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029 スパイス?

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 1週間程掛けて、焼き肉と生姜焼きの肉を日本の物から魔物の肉にシフトした。客から不満は出て居ないので成功だろう。これにより、若干だがコストダウンに成功した。

 また、魔物の肉を導入した事でステーキの販売が可能になった。オークの肉らしいが、ステーキソースを掛ければそれなりの味になる。

 また、サラダについても、新しく雇った料理人のアイデアでこの世界の野菜で温野菜を提供する事にした。味付けにポン酢とマヨネーズを選択できるようにしたのが、功を奏したのか、サラダ単品で頼む客も出て来た。

 パスタも好調で、1日の売り上げが金貨6枚になりつつある。

 さて、こうなると2号店の話が現実味を帯びて来る。ソリオさんも乗り気な様で、14時から17時までの間は俺とソリオさんで色々と2号店の構想を話し合っている。

 その話し合いの中、フライドチキンとスパイシーチキンの販売が決まった。これはカレーへの布石だ。スパイスを大量に使った料理を出したいと言う俺の提案に、ソリオさんが具体的にはどう言う料理ですか?と聞いて来たので、レトルトカレーを味見させてみた。

 ソリオさんはスパイスに慣れているので美味しいと言って居たが、スパイスに慣れていない人間には刺激的過ぎるのでは無いかとも言っていた。

 そこで、生まれたのが、フライドチキンとスパイシーチキンだ、これでスパイスの味と辛さに慣れて貰おうと言うのが趣旨になる。

 唐揚げが人気があるので、フライドチキンとスパイシーチキンも抵抗なく受け入れられるだろうとソリオさんは言っていたが、俺は少し心配している。

 まあ、エールに合うと言う意味ではソリオさんの計算通りなのかもしれない。

 チキンの大きさはもも肉を半分にした程度の大きさだ。コンビニに良く売っている、ホットスナックのチキンに近いだろう。1枚銅貨3枚で出す事に決まった。

 ちなみに冷凍物を使っているのだが、結構値段が高くて、1枚当たり150円位する。まあ、売値が300円なので、儲からない訳では無いが、行く行くはこれも魔物の肉で調理人が仕込む形にしたい。

 酒飲みには好評で、初日から結構な数が出た。また、これを使ったサンドウィッチは無いのかと聞かれる事も多く、急遽サンドウィッチを作成する事になった。コッペパンを横に切り開き、千切りキャベツとマヨネーズを乗せ、そこにチキンを挟むのは照り焼きチキンと同じ方法だ。

 サンドウィッチなら家に持ち帰って食べれると言う事で、自分の分だけで無く、家族の分を購入して帰る客も多い。

 ちなみに現在は持ち帰りの為にビニール袋を提供しているが、出来れば紙袋にしたいと考えて居る。ただ、この世界では紙が高価なので、悪目立ちしないかが不安だ。

 でも、ビニール袋はあまり普及させると環境問題に発展しそうだ。

 フライドチキンとスパイシーチキンを投入した事で、高価なスパイス料理が安価で食べられると言う評判が広まったそうだ。これにより、売り上げが一気に増大して、1日の純利益が金貨7枚を超える様になった。

 特にフライドチキンサンドの売り上げが凄く。昼間は店の外にテーブルと椅子を出して、サンドウィッチの特設コーナーを作る程だ。

 マジックバッグを用意して、フライドチキンサンドとスパイシーチキンサンド、それからキンキンに冷えたチューハイの3品だけを売る。ルルイに任せようとしたのだが、彼女は計算が苦手だ。その為現在はローナが販売を行っている。必要なら専用の店員を雇う事も考えないとイケない。

 ローナがレジを離れたので、現在は俺が座っている。まあ、レジをしながらでも考え事は出来るので今の所支障は無い。フライドチキンとスパイシーチキンは家で仕込んでマジックバッグに入れて持って来る様にしたしね。

 料理人達は順調に育っている。まあ、仕上げはタレを掛けるだけだしね。その辺の主婦を雇っても同じ味が出せるんだよね。難しいのはハンバーグの仕込み位かな?まあ、それも日本では家庭の主婦がやってたんだよね。

