか使わないんだから、適当に前から突っ込めば良かったと終わった後に気が付いた。
玄関の鍵を開けて中に入り、施錠をしっかりしてから行動に移る。まずは例の襖の左右の部屋を覗く。左は和室で炬燵とテレビが置いてある。右は洋間で箪笥と本棚があるだけで、他には何も無かった。左側の壁を軽く叩くと薄い壁がコンコンと軽い音がする。恐らく、この音が響くのは間の襖の部屋では無くその向こうの和室なんじゃ無いだろうか?
多分だが、元々は2DKのこの家に魔法的な何かで空間拡張が施されている気がする。間違いなく婆ちゃんの仕業だろう。
さて、真ん中の襖の部屋に入り、婆ちゃんに言われた通りに箪笥の下から2番目を開けると、向こうの世界の服が入って居る。今の俺はジャージの上下だが、その上から向こうの世界の上着っぽい物を適当に見繕って羽織ってみる。これで、俺も向こうの世界に馴染めるだろうか?
って言うか、顔が既に違うんだよね。向こうの世界の人の顔って、なんと言うか外人っぽいんだよね。彫りが深いと言うか、中東辺りの人に似ている気がする。俺のイメージだとラノベの異世界は中世ヨーロッパなんだけどね。
準備が出来たら、奥の部屋に進み、深呼吸をしてから異世界のドアを開ける。一歩外に出たらすぐにドアを閉めて施錠をする。鍵の束をポケットに仕舞うと落とした時に困るので、アイテムボックスに収納する。これで紛失したり盗まれる事は無いだろう。
2度目の異世界だが、今回は婆ちゃんが居ない。俺一人で大丈夫だろうか?
今日の目的は、自分の販売する商品を決める事だ。昨日の市場調査とラノベ知識で幾つか候補は考えてある。要はそれが通用するかどうかを見極めると言った感じだ。
相変わらず家の前の道は人の往来が多い。あれ?そう言えば、婆ちゃんは最初は露店からと言って居たが、儲かったら店舗が必要になるよね?でも、この家は店舗には向かない様な気がする。となると、店舗を借りて、ここから通うのか?
何にせよ、俺はここに住んでいる事をあまり知られない方が良いのかもしれない。婆ちゃんは何も言わなかったが、何となく、この家は人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している気がする。魔法かもしれない。
市場に向かい歩いて行く、この世界では俺の様な顔立ちは目立つかと思ったが、意外にも気にする様な人は居なかった。もしかしたら、亜人とか獣人とかが居る世界なのかもしれないな。
市場に着くまでおよそ40分位歩いた。まあ、通勤時間40分なら近いと言っても良い距離だろう。それに、この世界には公共交通機関とか無いしね。
さて、時間的には昼時だ。俺はまず、食堂か酒場で昼飯を食べる事に決めていた。異世界ラノベ知識では、異世界の食事は現代日本より遅れていると言うのが常識だ。
俺の予想が正しければ、砂糖と出汁で無双出来るはずなんだが。
指輪のお陰で文字は読めるのだが、どうやらこの世界の識字率は低い様で、看板に文字を使っている店は少ない。特に庶民を相手に商売をする店では、看板を出していない店も多い。
かと言って昨日見て回った限りでは、紙が普及して居ない訳でも無い。店の店員等は質の悪い紙を束ねたメモ帳みたいな物を持っていた。もしかしたら紙の本もあるのかもしれない。
恐らく貴族や学生は識字率が高いのであろう。そう言えば、昨日感じた違和感。1つはそれだ。この町には学生が居ない。多分、この町には学校が無いのだろう。日本ならば、どんな田舎でも学校が無い町でも学生を見かけるが、この町では学生らしい人物は見ていない。
まあ、日本の学生の様に制服が無いだけかもしれないが、働いている子供も結構見かけるので、学校は貴族様専用と言う可能性もある。
異世界ラノベ知識を活用して、適当な店で謎果物を購入して、店主に美味い食堂を紹介して貰う。
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