 さて、この世界には生活魔法のクリーンと言うのがある。なので、洗濯や風呂が必要無い。トイレットペーパーも要らない。だが、日本人の俺としてはお風呂に入りたいと思ってしまうんだよね。

 この世界でお風呂に入るのは貴族様だけだそうだ。貴族にはなりたくないが、それだけは羨ましい。

 ちなみにバスタブは陶器製で設置費込みで白金貨1枚はすると言う。1千万円の風呂って、想像も出来ない。

 ゾンアマでバスタブを検索したら猫足のバスタブが10万程度で売っていた。金貨1枚だ。これなら購入は可能だ。だが、何処に設置しよう?

 帰ったら爺さんに相談してみるか?

 風呂が普通にある世界ならシャンプーやリンスなんかが売れそうなんだが、貴族には売りたくないしな。他に何か売れる商品は無いだろうか?

 14時にソリオさんが来たタイミングでレジを変わって貰い。俺は1時間ばかり外出許可を貰った。マーケティングリサーチって奴だ。だいたい、この町に来て、この市場に出店しているが、市場をまともに歩いた事が無い。

 実際に市場を歩いて回ると実に様々な物が販売されている。中には何に使う物か解らない物や、それ売れるの?って物までありとあらゆる物が販売されている。市場の規模も大きく、1日では回り切れない程の広さがある。

 一番多いのは農家の出店だ。次は屋台かな。日曜品や洋服の店も多い。逆に靴屋やアクセサリーの店と言うのは殆ど見ない。農具や武具の店は1か所に固まっている様だ。

 ぶらぶらと歩いていると魔道具屋があった。中を覗くとマジックバッグが金貨20枚で売られている。容量は5メートル四方で高さも5メートルだ。このサイズで金貨20枚は高いんじゃないかな?爺さんの店ならもう少し大きい物が同じ値段で買えるぞ。

 カウンター周りにはアクセサリーが並んでいた。どうやらこの世界でアクセサリーと言うと魔道具の扱いなのかもしれない。そう言えば、アクセサリーを着けた女性を見かけた事が無い。

 ざっと鑑定で眺めるが、どれも付与は1つだ。やはり賢者の爺さんは凄いんだなと改めて思った。

 そう言えば、乾物屋って見かけないな。この世界には乾物と言う物は無いのだろうか?

 干し肉や固いパンは冒険者ギルドで購入できると言うし、食品の加工技術が遅れているのかな?でも、ラザリン村で、果物の蜂蜜漬けみたいなのを食べたよな?あれは各家庭で作る物なのだろうか?後でローナにでも聞いてみよう。

 他に面白い物は無いかと探していたら、釣り道具屋があった。ほう?この世界でも釣りはするんだな。って言うか、魚は食べるのだろうか?この町の近くには海が無い、当然海の魚は入って来ない。釣り道具があると言う事は川の魚を食べるのだろうか?

 川魚はあまり美味しくないイメージがあるが、ウナギが居れば面白い事になりそうだ。あれ?あれって、海に近い川じゃないと取れないんだったっけ?

 だが、魚か。魚は面白いかもしれない。流石に刺身は食わないだろうが。フィッシュバーガーとかは受けるかもしれない。ルルイとか好きそうだ。猫だしね。

 そう言えば、この町には獣人はあまり多くないと言って居たな。他の街、特に王都には様々な亜人が住んでいると言う。ドワーフやエルフも居るそうだ。

 そんなファンタジーな亜人が居る世界に来たんだなとしみじみと思ってしまう。

 そう言えば魔物も居るんだよな?まだ会った事が無いから実感が湧かないけど、魔族とかも居るのだろうか?

 魔王とか勇者が居たらどうしよう?それって戦争が起こるって言う事だよね?

 俺は、この世界で商売で成功して、スローライフを満喫したい。戦争とか魔物とか血なまぐさいのは嫌なんだけど、大丈夫だよね?

 帰ったら爺さんに聞いてみるかな?

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